「喪中」という言葉は知っていても、いざ喪中について聞かれても詳しく話せない方は少なくありませんが、それは決して恥ずかしいことでも知識不足でもありません。
喪中は何度も経験することではありませんし、特に若いうちは経験したことがない方も多いでしょう。
また、親御さんがご健在のうちは喪中に関することは親御さんが仕切ってくれるので知らなくて当然です。
この記事では、喪中の基本知識や主に喪中の年末年始の過ごし方をご紹介します。
忌中と喪中の違い
忌中と喪中、どちらも身内が亡くなってから喪(忌)に服す期間の事ですが、その時期に違いがあります。
忌中はお亡くなりになってから四十九日(仏式)、神式なら五十日までの期間のことで、喪中は関係性によっても期間は変わりますが、亡くなってからおおよそ1年間の事です。
喪中の期間
基本的には2親等までの親族が亡くなった時に喪に服します。
しかし、実は故人との関係によって喪中の期間は変わります。
- 両親:12ヶ月〜13ヶ月
- 配偶者:12ヶ月〜13ヶ月
- 子供:3ヶ月〜12ヶ月
- 兄弟姉妹:3ヶ月〜6ヶ月
- 祖父母:3ヶ月〜6ヶ月
これはあくまでも目安です。一般的にはこの期間ですが、人によって関係の深さや悲しみは違いますので、それに応じて期間も変わります。
また叔父叔母が亡くなった時は喪に服す必要はありませんが、同居していたり特別仲が良かったりする場合、喪に服す事もあります。
喪中に控える事
「喪中はお祝い事は避けるべき」と言われていますが、具体的にお答えします。
結婚式は?
結婚式はお祝い事ですので、基本的には欠席するのが常でしたが、最近は新郎新婦に相談した上での出席なら問題ないという流れもあります。
また、挙げる側もスケジュールの都合や予算の問題で喪中に挙げる場合もあります。
「喪中はお祝い事を避ける」という事を頭に置いた上で、それでも周囲の気持ちや自分の気持ちに問題がなければ、挙式しても良いかと思います。
喪中の結婚式について詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ
旅行は?
本来は喪中の遊興は控えるべきとされていましたが、最近はそこまで厳しくしている人は減ってきており、旅行などの遊興を楽しむ人たちが増えています。
さすがに忌中は控えるべきかと思いますが、喪中はやむなき理由やどうしてもいく必要がある場合は自身の気持ちと家族の気持ちを考慮した上で、どうするか決めましょう。絶対にダメという事はありません。
神社に参拝
神社参拝は時代の流れ関係なく、控えましょう。
これは喪に服している側の人たちの気持ちの問題ではなく、神社側の決まりごととして、喪中の人は鳥居をくぐって神社に入ることを禁じているからです。
お歳暮・お中元は?
喪中のお歳暮やお中元は全く問題ありません。お歳暮やお中元はお祝い事ではなく感謝の気持ちのやり取りです。贈るのも貰うのもマナー違反ではありません。
詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ
それでは、ここからは特に質問が多い喪中の年末年始の過ごし方を詳しくご紹介しましょう。
年末の過ごし方
まずは年末の過ごし方からです。
お歳暮は?
先ほど申し上げたようにお歳暮はお祝い事でないので贈っても、いただいても全く問題ありません。
しかし、のしや贈る時期には注意が必要です。
通常のしだとお祝いを意味してしますので、白い無地の奉書紙や白い短冊を使います。
また、やむ終えない事情でお歳暮を贈る時期に間に合わなかった場合、本来は「お年賀」として贈りますが、喪中はお年賀を贈ることができないので寒中見舞いのタイミングに贈りましょう。
年賀状は?
