お盆とお彼岸の違いをご存知でしょうか?なかなか馴染みの無い人には、同じことを指していると勘違いしている人もいるかも知れません。では、一体何がどのように違うのでしょうか?ここでは、お盆とお彼岸の違いについてを中心にご紹介します。
お盆とお彼岸の違いは一体何?
日本には、お盆とお彼岸という年中行事が存在します。この二つは印象が似ていて「どちらが何だか分からない」という人も多いのではないでしょうか?では、お盆とお彼岸の違いは何なのかみていきましょう。
まず、お盆は毎年夏に一度、お彼岸は春と秋の年に二度あります。時期や期間は異なりますので、両方が一編に訪れることはありません。お供え物などもそれぞれ異なります。
目的や期間は違いますが、「御先祖様に感謝し、近くに居られる時間を大切にする」という共通点もあります。
お盆とお彼岸それぞれの意味と目的は?
お盆とお彼岸のそれぞれの意味や目的をみていきましょう。
お盆はご先祖様の霊を人間界側にお迎えすることをいいます。人間界と霊界の行き来がしやすいよう、ナスやキュウリなどで精霊馬を作り、迎え火や送り火などを焚いてお迎えします。お盆は、いわば、「ご先祖様の里帰り」なのですね。
お彼岸は、我々の住む「此岸(しがん)」と、ご先祖様のいる「彼岸(ひがん)」が最も近づくため、人間がご先祖様の近くに行けるとされています。近くに居るため、より供養がしやすい時なのです。また、お彼岸は仏道の修行をすべき時期ともいわれています。
このように、お盆とお彼岸はどちらもご先祖様が近くに居るのを感じるという意味や目的があるのです。
お盆とお彼岸それぞれの期間は?
お盆とお彼岸の期間は、それぞれ何日間なのでしょうか?
お盆は、毎年旧暦7月15日前後(7月13日から16日頃まで)、新暦8月15日前後(8月13日から16日頃まで)とされていて、地域によって旧暦と新暦のどちらかで行われています。
迎え盆(13日)の夕方に迎え火を焚き、送り盆(16日)に送り火を焚き送ります。火の焚き方や、タイミングは地域や家庭により決まっている場合がありますので、それに倣うようにすれば良いでしょう。
お彼岸は、春分の日や秋分の日を中心に、前後3日間の計7日間をいいます。春分の日と秋分の日は「中日」と呼ばれ、その日にお墓参りをするという人も多いものです。また、初日を「彼岸入り」、最終日を「彼岸明け」と呼びます。毎年少しずつ異なりますが、春分の日はおよそ3月20日頃、秋分の日はおよそ9月22日頃です。
それぞれが大切な年中行事!!
お盆もお彼岸も、昔から大切にされてきた年中行事です。現世で生きている人間と、亡くなったご先祖様達が近くに居られるとされているため、毎年忘れずに大事に伝えられてきたのです。
お盆やお彼岸に供えられるものも昔から変わらず受け継がれています。
お盆には仏壇の近くに精霊棚という棚を作り、お供え物や提灯を飾ります。真夏の時期にあの世からわざわざ来ていただいて、喉の渇きを潤してもらおうという意味から、水分の多い果物や野菜、素麺などを飾りもてなします。
また、キュウリとトウモロコシの髭で馬を作り、それに乗り早く来てもらい、ナスで牛を作ったものでゆっくり帰っていただくというのが習わしです。
春のお彼岸には牡丹餅(ぼたもち)、秋のお彼岸にはお萩(おはぎ)というお菓子をお供えします。これら二つは名前が異なりますが、実は全く同じ食べ物です。もち米(またはもち米と通常の米を混ぜたもの)を荒く潰し、丸めてから、まわりに餡子やきなこ、ゴマなどをまぶした食べ物です。同じ食べ物に二つの呼び名が付いているのは非常に珍しいものです。春の花の牡丹と、秋の花の萩を表わしているといわれています。
お盆に供える花、お彼岸に供える花も異なります。お盆には、邪気を祓う菊の花が好ましいとされています。他には、ほおずき、りんどう、カーネーションなどが供えられます。お彼岸には、麹、白ユリ、カーネーション、トルコキキョウ、彼岸花などが供えられます。
先祖のお墓参りは欠かせない!!
