お彼岸は年2回あります。
春分の日を中日に前後3日間と秋分の日の前後3日間です。
お彼岸にはお墓参りに行く方も多いでしょう。
中にはお仏壇も持っている方もいらっしゃると思います。
見よう見まねでお墓参りをしたり、仏壇をお参りしたりしている方も多いのではないでしょうか?ここでお彼岸の作法を知って、まわりに差をつけましょう。
お彼岸とは
彼岸とは、春分の日を境に前後3日間と秋分の日を境に前後3日間の春に7日間、秋に7日間と定めた期間のことを言います。
春分の日と秋分の日は、太陽が真東から昇り真西へ沈む日で、昼と夜の長さが同じと言われています。
春分の日が3月21日ならば、3月18日が彼岸入り、21日が中日の春分の日、3月24日が彼岸明けとなります。
秋も同じで、秋分の日が9月23日ならば、9月20日が彼岸入り、23日が中日の秋分の日、9月26日が彼岸明けとなります。
この期間に、お墓参りに出かけたり、自分の家が檀家として所属しているお寺に出向いて説法を聞いたり、お坊さんを招いて読経してもらったり、先祖供養をします。
そうすることによって、極楽浄土へ行けると考えられていました。
お彼岸の意味は
彼岸は仏教の原文で使われているサンスクリット語のparam(パーラム)の訳で「川の向こう岸」という意味です。
川の向こう岸の「川」は人間が死んだ時に渡ると言われている三途の川を指します。
その三途の川を渡った向こう岸を「彼岸」といい、煩悩のない悟りの世界です。
また、三途の川を渡る前のこちら側のことを此岸(しがん)といいます。
此岸は煩悩に悩み苦しんでいる世界です。
お彼岸の意味は
日本後記には、806年崇道天皇のために彼岸会が初めて日本で行われ、この時諸国の国分寺の僧に、七日金剛般若教を詠むよう命じたのが始まりと記されています。
彼岸の行事は日本独特のもので、インド・中国の仏教にはないことから、元は人古来の祖霊信仰が起源ではないかと言われています。
彼岸という言葉は「日願(ひがん)」が由来。
それが、仏教語の「彼岸」が結びついたのは後からではないかと推測されている理由です。
仏教行事として説明する場合は、極楽浄土は西方にあり、春分の日と秋分の日は太陽が真東から昇り、真西に沈む日であることからあの世とこの世が通じやすい日として、太陽を礼拝し、極楽浄土に思いを寄せる彼岸が始まったと言われています。
それが現在では祖先供養の行事に転じて定着しています。
お彼岸前にやることは
お彼岸の前にやらなければいけないことは、お彼岸に法要に来てもらうお坊さんの手配。
お坊さんもお彼岸の法要で各家庭を回ったり、お寺での彼岸会を開いて説法したり、お彼岸の日はお忙しいので、先にご自宅に呼ぶのであれば、日程を確認し手配しないといけません。
日にちが決まらないと、お彼岸にお墓参りに寄る親族へ連絡も出来ませんからね。
早めに日程を組むようにした方がいいでしょう。
次にお客様がいらっしゃるわけですから、汚い部屋に通すわけにはいきません。
部屋の掃除をしましょう。
日ごろから掃除はしていると思いますが、きれいであるのに越したことはありません。
その時に仏壇・仏具もきれいに掃除しましょう。
もし、仏壇に代わるものがあるなら、それをきれいに掃除しましょう。
床の間がすでに設置されているのであれば、床の間を掃除しましょう。
床の間や仏壇もなければ、部屋をいつもより丁寧に掃除すればいいでしょう。
仏壇の掃除が終わったら、仏壇にお花や季節の果物などお供えものを飾りましょう。
お客をもてなすのに必要な食べ物、飲み物の用意も必要ですね。
お彼岸の仏壇の飾り方
彼岸の仏壇の飾り方には、お盆と違って決まりはありません。
仏壇をきれいに掃除し、花や季節の果物などを供えます。
精進料理を供えるところもあります。
ただ1つお彼岸に欠かせないのが、春の「ぼたもち」秋の「おはぎ」です。
これを仏壇に供えて、おさがりを家族でいただきます。
決まった飾り方はありませんが、「ぼたもち」「おはぎ」を飾るというのは、ずっと続いている伝統ですね。
お彼岸のお供え物
お彼岸のお供え物と聞いて思い浮かぶのはなんですか?そうです。
餅をあんこでくるんだぼたもち、またはおはぎですね。
この2つ実は、「炊いたモチ米を潰して丸め、あんこでくるんで作る。
」という作り方は同じものなのです。
