故人の冥福を祈るために行う法要。
法要は故人が亡くなった後に執り行われる四十九日・百か日を過ぎると、その後は命日前後に行われる年忌法要が一般的です。
これらの法要に招かれたら、どの様な振る舞いをすれば良いのでしょうか。
身内だけではなく生前に故人と深い親交のあった方は、四十九日や年忌法要に招かれる場合もあります。
その際にマナーや知識を身に着けておかないと、当日に恥ずかしい思いをしてしまうということもあるでしょう。
こちらでは法要に招かれたら知っておきたいマナーを始め、さまざまなことをご紹介していきます。
法要に参列する意味とは?
意外にも知らないという方が多いのが、法要の意味です。
法要とはそもそも何のために行うのでしょうか?それは故人の霊を慰めるために行います。
仏教では死後審判と言うものがあり、生前の徳や悪事により六道と呼ばれる世界のどこへ行くかが決められてしまいます。
六道とは地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天道となっており、どこへ行くかは死後の世界にいる王により決められます。
その世界が決まるのが四十九日とされているのですが、たまに連れていかれる世界が間違ってしまうことがあるのです。
それこそが法要をする理由。
故人の魂が間違って来てしまった死後の世界から、極楽浄土への道へ救済するために行われるというわけです。
ただこれには、家族などの祈りがなくては救済できないと言われています。
そのため故人の命日には、親交の深かった方々や、親族を集め祈りをささげるのです。
これは仏教用語的には追善法要と呼ばれており、死後の世界がより良いものとなるように願うとされています。
仏式ではさまざまな法要が執り行われますが、現代では昔ほど細かく法要をあげることは少なくなってきました。
故人が亡くなって7日めに行われる初七日法要も、本来三途の河を渡った故人の魂が7日目に最初の死後の審判を受けるという説から行われています。
ですが最近は核家族でありる場合や仕事の関係で、葬儀の後に間隔を開けないで再び法要をすることが難しいとする家そのことからも葬儀が終わった後、次に招かれるのは四十九日法要・また一周忌ということが多いのではないでしょうか。
基本的にはどの法要にも故人の冥福を祈るという目的がありますが、久しぶりに故人とゆかりのある方々が集い、昔話に花を咲かせるなどの意味もあります。
故人の死から時間がたつと、周囲の人々は悲しみを乗り越え日常に戻っていきます。
心の中には故人の影を見つつも、先に進まなければなりませんよね。
ですが故人の命日に親族一同や友人が集まり、再び故人のことを深く思い出すこと自体が故人の冥福を祈るということにもつながります。
たまにしか会えない親族と会うことのできる機会でもありますし、やはり法要は欠かせないものだということなのです。
開眼法要の意味の変化
法要と聞くと個人的な法要を思い浮かべる方もいるかもしれませんが、日本の歴史の中でも知られている「落慶法要」や「御施餓鬼法要」「開眼法要」なども法要の種類のうちの1つです。
落慶法要とは寺院の建築完成、修復完成した時に行われる法要のことで、お祝いの法要のことですね。
この落慶法要の際に一緒に行われることが多いのが、「開眼法要」です。
開眼法要とは、大仏やその寺院のご本尊に目を描き入れることをいいます。
昔から仏像などは仏師などにより作られており、魂が宿るとされていました。
そのため、仏様に目を描くことで「魂を吹き込む」などとされていたのでしょう。
その開眼法要ですが、現在では仏壇開きや墓開きの時に使われる用語と変わりました。
自宅に仏壇がない場合や墓がない場合は、用意をしたら開眼法要をします。
故人が亡くなった後、本位牌ができるまでは白木の位牌を使っていますが、四十九日法要で魂が位牌に移されます。
それまでに開眼法要をおこなっておき、仏壇に位牌を安置するのです。
この白木の位牌は四十九日法要の後に、菩提寺へと戻し僧侶にお任せましょう。
また法要の中にはお施餓鬼法要というものあります。
御施餓鬼法要とは、餓鬼と化した無縁仏などの魂を供養する法要のこと。
お盆に檀家を招いて行うのが一般的です。
ただし浄土真宗ではお施餓鬼は行わないことが多いですね。
この様に個人的な命日などの法要もありますが、大々的に行う公の落慶などにも法要がありますし、無縁仏などを供養するお施餓鬼法要などもあります。
ただし法要の大きさに関わらず「供養」という意味では、どの法要も同じ意味があることがわかります。
法要に招かれたら役に立つ、恥をかかないマナー準備編
法要案内は一般的にはがきで届きます。
届いたら1週間以内に返信をすることがマナーです。
