食事の作法は、国によって違いますが、今回は日本の食事の一般的な作法について紹介していきます。
日本の食事の作法は独特なものです。
ご自身の食事の作法は間違っていませんか?今回紹介する食事の作法の中には知らないことだらけという方もいらっしゃるかもしれません。
もう一度食事の作法についておさらいしてみましょう。
食事の意味知っていますか?
「食事」という言葉を常日頃私たちは使っていますが、この「食事」という言葉が意味することは何か知っていますか?生物にとっての「食事とは」命を維持し、行動するために体に取り入れる食品、食品の調理法、飲食のしきたりなど食生活に関する事柄全部を指します。
日本の食事について
日本の食生活は大きくわけて2つに分けられます。
日常の食事と年中行事や通例儀式などの正式な場での食事です。
日本では日常の食事を「ケの食生活」といい、年中行事や通例儀式などの正式な場での食事を「ハレの食生活」といいます。
l 「ケ」と「ハレ」について「ケ」とは「褻」と書きます。
ふだんの生活のことを指し、これに対して特別に改まった生活を「晴(ハレ)」といいます。
「晴れ着」など特別な日に着る着物や服のことをいいますよね。
これに対して普段着のことを「褻衣(せつい)といいます。
日本では褻晴れ(けはれ)といって日常と、儀式などの特別の日を別けていました。
現在では1日1食しか食事をとらない人、2食しかとらない人さまざまですが、古代日本において、食事は朝夕の2食でした。
鎌倉時代に貴族の間で3食とるようになり、江戸時代に1日3食が一般化されました。
日本の1日の食事に対する比重は一般的に家族が集う夕食をメインにしていることがおおく、朝、昼は軽食が主ですが、食事の比重は国によっても違ってくるので、昼をメインにしている国もあります。
元々食事は家族、グループで一緒に料理を囲んで和やかに食べるのが普通でした。
そう考えると、皆で食事をするとき、周りを不愉快にさせない食べ方というのも知っておくべきだと思いますよね。
今では1人で食事をする方も増えてきていますね。
「おひとり様」という言葉も流行しました。
「おひとり様」で食事をする場合も周りには人がいることは忘れないようにしましょう。
1人で食事をしていても誰かには見られているのですから、食事の作法には気を付けなければいけません。
食事の作法としてNGな箸の使い方、いくつ知っていますか?
日本の食事作法は日本独自の作法です。
13世紀に道元が書いた「赴粥飯法」という禅宗寺院においての食事作法が詳細に記されていますが、その内容は現在の作法を網羅した内容となっています。
室町時代には礼法の流派が作られ、包丁や箸の使い方の定義が作られました。
その時現れた小笠原流が食事作法を書いた書を無数発行したため、民間にも広まりました。
民間に広まった食事作法は、生活の一環として、年中行事や身体作法、言葉遣いと共に家庭内のしつけ教育の1つとなりました。
l 正しい箸の持ち方
1.下側の箸は手の甲と親指の付根にはさんで薬指で支える。
2.上側の箸は動かすために鉛筆をもつように、親指と手の甲ではさんで支点とし、人差し指と中指ではさみ動かしやすいようにする。
日本は箸の文化を持っています。
基本箸があれば何でも食べることができます。
正しい箸の持ち方をマスターしましょう。
l 嫌われる箸の持ち方、使い方嫌われる箸の持ち方、使い方は結構多いです。
「このやり方もダメだったの?」って思う使い方もあると思いますので、確認してみましょう。
n 嫌われる持ち方
u 握り箸二本の箸を鷲づかみにして食事に使う動作。
箸を使い始めた幼い子どもに多い持ち方です。
u 拝み箸
両手で箸をはさんで拝むような形にする行為です。
箸を持ったままいただきますっと手を合わせる行為ですね。
u 横箸
箸を二本揃えて、スプーンのように食べ物をすくい上げる動作です。
箸を舐める行為もいいます。
u 違い箸(ちがいばし)
種類の違う箸どうしを一膳にして使う行為です。
u 返し箸
または逆さ箸大勢で食べる料理を取り分ける時、箸を上下逆にして使う行為です。
また例外もあります。
懐石料理の八寸では品ごとに取り箸の上下を使い分けて返し箸を使います。
u 左箸
箸を左手で持つ行為で、箸の置く向きから椀の置く位置にも作法があります。
