おかわりにもマナーや作法があるのを知っていますか?家での食事の際や普段の外食では気にすることもないかと思います。
しかし、ビジネスやお祝い事などで懐石料理店などに行くこともありますよね。
もし、そんな時におかわりをしたくなったらどのように頼んだら良いのでしょうか?恥をかかないように今のうちにおかわりのマナーを知っておきましょう。
今回はおかわりのマナーや作法についてご紹介します。
おかわりの意味って?
おかわりは「御代わり」とも書きます。
皆さんも普段から当たり前のように使っているかと思いますが、食べ物や飲み物などをもう一度続けて飲食することをおかわりといいますよね。
小さい頃や成長期の食べ盛りの時にはたくさんおかわりをしたことのある方もいることでしょう。
特に在学中に運動部に入っていた方は、ご飯のおかわりが定番だったなんて方もいるのではないでしょうか。
昔、江戸に住む人々は一人一日、5合のお米を平らげたといいます。
現代では考えられない量ですよね。
江戸時代ではおかずは漬物や汁物の一汁一菜だったので、おかずからではなく、米からカロリーを摂取していたのでしょう。
これだけの量を食べるのならば毎食おかわりする回数も頻繁だったと思われます。
また、江戸時代では将軍が食事をする際には10人前が作られたとされています。
2人前は毒見用だったようですが残りの7人前は次の間という場所に置かれ、将軍の前には1人前だけが置かれました。
この次の間に置かれた7人前の食事は全ておかわりのためだったとされています。
将軍の食事とはいえ豪勢で羨ましい限りです。
このように庶民と身分が上の者とでは大きな差はありますが、昔から日常的におかわりの習慣はあったのでしょう。
ちなみに「つっけんどん」という言葉もおかわりに関することから出来た言葉といわれています。
もともとは江戸末期に出来た「けんどんそば」という一杯いくらというお店が由来とされています。
現代でいうセルフサービスのような店だったため、お店と客の会話もなく、愛想が無かったとされたのでしょう。
「けんどん」にはケチで強欲深いという意味があり、それが転じて一杯きりでおかわりを出さないことという意味合いになったそうです。
これが今でも私達が使っているような、態度がトゲトゲしているという意味の「つっけんどん」になったようですね。
おかわりにもマナーがある?
おかわりにマナーがあるのを知っていますか?
懐石料理店などの高級な和食の際におかわりをしたくなった時、どうすればよいのでしょうか?
普段利用するようなお店ならば店員さんに「おかわりください」とだけ伝えれば良いのでしょうが、懐石料理など高級な店では「おかわりください」と伝えるのはマナー違反です。
では、どのようにおかわりの旨を伝えれば良いのか、答えは簡単です。
おかわりをしたくなったら、茶碗の中身を一口分残してください。
残したら逆におかわりを貰えないのでは?と疑問に思われるかもしれませんが、お茶碗に一口分残すというマナーは気配りの表れです。
もてなされる側はおかわりの催促をしなくて済みますし、ご飯が少し残っていれば食事は終わっていないとの意思表示にもなります。
また、一口残っていればもてなす側もおかわりが必要であるとわかります。
お茶碗に一口残すというマナーはもてなす側ともてなされる側、お互いが気分良く楽しく過ごせるようにとの配慮をした結果、築かれた形なのですね。
おかわりの正しい作法は?
おかわりの正しい作法は以下のとおりです。
①箸と茶碗を一度置きます。
②一口分残した茶碗をお店の方に両手で差し出します。
お店の方がお盆を持っている場合は、お盆に乗せましょう。
③おかわりを待っている間は他の料理に手を付けてはいけません。
④おかわりが運ばれてきたら両手で受け取り、
一度置いてから再度持ち直して食べましょう。
そのまま食べてしまうと受け食いとなってしまい、マナー違反です。
このように順序をきちんと守っておかわりをしてください。
また、当たり前のマナーですがおかわりしたものは残さずに食べ切ってくださいね。
普段よく利用するお店では一口残すマナーはあまり知られていないかと思いますが、懐石料理などの高級なお店に行く機会があったら試してみてください。
海外でもおかわりにマナーはあるの?
