年賀状と聞くと大変で面倒なイメージが有るかも知れません。確かにタブーの多いものなので、一層のことメールやSNSで済ませてしまいたいという人も多いでしょう。でも、日本人ならその基本的なマナーを知ることも大切です。ここでは、年賀状の意味や、気を付けるべきタブーとマナーを詳しくご紹介します。
年賀状とは一体何?なんのために贈るの?
年賀状とは、新年に贈る挨拶状のことをいいます。
旧年にお世話になった感謝と、新年も宜しくお願いしますという気持ちを葉書で伝えます。日本では昔からある文化で、古くは奈良時代や平安時代から行われているともいわれています。
欧米ではグリーティングカードなどで挨拶をするため、年賀状というものを贈る文化はありません。
近年ではスマホやSNSの普及により、わざわざ葉書を買って住所を印字し贈るものよりも、メールなどで済ませる人が増えました。
一方、相手の住所が分からなくてもメールアドレスやSNSが分かれば年賀状を手軽に贈れるサービスも開始されました。
我々が年賀状から遠のく理由のひとつに、タブーが多く面倒臭そうというものがあります。では、具体的にどんなタブーがあるのでしょうか?具体的に見ていきましょう。
年賀状のタブーは多い!?
年賀状はタブーが多いというイメージがあり、なかなか気軽に贈れないという印象を持つ人も居ます。
でも、基本的なマナーを守れば、さほど難しいものではありません。
年賀状を貰った方は非常に嬉しいものです。手紙や葉書など手間が掛かりますが、その分受け取り手の喜びも大きいのです。印字だけではなく、一言でも手書きのメッセージがあると、より嬉しいと感じます。年に一度のことですし新年の挨拶と近況報告がメインですので、タブーに注意して作成すると良いでしょう。
疎遠になってなかなか出会えない友人などでも、年賀状を通して報告し合うことでお互いの状況などを知ることができ安心です。
年賀状で使う言葉には注意!!
年賀状でまず気を付けるべきは、言葉遣いです。
年長者や自分がお世話になった相手には、「迎春」や「賀正」という熟語は使用しません。使うならより丁寧な表現の「謹賀新年」などです。
また、忌み言葉といわれる文字を使用するのも避けましょう。例えば、去年の去は去るという意味の良くない言葉です。失う、枯れる、切れる、倒れる、折れる、痛い、終わる、戻る、負けるなども忌み言葉です。マイナスなイメージを与える言葉は基本的に使わないようにしましょう。句読点も「途切れる」「終わり」を連想させますので使用しません。近況報告をする際、自虐の意味で、「昨年は体調が優れず・・・」や「急なリストラに遭い・・・」というような事を書くと、相手に気を遣わせてしまいますので止めましょう。
更に、重複した意味を持つ言葉は使わないようにします。例えば、「新年あけましておめでとうございます」という表現は、新年と明けましてが同じ意味です。この場合、「明けましておめでとうございます」か「新年おめでとうございます」が正解です。一月一日元旦という表現をする人も居ますが、これらも同じ意味なので、一月一日か元旦のどちらかにしましょう。英語表記の「A HAPPY NEW YEAR」も「A HAPPY NEW YEAR TO YOU」=「良いお年をお迎えください」の略語です。年内の挨拶ならこれでOKですが、新年に贈るのであれば「HAPPY NEW YEAR」=「新年おめでとう」にしましょう。
相手のプレッシャーになることは書かない!!
新年の抱負や希望を書くのは構いませんが、相手のプレッシャーになることは避けましょう。
例えば、「可愛い赤ちゃんを期待しています」「今年こそ花嫁姿を見せて下さい」「受験の成功を祈ります」など、相手に期待するような言葉は書かないようにします。
また、相手に押し付けるような言い回しも避けましょう。「絶対○○してね!!」「〇〇を楽しみにしています」という言葉はプレッシャーになり兼ねません。
過度な自分の希望を書くのも、相手に失礼なので注意が必要です。自分の事は、全体のおよそ2~3割りに抑えておきましょう。
年賀状を贈る時期を間違えない
年賀状は新年に着くように贈ります。松の内と呼ばれる新年明けた1月7日までに到着するように贈るのが一般的です。
郵便局では12月25日までに投函された分が元旦(1月1日)に届くと案内されています。配達先が近所であれば、25日が過ぎたものでも元旦に着く場合もあります。年内に投函したものは、およそ三が日のうちに到着しますが、師走の忙しい時期なので忘れてしまいがちです。早目に用意して投函しておくと安心です。
万が一、長期出張などで年賀状を贈れなかった場合には、寒中見舞いを贈ります。寒中見舞いは、松の内が明けた1月8日から、2月3日の春分まで贈れます。松の内の時期を過ぎた年賀状はマナー違反捉えられてしまうため注意しましょう。
色柄やデザイン、写真に気を付ける!!
