誕生石は月ごとに選定された宝石の総称で、古代から人々の心を魅了してきました。自分用としてはもちろんのこと、大切な人へのプレゼントとしても人気が高いですが、誕生石の知識があるとより選択の幅が広がります。ここでは、誕生石のルーツや込められた石言葉、利用法などについてご紹介します。
誕生石について
誕生石の意味
誕生石とは、数ある宝石の中から、月ごとに選定された宝石のことです。身につけることで幸福が訪れるという言い伝えのもと、古代から人々の心を魅了してきました。
誕生石には「石言葉」という、それぞれの石の特徴を象徴する言葉が込められており、身につけることでパワーが発揮されると信じられています。
月によっては複数の宝石が選定されていることもありますが、基本的にどの宝石を選んでも問題ないとされています。石の色や輝き、石言葉などから自分の好みのものを選びましょう。
誕生石の身につけ方としては、ネックレスやピアス、ブレスレットやリングなどさまざまで、誕生日プレゼントや記念日のギフトとしても人気が高いです。最近では、日ごとに選定された「誕生日石」や、曜日ごとに選定された「誕生曜日石」なども登場しています。
誕生石のルーツ
初めて誕生石を身につける習慣が広まったのは18世紀だとされていますが、選抜された12種類の宝石を大切に取り扱うしきたりは、もっと古い時代から存在していました。
旧約聖書と新約聖書には石に関する記述が数多く存在しますが、その中に誕生石の起源だと思われる記述がいくつか存在します。旧約聖書では、イスラエルの祭司長が着用していた胸飾りについた12種類の宝石について記載されており、新約聖書では、聖都の城壁に飾られた12種類の宝石についての記載があります。聖書に記されているこの12種類の宝石こそが誕生石の起源だとされています。
【1月から6月】誕生石の種類と特徴
1月の誕生石「ガーネット」
ガーネットは深紅の宝石で、ザクロの種に似ていることから「実りの象徴」とされており、「真実」「繁栄」「実り」などの石言葉が込められています。努力を実らせる効果があるといわれているので、目標の達成や恋愛を成就させるためのお守りとして人気が高いです。
2月の誕生石「アメシスト」
アメシストは透き通ったパープルの宝石で、和名は「紫水晶」です。透明度が高く、紫色が濃いほど価値が高いとされています。アメシストは「愛の守護石」とも呼ばれており、「真実の愛」「心の平和」「誠実」などの石言葉が込められています。身につけることで心と体が安らぎ、インスピレーションが高まるといわれています。
3月の誕生石「アクアマリン」
アクアマリンは海水のような澄んだブルーが特徴的な宝石です。「幸福」「富」「聡明」などの石言葉が込められており、身につけることで心に潤いや豊かさをもたらすといわれています。人間関係にも潤いをもたらしてくれるという言い伝えがあることから、結婚や出産のお祝いとしても人気が高いです。
4月の誕生石「ダイヤモンド」
ダイヤモンドは上品でまばゆいきらめきが魅力的な宝石で、原石の希少性から「宝石の王様」と呼ばれています。石言葉は「永遠の絆」「不変」「純潔」で、身につけることで困難を乗り越える力が高まるといわれています。「変わらぬ愛を誓う」という意味も込められており、婚約指輪としても人気が高いです。
5月の誕生石「エメラルド」
エメラルドは鮮やかな緑が特徴的な宝石で、古代から「永遠の若さ」や「生命のシンボル」として重宝されてきました。別名は「愛の石」で、愛の象徴としても親しまれています。石言葉は「恋愛成就」「幸運」「安定」で、身につけることで内面から癒やしを与え、自分を慈しむ手助けをしてくれるといわれています。
6月の誕生石「ムーンストーン」「パール」
ムーンストーン
ムーンストーンは無色ですが、光の当たり方によって白や青のきらめきを放ちます。「月の力が宿る石」ともいわれており、月が暗い夜道を明るく照らすように、明るい未来を象徴しています。石言葉は「愛の予感」「純粋な愛」で、恋人同士で贈り合ったという昔の風習から「恋人たちの石」という異名を持ちます。
パール
パールは海や河に生息する母貝の中で育ちます。清らかでありながら見るものをとりこにするパールの石言葉は「健康」「長寿」「富」で、持ち主を守ってくれるといわれています。慶事を純粋に祝う気持ちの表現として結婚式などによく用いられます。また、「人魚の涙」や「月のしずく」という異名を持つことから涙の象徴として弔事にも用いられます。
