「みどりの日」のことはもう誰もが知っていますね。
いうまでもなく、ゴールデンウィークの中の1日ですが、このみどりの日は2006年を境に日付が変わっています。
みどりの日の日付が変わった理由や、そもそもみどりの日にはどんな由来や意味があるのか、そしてどんな行事が行われているのか、改めて考えてみると知らないという人が多いのではないでしょうか。
今回はみどりの日について解説します。
みどりの日の由来や意味を知ることで、もっとみどりの日が大切な祝日に感じられるようになりますよ。
「みどりの日」の意味と由来!そして日程!
現在のみどりの日は、5月4日です。
みどりの日という名称ができたのは1989年(平成元年)のことです。
できた当時のみどりの日は、4月29日でした。
1989年以前、4月29日は天皇誕生日として国民の祝日になっていましたが、昭和天皇の崩御により、元号が平成に代わり、天皇誕生日も現在の天皇陛下の誕生日、12月23日に変更されることになりました。
本来なら4月29日は祝日ではなくなるところでしたが、ゴールデンウィークの中の祝日が1日減ることで、国民の生活に影響が出ては困りますから、4月29日を祝日のまま残すことになりました。
こうして4月29日はみどりの日と名称を変更して、祝日として残されました。
その後、みどりの日は国民の休日だった5月4日の名称になり、現在に至っています。
昭和天皇は生物学者として有名でしたが、生物とともに自然を深く愛していて、植物にもとても造詣が深い人物だったといわれています。
ゴルフ場として整備されていた吹上御苑(現在の皇居・吹上地区)の使用を停止、一切人の手を加えないようにして、現在のような森を復元されたのは有名な話です。
現在でも吹上御苑は都心の中で、ビオトープのような存在となっています。
自然を深く愛した昭和天皇を偲ぶために、自然をイメージさせる「みどり」という言葉が取り入れられ、4月29日の名称はみどりの日と変更されました。
紆余曲折!「みどりの日」が5月4日に落ち着いた理由!
では、なぜみどりの日は5月4日に移動になったのでしょうか。
そもそも5月4日は、1985年まで祝日でも休日でもありませんでした。
5月3日と5日は祝日でしたが、そうではない4日には平常通り出勤や通学をしなければなりませんでした。
こうした祝日と祝日の間に平日が挟まっている状態を飛び石連休と呼んでいたのを、覚えている人もいるのではないでしょうか。
1985年に祝日法が改正されて、祝日と祝日の間の1日が平日の場合は、その日を国民の休日にすることが決まり、やっと3連休が保証されるようになったのです。
2007年には、5月4日がみどりの日となったことで、晴れて国民の祝日になることができました。
残された4月29日は昭和天皇と昭和という時代を忘れないために、「昭和の日」と名称を変えました。
2007年といえば、平成になってからすでに18年が経過して、昭和の時代が遠くなりつつありました。
昭和は第2次世界大戦をはさんだ激動の時代でしたから、祝日として名前を残し、昭和が風化することを防ごうとしたのでしょう。
「みどりの日」がひらがな表記になった意味と由来!
ところでなぜみどりの日はひらがなで表記されているのでしょうか。
そこには様々な憶測が囁かれています。
まず緑と漢字で書いてしまうと、限定的なイメージになるという説があります。
植物は必ずしも緑色ではありませんが、ひらがなでみどりと表記することで、自然や国土といった大きなイメージを連想させるからという理由があるそうです。
それにみどりと読む漢字は一つではありません。
緑・翠・碧と3つの字があり、意味が少し違います。
最も代表的な字はやはり緑ですが、これには成長した草木の色という意味があります。
翠はメスのカワセミの羽の色を意味しています。
カワセミのオスの羽は美しいブルーですが、メスの羽は青みがかったみどり色です。
最後の碧には、青色の美しい石の意味があります。
日本では昔、青とみどりは最初同じ色でした。
そしてこの漢字1字には、青とみどり、そして青みどりという3つの意味があるのです。
あえて、ひらがなでみどりと表記することで、緑・翠・碧のすべての意味を込めることができます。
植物・生物・鉱物(大地)のすべての意味が込められるため、緑の日と表記するよりも、大きなイメージになるのは確かなようです。
それにひらがな表記は雰囲気が優しくなり、小さな子どもにも読めるというメリットもあります。
祝日の名前をひらがな表記することには、賛否両論があるようですが、みどりの日はゴールデンウィークにピッタリの優しいイメージになったように思われます。
この名前を私たちは大切にしていきたいですね。
楽しい?「みどりの日」と「みどり月間」に行われる行事!