ではなぜ、名前が違うのか?地方によって呼び名が違うと思っていましたか?名前が違うのは、地方によって違うのではなく、お彼岸の時期によって名前が変わるのです。
「ぼたもち」は春のお彼岸の日にお供えする時に使われる名前です。
牡丹の花に似せてちょっと大きめに作ります。
「おはぎ」は秋のお彼岸の日にお供えする時に使われる名前です。
萩の花に似せて小ぶりに作ります。
唯一違うところは大きさくらいでしょうか?漢字で書くとぼたもちは牡丹餅。
おはぎはお萩。
それぞれの花に見立てて作られています。
牡丹餅・お萩に使われるあんこの小豆は、昔から小豆の色が邪気を払うと言われています。
その小豆の色に似た花を咲かせる牡丹と萩が選ばれ、名前を春は牡丹餅、秋はお萩と付けられました。
和菓子にはいろいろ意味があるものが多いですね。
皆で手作りしてお彼岸にお供えしてみてはいかがでしょうか。
お彼岸のお布施は
お彼岸の日には、お墓参りに行ったり、お経をあげてもらうためにお坊さんを自宅に呼んで、先祖供養をします。
また、檀家となっているお寺では彼岸会(ひがんえ)と呼ばれるお彼岸法要に参加して説法を聞いたりします。
お彼岸に行われる法要で一番気になるのは、お布施はいくら包めばいいのかですよね?そこで相場をご紹介しますので、目安にしてください。
お彼岸は日本独自の風習ですが、仏教行事の1つでもあります。
お彼岸の法要には先に書いたようにお墓参りや、自宅での法要にお坊さんを呼んでお経をあげてもらったり、お寺に出向いて彼岸会と呼ばれる合同法要に参加して説法を聞いたりと、各家庭で彼岸法要を執り行います。
その時にお寺にお礼としてお布施を渡すのが一般的ですが、このお布施の金額がいくら包めばいいのかなのですが、正式にはいくらとは決まっていません。
法要を行ってもらった方の気持ちとして、包んだ金額がお布施の金額です。
そうは言ってもそれじゃいくらか見当もつかない。
という方もいらっしゃるでしょう。
*目安として・お寺で行われる彼岸会に参加する場合は、大体3,000円~1万円くらいを包むことが多いようです。
ただし、地域によって相場はことなりますので、その場合は同じ地域の方に聞いてみるのもいいですね。
・個別に彼岸法要を頼む場合は、3万~5万円くらい。
それにプラスしてお車代として、3,000円~5,000円くらいを包むこともあります。
・故人が初めて迎える初彼岸の時もお彼岸法要と同じくらいの相場と考えていいと思います。
・檀家となっているお寺では、施餓鬼法要・施餓鬼供養をするところもあります。
お布施は3,000円~1万円くらいです。
お寺によっては施餓鬼供養がないところもあります。
浄土真宗では、亡くなった方は餓鬼道に堕ちて苦しんでいるのではなく、みな仏さまになると言われているので、施餓鬼供養はありません。
淡路島では亡くなって35日目に餓鬼道から亡くなった方を救うのに、お寺の急な階段の上から遺族がおにぎりを後ろ向きに投げ、餓鬼道の餓鬼に故人が捕らわれないようにするという儀式があります。
曹洞宗では施すと施されるという身分さがなく施餓鬼とは言わず、施食会といいます。
*お布施の表書き表書きはお彼岸法要・彼岸供養・施餓鬼供養それぞれ「お布施・御布施」と書きます。
宗派によって書き方が変わる場合がありますので、地域の方に確認するのが一番です。
表書きの墨は薄墨ではなく、普通の墨で書きます。
表書きを書かずに無地の白い封筒に入れて渡しても大丈夫です。
家なら小さなお盆にのせて渡します。
袱紗に入れて渡すときに袱紗から出してから渡しましょう。
お布施は直接手渡しするものではありません。
お彼岸にお墓参りをする理由は
最近では、お彼岸にお墓参りに行くのは年中行事のように、お墓参りの日=お彼岸という傾向になってきていませんか?なぜ、お彼岸にお墓参りに行くのかという疑問もないでしょう。
昔からそうしているから、自分が大人になった時も「お彼岸=お墓参り」と義務になってしまっているのではないでしょうか?お墓参りなどはいつ行かれてもいいのではないでしょうか?なぜわざわざお彼岸という機関まで設けてお墓参りに行くのでしょうか?それには、お彼岸の期間に理由があります。
お彼岸は年2回ありますね。
春と秋です。
このお彼岸の中日にあたる春分の日と秋分の日は1年で昼と夜がほぼ同じ時間になる日です。
