各地の神社仏閣では毎年行事がおこなわれていますが、新年が明けるとより一層賑やかになります。
初不動はお寺の年中行事として、だるま市が同時に開催されるため多くの人で賑わうのが特徴です。
特に有名なのが高幡不動や深川不動尊で、初不動のお参りがおこなわれています。
初不動とは一体いつのことなのか、どんな意味を持つ日なのか…いまいちよくわからないという人もいますよね。
今回は初不動の意味を中心に高幡不動や深川不動尊での見どころ、だるまとの関係性について詳しくご紹介していきます。
初不動にはどんな意味がある?
新年を迎えて最初におこなうことを「初〇〇」と呼ぶことが多いですが、初不動も同じ意味です。
神様にはそれぞれ縁の深い日という意味の縁日がありますが、一年で最初の不動明王にとっての縁日のことを初不動といいます。
果たして不動明王にゆかりのある日はいつなのか、不動明王とはどんな神様なのか詳しく見ていきましょう。
・初不動はいつ?
初不動は新しい一年を迎えて、最初にやってくる不動明王とゆかりのある日です。
縁日は一般的に神社仏閣でおこなわれるお祭りをイメージする人が多いですが、実は神様や仏様との距離が近くなる日というのが本来の意味なのですね。
基本的に神様や仏様にとって縁がある日や、関係が深い日であることが多いです。
縁日は毎月同じ日におこなわれますが、お正月が明けてから最初の場合は特別となっています。
不動明王の縁日は毎月28日となっているため、初不動は毎年1月28日です。
毎年1月28日には全国各地のお寺で初不動があり、多くの参拝客が訪れます。
・不動明王ってどんな神様?
不動明王ってどんな神様?と聞かれて、すぐに答えられる人は少ないかもしれません。
知らないようで、実は見たことがあるという人も多い神様なのです。
気になる見た目は青い顔と体、背後には真っ赤に燃える炎…左手には剣(降魔の剣)と右手には縄(羂索)を持っています。
見るからに恐ろしい姿ではありますが、実は不動明王は真言密教教主の大日如来の化身なのです。
如来というのは悟りを開いたこともあり、非常に優しく慈悲深い見た目をしています。
どうして大日如来の化身なのに、不動明王は恐ろしい見た目になってしまったのでしょうか。
実は仏教ではみんながみんな、神様が優しそうな顔をしていると甘んじて悪事を働く者が出てくるという性悪説の思想が息づいているのです。
締めるところはしっかり締めないといけないということで、不動明王は怖い見た目になりました。
外見だけ見ると恐ろしい不動明王ですが、人間のもつ煩悩や悪しき心を追い払ってくれるのです。
背後に炎が上がっているのが特徴ですが、実は火による災いを退けてくれるご利益があります。
大日如来は仏教界において中心的な存在のため、願い事をすれば叶えてくれるといわれているのです。
初不動では不動明王に、今年も一年平和に無事に過ごせますようにとのお願いをします。
高幡不動での初不動の見どころ
初不動で非常に多くの人出があるのが、高幡不動でおこなわれる初不動祭です。
毎月縁日がおこなわれてはいますが、初不動は数あるお寺の中でも特に規模が大きいのだそうです。
お寺に着くまでの道には露店がずらりと並んでいて、とても賑やかな雰囲気があります。
高幡不動の一番の見どころといえば、だるま市でしょう。
関東近郊から集結しただるま屋が、いろんな種類のだるまを販売しています。
だるま屋は道行く人々に大きな掛け声と、火打ち石を打ち付けるのが特徴です。
だるまは一回買ってしまったらあまり利用することはなさそうですが、実は毎年買う人が多い傾向にあります。
最初は小さいだるまから購入していたのが、毎年少しずつ大きくなっていって最終的には大きなだるまになるのです。
お店の人からすると、常連さんがだんだんと大きなだるまを購入していくのを見るのが楽しみなのだそうですよ。
深川不動尊での初不動の見どころ
高幡不動と同じように初不動で人気が高いのが、江東区では有形指定文化財に指定されている深川不動尊です。
深川不動尊には、国内では最大級の不動明王が祀られています。
