手元供養という供養の仕方をご存知でしょうか?「遠方のお墓を管理するのは大変」と考える親族や、「死んだら家族の近くに置いてほしい」という故人の願いで手元供養を検討する人も多いかも知れません。では、具体的にどのような方法をいうのでしょうか?ここでは、手元供養の基礎知識や費用を中心にご紹介します。
手元供養の基礎知識と費用
近年、手元供養という言葉を耳にする機会が増えてきました。これは、墓の管理や墓仕舞いが大変という理由から起こっている「墓離れ」が一因とされています。手元供養というのは、遺骨や遺髪、遺灰などを自宅で管理することをいいます。そのため、自宅供養と呼ぶ人もいます。
手元供養には遺骨などの全てを手元に置いておくタイプと、基本的には納骨をして、一部だけを取り出し手元に残しておくタイプとがあります。どちらも選ぶ事ができますが、故人や跡を継ぐ親族が信仰を持つ宗派がある場合には、基本的に納骨を行う後者の「分骨タイプ」が多く選ばれています。
手元供養をする場合、費用がどのくらい掛かるのかを心配される方もいます。通常、新しくお墓を建てると、墓石代、土地使用代、管理費などで全国平均200万円ほどといわれています。もちろん、土地の使用料など地方山間部などでは安い場所もありますが、誰もがお参りし易い場所ではありません。また、墓仕舞いをしようという際にも、それなりの金額が必要です。
近年では納骨堂なども増え、墓石を持たないタイプもありますが、それでも50万円~150万円の費用がかかります。
樹木葬や海洋散骨など自然葬も人気ですが、これらの費用は30万円~80万円ほどといわれています。
手元供養の場合、その保管方法で費用が変わりますが、2万円~200万円程です。
手元供養の方法は?仏壇や位牌は必須なの?
手元供養を分骨で行う場合には、「分骨証明書」が必要です。事前に分骨を決めている場合には、火葬場で発行してもらえますし、納骨後に分骨として取り出す場合には納骨先の管理会社などから発行してもらえます。この分骨証明書は、後々全てのお骨を納骨したい場合にも必要なものです。
また、手元供養の場合、骨壺や遺影などを置き、家庭内でもお参りができる仏壇を置くケースが殆どです。
近頃ではマンション住まいの人でも手軽に置けるミニ仏壇セットなども人気で、インテリアを邪魔しない木製や、モダンな色合いのオシャレなものまであります。仏壇や位牌、保存用の骨壺などは日常の中に溶け込むデザインを選ぶ事で、日々家族で気軽にお参りしたり、話し掛けたりすることができ、より一層、手元供養の良さを実感できるはずです。特定の宗派を信仰していなくても、位牌を作る事ができますので、故人の名を入れた位牌を作ると良いでしょう。
骨壺を置くのに抵抗がある人におすすめの飾り方は?
骨壺を家の中に置くことに抵抗がある人も居るのではないでしょうか?いかにも骨壺というものを目に入る所に置くのは来客時などに気を遣います。でも、今では一見骨壺には見えないデザインのものも増えています。茶筒のような形のものや、美しい陶器製でオルゴールのような見た目のもの、ガラスの刻印入りのもの、陶磁器製のものもあります。中には、写真立てと一体化しているものもあり、コンパクトで人気です。
また、長い期間置くことを考えると、劣化し辛い素材のものを選ぶ事も大切です。湿気の多い場所に木製のもので置いた場合、入れ物にカビが生えたなどトラブルも起こりますし、高い場所に割れる素材のものを置くと危険です。どの場所に、どの位のサイズで、どんなデザインで置きたいか、飾り方などを決めて選ぶと安心です。
身に付けたいならおしゃれなペンダントなどのアクセサリーがおすすめ
手元供養をしたいけれど、どうしても骨壺を置くことに抵抗があるという人は、故人の遺骨や位牌を収納できるアクセサリー等で代用しています。遺骨や遺灰、遺髪などをアクセサリーの中に収納できるタイプもありますし、遺骨そのものを加工してダイヤモンドを作るタイプもあります。収納するタイプのアクセサリーは、デザインも豊富でリング、ペンダントなどおしゃれなものもあります。価格は2万円台~です。素材やデザインで価格は変更します。
ダイヤモンドを作る場合は、遺骨の炭素を使用します。そのため、遺骨そのものが形を変えてダイヤモンドとして生まれ変わります。ダイヤモンド0.2カラットで40万円~、1カラットで200万円~が一般的です。
依頼する業者や作成サイズによって必要な遺骨量は変わり、およそ7~300gを使用します。焼き場で回収する遺骨の量は多少変わりますので分骨する場合にはその量が足りるかどうかを確認しましょう。遺骨の一部でダイヤモンドを作り、残りを自宅で手元供養するという方法もあります。尚、ダイヤモンドをおしゃれなアクセサリーにするためには、別途加工料金がかかります。
手元供養はいつまで?遺族の了承が必要
大切な家族を失う事は、計り知れないショックです。突然の分かれに心の整理がつかず、少しでも傍に居たいと考えるのは当たり前ともいえます。そんな時、身近に故人を残して置ける手元供養を考える人も多いのではないでしょうか?手元供養はここ十数年で急激に増加した供養の方法です。コスト面や手軽さから若い世代には比較的受け入れられつつあるのですが、お墓に納骨するのが一般的であった時代の人には違和感かも知れません。そのため、同居する親族などに反対されるケースも少なくありません。手元供養を希望したい場合には、メリットとデメリット、費用や方法を把握した上で、遺族で相談すると良いでしょう。
また、それが故人の希望であった場合には、なるべく希望に添えるように家族全員で話し合うことが大切です。
手元供養の場合、いつまで置いておくかを考えて決めるのも大切です。
手元供養は風水的にどうなの?
手元供養がポピュラーになりつつある現代ですが、故人の遺骨を家の中に置いておく事で運気が下がるなど、風水的に悪影響があるのでしょうか?
風水は、家の向きや置くものの場所によって運気が左右するという中国発祥の有名な占いですが、その基本は「良いイメージを連想できるかどうか?」です。元々、運勢はその人の捉え方で大部分が決まります。例えば少し嫌なことがあった時、「部屋にコレを置いていたから・・・」とマイナスに考えてしまう人もいれば、「部屋に置いたコレが被害をこの程度に納めてくれた」とプラスに考える人もいます。風水では、後者のように部屋でいかにプラスの考えが持てるか?を重要視しているのです。
風水的に良くないからといって、最愛の家族と無理矢理別れなくてはならない方が、精神的にもよっぽどダメージが大きいのではないでしょうか?心ゆくまで手元供養をしてからでも納骨は遅くないでしょう。
亡くなった人は、自然に還るのが一番であるということが一般的な考えですが、手元に置くことで、家族がよりパワーを貰えるのであれば、縁起が良いものといえるのです。
まとめ
手元供養は、ここ十数年のうちに浸透してきた新しい供養の仕方です。核家族が増えた現代では、お墓を設けることは後を継ぐ者に負担と考える人も増え、より簡単な供養の方法を選ぶ事が多くなりました。
自宅にミニ骨壺を置いていつでもお参りできるようにしている家庭もあれば、身に付けられるアクセサリーに遺灰を入れたり、ダイヤモンドに加工したりして持ち歩いて居る人も居ます。
手元供養で分骨をする場合には、納骨までに分骨をしておかなければいけないため、期限に注意しましょう。