お盆にもお彼岸にも、お墓参りは欠かせません。お墓参りというと、お供え物を持参し置いてくるイメージがありますが、近年では、お墓に食べ物を置けない所が増えてきました。お寺などの室内で管理をする共同墓地が増えたのも一因ですが、屋外のお墓でも野生動物対策や環境汚染、美化の考えから禁止されるようになったのです。お供え物を持参しても構いませんが、禁止されているお墓では置きっぱなしにせず、必ず回収するようにしましょう。
また、お盆やお彼岸にお供えしたものは、私達が有り難く頂くことができます。仏教の考えでは、お供えしたものは、ご先祖様や故人と同じものを食べられ、非常に有り難い上にご利益があるとされています。ただ、地面に直置きしたものや、時間が絶って悪くなってしまったものは危険ですので口にしないようにしましょう。
お盆やお彼岸には、家族でお墓参りに行くことを大切にしている家庭もあります。なかなか忙しくて集まれない者同士でも、この機会に集まって近況報告をしたり、元気な姿を見せることで家族の絆はより深まります。ご先祖様を通じて、家族の繋がりを確かめる機会でもあるのかも知れませんね。
地蔵盆とお盆は違うの!?
地蔵盆というものをご存知でしょうか?関西地区で夏の終わり(8月下旬の土日)に行われる行事です。お盆のような名称ですが、この日は子どもとお地蔵様が主役です。
お地蔵様に綺麗な服を着せ、子供の名前が書かれた提灯を飾り、その下で踊ったり菓子を食べたりします。鬼など悪いものから子供を守るために行うといわれています。京都が発祥で、全国的には行われていませんが、関西の子供達の夏には欠かせないイベントです。
お盆やお彼岸のタブーがあるって本当!?
お彼岸の時期にお祝い事をしてはいけないという言い伝えがある地域もあります。結婚式やお宮参りも関係なく行っている人もいますが、気になる人は避けた方が良いでしょう。また、お見舞いは避けるべきです。お彼岸にお見舞いに行くと「既に死者としてみている」「亡くなると思っている」などと悪印象です。
お盆の時期には殺生をしてはならないといわれています。特に、自分の利益の為だけに安易な殺生をしてはいけないのです。ご先祖様の霊は、昆虫などの背に乗って帰ってくるとも言われています。虫取りなども避けたいところです。また、気を付けていても、案外忘れて魚釣りに行ったり、草木の伐採をしたりしてしまいがちです。これらも殺生に当たりますので、避けるようにしましょう。海にはクラゲが出る時期です。面白半分でクラゲを見に行ったり、海に入ると刺されてしまい危険です。
お盆に使用した精霊馬は速やかに処分しましょう。土に埋めるか、塩で清めて綺麗な紙に包み家庭ゴミとして出します。長い間精霊馬を置いておくと、ご先祖様の霊が帰れない、また戻ってきてしまうという事にもなり兼ねません。
まとめ
お盆とお彼岸は期間や時期などの違いがありますが、ご先祖様や故人の霊と近付く大切な時であることは共通しています。お盆はあの世から人間界へ霊が帰ってくる期間をいい、お彼岸は我々人間が住む世界と、ご先祖様の住む世界が一番近付く時期をいいます。これらの時期には、お墓参りをしたり、仏壇へのお供え物でおもてなしをするのが一般的です。お盆とお彼岸の違いを正しく理解することで、次のお盆やお彼岸には新鮮な気持ちで先祖にご挨拶ができることでしょう。