不動明王には普段は直接手で触れることができ、初不動では触れないものの圧倒的な力を感じながらお参りすることもできますね。
境内には大きなわらじがあり、不動明王に書かれた願い事がたくさんぶら下げてあります。
神社で言うところの絵馬みたいなもので、不動明王が悩みを打ち消して願い事を叶えてくれるのだそうです。
祈りの回廊という場所にはクリスタルの中に不動明王がたくさん祀られており、幻想的な雰囲気を楽しめます。
深川不動尊は初不動でなくても多くの人が訪れることで有名なので、近所の場合には普段から立ち寄ってみると良いでしょう。
初不動のだるま市でだるまを買ってみよう
高幡不動での初不動では、非常に多くの数のだるまが売られています。
お店によって様々な顔のだるまが売られており、毎年同じお店で買う人も多いのだそうですよ。
とても多くのお店が出ているにもかかわらず、毎年同じお店から購入できるのはどうしてなのでしょうか。
実は高幡不動のだるま市では、毎年同じ場所に出店するのです。
同じお店から買い続けたいと思ったら、昨年と同じ場所に行けば大丈夫なのですね。
初不動のだるま市から、だるまに関する知識をご紹介します。
・だるまの由来
だるまは禅宗の始祖である、達磨大師が名前の由来となっています。
名前だけでなく9年間という長い座禅の末に、手足が腐ってなくなってしまったことから形についての由来も兼ねているのです。
だるまと似たオモチャに起き上がり小法師がありますが、手足がある時点で異なるものになります。
・だるまが赤い理由
だるまと聞けば、多くの人が赤い色を想像しますよね。
赤い理由は日本で昔から赤(朱色)は「魔除けの色」とされてきたのです。
神社の鳥居が朱色なのも、同様に魔除けの意味があります。
赤色はお祝いの席にも多く登場し、お赤飯などめでたいことを連想させます。
だるまも新年が明けたばかりでおめでたい初不動にとって、お祝いの気持ちに色を添える存在なのです。
・だるまの目入れ
だるまの目は、購入したばかりだと両目とも空白になっています。
具体的な目標が定まったら、左目のみ目を入れていきましょう。
だるまの目入れをすることを「開眼(かいげん)する」といい、願いが叶ったら右目に目を入れていきます。
もちろん一般的な目入れの方法であって、地域や宗教の考え方によっては違う方法もあります。
・だるまの色
だるまの色は赤以外にもさまざまな色があり、とてもカラフルです。
実は願い事によって色を決めると、より御利益があるといわれています。
黒は商売繁盛、金色は金運アップ、白は合格祈願、緑は健康長寿、オレンジは子宝、ピンクは恋愛に良いので目安にしてみてくださいね。
初不動の縁日で有名なお寺とは?
初不動の縁日がおこなわれている有名なお寺は、高幡不動や深川不動尊の他にあるのでしょうか。
初不動の縁日が盛り上がっているお寺について、見どころなどを詳しく見ていきましょう。
新成田山覚盛寺(佐賀県)
新成田山 覚盛寺の初不動では柴燈大護摩火渡り修行がおこなわれ、修行僧だけでなく一般の参拝客も参加することができます。
本来は不動明王の背後の炎に直接触れることをイメージして火の上を歩きますが、さすがに一般人には無理なので床を整えてくれて安心です。
怖がらず集中して、裸足で参加しましょう。
大阪 成田山不動尊(大阪府)
大阪の成田山不動尊では、普段は山にこもっておこなうような修行を初不動に公開しています。
道場にておこなわれる修行を見られる貴重な機会なので、足を運ぶ人が多いです。
まとめ
初不動の意味を中心に高幡不動や深川不動尊での見どころ、だるまとの関係性について詳しくご紹介してきました。
初不動は不動明王とゆかりの深い毎月28日の中でも、新年が明けてから最初の縁日のことです。
不動明王は人間の悪意や煩悩を取り去ってくれるために恐ろしい見た目をしていますが、とても良いことをしてくれる神様なのです。
初不動でも特に有名なのがだるま市で有名な高幡不動や、深川不動尊となっています。
高幡不動ではだるまを購入する人も非常に多く、縁起物として欠かせない存在です。
初不動は毎年1月28日に全国の不動明王を祀っているお寺でおこなわれているので、ぜひ足を運んでみてくださいね。