1月から6月の誕生石一覧
誕生石 | 石言葉 | 効果 | |
1月 | ガーネット | 真実 繁栄 実り |
努力を実らせる 恋愛成就 |
2月 | アメシスト | 真実の愛 心の平和 誠実 |
心身が安らぐ インスピレーションが高まる |
3月 | アクアマリン | 幸福 富 聡明 |
心に潤いや豊かさをもたらす |
4月 | ダイヤモンド | 永遠の絆 不変 純潔 |
困難を乗り越える力が高まる |
5月 | エメラルド | 恋愛成就 幸運 安定 |
内面から癒やしが与えられる 自分を慈しむ手助けをしてくれる |
6月
|
ムーンストーン | 愛の予感 純粋な愛 |
恋愛成就 大切な人との絆を深める |
パール | 健康 長寿 純粋無垢 |
持ち主を守ってくれる 女性の運を向上させ、内面的な美しさを引き出す |
【7月から12月】誕生石の種類と特徴
7月の誕生石「ルビー」
ルビーは輝かしい赤色が特徴の宝石で、古代から「若さを保つ」「絆を深める」と信じられ重宝されてきました。石言葉は「情熱」「良縁」「勝利」で、身につけることでスキルや活力が向上するといわれています。恋愛・仕事・健康面など幅広く効果が見込める魅力的な石です。
8月の誕生石「ペリドット」
ペリドットは発色の良い黄緑色が特徴的な宝石で、「太陽の石」とも呼ばれます。石言葉は「優しさ」「前向きな心」「和愛」で、身につけることで心が明るくなったり、人間関係が穏やかになるとされています。夫婦や家族の絆を強めるためのお守りとしても用いられます。
9月の誕生石「サファイア」
サファイアは深く鮮やかに輝く青色が特徴的な宝石で、石言葉は「成功」「誠実」「慈愛」です。身につけることで自信がつき、成功へと導かれたり、純潔で穏やかな愛をもたらすとされています。真実の愛を貫く力を持つという言い伝えもある魅力的な石です。
10月の誕生石「トルマリン」「オパール」
トルマリン
トルマリンは「混合した色の石」という意味を持ち、単色系から2色以上が混在したものなど、色彩が豊富な宝石です。石言葉は「愛情」「安楽」「新しい出逢い」で、ブラックトルマリンは魔除け効果、ピンクトルマリンは内面の美しさを引き出すなど色によって効果が異なります。
オパール
オパールは「貴重な石」という意味を持ち、見る角度によって色彩が変化する魅力的な石です。石言葉は「幸運」「忍耐」「希望」で、身につけることで負の感情を浄化したり、内面の美しさや才能を引き出すとされています。別名は「キューピッドストーン」で、縁結びのお守りにも用いられます。
11月の誕生石「シトリン」「トパーズ」
シトリン
シトリンはあたたかいオレンジ色が特徴の宝石で、太陽のような力強いエネルギーを持っています。石言葉は「希望」「友愛」「自信」で、心の調和をはかる効果や、希望や勇気をもたらし毎日を生き生きと過ごせるように導く効果があるとされています。
トパーズ
トパーズは色彩が豊富で、ピンク、ブルー、オレンジなどさまざまな輝きを放つのが魅力的な宝石です。石言葉は「友情」「友愛」「希望」「潔白」で、身につけることでコミュニケーションがうまくいったり、生活のあらゆる面の調和が取れるようになるといわれています。
12月の誕生石「タンザナイト」
タンザナイトは見る角度により、色が青や紫に変化する不思議な宝石で、希少性はダイヤモンド以上といわれています。石言葉は「高貴」「冷静」「自立心」で、身につけることで大人の女性にふさわしい知性や華麗さを演出してくれるといわれています。
7月から12月の誕生石一覧
誕生石 | 石言葉 | 効果 | |
7月 | ルビー | 情熱 良縁 勝利 |
スキルや活力の向上 |
8月 | ペリドット | 優しさ 前向きな心 和愛 |
マイナスな感情を浄化 人間関係を穏やかにする |
9月 | サファイア | 成功 誠実 慈愛 |
自身がつき成功へと導かれる 純潔で穏やかな愛をもたらす |
10月
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トルマリン | 愛情 安楽 新しい出会い |
魔除け より良い未来へと導かれる |
オパール | 幸運 忍耐 希望 |
内面から美しさや才能を引き出す 縁結び |
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11月