年賀状の色柄やデザインには気を付けましょう。
宛名などを書くペンの色は赤色を避けます。赤文字は死や血をイメージさせるからと言われています。文字を書くときは赤だけでなく、カラーの物自体をさけるという人も多いものです。濃紺や濃い目の青などは正式な文章でも使用可とされていますので、マナー違反にはなりません。
また、薄い色で書くのは、弔事のマナーです。慶事では色の濃い墨を用いりますので、目出度い新年の挨拶で薄い字を使うのはタブーなのです。
家族写真を載せる場合は、相手との関係性を考慮しましょう。家族ぐるみでのお付き合いをしている場合や、結婚、出産、入学などの御祝いを頂いた相手には、写真を載せても喜ばれるでしょう。
一方、家族関係に悩んでいる人や婚活、妊活を頑張っている人に家族写真のものを贈るのはプレッシャーやジェラシーを植え付けてしまうきっかけになることがあります。
可愛いペットの写真でも、相手がペットを失った直後だと辛いかも知れません。相手の状況を知っている場合は気遣いましょう。
明らかに印刷ミスをしたものや、絵や字が掠れたり、ぶれて見辛いものなどは書き損じとして処理しましょう。修正テープなどを使い、修正して構わず贈るという人もいますが、それでは人間性が問われてしまいます。少しの事ですが、今後の付き合いを考えさせられてしまいます。
名前などの漢字は要チェック
一度住所録に登録してしまった氏名や住所は、なかなか変更しないものですが、それが故に何年も間違えた漢字で年賀状を贈っていたというケースもあります。前年度に頂いた年賀葉書はよく確認し、早目にチェックを済ませておくと安心です。特に、新漢字・旧漢字の差や、斎・斉・齋・齊など同じ読み方でも表記が異なる場合に注意が必要です。
近年では、読みや漢字にこだわって名付けをする家庭も増えました。ご家族の全員宛に贈る場合には、子供の名前や漢字にも注意しましょう。
住所の勘違いにも注意します。例えば、マンションやアパート名がエクセルなのに、レクセルと表記するなど、少しの違いには気付きにくいものです。ただ、この程度の差なら相手に届いてしまいますので、相手が見て少し複雑な気持ちになってしまうかも知れません。
喪中の場合は・・・?
喪中の相手に年賀状を贈るのはタブーです。
喪中の場合は、基本的に相手方から喪中を知らせる葉書が贈られて来ます。一般的に年賀状を準備を始める11月後半から12月頭位までに贈られます。忘れないよう、纏めて管理しておく事をおススメします。
相手が喪中葉書を出していなければ、その事実を知る由がありませんので、万が一喪中を知らずに年賀状を贈ってしまっても、それは仕方の無い事です。
そのため、喪中を知らせる側は、年賀状を辞退したいのであれば新年の挨拶を失礼する旨の連絡を必ずしなくてはなりません。
まとめ
いかがですか?知って居るようで意外と知らない年賀状のタブーやマナーがあったのではないでしょうか?
年賀状は、相手との関係性を考慮し、空気を読むことが大切なのです。相手を思いやる気持ちこそが、喜んでもらえる秘訣です。年に一度の挨拶ですので、面倒臭がらずに贈ると、相手に喜ばれるでしょう。
尚、ビジネスでは自分の報告や抱負は記載せず、シンプルなものにしましょう。メールで簡単にと考えられがちですが、有効なビジネスツールとして活用する人も多いのです。早めに準備を始めれば、そこまで大変なものではありません。気軽な気持ちで書いてみてはいかがでしょうか。