自分が年齢を重ねるに連れて、目上の人に贈り物をすることが増えてきます。
会社の上司や仲人さん、義父母などに嬉しいと思ってもらえる贈り物を贈るためには、何に気をつければよいのでしょうか。
目上の方に贈り物を贈るときには気をつけるべきマナーがいくつかありますが、たとえ目上の方が相手でも、人間同士の付き合いがあることに変わりはありません。
自分本位ではなく、相手本位に考えることできっと嬉しい贈り物を選ぶことができます。
マナーを押さえて迷惑にならない贈り物を選ぶために、今回は目上の方への贈り物について解説します。
目上の方への贈り物にはマナーがある!一言添えれば不安は解消!
年齢を重ねた目上の方は、もう何でも持っていることが多いでしょう。
食べ物も上質なものが少しあれば満足といった人が増えていくため、何を贈ればよいのか、悩んでしまうことも少なくありません。
そこで考えるのが現金や商品券を贈って、好きなものを手に入れてもらおうということです。
同年代ならまだしも、目上の方にこれはマナー違反にあたります。
現金や商品券を贈るというのは、相手に向かってお金に困っていますね、
といっているようなものだからです。
もしくはお金に困っているだろうから、これで好きなものを買いなさい、という上から目線の援助だと受け取られてしまいます。
婚礼や葬儀以外は、現金や商品券を目上の方に贈るのは止めた方が無難です。
また目上の方の中には昔ながらの伝統を大切にする人が多いため、注意が必要なこともあります。
下着や靴下など下が付くもの、スリッパやバスマットなど足の下に敷くものは、相手を下に見ている証拠。
筆記用具や時計を始めとする仕事を連想させる品物はもっと勤勉になれ、というメッセージ。
ハンカチは手を拭く布(きれ)であることから、手切れを連想させるため、別れの印。
これらのことを今の若い人はそれほど気にしていないでしょうが、ある程度の年齢の人の中には、今でもとても気にしている人がいます。
せっかくの贈り物が相手にとって、負のメッセージになるのはつまらないことです。
目上の方への贈り物なら、マナーを守ってこれらのものは避けた方が無難でしょう。
ただし、どうしてもこれらの中に、相手に使って欲しい品物がある場合もあります。
そんなときは「目上の方に筆記用具は失礼にあたることは承知していますが、どうしても〇〇様に使っていただきたい万年筆を見つけました。お納めいただければ幸いです」
と直接伝えるか、贈り物に手紙を添えましょう。
その品物を贈る理由をきちんと知らせれば、きっと相手の方もわかってくださるはずです。
目上の方への贈り物には、添える一言や手紙が大切になるのです。
贈り物に自分の気持ちが表せる!のし紙の表書きの選び方!
改まった贈り物にのし紙をかけて贈ることがあります。
のし紙は、よくお中元やお歳暮にかけているのを見かけますね。
のし紙の表書き(お中元やお歳暮、と書いてある部分)は、贈り物のときにはどうしたらよいでしょうか。
「松の葉」、「みどり」という美しい言葉が、粗品と同じ意味で使われることがあります。
松の葉に包むほどしかない、ということからほんの僅かという意味になりましたが、これは目下の人に使う言葉ですから注意してください。
目上の方に使う表書きは、「粗品」、「粗」、「粗菓」があります。
これはへりくだった表現で、ささやかな品物を贈るという意味がありますから、高価な品物のときには使いません。
ちょっとした手土産で大げさにしたくないときは、「心ばかり」という表書きもあります。
粗品だとちょっと固い感じがしますが、これは優しく使いやすい表書きですね。
「お伺い」というのも目上の方に対して使われます。
これは手土産を贈るとき以外に、病気見舞いのときにも使われます。
「謹呈」は目上の方、社会的地位の違う方に贈り物をするときに使います。
同じ目的の表書きも、これだけ色々な種類があります。
手紙だけでなく、表書きでも相手に対する自分の心を表現することができるのです。
独りよがりは迷惑の始まり?贈り物は相手を思いやる気持ちから!
