お盆の時期になると、各所でお供え物が売られているのを目にします。でも、何をどう用意すれば良いのか?何のために用意するのか?が分からない人も多いのではないでしょうか?ここでは、そんなお盆のお供え物について、詳しくご紹介します。
お盆のお供え物とは?どんな意味があるの?
お盆は、あの世からご先祖様が帰ってくる期間といわれ、昔から大切にされています。
仏前に用意されるお供え物は、お盆で帰ってきたご先祖様や故人をおもてなしする意味が込められています。
どの家庭でも用意される定番のお供え物は、精霊馬や素麺、団子などです。これらには、それぞれ大切な意味があり、古くから定番とされています。
精霊馬(しょうりょうま)・・・キュウリ、ナスとトウモロコシの髭で馬と牛を作ります。割り箸や竹串、楊枝、マッチ棒などを使い、馬や牛の足を付けます。精霊馬はご先祖様の霊が行き来する際に使う乗り物です。来る時はキュウリの馬で早く到着し、帰る時はナスの牛でゆっくり帰っていただくという意味が込められています。近年では器用な人がより本物に似せた凝った乗り物を作りSNSで話題になっています。
素麺・・・素麺は夏の定番です。ご先祖様が口にしやすいようにというねぎらいの意味と、「子孫が末永く(長く)繁栄しますように」という意味が込められています。
団子・・・団子は最終日の16日に供えられます。送り団子とも呼ばれ、六地蔵様にお供えするという意味もあります。尚、六地蔵様とは、亡くなってから行く六道と呼ばれる様々な世界で、衆生の苦悩を救ってくれる6体のお地蔵様のことです。
これ以外にも、百味飯食(ひゃくみおんじき)など、地域で様々なお供え物を用意します。
五供とは一体何?
仏壇へのお供え物の基本は、「五供(ごくう)」と言われれいます。では、五供とはどんなものを指すのでしょうか?
五供は、食べ物、香り、明かり、花、水です。これは、お盆の時期でも変わりません。
例年、お盆などのお供え物の手配を家族に任せきりにしてしまい、突然引き継ぐことになった場合、非常に悩ましいものですが、この五供を基本と考えると分かりやすいでしょう。
食べ物・・・お供えするご飯を飯食(おんじき)と呼びます。炊き立てのご飯など、主食をお供えします。
香り・・・香りとは、お線香のことです。仏様は香りを召し上がるともいわれていて、お線香の香りは非常に大切なのです。
明かり・・・明かりはロウソクの火です。お盆には、提灯も飾られます。
花・・・花の香りも召し上がると言われています。トゲのある花はふさわしくありません。
水・・・水も毎日新鮮な浄水をお供えします。あの世の世界では喉が渇くといわれています。特にお盆はわざわざ遠い旅路を来てくれるため、疲れを取るためにも水分は大切です。
新盆の場合はお供え物が違うの?
故人が亡くなって初めて迎えるお盆を新盆(初盆)といいます。
この時は、より故人の好みのお供え物を用意することが多いものです。
また、新盆の際には「新盆提灯」を用意します。通常、盆提灯は美しい絵柄入りですが、新盆では白い無地の物を使用します。無地の提灯は使い終わったらお焚き上げで処分します。引き取ってくれるお寺もありますので、確認してみると良いでしょう。
新盆には、仏前に手を合わせに来る人も多いでしょう。お供え物や御供物料などを持参される方も居るかも知れません。そんな時には、必ず返礼品をお渡ししましょう。
お供え物はお菓子が主流?果物や料理をお供えしても良いの?
