11月3日は、国民の祝日「文化の日」です。
毎年日付が変わらない祝日のため覚えやすいものの、具体的に何をする日なのか、由来は何なのか、よく知らない方も多いのではないでしょうか
また、文化の日について子どもにわかりやすく説明したいという親御さんもいらっしゃるでしょう。
今回は文化の日の意味や由来、文化の日に行われる行事やイベント、無料で遊べるおすすめスポットをご紹介します。
11月3日が文化の日になった意外な事実を知ることができますので、ぜひ参考にしてください。
文化の日とは?意味をわかりやすく解説!
文化の日は、国が定めた「国民の祝日」のひとつです。
日にちは毎年11月3日で、その年によって日付が変わることはありません。
文化の日の趣旨は、“自由と平和を愛し、文化をすすめる”こと。
祝日に関する法律の定義では「すすめる」とひらがなが使われていますが、これには「文化を進展させる」「文化を国民に勧める」の両方の意味が込められているようです。
文部科学省では、後ほど説明するように文化の日に関するさまざまな行事やイベントを行っています。
日本の文化を称える日として親しまれている祝日なんです。
文化の日の由来!もとは明治天皇の誕生日「明治節」だった
実は、11月3日はもともと文化の日ではなく明治天皇の誕生日「明治節」でした。
日本には天皇の誕生日を祝日にして祝う「天長節」という習慣があり、大正時代から11月3日は明治天皇の天長節として親しまれていたんです。
1912年7月30日の明治天皇の崩御に伴い、天長節は大正天皇の誕生日に変更され、明治天皇が崩御された日を「先帝祭」として祝日にしました。
しかし、大正天皇が崩御されると天長節、先帝祭ともに変更され、明治天皇に関する祝日はなくなってしまったんです。
文明開化の時代を治め、近代日本を発展させた名君である明治天皇の祝日がなくなってしまうことを惜しむ国民が多く、誕生日を祝日として残そうとする請願運動が始まりました。
これを受けて昭和2年、11月3日は「明治節」として祝日に定められたのです。
11月3日に日本国憲法が公布され「文化の日」になった
1946年(昭和21年)、終戦に伴いこの明治節に合わせて日本国憲法が公布されました。
日本国憲法は、平和と文化を重んじた憲法です。
これにちなみ、1948年に施行された「国民の祝日に関する法律」で、日本国憲法の公布日である11月3日が「文化の日」に定められたといわれています。
簡単にいうと、11月3日には
- 明治時代は「天長節」だった
- 昭和初期に「明治節」になる
- 戦後に「文化の日」と定められ現在に至る
という由来・経緯があるんですね。
文化の日が定められるまでには紆余曲折があった!
日本国憲法が実際に施行されたのは5月3日で、この日は「憲法記念日」として国民の祝日に制定されています。
つまり、
- 11月3日が日本国憲法の公布日=文化の日
- 5月3日が日本国憲法の施行日=憲法記念日
というわけですが、実はこれが決まるまでには紆余曲折がありました。
当時の日本には、現在の参議院の前身である「貴族院」というものがあり、メンバーは皇族や華族で構成されていました。
皇族や公家に近い、つまりは天皇を非常に重んじる人達で構成されていたため、彼らは明治節である11月3日を憲法記念日に定めようとしていたんです。
しかし、敗戦後の日本を支配していたGHQ(アメリカ政府が設置した占領機関)はこれに強く反対。
日本人を強く団結させてきた「天皇=神」という考え方をなくして再び戦争になることを防ぐため、憲法記念日を5月3日にするよう日本に求めたのです。
国民の投票によって選ばれた議員で構成されていた衆議院は、貴族院と違い11月3日を憲法記念日にすることにそれほどこだわりませんでした。
そのためGHQの意向に沿い、5月3日を憲法記念日にすることに同意したのです。
日本とGHQの交渉により11月3日が文化の日になった
こうして5月3日を憲法記念日にすることで落ち着きましたが、どうしても11月3日の祝日を残したかった日本。
11月3日を「文化の日」として祝日にするのはどうか、と打診し、GHQもこれを飲みました。
GHQとしては、皇室や神道に関する祝日はなくしたいものの、ある程度日本人の意向も汲み取ってうまく統治したいという考えがあったのでしょう。
このままでは、上で出てきた「国民の祝日に関する法律」の公布に伴い11月3日の祝日が完全になくなってしまいますから、そうなると国民の反感を買ってしまうと考えたのかもしれません。
文化の日は、表向きには「日本国憲法の公布日だから」祝日になったとされています。
しかしその由来を見ると、もともとは明治天皇の誕生日を祝う祝日だったけれども、戦後の事情があって「やむを得ず文化の日に改名された」というほうが近いようですね。
明治天皇に対する、日本人の熱い思いが隠された祝日だったのです。
