樹木葬をご存知でしょうか?近年人気の新しいお墓の形なのですが、一体どんなものなのでしょうか?樹木というワードから、自然をイメージしますが、従来のお墓とは何が違うのでしょうか?ここでは、そんな樹木葬のアレコレを詳しくご紹介します。
樹木葬の基礎知識!一体どんなものなの?
近年、墓石の代わりに樹木を植える「樹木葬」の人気が上昇中です。自然なイメージを持ち素敵だと感じますが、一体どんなものなのでしょうか?よく分からないままにせず、基礎知識を勉強してから選択肢に加えてみましょう。
お墓というと、石でできた墓石を置き、家名などを入れて一目で誰のお墓かが分かるものが一般的な印象です。一方、樹木葬は墓石では無く樹木を墓標として、お参りの際もその樹木に手を合わせます。納骨も樹木の下に行いますが、各故人が個別に納骨できるタイプと、大きな樹木の下に大勢が納骨を行う集団タイプとがあり、この辺が大きな検討ポイントです。
また、樹木葬の大きな特徴の一つとして挙げられるのが、その殆どが永代供養であるという点です。永代供養というのは、家族の代わりに墓地の管理者が管理をしてくれて、一定期間が経過すると合祀されるのが一般的です。そのため、お墓の継承者が居ない人に人気があります。
樹木葬は民間や公営の団体が専用の墓園を運営している場合が多いのですが、近年では寺院の墓園敷地内に樹木葬の一画が設けられているところも出てきました。この場合、その寺院の宗派へ入信・入壇が必要かと思われますが、樹木葬では入壇の義務を免除、若しくは一代限りの檀家でOKとされていることが多く安心です。
樹木葬の費用はどれくらい?
樹木葬はどの位の費用が掛かるのでしょうか?
樹木葬には前述の通り納骨のタイプがあり、それによって費用が変わります。
合祀タイプ・・・シンボルツリーである大きな樹木の元に他の家族と一緒に埋葬するタイプです。このタイプは5万円~20万円が相場です。スペースが少なく済む、管理費などが掛からないという点でも非常にリーズナブルです。でも、埋めた場所が特定できないため、再び遺骨を取り出すことは出来ませんし、お参りの際も故人とだけ向き合うのは困難です。
集合タイプ・・・集合タイプも樹木の元に他の家族と一緒に埋葬しますが、区画を個別に分けて埋めるため、他の家族と混ざってしまう事はありません。カロートと呼ばれる納骨室があり、家族や夫婦で入ることもできます。費用は15万円~60万円程で、管理費が年間2万円前後が相場です。スペースが限られていますので、完全個別のタイプよりは費用が抑えられます。
個別タイプ・・・樹木一本の元に一世帯という単位で埋葬するタイプです。従来の墓石の代わりに樹木を置くものです。場所が分かりやすくお参りがしやすいのが特徴です。中心の樹木の周りに草花を植え、更にプレートの墓石を置くなど工夫も出来ます。費用は20万円~80万円程で、管理費が年間2万円前後掛かります。
集合タイプや個別タイプでも、33回忌など一定期間が経過すると合祀されるのが一般的な流れです。
終活で人気があるのは樹木葬?トラブルはあるの?
高齢化社会の現代では、元気に生きているうちに自分の死や死後の手続きと向き合う終活がブームです。
親しい者が亡くなる喪失感の中、様々な手続きをしなくてはならないのは残された者には大きな負担です。また、家族の無い生き方を選んだ人でも、生前に本人が決めておく事で諸手続きの負担は大きく軽減されます。そんな先々の事を考える中で、ゆくゆくは合祀をされる樹木葬を選ぶ人も多いのです。
終活で自分の死を見つめた時に憧れ、人気のある樹木葬ですが、良く調べないと思わぬトラブルに見舞われることも考えられます。一番勘違いしやすいのは、自然葬という点です。自然葬だから許可が必要無いと考えがちですが、樹木葬でも法的許可が必要です。自宅の庭に好きな植物があるからといって、そこへ埋めてしまうのは法律違反です。でも、骨を細かく砕いて樹木の元へ撒くことは法に触れない場合もありますので、トラブルが起こる前に墓埋法を確認しておくと安心です。
樹木葬のメリットとデメリット!墓地は必須?
人気の樹木葬ですが、皆が選ぶからといって安易に選んでしまうのは危険です。必ずメリットとデメリットがありますので、それを知った上で納得して選びましょう。
まず、メリットを見てみましょう。
- 墓石に比べてリーズナブルである
- 永代供養が可能
- 自然豊かな地に埋葬される
- 好きな植物の下に眠れる
次にデメリットを見てみましょう。
- 手入れがしにくい
- お参りがしにくい
- 火気厳禁でお線香があげられない
- 市街地から遠い
- 返骨はできない
- 永代供養のため、後継ぎがいる場合には家族の許可を得るのが大変
また、墓石は不要ですが、墓地=埋葬出来る場所は必要です。樹木葬として埋葬できる許可を得た場所があることが前提なのです。
パンフレットやネットで見ただけでは、本当に自分の理想とする樹木葬ができる場所であるかどうかは分かりません。現地を自分の目で見てみる事も大切です。
樹木の種類は選べるの?
樹木の種類が選べるかどうかは大きなポイントです。
樹木葬で主に用いられる樹木は、以下の通りです。
・桜
一番人気と言っても過言ではありません。桜は人間の死生観を表わすともいわれています。
・やまつつじ
4月~6月頃に綺麗な花を咲かせます。背が高くなり過ぎず手入れがしやすいのが特徴です。
・ハナミズキ
背丈が高くなりすぎないため、人気の樹木です。春には花、秋には紅葉が楽しめます。
集合タイプや合祀タイプの埋葬方法では、このようなベーシックな樹木が用いられています。
個別タイプでは、更に種類が選べるようですが、根が深く張り過ぎるものや背丈が高くなり過ぎるもの、実が成るものなどは霊園により制限があります。好みの樹木が選べるかどうかは要確認です。
また、樹木葬には里山タイプ、公園タイプ、ガーデンタイプがあります。里山タイプは自然の山林を墓地としています。山林を墓地にするのは非常に困難で、国内でも数か所しかありません。
公園タイプは公園のように整備された区画や寺院の敷地の一画を墓地にしたものをいいます。
ガーデンタイプは、公園タイプの更に小さい規模のものです。ヨーロッパの庭園、バラ園の様に手入れがされていて、芝生やタイルなどでおしゃれに飾られています。
ペットも樹木葬ができるの?
ペットの樹木葬を考えている人もいるでしょう。ペットも家族同然と考えている人が多いため、人間と同じようにお金を掛けて供養する家庭のために様々な埋葬方法が存在します。ペット専用の納骨堂もありますが、樹木葬の方が明るい印象があり、自然に土へ還せると人気です。
樹木葬では大切なペットと同じお墓に入れる可能性もあります。大人数の埋葬は不可としているところもありますので、確認してから決めましょう。
まとめ
樹木葬は、近年人気の埋葬方法です。でも、人気があるからといって、それが自分に合う方法とは限りません。特に家族がいる場合、何よりも家族の理解が必要です。墓仕舞いの手間が省けて楽というメリットもあれば、お参りがし辛い、同じお墓に入れないなどデメリットもあります。終活のリサーチなどでは、実際に家族が利用している人の意見を聞いてみるなど様々な角度からの意見も取り入れ、自分の理想のお墓探しの参考にしてみて下さい。