あなたは、5月30日が何の日か知っていますか? そう、ゴミゼロの日です。
5月30日は、さまざまな地方自治体や事業などが中心となって、ゴミ清掃についてのキャンペーンをおこなっています。もともとは観光地のゴミ問題の解決運動だったようですが、それが全国的に広まっていった結果、現在のような形になっています。
この記事では、ゴミゼロの日について、由来や代表的なキャンペーンを紹介します。
ゴミゼロの日とは
ゴミゼロの日とは、ゴミの減量化・再資源化を目的として、日本の美化活動を実施するための記念日です。
地方自治体や清掃関係の企業が主体となり、街・公園・山・海岸などのゴミを拾ったり、粗品やパンフレットを配布したりしています。
ゴミゼロの日は、いつ・誰が決めたのか
ゴミゼロの日は、5月30日とされています。ゴ(5)ミ(3)ゼロ(0)の語呂合わせです。
2017年(平成29年)、一般社団法人・日本記念日協会が「530(ゴミゼロ)の日」として認定・登録したことにより、正式に決まったと考えていいでしょう。
ただし、単なる語呂合わせというだけで、記念日として認定・登録されたわけではありません。愛知県豊橋市を発祥地とする530運動が深く関わっています。
ゴミゼロの日の発祥とは
ゴミゼロの日の発祥を探っていくと、愛知県豊橋市の天然記念物に関するゴミ問題にたどり着きます。
豊橋市には、国の天然記念物「石巻山石灰岩地植物群落」に加えて、県の天然記念物「葦毛湿原(別名:東海のミニ尾瀬)、さらに国の史跡「嵩山の蛇穴」など、多数の観光名所があります。
豊橋市の観光名所を目当てにして、多くの観光客が訪れていました。自然歩道が整備されてからは、ハイキング目的の人々も加わり、まずます観光客が増えていきました。そのせいか、観光客が投げ捨てていくゴミの量が増えていき、大きなゴミ問題となりました。
1975年(昭和50年)5月18日、豊橋山岳会の会長である夏目久男氏は、ゴミ問題の解決に乗り出しました。「自分のゴミは、自分で持ち帰りましょう」の合言葉のもと、豊橋自然歩道推進協議会が中心になって、豊橋市に530運動の推進を提唱しました。
530運動の全国的な広がり
1975年(昭和50年)の7月に、530運動推進連絡会が設立されまました。同年の11月には、初めての530運動が実施されます。公募によって公式マークが制定されたり、530運動の歌が作られたりなど、どんどん活動が活発になっていきました。
530運動の理念は、次第に全国に広まっていきます。1978年(昭和53年)の3月6日には、34都道府県に及ぶほどの大規模な530運動連絡会が組織されました。
1985年(昭和60年の)7月には、530運動の10周年を記念した全国大会が開かれました。その際、毎年5月30日を「530の日」とすることが宣言されました。
「530の日」は全国的に広がり、やがて厚生省(現:厚生労働省)でも、同種の運動がおこなわれるようになります。1993年(平成5年)、厚生省は、5月30日~6月5日を「ごみ減量化推進週間」に制定しました。この期間は「ごみ散乱防止強調週間」とされてもいます。
ゴミゼロの日に開催された面白いキャンペーン例
現在でも、5月30日には、さまざまな地方自治体や企業がゴミの減量化・再資源化を促すキャンペーンを開催されています。
一般的なキャンペーンは、街・公園・山・海岸などのゴミ拾いです。ただし、変わり種も混じっています。
東京スカイツリーでギネス世界記録に挑戦
2016年(平成28年)の5月30日、東京スカイツリーの展望デッキフロア350にて、ギネス世界新記録の挑戦がおこなわれました。
挑戦内容は、「単一会場において、同時に掃除機を使った最多の人数」というものです。
ただ掃除機を使えばいいわけではなく、いくつかのルールを守る必要があります。
- 250名以上の参加者。
- 挑戦の制限時間は3分。
- スタートとゴールの間は5メートル。その区間を掃除機で掃除しながら、3分以内に通過すること。
- 参加者は、1人1台の掃除機を使用する。挑戦中は、掃除機の電源を切らない。
- 挑戦中は、掃除機のホイールが床面と常に接していること。
当日は300人以上の挑戦者が集まり、コードレススティック掃除機を使って、ギネス世界記録に挑戦しました。
11人の監視員の厳密な審査の結果、多少の失格者は出たものの、有効人数292人としてギネス世界記録に認定されました。
豊橋市のキラピカ☆ダンスコンテスト
530運動の発祥地である豊橋市では、今もなお積極的なキャンペーンが開催されています。その中の1つがキラピカ☆コンテストです。
キラピカ☆コンテストは、ダンスを通じて、530運動を多くの人々に知ってもらうことを目的にしています。応募方法は、530運動のテーマソング「ピカピカ☆キラリン」を課題曲とした創作ダンス動画の投稿です。
応募作品やテーマソング「ピカピカ☆キラリン」は、YouTubeに投稿されています。興味がある方は、検索してみてください。
豊橋市では、動画コンテスト以外にも、「530運動」「ごみの分別・減量」「環境美化」をテーマとする漫画コンテストも開催しています。今度も、面白いコンテストが開催されていくことでしょう。
函館市のゴミ拾い競技大会
北海道の函館市では、「競技大会」としてゴミ拾いがおこなわれたこともあります。
ゴミ拾いと聞くと、有志によるボランティア活動の印象が強いでしょう。しかし、函館市のゴミ拾い競技大会では、なんと賞品が用意されました。
2010年(平成22年)の5月30日におこなわれた際は、1位に1万円分、2位に3000円分、3位に2000円分の金券が贈呈されました。競技大会の終了後、拾われたごみの総量は、108kgに至りました。
地味で大変なゴミ拾いですが、賞金をつけてスポーツ感覚で取り組めるようにする工夫は、成功したと言えるでしょう。参加者は遊び感覚でゴミ拾いを楽しみつつ、地域を清潔にもできます。
5月30日は掃除関連の記念日が多い
530運動から始まった「530の日」に限らず、5月30日は、さまざまな掃除関連の記念日とされています。
たとえば、1982年(昭和57年)、関東知事会の空き缶等問題推進委員会(現:関東甲信越静環境美化推進協議会)は、5月30日を「ゴミゼロの日」(関東地方環境美化運動の日)としました。
別の例もあります。1986年(昭和61年)、一般社団法人・日本電機工業会の掃除機委員会は、5月30日を「お掃除の日」としました。掃除機を活用して掃除することで、ゴミゼロを達成して欲しいという願いがこめられています。約10年後の1997年(平成9年)には、現在の「掃除機の日」に改名しました。
まとめ
環境省の発表したデータによると、平成28年度における日本の年間のゴミ総排出量は、4317万トン(東京ドーム約116杯分)と言われています。排出量は年々減少傾向にありますが、それでも大量のゴミが捨てられていることに変わりありません。
よりよい環境を未来の日本人に手渡すためにも、日本人ひとりひとりがゴミの減量化・再資源化を心がけることが大切と言えます。
あなたの住んでいる地域でも、5月30日に、ゴミゼロに関するキャンペーンがおこなわれるかもしれません。住みやすい地域を作るためにも、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。