文化の日がなくなる!?明治の日に改名する動きも
これまでご説明したように、11月3日はもともと明治天皇の誕生日「明治節」でした。
そのため、一部の国会議員や民間の間では11月3日を「明治の日」に改めようとする動きがあるんです。
民間団体の「明治の日推進協議会」が主体となり、明治の日制定を目指して署名運動を行ったり、政府へ働きかけたりしています。
また、2018年5月には「明治の日を実現するための議員連盟」が自民党の有志議員により設立され、百名以上の賛同者をもって明治の日実現を目指しています。
2018年12月には、明治の日に改称する祝日法改正案の原案をまとめたとのこと。
昭和天皇の誕生日は3回の廃案を経て「昭和の日」として祝日になっていますから、この教訓を活かして早期の「明治の日」成立を目指したい、としています。
文化の日に楽しめる代表的な行事・イベント
ここからは、文化の日に開催される代表的な行事を見てみましょう。
文化勲章
科学技術・芸術など文化の発展や向上に大きく貢献した人へ勲章を授与する行事です。
毎年5人ほどが選ばれ、皇居で天皇陛下から勲章を直接授与されます。
前年までに「文化功労者」に選出された人のなかから受章者が選ばれます。
文化功労者
文化の発展や向上に多大な貢献をした人を顕彰する制度です。
終身年金(350万円)が支給されます。
文化勲章よりも多くの人が選ばれ、文化人のなかでは同勲章に次ぐ栄誉な称号と考えられています。
文化庁主催の芸術祭
日本のさまざまな芸術作品の展示や公演を行う、文化庁主催の祭典です。
毎年10月から11月の間に開催されます。
開催地は関東圏(主に東京)と関西圏(主に大阪)。
優れた成績を収めた個人・団体には「文化庁芸術祭賞」が贈られます。
学校の文化祭や各地の芸術祭
文化の日には多くの学校で文化祭が開催されます。
また、各地で以下のような大規模な芸術祭が行われますよ。
お近くの方はぜひ訪れてみてください。
- ヨコハマトリエンナーレ…3年に1度横浜で行われる、現代アートの国際展
- 瀬戸内国際芸術祭…瀬戸内海の島々や港で開催される、「海の復権」をテーマにした芸術祭
- 六甲ミーツ・アート…兵庫県の六甲ガーデンテラスで行われる現代アート展
- 大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ…新潟県十日町市・津南町で3年に1度開催される、世界最大級の国際芸術祭
文化の日に無料で遊べるスポット!
文化の日には、さまざまな美術館や博物館が入場料無料のサービスを行います。
ほんの一部ではありますが、首都圏のおすすめスポットをご紹介しますね。
国立科学博物館(東京・上野)
日本で唯一の国立科学博物館で、自然や科学などについて幅広く学べます。
文化の日は入場料が無料になります(常設展示のみが対象)。
恐竜の全身骨格、化石、はく製といった展示が楽しめますよ。
日本館の3階に展示されているフタバスズキリュウの復元骨格は必見です。
住所 | 東京都台東区上野公園7-20 |
アクセス | 上野駅(公園口)から徒歩5分 |
開館時間 | 9:00~17:00(金・土は20:00まで) |
NHKスタジオパーク(東京・渋谷区)
NHKの人気番組のキャラクターと一緒に学びながら楽しめる、体験型のテーマパークです。
定期的に無料公開デーを設けており、11月1日~4日の間も無料で入場できます。
「キッズワールド」には、おかあさんといっしょ、いないいないばあっ!、みぃつけた!などの世界観を楽しめるアトラクションがありますよ。
住所 | 東京都渋谷区神南2-2-1 |
アクセス | 渋谷駅・原宿駅・明治神宮駅・代々木公園駅から徒歩12分 |
開館時間 | 10:00~18:00 |
国営武蔵国営武蔵丘陵森林公園(埼玉・比企郡)
全国で初めての国営公園で、広さはなんと東京ドーム65個分。
文化の日は入園料が無料です。
日本一大きなトランポリンをはじめとする24種類以上の遊具、バーベキューの施設などがあり家族で遊ぶのにぴったり。
都市緑化植物園では、四季折々の草花や風景が楽しめます。
住所 | 埼玉県比企郡滑川町山田1920 |
アクセス | 森林公園駅または熊谷駅からバスに乗り換え |
開館時間 | 11月1日~11月30日は9:30~16:30(時期によって異なる) |
文化の日の由来を知って祝日をより楽しもう!
文化の日は、もともとは明治時代の明治節から始まった歴史ある日本の祝日です。
表向きは日本国憲法の公布日にちなんでいるとされていますが、実は明治天皇を敬う日本人の心が色濃く反映された祝日でした。
文化の日にはさまざまな国の行事や芸術祭が開催され、入場料が無料になるスポットもたくさんあります。
ぜひご家族で遊びに出かけたり、お一人でゆっくりイベントに参加してみたりして、日本の文化を楽しく学んでみてはいかがでしょうか。