いくら一言添えて、こちらの気持ちを伝えたとしても、迷惑になってしまう贈り物も存在します。
目上の方というのは、ある程度年齢が高くなります。
家族も夫婦2人だけの場合があります。
そんな人のお宅に、大量の食べ物(しかも生鮮食品)を贈るのは、感心しません。
たとえ好物であっても、食べきれない程もらっては結局捨てるはめになります。
おすそ分けをすればよいと思うかも知れませんが、消費期限が短い生鮮食品ではそれもままならないことがあります。
また、おすそ分けを考えなければならないのは、結局相手の方の負担を増やしてしまいますし、おすそ分けできずに捨ててしまうことも、相手の気持ちに大きな負担を感じさせてしまいます。
どんなに美味しいものでも、自分の故郷の名産品であっても、目上の方に贈るときには、最初は控えめな量で贈るのが、相手に迷惑をかけない秘訣です。
目上の方が相手でも、何が欲しいか尋ねてみる!
部屋に飾る絵画やオブジェなども、人によって好きなものは違います。
贈り物として差し上げたものが、もし趣味ではなかったら、もらった人はどうするでしょうか。
少しの間、我慢して飾るという人が大半でしょうが、目上の方にそんな思いをさせるのは何とかして避けたいものです。
どうしても部屋に飾るものを贈りたいなら、相手に率直に尋ねるのが一番よい方法です。
「何か部屋に飾るものを差し上げたいのですが、どんなものがよいでしょうか?
私は絵画なら、〇〇(作家の名前)が好きなのですが…」
こんなふうに尋ねてみたら、そこから好きな絵画の話につながるかも知れませんし、実は欲しい花瓶がある、というような隠れた希望を聞くことができるかも知れません。
サプライズ感はなくなってしまいますが、こうやって会話をすることで、より一層相手のことが理解できるようになれば、贈り物をする甲斐があるというものです。
独りよがりな贈り物は相手の迷惑になることがありますが、相手の希望を聞くこと、つまり相手を思いやることで嬉しいと思ってもらえるようになるのです。
楽しい時間は形がない贈り物!思いやりの心が欠かせない!
目上の方への贈り物には、相手を思いやる気持ちが大切だとわかりました。
相手が何を望んでいるのか、真剣に見極めようとする姿勢は、必ず伝わります。
相手が目上の方ならなおさらです。
目上の方は、長い人生の中で様々な人に出会って経験を積んでいます。
多少のマナー違反があったとしても、自分のことを思ってくれる気持ちは、よくわかってくれるはずです。
心を実際に見せることは難しいので、人は贈り物で、相手を思っているという心を見せようとしているのかも知れません。
物は実は二の次なのかも知れませんね。
目上の方への贈り物も心を贈る、思い出を贈ると考えてみましょう。
例えば義父母に対してなら、家族みんなの顔を見せ、楽しい時間を過ごしましょう。
そのときに子どもの成長がわかるような手作りのアルバムや、一生懸命に書いた絵などを贈ることができたらいうことはありません。
みんなで過ごすのですから、義父母の負担を減らすためにお寿司やサンドイッチなど、大勢で食べると美味しいものを持参するとよいですね。
でも、「お義母さんの作った煮物はやっぱり美味しいから、食べたいです」などと一つくらいは義父母を頼りにしてください。
誰かから頼りにされること、必要とされることは人間の生きる力になります。
何でもやってあげるほうがよい、と考えることは目上の方の孤独感を深めることになりかねません。
こんな配慮をして作る楽しい時間が、贈り物にならないはずはありません。
物にこだわらず、心を贈ると考えると、目上の方へ、もっと自由に楽しく、嬉しい贈り物ができるようになるはずです。
まとめ
今回は目上の方への贈り物について解説しました。
目上の方への贈り物は、これを選べば正解というものはありませんが、相手を思いやる気持ちを表せばよいということがわかりました。
贈り物に添える一言や、手紙、のし紙などで自分の心を相手に伝える努力をしてください。
確かにマナーは大切ですが、上手に心を表すことができれば、マナー違反などは帳消しにすることができます。
目上の方への贈り物で一番の気になるのが、マナー違反にならないか、という不安でしょうが、どうか恐れすぎずに贈り物をしてください。
現代を生きる私たちは、どの年代の人も自分と同年代の人とは上手く付き合えても、ちょっと違う年代の人と付き合うのが苦手です。
でも自分が年齢を重ねてみると、世間には自分とは違う年代の人たちの方が多いのだと気がつくのではないでしょうか。
目上の方への贈り物が、年代を越えたお付き合いができるきっかけになるとよいですね。