神社は思ったよりも私たちの生活に密着しています。お正月の初詣はもちろんのこと、我が子が誕生すれば、お宮参り、七五三などでお世話になるでしょう。春と秋のお祭りが1年の大切な行事だという地域は今でも多いし、中には結婚式でお世話になる人もいます。
そんな神社ですが、参拝の仕方で迷うこともあります。自信がないという人は、この機会にしっかりと正しい参拝の仕方を知っておきましょう。
今回は、神社での参拝の仕方やマナーについて解説します。
最初に考えたい!参拝のときの服装について
神社に参拝に出かける前に、自分の服装について考えておきましょう。
神社を参拝するときには、2つの方法があります。1つは神社の社殿に上がり、神職に祈祷を受ける昇殿参拝という方法です。もう1つは、お賽銭を入れて鈴を鳴らして、手を合わせる略式参拝です。こちらは初詣などで、もうおなじみですね。
昇殿参拝は、例えばお宮参りなど、人生の節目に行うことが多く、事前に申し込みが必要です。前もって参拝をする(神様の前に出る)ことがわかっているので、スーツなどのあらたまった服装をする必要があります。
略式参拝をするときには、大げさに考えなくてもよいですが、神様の前に出るのだということは忘れない方がよいでしょう。神様の前に出ることを忘れなければ、夏でもタンクトップの上に何か1枚はおろうか、新しいTシャツを着ようかと考えることができるでしょう。
同じ人間同士でも、相手の家を訪ねるときには、きちんとした服装を心がけますよね。神様に対しても、同じ心遣いが必要になるのです。
参拝するまでの道のり・鳥居
神社に到着すると、最初に目に入るのが鳥居です。
神社の鳥居は私たちの住む世界と、神様の世界を区切る結界の役割を持っています。また、鳥居をくぐることで私たちの汚れが払われるため、できれば帽子やコートは鳥居の前で脱いでおきましょう(寒いときに無理をする必要はありません)。
また、これから神様の世界におじゃまをするわけですから、鳥居の前で一礼をすると丁寧です。私たちが誰かのお宅におじゃまをするときも、一礼をして入っていった方が丁寧な印象を受けるのと同じですね。鳥居には、左足から入りましょう。神道では左が神聖とされているので、手を清めるときにも左手からです。
参拝が終わり、鳥居から出た後も、神社の社殿の方を向いて一礼をすると、さらに丁寧になるでしょう。
参拝までの道のり・参道
鳥居をくぐると、社殿まで道が伸びていますが、これを参道といいます。
人通りの多い場所から、神社や寺院までの道のことも参道といいますが(今でも地名に表参道などと残っていますね)、神社の鳥居や寺院の山門の中の通路のことも参道といいます。
参道の中央は神様が通る場所と考えられているため、中央を避けて歩きましょう。中央を避けることで、神様への敬意を表せますし、お互いに道を譲り合うことができます。
参道は中央を避けて左側を歩くとよいのですが、伊勢神宮の内宮では右側を歩くことになっていますから、その場所での方法に従ってください。やむを得ず参道の中央を横切るときは、神様に対して頭を下げてから(または、下げながら)通るとよいですね。
参道には玉砂利が敷かれていることが多いですが、玉という字には魂や美しいという意味があるため、玉砂利を敷くことで、その場を払い清めることができるとされています。玉砂利を踏みしめると、足元から音がしますが、その音にも清めの効果があるということなので、参拝の際には、ゆっくりと玉砂利を踏みしめて音を聞いてみましょう。
参拝の前のマナー!手水舎でお清めをしよう
参道を歩き、社殿が見えてくると、次は参拝と考えてしまいますが、いきなり参拝せずに、まず自分自身を清める必要があります。
かつては参拝の前に、川や海の水で禊(みそぎ)を行いましたが(今でも伊勢神宮では五十鈴川で手と口を清めています)、それでは大変です。どこの神社にも手水舎がありますから、そこで手と口を洗いましょう。これで自分の魂まで清められたことになるのです。
手水舎とは、神社の社殿の脇などにある、手と口を清めるためのもので、水を張った水盤に柄杓がいくつか置いてあります。清める方法は、どの神社でも一緒なので覚えておくとよいですよ。
まず柄杓を右手に持ち、水をくみ、左手にかけて清めます。
次に左手に柄杓を持って、右手を清めます。
手が清められたら、口を清めます。左手の柄杓をもう1度、右手に持ち替え、左手で水を受けて口に含み、音を立てずに口をすすぎます。水を吐き出すときには、口元を左手で隠しましょう。
最後に柄を下にして柄杓を立てて持ち、流れ出た水で柄を清めれば、終了です。
先程も説明した通り、神道では左が神聖とされているため、左手を先に清めますが、利き手が右の人には、やりやすい方法ですね。
柄杓に口をつけて水を飲む、水盤に手を入れるなどは、水や柄杓を汚すマナー違反ですから、やらないように注意が必要です。
参拝の仕方!共通の方法がある?