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シトリン | 希望 友愛 自信 |
心の調和をはかる 希望や勇気をもたらす |
トパーズ | 友情 友愛 希望 潔白 |
コミュニケーションがうまくいく 生活のあらゆる面の調和が取れる |
|
12月 | タンザナイト | 高貴 冷静 自立心 |
知性や可憐さを演出する 人生の岐路に立ったときに正しい方向へ導いてくれる |
誕生石の利用法
利用法の移り変わり
18世紀以前は、1月はガーネット、2月はアメシスト、3月はアクアマリンを身につけるといったように、月ごとに身につける誕生石を替える利用法が主流でした。この方法は1年間で約12種類の石が必要なので費用がかかりますが、毎月新鮮な気持ちで宝石を身につけることができるのが魅力的です。現在は自分が生まれた月の誕生石を一年中身につける利用法が主流となっています。
石を組み合わせた利用法
宝石は単体でも深い意味を持ちますが、他の宝石の石言葉と組み合わせてオリジナルのジュエリーにするという利用法も存在します。最近では2種類の宝石を組み合わせて作られたジュエリーが販売されていたり、宝石の組み合わせを試すことができるサイトも存在するため、自分で組み合わせるのが難しいという方にもおすすめの利用法です。
そのほか、誕生石は婚約指輪としても利用されていましたが、石の種類によって価格が変動してしまうことなどから、現在ではダイヤモンドのみが利用されています。
自分で楽しむ場合は月替わりで利用したり、見た目や石言葉からお気に入りのものを選ぶのも良いですが、プレゼントする場合は相手の方が生まれた月の宝石を選ぶのが無難です。
日本と海外の誕生石の違い
誕生石は1912年にアメリカで開催された「米国宝石組合大会」によって選定され、各国の誕生石もその基準をもとに選定されていますが、国の地域性や民族性などによって選定されている宝石は少しずつ異なります。
国ごとの代表的な誕生石
アメリカ | 日本 | イギリス | オーストラリア | フランス | |
1月 | ガーネット | ガーネット | ガーネット | ガーネット | ガーネット |
2月 | アメシスト | アメシスト | アメシスト | アメシスト | アメシスト |
3月 | アクアマリン | アクアマリン サンゴ |
アクアマリン | アクアマリン | ルビー |
4月 | ダイヤモンド | ダイヤモンド | ダイヤモンド ロック・クリスタル |
ダイヤモンド | ダイヤモンド サファイア |
5月 | エメラルド | エメラルド ヒスイ |
エメラルド | エメラルド トルマリン |
エメラルド |
6月 | ムーンストーン パール |
ムーンストーン パール |
ムーンストーン パール |
ムーンストーン パール |
ホワイト・カルセドニー |
7月 | ルビー | ルビー | ルビー | ルビー | カーネリアン |
8月 | ペリドット | ペリドット | ペリドット | ペリドット | サードニクス |
9月 | サファイア | サファイア | サファイア | サファイア | ペリドット |
10月 | オパール トルマリン |
オパール トルマリン |
オパール | オパール | パール アクアマリン |
11月 | トパーズ シトリン |
トパーズ シトリン |
トパーズ | トパーズ | トパーズ |
12月 | トルコ石 タンザナイト |
タンザナイト | トルコ石 | トルコ石 | トルコ石 |
アメリカの選定している誕生石とほとんど変わらない国も多いですが、フランスのように他の国とは異なる宝石を選定している国もあります。水晶を好む人が多いイギリスでは、4月の誕生石としてダイヤモンドの他にロック・クリスタルという無色透明の水晶が選定されています。日本では3月の誕生石としてアクアマリンの他にサンゴが選定されていたり、5月の誕生石としてエメラルドの他にヒスイが選定されていますが、これらは日本独自の誕生石です。
まとめ
今回は、誕生石の意味やルーツ、利用法や海外との違いなどさまざまな項目についてご紹介しました。見た目の美しさだけでなく、それぞれに石言葉が込められているという奥深さがあるのも宝石の魅力のひとつです。
あらゆる可能性やパワーを秘めている誕生石ですが、ただなんとなく身に付けるのではなく、込められた思いを意識することで石が持つパワーを最大限に発揮させましょう。