親戚や友人、会社の上司など身近な人が家を新築した際に贈る「新築祝い」ですが、気持ちが込められていれば何でも良いという訳ではありません。
新築祝いには基本的なマナーやギフトの選び方、メッセージの書き方など知っておくべき項目がいくつか存在します。
せっかくお祝いをしようと張り切ったは良いものの、あやふやな知識で相手を不快にさせてしまっては元も子もありません。
ここでは、新築祝いにおける基本的なマナーや守るべきポイントなどを、引っ越し祝いや移転祝いの違いと併せてご紹介します。
新築祝いって何?
新築祝いの意味や引っ越し祝いとの違い
新築祝いとは新しく住居を建てた方へ向けて、お祝いの気持ちを込めて現金や金券、ギフトなどを贈ることを指します。
新築の物件への引っ越しすべてが対象となるので、戸建てはもちろんのことマンションを新築で購入した場合や、企業の事務所・自社ビルなどを新築した場合も新築祝いに当てはまります。
ただし、自宅をリフォームした方へのお祝いは新築祝いではなく「改築祝い」や「増築祝い」となるので注意が必要です。
新築祝いと似た言葉で「引っ越し祝い」というものが存在しますが、こちらは主に中古物件を購入して引っ越した場合を対象とします。
移転祝いについて
移転祝いとは、企業のオフィスなどが「手狭になった」ことや「事業拡大」など前向きな理由で移転する際に、取引先の企業などがお祝いすることを指します。
同じ移転でも「事業縮小」や「事業から撤退」など後ろ向きな理由の場合には移転祝いは必要ないので注意が必要です。
そのほか、企業によっては移転祝いを不要とする場合もあるので、移転のお知らせを受け取った際にはお祝いの言葉とともに「移転祝いを贈ってもよいか」の確認が必要です。
目上の取引先に限らず「今後も付き合いを続けていきたい」「発展していってほしい」と感じる取引先があれば、その気持ちを込めて移転祝いを贈りましょう。
新築祝いの相場やのしについて
相場はいくら?
お祝いの相場は、贈る相手との関係性によって異なります。相手が目上の方の場合、現金や金券を直接渡すことを失礼だと感じる方もいるので注意が必要です。
新築・引っ越し祝いの場合
友人や知人 | 5千円〜1万円 |
兄弟や姉妹 | 3万円〜5万円 |
甥・姪 | 3万円〜5万円 |
娘・息子 | 5万円〜10万円 |
両親 | 5万円〜10万円 |
仕事関係の人 |
5千円〜1万円 |
移転祝いの場合
友人や知人 | 5千円〜1万円 |
兄弟や親戚 | 1万円〜3万円 |
関係が浅い取引先や下請け会社 | 1万円〜2万円 |
関係が密な取引先 | 3万円〜5万円 |
特に重要な取引先 | 5万円以上 |
のしの選び方やお祝いを贈る時期は?
のしの選び方や表書き
新築祝いや引っ越し祝いでは紅白・蝶結びの水引を使用します。
表書きには「新築御祝」「祝御新築」「御新築(引越)御祝」「御祝」などが使われます。名前は上段の文字(表書き)の下部に、名字のみもしくはフルネームで記入します。複数人で送る場合、3人以下の場合は左に並べて記入しますが、4人以上の場合は代表者の名前のみ記入し、別紙に他の送り主のリストを記載します。
移転祝いでは、現金や品物を贈る場合は蝶結びの水引を使用します。
表書きには「御祝」や「御移転御祝」などが使われます。
名前は表書きの下部に、会社名のみもしくは会社名と社長の名前を記入します。個人で送る場合は会社名を入れず、氏名のみ記入します。
花を贈る場合は、のしの代わりとして「立て札」を使用します。立て札の表書きや贈り主の名前は花の配送を依頼する業者に記入してもらいます。
新築祝いを贈る時期
新築祝いは、入居後1〜2カ月の間に贈るのがよいとされています。新居完成直後は引っ越しや手続きなどで多忙なため避けるのが無難です。新居に招待された場合はその際に渡しましょう。
移転祝いは、移転後1週間〜10日までを目安に贈るのがよいとされています。10日を過ぎた場合は品物ではなく現金や商品券などを贈るのが無難です。移転先のオフィスに招待された場合は、訪問する前に贈るか当日持参するようにしましょう。
そのほか、年配の方に贈る際は「六曜」を考慮しましょう。「大安」は縁起がよいとされている日なのでお祝い事をするのに最適ですが、「仏滅」はとても縁起が悪い日とされているため注意が必要です。
新築祝いのギフトって何を贈れば良いの?人気のギフトは?