手水舎で手と口を清めた後は、やっと参拝ができます。参拝の仕方で有名なのは二礼二拍手一礼です。
最初に賽銭箱の前に立ち、軽くお辞儀をしてから、賽銭を入れます。決して投げ入れたりせず、丁寧に入れてください。本坪鈴が下がっていたら、賽銭を入れた後に鳴らすとよいでしょう。そして2回、お辞儀をします。これが二礼です。
次に両手を胸の前で合わせて、右手を少し下に引いて位置をずらし、拍手(右手と左手を使って、パンパンと音を出します)を2回します。これが二拍手です。拍手には音で神様を呼び出す、邪気を払うためなどいろいろな理由があります。
拍手の後は両手の位置を合わます。この後、手を下ろしてもう1度深いお辞儀をします。これが一礼です。
人は神様と同じ位置にいないことが、二拍手のときに手の位置をずらすことで表わされています。拍手を2回することで神様を招き、その後に手の位置を合わせて、初めて人は神様と一体になることができるそうです(単に手の位置をずらすと、拍手の音がよくなるという説もあります)。お願い事をするなら、手の位置を合わせたとき(つまり神様と一体になったとき)にするとよいですね。
この参拝の仕方はどこの神社でも共通していますが、例外もあります。
参拝の仕方に絶対はない?
出雲大社では基本的に二礼四拍手一礼です。これが5月14日の例祭のときは、八拍手になるそうです。数字の八は神道では無限を意味しており、神様に無限にお祈りをささげる気持ちで例祭を行うことから、八拍手になったそうです。八拍手は八開手(やひらきで)とも呼ばれ、伊勢神宮の神職も祭事の際に行います。
もともと二礼二拍手一礼が参拝のマナーとして定着したのは、昭和になってからです。例外があることからもわかる通り、これが絶対ではありません。また、もともとは神職が行うもので、参拝客に強要するべきではないという考えもあります。
だから私たちもあまり形式だけにとらわれずに、神様を敬う心を大切にするようにしましょう。心を込めて手を合わせるなら、神様はマナー違反を笑ったり、怒ったりしないはずです。もし、参拝のマナーがわからないときは、神職に尋ねれば丁寧に教えてくれるはずですから、どうしても参拝の仕方を覚えてから、神社に行かなくてはなどときゅうくつに考える必要はありません。
ただし、参拝の基本を自分でわかっていれば、落ち着いて参拝できます。神様に語りかける気持ちを、お辞儀や拍手の一連の動作に込めてみてはいかがでしょうか。
まとめ
神社での参拝の仕方について、いろいろと紹介しました。これを覚えておくことで、マナー違反をする心配がなくなるはずです。
もっとも一般的な参拝の仕方は、二礼二拍手一礼ですが、これも定着したのは昭和に入ってからで、例外もあることがわかりました。あまり形式にこだわりすぎず、わからないときは素直に神職に尋ねることも大切です。
一方、手水舎で手や口を清めるとき、間違った仕方では一緒にいる人を不愉快にしてしまうかもしれません。ぜひ、この機会に正しい方法を覚えてください。
人生の節目や年の変わり目にお世話になることが多いのが神社ですが、参拝の仕方までは考えたことがない人が多いかもしれません。ぜひ、1度神社での参拝について自分でも考えてくださいね。