喪中は年賀状を送ることができません。その代わり年末に喪中ハガキを出して、お相手に今年は年賀状を控えさせていただく旨をお伝えします。
内容は簡潔に、
「喪中につき 新年の挨拶をご遠慮させていただきます」
「服喪中につき 勝手ながら新年の挨拶は差し控えさせていただきます」
などとまずは書いて、その上で、誰がいつ何歳で亡くなったかも伝え、最後に感謝や相手の方の健康や活躍を祈る旨を綴ります。
それ以外のは話は必要ありませんので近況などを書くのは控えましょう。
この時、句読点は使わないのがマナーです。お気をつけください。
また、ハガキはシンプルで派手な色使いでないものを選びます。
年越し蕎麦は食べてもいい?
年越し蕎麦は、「ご縁が長く続きますように」「この1年間の苦労が切れますように」「長生きできますように」などの思いを込めて食べるゲン担ぎのようなもので、祝い事ではないので食べても問題ありません。
除夜の鐘は鳴らしていい?
神社と違い、お寺(仏教)では穢れの概念がありませんので入ることも除夜の鐘を鳴らすのも問題ありません。お寺なら忌中でも行くことができますよ。
年始の過ごし方
続いて年始の過ごし方をご紹介します。
年始の挨拶は?
年始の挨拶といえば「あけましておめでとうございます」ですが、喪中は「おめでとう」という言葉は避けます。
例えば「新年が明けました。今年もよろしくお願いします。」「2021年になりましたね。今年もよろしくお願い申し上げます。」などと挨拶をしましょう。
もし相手に「新年あけましておめでとうございます。」と挨拶されたら、「おはようございます。」「今年もよろしくお願いします」など、「おめでとうございます」という言葉は使わずにご挨拶を返しましょう。
お年玉は?
お年玉の由来は「年神様を迎えるために鏡餅を分け与えたこと」から始まったとされているので、どちらかといえば控えたほうがいいとの声もありますが、基本的には渡しても問題ありません。
もし気になるようでしたら例えば「お年玉」の代わりに「お小遣い」「文具代」と書いて渡せば大丈夫です。
正月飾りは?
控えましょう。
正月飾りは「年神様のためにめでたいものを用意しよう」とできたものです。
喪中はめでたいことは避けるのが基本。
さらに年神様は神道の神様。
神道は「死は戯れ」と考えられているので、喪中は様々な行動を控えて、なるべく家に籠らなければなりません。
なので、喪中は正月飾りは飾るべきではありません。
初詣は?
お寺に初詣に行くことは何の問題もありませんが、神社への初詣は控えましょう。
しかし神社によっては、忌中(四十九日)があけていれば喪中でも参拝してもいいとしている神社もあります。
ただし、行きたい神社がどうなのか把握していない場合は喪が明けるまで行かないほうがいいでしょう。
寒中見舞いは?
喪中に年賀状をいただいたら、寒中見舞いとしてお返事を出します。
寒中見舞いを出すタイミングは松の内あけの1月8日から立春(2021年は2月3日)までに届くように準備をします。
寒中見舞いには
- 故人が亡くなったこと
- いつ亡くなったか
- 何歳で亡くなったか
- 伝えなかったことへのお詫びの言葉
- お相手に対する気遣いの言葉
を書きましょう。
お歳暮を頂いて寒中見舞いでお返しする際は、お相手が喪中と知っている場合はのしに気をつけて贈り、お相手が喪中を知らない場合は、上記寒中見舞いの内容を添えて品物を送りましょう。
まとめ
以前は忌中や喪中の間の行動はしきたりどおり厳しく従う家庭も多かったですが、時代の流れとともに考え方も変わり、今は昔ほど厳しくありません。
喪中はそもそも故人を偲ぶ期間です。
あなた自身も大切な人を亡くして心に傷を負っていることでしょう。
それを踏まえた上で、どう行動するのが良いかと考えられたのが喪中のしきたりです。
考え方は人それぞれで家庭によっても様々です。
故人を偲ぶという気持ちがきちんとあれば、結婚式にせよ旅行にせよ、家族と話し合ってみんなが納得したのなら喪中でも大丈夫。
しきたりはもちろんですが、故人の性格や家族のことは当事者しかわかりません。最善の選択をしてくださいね。