みどりの日を含む1ヶ月間(4月15日から5月14日)をみどりの月間として、「みどり」に関する行事が各地で行われます。
緑豊かな日本の自然を守って、国民がよりよい生活を送るため、みどりの日の目的やねらいを広く世間に拡めるために、みどり月間は制定されました。
行事は、京都御苑や吹上御苑での自然観察会など、バラエティーに富んでいます。
新宿御苑では大人から子どもまで楽しめる「新宿御苑みどりフェスタ」が開催されます。
オリジナル木工グッズ作りやタラヨウという木の葉に字を書く体験に人気があるそうです。
紙が貴重だった時代に、タラヨウは字が書ける葉として有名だったようです。
今では中々できない体験ですから、1度は出かけてみたいですね。
また、みどりの日には都立動物園、都立庭園は無料で公開されます。
都立の施設だけでなく、国立科学博物館と各地の国公立公園も無料で公開されます。
屋外で楽しむことが気持ちのよい季節です。
みどりの月間の行事を、出かけるためのきっかけとして上手に活用したいですね。
みどりに関する行事の締めくくりは、日比谷公園で行われる「みどりの感謝祭」です。
すでに農林水産省・林野庁の主催で28回も開催されている感謝祭は、5月の第2土曜、日曜に行われています。
お役所が主導している行事ということで、お堅いイメージを持つ人もいるでしょうが、大人から子どもまで楽しめる行事になっています。
森づくり活動や木づかい運動の紹介はもちろんですが、木のクラフトやジビエ料理の販売までしています。
普段は忘れがちな自然への感謝を、こうした行事をきっかけに思い出せるとよいですね。
もし公園のようなみどりを感じられる場所が、一切なくなってしまったら、多分私たちの生活は潤いのない寂しいものになってしまうに違いありません。
忘れてはダメ!「みどりの日」の表彰式は大切な行事!
普段は自然への感謝などは考えない人が多いでしょうが、そうすると自然は次第に衰退していきます。その衰退を食い止めるために、日本中でたくさんの人たちが価値のある活動をしています。
その活動を称えるための表彰式もみどり月間に行われる大切な行事です。
具体的には、以下のような場合に自然環境功労者として、環境大臣から表彰されます。
- 自然を守るための活動に特色があった場合
- その土地特有の野鳥や小動物を守る活動をした場合
- 自然と触れ合うための活動や行事を行った場合
- 自然を守るための調査や研究をした場合
です。
1999年度から表彰式が行われていて、2018年度は38件が選ばれて表彰されました。
表彰を受けるのは、自然保護のために作られた団体のこともありますが、小学校や中学校も表彰されています。
このような子どもたちが成長すると、将来頼もしい存在になってくれそうです。
私たちも希望が持てますね。
自然を守るとか自然に親しむなどというと、何だかうさん臭いと感じる人もいるかも知れませんが、所詮は人間も自然の中の一部です。
自然を守るのは、結局は自分自身を守ることに繋がります。
みどりの日には行事として、こんなことも行われているんだと、ぜひ覚えておいてください。
そうすれば自然を守る活動に参加することはできなくても、例えば、ゴミのポイ捨てはしない。など環境保護のために小さなことをやってみる気持ちになるのではないでしょうか。
それはきっと自分なりの自然を守る活動に繋がっていくことでしょう。
まとめ
今回は「みどりの日」の意味や由来、どんな行事が行われているかについて解説しました。
みどりの日ができた経緯を知ると、様々なことを考えさせられます。
新しく祝日ができたときに、ただ休みが増えたことを喜ぶだけでなく、なぜこの日が休みになったのかを考えることも大切ですね。
みどりの日の楽しい行事に参加して、自然の大切さを考えるきっかけにできればよいですね。
またみどりの日は、自然を守るために様々な活動をしている人たちが、表彰式で脚光を浴びる日でもあります。
私たちも一歩踏み込んで、自然を守るためには自分に何ができるのかを考えてみたいものです。