この日は太陽が真東から昇り真西に沈みます。
仏教では真西に極楽浄土があると言われています。
そして現世側を「此岸」といい、亡くなった人たちが渡る三途の川の向こう側を「彼岸」といいます。
春分の日と秋分の日は此岸と彼岸がつながる日と言われています。
そのためお墓参りに行くと、亡くなった方々ともつながりやすいとされ、お墓参りに行き、故人に話しかけ偲ぶ日になりました。
そして、もう1つ理由があります。
こちらは農耕民族の日本人ゆえの行事となっていますが、春のお彼岸ではこれから植える作物が無事に育つように祈ります。
秋のお彼岸では、無事に育ったことへの感謝を伝える日とも言われています。
お彼岸の中日(春分の日、秋分の日)の前後3日間、計7日間は日々無事に暮らせたことへの感謝の気持ちを持つとともに、善い行いを意識して過ごせば、極楽浄土へ行けるということも伝えられています。
お彼岸のお墓参りの礼儀作法
お墓参りで最初にすることはお墓の掃除です。
スポンジやたわしなどでお墓をきれいにしましょう。
場所にお墓の近くに水道がない場合は、お水も忘れずに持って行きましょう。
墓石に水をかけて終わりではないですよ。
日ごろ来る機会のないお墓をきれいにするのも、お参りする人の役目です。
故人を偲ぶのであれば、故人の住処をきれいにするのが第一です。
お墓がきれいになったら、持参したお花やお供え物をして、線香をたて故人に手を合わせます。
お墓参りが済んだときには、お供え物は、カラスなどに荒らされる心配があるので、持ち帰った方がいいですね。
おはぎやぼたもちならば、先祖や故人と一緒に家族で食べても大丈夫です。
火の後始末やゴミなどは持ち帰ります。
お墓を管理しているところにもよりますが、お花も持ち帰らなければいけません。
霊園であれば、管理事務所がお花の管理までしてくれる場合もあります。
今一度霊園のルールを確認しましょう。
お彼岸とお盆の違いは
お彼岸とお盆の違いはと聞かれて、何が違うのか答えられますか?どちらも墓参りする日と認識している方も多いのではないでしょうか?また彼岸には牡丹餅やお萩をお供えして食べる日という方もいらっしゃるでしょう。
お彼岸とお盆を比較すると、*期間・お盆は年1回8月13日~8月16日と言われています。
地域によっては7月15日前後に行うところもありますね。
・お彼岸は年2回春と秋の春分の日、秋分の日を中日とした前後3日間を含めた7日間をいいます。
お彼岸は春分の日と秋分の日がいつとは定まっていないので、その年の春分の日・秋分の日で期間がいつからいつになるのか決まります。
*ご先祖様・お盆はご先祖様をお迎えします。
・お彼岸は家には帰ってきません。
*お盆とお彼岸の意味・お盆はご先祖様を供養します。
・お彼岸はご先祖様を供養するとともに、自分自身も極楽浄土へ行くための修行をする期間です。
お盆とお彼岸の大きな違いは、お盆は先祖供養のための期間で、お彼岸は自分自身の修行のための期間ということです。
したがって、年に2回、私たちは修行の場を設けられているということです。
先祖供養をはじめとして、善いことをすることによって、彼岸の期間の7日間で1日1日修行をして極楽浄土へ行けるように務めることが、お彼岸の大きな目的でもあるのではないでしょうか?
まとめ
お彼岸の本当の目的は、先祖供養はもちろん、自分自身の極楽浄土へ行くための修行をする期間でした。
お彼岸の期間である春分の日・秋分の日は日が真東から昇り真西に沈む日として昼と夜の時間がほぼ同じであるといわれています。
この日があの世とこの世が一番通じやすい日といわれているので、この日にお墓参りに出かけ、故人を偲びます。
また、お寺で行われる彼岸会に参加したり、個別にお寺に来てもらって読経してもらったりします。
お盆と違って先祖が帰ってくるわけありませんが、先祖供養をして故人を忍ぶことが修行の1つとなっています。
煩悩から解放されるための修行を7日間のうち1日1日行うのが彼岸の一番の目的でした。
現在ではお彼岸=お墓参り、ぼたもち・おはぎを食べる日と認識していてもいいのではないでしょうか。
それすらも日々の忙しさに忙殺されて忘れてしまうより、今日はお墓参りに行く日。
今日はぼたもち・おはぎを食べる日。
ただ、お墓参りのマナーや法要のお礼などを渡すときのマナーは守りたいですね。