ひな祭りが近付くと、菱餅を目にする機会が増えます。そのカラフルな色に目を奪われてしまう人も多いのではないでしょうか？では、一体その色にどんな意味があるのでしょうか？また、菱餅は何のために飾るのでしょうか？ここでは、菱餅についてを詳しくご紹介します。
ひな祭りの菱餅にはどんな由来があるの？
3月3日は「桃の節句＝ひな祭り」です。ひな祭りにはお雛様を飾り、雛あられ、ハマグリ、ちらし寿司、甘酒（白酒）などで御祝いをします。中でも、菱形で3色の菱餅は、見た目も華やかで是非とも飾ったり、食べたりしたいものです。そんな菱餅ですが、何故ひな祭りに飾るのでしょうか？
菱餅の由来には諸説ありますが、室町時代の足利家が食べていた紅白の菱餅や宮中で正月に食べられていた「菱はなびら餅」が時代と共に変化してきたという説や、菱の実を食べて千年もの間生きたと言われる仙人の長寿伝説にあやかっている説などが挙げられています。
現在では、女の子の健やかな成長や健康、長寿、子孫繁栄を願い、菱餅を飾っています。
ヒシは湖や沼に生息する水草で繁殖力が強いのが特徴です。白い花が咲き、実が菱形をしています。水面を覆い浮袋のような効果をもたらしますので、沼に落ちた幼い子供の命を救ったという話もあります。
3色？5色？菱餅の色にはどんな意味があるの？
菱餅といえば、その華やかな色に目を奪われます。では、その一つ一つの色に意味はあるのでしょうか？
桃（ピンク）色・・・厄払い、先祖を尊び健康を祝うという意味があります。クチナシの実で赤色を足し、桃色に仕上げています。
白色・・・春の残雪を表わしています。白は清潔、清浄を意味します。餅粉に菱の実を混ぜて子孫繁栄・血圧を下げて長寿をもたらすようにしたとも言われています。
緑色・・・蓬（よもぎ）の葉を混ぜ、造血効果を持たせています。蓬の新芽の爽やかな香りが穢れを祓い、若草の美しさを表わしています。古代中国から伝わった当時は、母子草（ハハコグサ）という植物を使用していましたが、母と子で餅を搗くというのはイメージが良くないため、そのほとんどが蓬に変わって来ました。尚、母子草とは、春の七草のゴギョウのことです。
近年では、上記の緑、白、桃に加え、黄色とオレンジ色（朱色の場合もあります）が加えられた菱餅も見掛けます。
黄色は月を、オレンジは太陽を意味していると言われています。これらの色を使うのは、豊作を祈るためです。
菱餅の色の順番は？どこにどうやって飾るべき？
菱餅のカラーは下から緑、白、桃で重ねられている場合がほとんどです。これには、「雪の下から新緑が芽吹き、桃の花が咲きほこる」という意味があります。中には下から白、緑、桃で重ねられているものもあります。これは「雪の中から新緑が芽吹き、桃の花が咲きほこる」という情景を表わしています。どちらの順番も間違いではありません。飾る際や自分で作る際には、桃色が下面にならないようにしましょう。
菱餅は2月初旬からスーパーなどで売られています。売られている物の多くは中が真空パックになっていて、3月3日のひな祭りが終わってからでも美味しく食べられるようになっています。そのため、飾る際には封を切らないようにしましょう。そのまま飾っておいても可愛いパッケージがほとんどです。自分好みのものを用意しましょう。
菱餅型のお菓子もあります。お餅はちょっと苦手・・・という人はお菓子を選んでみるのも良いでしょう。
なぜ菱形なの？雛人形の前に飾るの？
菱餅はその名の通り菱形をしています。では、なぜ菱形なのでしょうか？
菱の形は大地を表わすといわれています。また、四角を引き延ばして長寿祈願をしたともいわれています。その他の説では、小笠原家の家紋である三蓋菱をかたどっているともいわれています。一番有力な説は、菱形が民俗学上では心臓を意味するというものです。形がどうして今のものになったのかは詳しく分かっていませんが、飾りやすい形であるといえます。
雛人形は女の子の身代わりで厄災を引き受けるためのものとして飾られています。
菱餅はその雛人形に感謝の気持ちを込めて共に飾るのです。菱餅は菱台という所に置きます。左右2つお供えしますので、2個用意しましょう。飾る場所は7段飾りなら4段目右大臣や左大臣のいる中央にします。
子どもも食べやすい菱餅の食べ方はこれ！！
菱餅は3色を重ねて作られていますので、それぞれの色で割と簡単に切り分けられます。切り分けたものを、網やオーブントースターなどで焼き、焼き餅として食べることができます。
菱餅は縁起物だから切るのに抵抗があると思われがちですが、角を千切って食べると「角が立たない」という意味があり良いとされています。細かくカットして油で揚げてオカキにするのも子どもに人気です。また、焼いた後、適度に千切り雑煮など汁物に入れると大人数で食べられます。
菱餅の代わりに、その色でゼリーを作る家庭も多いものです。緑をメロン味、白をサイダーやミルク、桃をイチゴや桃などの味で作り、フルーツなどで可愛くトッピングしても良いでしょう。四角の透明カップに入れて作ると菱餅のように華やかに見えます。
また、近年はパンケーキやシフォンケーキなどで菱餅カラーのものを作り、楽しむ人も多いものです。
菱餅は地域によって違う！？
菱餅は、地域によって形状が異なる場合があります。
静岡県の一部では、菱形ではなく三角形にしているようです。また、京都府では菱餅をあこや餅・引千切で代用するところもあるようです。前述の様に3段ではなく5段の菱餅もありますし、中には7段のものもあります。
地域によっては、お餅に自体に甘い味付けがされていて、そのまま食べられるようになっているところもあります。和菓子では、求肥や寒天のような素材に色がつけてある菱餅も見かけます。
菱餅ではありませんが、長崎では「桃カステラ」というカステラがこの時期だけ食べられる定番お菓子です。
ひな祭り、菱餅の他に欠かせないもの
ひな祭りには、菱餅以外にも欠かせないものが沢山あります。
白酒（甘酒）は子どもでも飲めるものです。ひなあられは関東の甘いものと関西の醤油味のものとあります。
桜餅は、江戸風で薄皮の長命寺タイプ、粒の残る京風の道明寺タイプとがあり、好みにより選べます。
また、ハマグリのお吸い物も欠かせません。ハマグリは対になる貝殻はワンセットしかありません。そのため、良い結婚相手に恵まれると信じられ、女の子の節句に欠かせないものになっています。
ちらし寿司も欠かせません。御祝いの席には華やかな食べ物が良く似合います。春らしい菜の花のような錦糸卵に、桜のようなピンク色のデンプ、先の見通しが良くなるといわれる蓮根、長生きの象徴であるエビなどを乗せ、見た目にも楽しめるようにすると小さな子どもにも好評です。
ひな祭りは女の子の節句ですが、食べ物は男の子も一緒に楽しめます。
まとめ
菱餅は、ひな祭りに女の子の健やかな成長、長寿、健康、子孫繁栄、幸せなどを願い、雛人形と共に飾られるものです。
色は主に桃、白、緑の3色ですが、中には黄色、オレンジを足した5色で作られたものもあります。
菱餅は、3月3日まで飾り、その後様々な方法で食されています。ひなあられは、菱餅から生まれたとも言われています。
自分好みの食べ方で楽しんでみましょう。
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