「5月5日はこどもの日」我が国に住む人の多くが、こどもの日というものを知っているでしょう。
しかし、実際はどんな由来から始まり、どんなことをして過ごすのか、そもそも何のための行事なのか、なぜ祝日なのかということをよく知らない人も多いのではないかと思います。
ここでは、こどもの日について詳しくご紹介します。
こどもの日の由来とは?
5月5日はこどもの日と言われています。
この日は、端午の節句とも呼ばれ、男の子の健やかな成長を感謝し、さらなる加護を願う行事です。
もともとは、中国から伝わった5節句のうちのひとつであり、日本では鎌倉時代頃から、男の子が立派に成長していくためのお祝いとして定着してきましたが、現在では子供達すべての成長を願う日となりました。
我が国の祝日法第二条では、「こどもの日 五月五日 こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する。」と定められており、この日は国民の祝日となっています。
こどもの日は、ゴールデンウィークを構成する祝日のひとつにあたるため、この日は親子水入らずで過ごすという家庭も少なくありません。
こどもの日にはどんなイベントをするの?
こどもの日には、一般的にどのようなイベントをするのでしょうか。
多くの家庭が、ゴールデンウィークの休みを使い家族でお出掛けや帰省をしたり、少し豪華な食事を楽しんだりして過ごしています。
健康祈願のために、しょうぶ湯に入ることもありますし、男の子の居る家では、こいのぼりや五月人形、兜などを飾り、端午の節句をします。
女の子がいる家庭でも、兜をかたどったパイを作ったり、こいのぼりをかたどったケーキを作ったりしてこどもの日を楽しんでいます。
こどもの日には、全国各地で親子向けに開催されるイベントが行われています。
遊園地や水族館、動物園や美術館など子供が楽しめるスポットで通常より割引きした金額で楽しめたり、天気が良ければ公園やキャンプ場などで自然体験やアウトドアを楽しむこともできます。
書店や図書館などでは読み聞かせ、紙芝居などのイベントが行われることもあります。
無料で参加して楽しめるイベントも多くありますので、ゴールデンウィーク前に調べて見ても良いでしょう。
たくさんのこいのぼりが飾られる施設などもあるので、眺めるだけでもこどもの日らしさを満喫できるでしょう。
特別な外出をしなくても、自宅で一緒に料理を作ったり、工作をしたり、いつもはむずかしい活動で楽しんでも子供達にとって良い思い出になるでしょう。
こどもの日は、何も特別な事をしなくても構いません。
子供の成長を祈り、親子で楽しく過ごすことが大切なのです。
こどもの日の縁起物
こどもの日に用意する縁起物といえば、かしわ餅、ちまき、鰤など出世魚が思い浮かびます。
では、なぜこれらの食べ物が縁起物と言われているのでしょうか?まず、かしわ餅ですが、柏は昔から「子孫繁栄をもたらす縁起の良い木」といわれています。
柏の葉は、春に新しい芽が出てくるまで古い葉が落ちません。
そのため、子供の成長を見届けてから世代交代をする=親が長生きして家系が途絶えないという良いイメージがあるのです。
そして、縁起を担ぎ、かしわ餅に葉を用いているのです。
かしわ餅は、上新粉で作った餅で餡を包み柏の葉で巻くのですが、柏の葉の巻き方で中身の餡が分かるようにしてあります。
小倉餡は葉の表を向け巻く、味噌餡は葉の裏を向けて巻くといった具合です。
このことを知っていれば、間違えて買うといった事態を防げるのではないでしょうか。
ちまきはもともと中国北部から伝わってきた食べ物です。
中国では入水自殺をした偉人を悼み、その供養のために川に投げ込まれるようになったのがちまきだと言われています。
日本では、無病息災を願い邪気払いをするために食べられています。
アジア圏の国では、ちまきを食べる文化が根付いており、どの国でも独自のちまきが作られています。
我が国のちまきには2種類あり、味付けをしたもち米やさまざまな具を巻く中華ちまきも食べられていますが、こどもの日に用いられるちまきは甘いものです。
地域によっては米粉で作った餅に餡を入れたり、葛餅で作ったり、きなこや黒蜜、砂糖醤油などを付けて食べるちまきもあります。
また、笹で巻くものもあれば、マコモの葉で巻いている物もあります。
関東地方では主にかしわ餅、関西地方では主にちまきを食べる習慣があります。
しかし、両方を食べる地域もあるため親子の好みで決めても良いでしょう。
こどもの日には、子供の成長と出世を願い出世魚である鰤の料理を食べることもあります。
好きな料理にして食べるのが一番良いので、家庭の好みの食べ方で調理されます。
また、こどもの日の縁起物として代表的な物に、しょうぶ湯があります。
しょうぶはニラのような形の植物で、こどもの日辺りにスーパーなど様々な場所で売られています。
昔、中国では5月頃から始まる雨季に病気が増えるとされていて、厄払いの為にしょうぶ湯に入り、強い香りで邪気退散をしていました。
現代の日本では、その習わしを引き継ぎ、子供の厄払いと成長祈願のためにしょうぶ湯に入ります。
しょうぶには天然のアロマ効果があり、リラックスや肩こり腰痛予防に効果的です。
こどもの日になぜこいのぼり?