新築祝いや移転祝いの人気ギフト
新築・引っ越し祝いとして人気のギフトとしては、鉢植えの花や観葉植物、インテリア、タオルやキッチン用品などの実用品、カタログギフトなどが挙げられます。
特にカタログギフトは、好みのものや必要なものを受け取った方が自由に選択することができるので、何を贈って良いのかわからないときや相手の好みがわからないときに最適な、人気の贈り物のひとつです。
移転祝いとして人気のギフトとしては、胡蝶蘭の鉢植えや観葉植物、お酒や雑貨類などが挙げられます。
特に「胡蝶蘭の鉢植え」は「幸せが飛んでくる」という花言葉を持ち、見た目も華やかで長持ちするので移転祝いのギフトとして人気が高いです。ただし、胡蝶蘭は移転祝いのギフトとして重宝されているだけあり、見た目だけでグレードが分かってしまうことがあるので注意が必要です。
ギフトを選ぶ際の注意点
世話が必要な花や観葉植物を贈る場合、受け取った方の負担になってしまわないように、見た目だけでなく世話のしやすさも考慮して選ぶ必要があります。
インテリアや雑貨を贈る場合、奇抜なデザインを選んでしまうと相手の趣味に合わなかったり部屋の雰囲気にそぐわない可能性があるので、なるべくシンプルなデザインのものを選びましょう。
新築祝いで選んではいけないギフトは?
火を連想させるもの
ストーブやコンロ、ライターや灰皿などの「火」に関連する物は、火事を連想させるため新築祝いには不向きとされています。同様に赤い色のギフトも火事を連想させてしまうので、よほどの理由がない限り避けましょう。
壁や柱を傷つけるもの
絵画や壁掛け時計など、使用する際に壁や柱に穴を開ける必要がある贈り物も、新築の場合は歓迎されないことが多いので避けたほうがよいとされています。
刃物やお茶
縁が切れることを連想させる刃物や、弔事の贈り物の定番であるお茶や海苔は相手によっては不快に感じる可能性があるので避けるのが無難です。
マットや履き物
スリッパや靴などの履き物、マットなどは「踏みつける行為」を連想させるため、新築祝い(特に目上の方に贈る場合)には不向きとされています。
そのほか、かばんや時計など仕事に関係する物は働くことを促す意味合いにも取れるため、マット類や履き物と同様、目上の方への贈り物には不適切だとされています。
上記以外のものでも、少しでも相手が不快になりそうだと感じる要素があるギフトは選ばないようにするのが無難です。自分で選ぶのが心配な方はカタログギフトや新築祝い専門のギフトショップを利用するのも一つの手です。
メッセージカードを書くときのポイント
お祝いの言葉で始める
「ご新築おめでとうございます」などのお祝いの言葉でメッセージを書き始めましょう。
新居のことや引越し先の地域性について触れる
住居周辺の自然の豊かさや立地の良さ、新居のすてきな部分など、引っ越し先のプラスなイメージを伝えましょう。
喜びの気持ちを伝える
「ご家族も喜ばれていることと思います」など、新居の完成や引っ越しの喜びをともに分かち合うような言葉を添えましょう。
贈り物について触れる
ただギフトを渡すのではなく選んだ経緯について触れることで、より価値のあるギフトにしましょう。
締めの言葉
「ご健勝とご多幸を心よりお祈り申し上げます」など、今後の幸せを祈る前向きな言葉でメッセージを締めくくりましょう。
送る相手との関係性によって表現を変える
関係の浅い方や目上の方に向けてメッセージを贈る場合は失礼のないようにかしこまった表現にする必要がありますが、親戚や友人など親しい方へ向けて贈る場合は多少くだけた表現でも問題ありません。相手との関係性を考慮した伝え方をしましょう。
使用してはならない言葉
「燃える」「焼ける」「倒れる」「落ちる」などの火事や災害を連想させる言葉は縁起が悪いので使用してはならないとされています。
上記に当てはまらない場合でも、読み手が少しでも不快になる恐れのある言い回しや言葉は使用しないようにするのが無難です。
まとめ
今回は新築祝いの基本的なマナーから人気のギフトやタブーなギフト、メッセージを書くときのポイントなどについてご紹介しました。
大切なお祝いなだけに気をつけなければならないことが多くあり、「新築祝いって意外と大変だな…」と感じた方もいるかもしれませんが、相手にお祝いの気持ちを最大限に伝えるためにはマナーを守ることが必要不可欠です。
正しい知識を身につけて、大切な人の一世一代の出来事を気持ちよくお祝いしましょう。