相手にも人数調整の都合がありますので、もしもはがきが来たら速やかに返信しなければなりません。
特に年忌法要の場合は、ごく近しい存在の方にしか参列の案内は届きません。
もしもはがきが来ない場合は、自分から希望して参列するようなことはしないようにしましょう。
また、止むを得ず欠席する場合でも返信はすぐに出しましょう。
返信はがきには「どうしても都合により参列ができなかった」という旨の詫び言葉を書いておきます。
法要の参列案内のはがきが三回忌までの場合は、供物料を書留で送ったり、白っぽい花束を贈るなども良いでしょう。
また欠席のはがきだけをお詫びの言葉を添えてだしておき、後日先方に電話で予定を聞いてあたらめて弔問にいくということもおすすめです。
もし別に弔問に行くのであれば、供物料などはその時に渡すということでも問題ありません。
通常は法要に招かれたら、供物料として包み、持参するとされています。
この時に一体どのくらい包めば良いのかと、疑問に思う方もいますよね。
親しい友人の場合は5千ほどを包む方が多い様ですが、もしも金額に不安があるなら1万円から2万円ほどが無難でしょう。
それ以上はお付き合いにより変わるので、関係性が深い場合は3万円ほど包む方も。
ですがあくまで気持ちの問題ですので、相場は参考にしつつ考えていくのがおすすめです。
また服装ですが、一般的には礼服であれば間違いありません。
ですが3回忌以降の場合は地味なものであれば平服で良いとされていますので、TPOにより変えるのがおすすめですね。
法要の際に渡す香典のマナー
先ほど法要に招かれたら、お香典を持参するのが一般的であるとしました。
表書きは「供物料」「お仏前」とするのが良いでしょう。
その際に使う水引についてですが、四十九日法要までは「ご霊前」とした表書きで白黒の水引のものを。
四十九日以降は白黒や双金を使うのがマナー。
三回忌以降からは黄色の水引を使うことも、覚えておかなければなりません。
七回忌からは喪主が高齢である場合や、体調の問題などでそこまで大体的な法要を営まないという場合もあるそう。
もしもする場合、33回忌、五十回忌の水引は紅白のものを使うのが習わしです。
法要に紅白の水引を使うのかと驚く方もいるかもしれませんが、「弔いあげ」といい、めでたいということという意味合いから紅白のものを使います。
もちろん白黒・銀白を利用する場合もあるので、この限りではありません。
また金額の相場について詳しくご説明しましょう。
親戚の場合四十九日なら10万円、一周忌・三回忌は10万円、七回忌以降も10万円とするのが一般的です。
ですが、家庭によりさまざまな事情がある場合は施主に相談をするのも良いかもしれません。
友人や知人などの場合は、5千円から1万円が四十九日法要の際の相場です。
1周忌は3千円から1万円ほど、7回忌以降は3千円から5千円ほどが相場です。
それぞれの関係性に応じた金額を包むのが良いですね。
仏式以外の法要に招かれたら?
法要と一口に言っても、仏式の場合だけではありません。
キリスト教や神式はどのようなマナーを守るのが良いのでしょうか?プロテスタント・カトリック・神式の3タイプについてご紹介していきます。
キリスト教式プロテスタント仏式とは違い、故人の死後1か月目と1年目に記念式という名称の仏式でいうところのいわゆる「法要」をします。
毎年行われる場合もある様ですが、これは宗派によるのでそれぞれだといいます。
はがきなどが届くわけではなく、参列したいと希望すれば自由に参列でき、聖書などを読んだり讃美歌を歌うのが一般的。
もしも参列する場合は、聖書や讃美歌のコピーをもらうなどして参加しましょう。
その後は茶和会などを催す場合も。
キリスト教式カトリック追悼ミサと呼ばれるものがあり、基本的には1か月目と1年。
ミサの後は談笑する茶和会などを催すことが多い様ですね。
どちらの教派も服装は礼服でOKです。
また表書きは「お花料」とした現金を渡しましょう。
神式神式の場合は仏式の法要の代わりに「式年祭」というものを執り行います。
一年・三年・五年と続いていきます。
大抵は家族や親族・近しい友人のみの参加が一般的ですね。
服装は礼服でOK。
神式の表書きですが、「御玉串料」「御神餞料」「御神前」としましょう。
まとめ
こちらでは法要に招かれたら、どの様にふるまえば良いのかなどについてまとめました。
法要はそこまで参列する機会もないので、招かれた場合の知識を知らない方も多いことでしょう。
ですが大人として法要の際のマナーを知っておくことはとても重要です。
知らないと当然恥をかくこともあり、会社の同僚などと行く場合などにも不安が付きまとってしまいますよね。
できるだけ相手に対する失礼は控えたいもの。
ぜひ、知っておいて損はない法要の際のマナーを身につけておいてください。