子どもの日には、男の子の居る家庭以外にもさまざまな場所でこいのぼりが飾られます。
では、こいのぼりを飾ることにどんな意味があるのでしょうか? こいのぼりは、一番大きくて黒い鯉を真鯉、2番目の大きさで赤い鯉を緋鯉、小さくて青い鯉を子鯉と言います。
真鯉は父親、緋鯉は母親、子鯉は子供に例えられ、家族がそろって大空を優雅に泳ぐ姿は人生のように感じられます。
こどもの日に飾られるこいのぼりには、これらの鯉の他に、矢車や5色のカラフルな吹き流しを付けるのが一般的です。
鯉は流れの強い川でもぐんぐん登り、滝でさえも登ってしまうくらい強く逞しい魚です。
また、鯉は清流でも池でも沼でも生きることが可能な強い生命力も持ち合わせています。
そんな強い魚にあやかり、子供達が元気に成長していくよう願いが込められているのです。
こいのぼりの先端に付けられている車輪型の矢車にも意味が有ります。
矢車は、風吹かれるとクルクル回り、カラカラと音を立てます。
この音は神様が下りてくる際の目印と言われているのです。
また、5色の布を使い作られている吹き流しも、邪悪なものを払うという意味が込められています。
吹き流しは、赤・青・白・黄・黒の5色が使われており、古代中国の五行説という思考に基づいています。
五行説は、世の中は火・水・木・金・土から成り立ち、互いに影響を与え合うという考えです。
吹き流しはこの五行説に基づき、赤は火、青は木、白は金、黄は土、黒は水として子供を邪気から守っているのです。
こどもの日になぜ兜?
こどもの日になぜ兜を飾るのか知っていますか?現代になじみのない鎧兜を不思議に思う人も多いのではないでしょうか?鎧兜を飾るのは、鎌倉時代の頃に遡ります。
この頃の武家社会では、端午の節句に虫干しを兼ねて外に旗幟を飾り、屋内に鎧兜などを飾りました。
災いが入ってくるのを防ぐため、鎧兜を屋外に飾るところもありました。
武家社会の文化が庶民の間に広まったのは、江戸時代です。
庶民の家庭には、鎧兜はなかったため、鎧兜に似せた物を作るようになりました。
鎧兜は昔から身体を守るために使われていたため、鎧兜が悪いものをはねのけて、命を守ってくれるようにという願いが込められています。
また、飾るスペースの都合上、現代では鎧が省かれ兜のみになっています。
兜がない家庭でも、こどもの日に魚の兜焼きなどを食べたりすることがあります。
お祝いの目出度いにあやかり、鯛の兜焼きを作る家庭も多くあります。
五月人形の選び方は?
こどもの日に五月人形を飾る家庭もあります。
五月人形には、男の子に勇ましく育ってほしいという願いが込められています。
しかし、五月人形にもさまざまな種類があり迷ってしまいます。
凛々しい武者人形もあれば、キャラクターものまであり、どの人形を選べば良いのか悩みます。
五月人形のモデルは多くが坂田金時(金太郎)、源義経(牛若丸)、武蔵坊弁慶、鍾馗、桃太郎、徳川家康、上杉謙信などです。
それぞれ、歴史上で非常に活躍した人物達です。
金太郎は幼少期から怪力を持ち、生涯活躍した武将です。
牛若丸は武芸の達人で知られています。
弁慶は豪傑で知恵と怪力を持ち合わせた人物でした。
鍾馗は中国の道教系の神であり、疫病や邪気から守ってくれます。
桃太郎は優しい心を持ち、徳川家康は天下を納めた武将です。
上杉謙信も強く逞しい武将でした。
このように、さまざまな偉人を模した五月人形がありますので、子供にどう育って貰いたいのかを考えながら選ぶと良いでしょう。
まとめ
こどもの日は、ゴールデンウイークの祝日のうちのひとつです。
子供達の健康と成長を祈願することが目的のお祝い事ですので、家族で外出しても、ゆっくり自宅で過ごしても良いものです。
男の子の居る家庭では、端午の節句としてこいのぼりや五月人形、兜などを飾ることもあります。
縁起物としてかしわ餅やちまき、鰤や兜焼きを用意し、しょうぶ湯に入るという風習を大切にしているところもあります。
しかし、近年では、あまりしきたりには拘らず、こいのぼりを模したケーキやちらし寿司、兜型の春巻きなどを作り親子で楽しむということも増えてきました。
家族皆が揃い、楽しく過ごすことが何よりのお祝いになることでしょう。