お供え物といえば、やはりお菓子が定番と言えるでしょう。お盆の時期になるとカラフルな砂糖菓子の「落雁」なども多くみられます。近年では、落雁もオシャレでお茶やコーヒーと共に楽しめるものも増えました。また、真夏なので食べやすい水ようかんやゼリーなども人気です。
お菓子を選ぶ際には、賞味期限が長いものがおすすめです。また、お盆には人が集まり易いので、小分けして持ち帰れる個包装になっていると便利でしょう。
果物もお供えできますが、冷蔵できないため真夏でも悪くなり辛いものがおすすめです。なるべく収穫してから日の浅いものを選び、お供えしている間に追熟できるものが良いでしょう。
自宅で用意した素麺や天ぷらなど作りたての食べ物をお供えすることができます。その場合、悪くなる前に忘れず下げるようにします。あまり長く置いておくと、腐って匂いなどが出ることもあります。
仏壇を飾る花はどんなものが良いの?
お盆の時期に仏壇にお供えする花は、どんなものが好ましいのでしょうか?
代表的な花は菊です。菊は、邪気を祓うといわれているため、仏前に供えるのに適しているのです。
その他には、リンドウ、キンセンカ、トルコキキョウ、アイリス、グラジオラス、カーネーション、ユリなどがお盆の時期に出てきます。バラなども一年中見かけますが、トゲがある花からは傷が付き血を流すという良くないイメージが持たれるため、お供え物には不向きとされています。蔦の多い花、毒のある花、黒い花もお供えには向きません。また、花の香りは大切ですが、強すぎる香りは虫を呼んでしまいますのでなるべく避けるようにしましょう。
お盆のお供え物を飾る時期は?
お盆にお供え物を飾る時期は、いつからいつまでなのでしょうか?
精霊棚を作るのは、12日から13日の昼くらいまでに済ませ、お供えもその頃までに飾ります。ご先祖様をお迎えする前には飾り付けを終わらせなくてはならないため、13日のお墓参りへ行く前までに準備を済ませておきます。
もし、郵送でお供え物などを贈る場合には、10日頃には到着しておきたいところですが、遅くとも12日までには手元に届くようにしましょう。
お供え物を贈る場合はのしはどうすべき?
新盆に招かれた場合など、お供え物を贈るケースがあります。そんな時、のしはどのようにすれば良いのでしょうか?
お供え物は、故人の好きだったものが好ましいです。お菓子や果物などが良く選ばれます。乾麺や乾物などでも構いません。もし、好きな物が分からない、相手の家族の好みも分からず食べ物は贈り辛い場合には、仏前で使えるロウソクやお線香がおすすめです。のしは外のしで「御供物」とするのが一般的です。
品物を選ぶのが困難な場合には、香典を持参しても構いません。金額の相場は3千円~1万円ほどで、相手との関係性により異なります。香典袋は白と黄色、または双銀、藍銀の結び切りの水引が付いた不祝儀袋で、表書きには「御仏前」「御供物料」などと書きます。遠方で出向けない際には、郵送することも可能です。
尚、お伺いするのは、13日か14日の日中までにしましょう。郵送の場合には10日頃に到着するようにすると安心です。
こんなお供え物はNG!避けた方がよいもの
お盆のお供え物として選ぶ場合、NGなものは避けるようにしましょう。
まず、真夏の暑い時期、要冷蔵、要冷凍のものはNGです。常温保存が可能なもので、尚且つ消費・賞味期限が長いものが好ましいのです。料理などを供える場合には、数時間程度で下げるようにしましょう。それ以上置いてしまうと、食べ物が腐乱し、匂いや虫の原因になってしまいます。
また、殺生が禁じられているお盆の期間には、生肉や生魚などもNGです。
まとめ
お盆のお供え物は、帰ってくるご先祖様や故人の霊をもてなすために用意されます。
お供え物は五供を中心に、お盆ならではのものをお供えします。五供の明かりの代わりに、ホオズキを供えることもポピュラーで、お盆前にほおずき市などが開催されるところもあります。ご先祖様や故人の供養の意味も込めて、年に一度お盆のお供えを家族で用意するというのも、絆を確かめる大切なことなのかも知れません。尚、全国的には8月にお盆をするところが多いものですが、地域によっては旧暦の7月でお盆を行うところがありますので、事前にどちらかを確認しておきましょう。