観光やビジネスで海外に行く機会もたくさんあることでしょう。
しかし、海外は日本と異なるマナーがたくさんありますよね。
食事の際にも、もちろんあります。
現地に行ってから悩む前に、今のうちに海外のマナーについて知っておきましょう。
例えば、イタリアではチーズのおかわりはしないなんてマナーがあります。
日本で外食に行くと、テーブルに塩コショウの瓶や粉チーズなどの調味料が置いてあるところは多いですよね。
パスタを頼んだら粉チーズを多めにかけるという人もいるでしょう。
しかし、ひとたび海外へ行くとそのような習慣は受け入れられないこともあるようです。
自分の好みで調整することはせず、シェフが計算して作った料理が一番おいしいと考えられているからです。
そのため、このパスタにチーズをもっと掛けてほしいなんて思っても、おかわりはしないようにしてくださいね。
日本では、茶碗に一口残すことが「おかわり」のサインだとお伝えしましたが、海を渡った中国では一口分を残すことはお腹がいっぱいのサインです。
もうお腹がいっぱいでこれ以上は食べられません、という意味になるのですね。
ちなみに中国のレストランはお茶のおかわりが無料で出来るそうです。
急須の蓋をずらしておいたり、蓋を返しておくとおかわりのサインになるようです。
日本のお茶碗に一口残すサインと少し似ていますね。
このマナーも気配りの形なのかもしれません。
他にもロシアでは祝いの席などにも必ず登場してくる程、ウォッカが好まれています。
このウォッカのおかわりを断ってしまうと失礼になってしまうそうです。
ウォッカは度数の強いお酒ですから断れないとなるとお酒の弱い方は大変なのが目に浮かびます。
韓国ではおかわりに寛大で、食堂などで出てくる小鉢はおかわり自由です。
お客様にはたくさんの食材でおもてなしを!という考えからきているそうですが、普通の値段を払っておかわりできるなんてお得ですね。
メインやご飯はおかわり出来ないようですが羨ましいシステムです。
他にも韓国ではマクドナルドなどのファストフードでも飲み物がおかわり自由のようです。
おかわりの文化が色濃く根付いていることがよく分かります。
一歩、日本を出ると海外ではおかわりについていろいろなマナーがあります。
少しでも知っておくといつか役に立つ日が来るかもしれません。
ぜひ覚えてくださいね。
おかわりしないと縁起が悪くなる?
知人のお家などでご飯をご馳走になるとき、子供であれば気にもせずに「おかわりください!」と言えるかもしれませんが大人になるとなかなか言い出しづらいものです。
「おかわりいかがですか?」と勧められても遠慮して言えない人もいらっしゃると思います。
ただ、おかわりしないことがマナー違反となって縁起が悪いと言われることもあるようです。
食べられる時は遠慮なく頂いた方が良いでしょう。
しかし、おかわりをしないと縁起が悪いと言われるのは何故なのでしょう。
実はおかわりをしないと一膳飯を連想してしまうからといわれています。
一膳飯は枕飯や一杯飯とも呼ばれますが、通夜の際に故人にお供えする物の中に茶碗山盛りに盛ったご飯の事です。
身内が亡くなったことのある方なら見たことのある方もいるでしょう。
一膳飯は山盛りに盛ったご飯に箸を刺しているかと思います。
おかわりをしないと縁起が悪いという事は、この一膳飯を連想させてしまうことからきているのです。
そのため、昔は一膳食べ終えたら少しだけも二膳目を食べるようにしつけをしていたそうですが、現代ではほとんど知られていないのではないでしょうか。
もしおかわりを勧められる機会があったら、少しでも二膳目を食べると良いかもしれません。
満腹で少しも入らないなんて時は、茶碗の蓋に一口分を乗せて、その一口分をまたお茶碗に戻して食べることで二膳目と数えることも出来るそうですよ。
まとめ
「おかわりください!」と言われれば嬉しく思いますよね。
もちろん状況や場所にもよるかと思いますが、不愉快になる人はあまりいないかと思います。
もてなす側ももてなされる側も楽しい時間を送るためにぜひおかわりのマナーを実践してみてください。
楽しい食事は心も体も豊かにしてくれますよ。