箸は右手で持つことが作法とされています。
u ちぎり箸
箸を1本ずつ両手で持ち料理をちぎるように使うことです。
よく見かけますね。
u 竹木箸
不ぞろいの箸で食べることです。
n 嫌われる箸の使い方
u 突き箸または刺し箸
料理に箸を突き刺す行為です。
u 仏箸または立て箸
箸をご飯に突き立てる行為です。
u 合わせ箸
料理を箸から箸へ渡す行為をいいます。
u 叩き箸
箸で食器を打楽器のように叩いて音を立てる行為です。
u 振り上げ箸
箸を手の甲より高く上げる行為です。
u 指し箸
人や物を箸で指す行為をいいます。
u 持ち箸
箸を持った手で同時に器を持つ行為です。
u 受け箸
箸を持ったままおかわりをする行為です。
u 寄せ箸
手元に器を箸で引き寄せる行為です。
u 空箸(そらばし)
食べようとして料理に箸を伸ばしながら、口に運ばず箸を引く行為です。
u 迷い箸
料理の上でどの料理を食べようかと、あれこれ迷いながら箸を動かす行為です。
「惑い箸(まどいばし)」または「なまじ箸」とも言います。
u 移り箸
または渡り箸おかずを食べてすぐにまたおかずを食べることをいいます。
いったん箸を付けたものの、それを食べずに他の品へと移ることもいいます。
u 挵り箸 / せせり箸 (せせりばし)
箸で食物を繰り返しつつく行為です。
u 楊枝箸
箸を爪楊枝代わりに、歯間に挟まった食物を取ろうとする行為のことです。
u 涙箸
汁がこぼれるような料理を食べるとき、それを取った箸から汁をこぼしながら口に運ぶ行為です。
u 探り箸
底に具が残っていないか、椀の中を箸で探る行為です。
u 洗い箸
汁物で箸を洗う行為です。
u 捥ぎ箸(もぎばし)
箸に付いた米粒などを口でもぎ取る行為です。
u 舐り箸(ねぶりばし)
箸をねぶる行為のことをいいます。
u 銜え箸 / 咥え箸 (くわえばし)
箸をくわえる行為です。
u 噛み箸
箸を噛むことです。
u 掻き箸(かきばし)
器に直接口を付けて、箸で食べ物を口に掻っ込む行為のことです、または箸で頭などを掻く行為のこともいいます。
u 橋箸または渡し箸
箸を器の上に橋のように横に渡しかけて置く行為です。
これはよくやってしまうのではないでしょうか。
食事の終わりなどに箸を器の上に置いてしまうことありませんか。
また例外として、懐石の八寸や強い肴では取り箸が渡し箸で置かれていますが、これは作法違反ではありません。
u 揃え箸(そろえばし)
箸を器に突き立てて揃えることをいいます。
u 直箸(じかばし)
大勢で食べる時、取り箸を使わずに個人の箸で直接取り分けることをいいます。
自分の分を取り分けることも、他人の分を取り分けることも当てはまります。
ただし、気心の知れた友人どうしで食べる時や、たくさん料理を食べてほしいときには、「直箸で」ということもあります。
取り箸がある場合は取り箸を使いましょう。
u 透かし箸(すかしばし)
骨のある魚の表側の身を食べた後、魚を裏返さずにそのままの状態から骨越しに、裏の身を食べる行為をいいます。
u 撥ね箸(はねばし)
嫌いなものを箸で除く行為をいいます。
u 重ね箸
一つの料理ばかりを食べ続ける行為のことです。
「片付け食い」「ばっかり食べ」とも言います。
u 込み箸
箸を使って口の中に次から次へ食べ物を詰め込みほおばる行為です。
u 落とし箸
食事中に箸を床に落としてしまうことです。
人から嫌がられる箸の使い方を紹介しましたが、何気なくしていることが実は作法ではやってはいけない使い方だったということも多々ありました。
あなたはいくつ知っていましたか。
まとめ
食事をするとき、子どもの頃親から「箸の握り方」、「食べる時は肘を付かない」など注意されませんでしたか?
そんなに厳しく言われたことはなくても、外食したりするとき行儀の悪い食べ方をしている人見かけませんか?
それがもう良いこと悪いことの分別がつくくらいの子だったりしたら、親は何も教えてないのかって思いますよね。
その時は親が笑われるだけで済みますが、社会に出る年齢に達した人が、無作法な食べ方をしていたら、今度は本人が常識のない人のレッテルを貼られてしまいます。
いくら外見の良い人でも食べ方が悪いと幻滅してしまいますよね。
そうならないためにも食事の作法をもう一度見直してみましょう。