「忌中」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?なかなか馴染みのない言葉なので、聞いたことがあっても意味がいまいち分からない・・・
なんていうことも有るかもしれません。
忌中や喪中では独自のマナーなどがあり、知らないと非常識だと思われてしまいます。
ここでは、そんな忌中についてを詳しくご紹介します。
忌中とはどんなもの?
家族が亡くなった際、亡くなった日から四十九日が経過するまでを、一般的に忌中と呼びます。
忌中には、なるべく外部との接触を避け、身を慎んだ行動をとる心掛けが必要になります。
具体的には、慶事や祭りへの参加を避け、なるべく自宅で過ごすようにします。
昔は、忌中というと家の門扉を閉ざし、完全に外部との接触を断ち、酒肉も絶ち精進料理を食べて過ごしていました。
しかし現在では、生活のために仕事をしたり、将来のために勉強をすることが必須となっているため、仕事や学校には通常通り行き、食生活も普段通り行うことが一般的になっています。
このように、忌中は身を慎む期間とされています。
忌中が過ぎるとその後喪中に入ります。
この忌中と喪中を合わせた約一年の期間を「忌服」と呼んでいます。
忌中の考え方にはさまざまなものがあり、現代では四十九日間ではなく、七日間として初七日法要で忌明けとなる場合も出てきました。
忌中の読み方は?どんな意味があるの?
忌中は「きちゅう」と読みます。
前述の通り、家族に不幸があった際、その亡くなった火から四十九日間が過ぎるまでを忌中としています。
この間は、なるべく他者との関わりを避けることとされています。
日本では、昔から死は忌まわしいことで、死による穢れを他人にうつすことがないように一定期間時間を置いていました。
明治時代に発令された「服忌令」では、外部の人との接触を断つため門扉を閉ざし、喪服を着て過ごすようにとされていました。
現代では「服忌令」は廃止されていますが、穢れが残る忌中のうちは避けた方が良いことだけは今でも言い伝えられています。
忌中の期間はいつからいつまで?
一般的に忌中は、家族が亡くなった日から四十九日までとされています。
その期間の後は、更に一定期間喪中に入ります。
尚、喪中が明けるのは、およそ一年後となっています。
以前は故人との関係性や男女差で忌中や喪中の期間も異なっていました。
しかし、現在ではその差はほとんどなくなりつつあります。
死者の魂が四十九日までこの世に残るという解釈からも、忌中は四十九日までとするのが良しとされているためです。
以前定められていた忌中の期間は以下の通りです。
- 夫・父母・・・50日間
- 祖父母・・・30日間
- 妻・兄弟姉妹・おい・めい・おじ・おば・・・20日間
- めい・養子・・・10日間
- 妻の父母・・・なし
仏教での忌中は、亡くなった日から四十九日の忌明け法要まで、神道では亡くなった日から五十日祭まで、キリスト教ではおよそ一カ月後の召天記念日か五十日祭までとなっています。
現在は、基本的に学校や会社などで忌引きとして、一定期間の休みがもらえるようになっていて、忌引きでの休暇は社会的に認められています。
忌引きとして休める期間は、故人との関係性によりますが、一親等の親族で一週間前後、二親等で3~5日程が一般的です。
忌引きの期間は会社や学校などの規定で決められていますので、事前に確認しておくと安心です。
忌中の際のマナーは?何を避けるべき?
忌中には、独自のマナーがあり、避けなくてはならない事柄があります。
では、一体どんなことを避けるべきなのでしょうか。
まず、神社へ参拝することを避けましょう。
神道では、人が亡くなってから50日目までを忌中として、特に穢れを遠ざける傾向にあります。
神様の領域に死による穢れを持ち込むことは、タブーなのです。
喪中であっても神社によっては参拝を避けて欲しいというところもあります。
忌中を明けた喪中に七五三などの行事で出向きたい場合は、事前に神社へ相談してみましょう。
どうしてもという理由であれば、鳥居の外でお祓いを受けてから入れるとしている神社もあります。
また、同じ理由から年末年始の初詣や二年参りなども避けましょう。
お守りを返す際などは、やはり神社へ連絡をし、郵送などで対応すると良いでしょう。
尚、寺院への参拝は仏教上供養の一環とされるため問題ありません。
忌中に結婚式などを開くことは避けましょう。
結婚披露宴は予約の都合もありますが、忌中期間の場合、基本的には延期をします。
同様に、入籍も延期をした方が無難です。
慶事(祝い事)への参加も忌中には避けるのが一般的です。
おめでたい空気を忌中で穢されたくないと考える人も多いものです。
そのため、忌中になることが分かった時点で出席のお断りを入れるのがマナーです。
御祝いを贈るのも、忌中は避けると安心です。
忌中が明けてから、御詫び状と共にお渡しすると良いでしょう。
お歳暮やお中元などの贈り物にも注意が必要です。
お歳暮やお中元は御祝いとは違い、お礼にあたるため贈ること自体は問題ありません。
しかし、贈られた側が「忌中の人から贈られた」と気にする場合がありますので、その際にはお渡しする時期をずらすと安心です。
その他、旅行や飲み会などもなるべく慎むようにしますが、この辺の行動は、自分の気持ちや同行者の意向で相談するのが一番です。
忌中は神棚を封じるようにする
自宅に神棚を置き、日常的にお参りをしている家庭も少なくありません。
しかし、そんな家庭で不幸があった場合はどうすれば良いのでしょうか。
結論からいえば、忌中の期間は神棚を封じ、お参りをするのは控えます。
神棚は、いわば家の中にある神社です。
神に死の穢れを近付けないよう、神棚には半紙などを貼り、忌明けをするまではお参りすることを避けます。
忌明けをしたら、半紙を外し、今まで通りお参りをすることができます。
身内が亡くなったら、忘れずすぐに神棚を封じるようにしましょう。
忌中と喪中の違いは?
忌中と呼ばれる四十九日間が過ぎると、それからは喪中となります。
喪中は故人が亡くなった日からおよそ一年です。
忌中と喪中はどちらも基本的に身を慎んだ行動を心掛ける期間で、過ごし方に特別な差はありません。
しかし、近年では忌中を明ければ、自己判断で慶事への参加も認められてきました。
前述の様に、神社への立ち入りやお参りは喪が明けるまでは控えた方が安心ですが、それ以外は自分の気持ちや相手と相談し、徐々に参加をしていっても良いでしょう。
また、忌中や喪中を極端に意識するあまり行動を制限し過ぎると心身ともにストレスとなります。
親しい人を失くした悲しみを癒やすためには、ある程度の息抜きも必要なのです。
忌中の貼り紙
人が亡くなった家の玄関に「忌」や「忌中」と書かれた紙やお札が貼られているのを見たことがある人も居るのではないでしょうか?
これは、忌中紙(きちゅうし)と呼ばれるものです。
現代の特に都市部では、この紙を貼る家庭は少なくなりましたが、昔からの風習を重んじている地域では、いまだに忌中には忌中紙を貼り、外部の人間に「この家庭は忌中である」ということを知らせています。
この紙は、四十九日の法要及び納骨が終えられるまで貼られることが一般的でした。
現代では、近所付き合いも希薄になり、なかなか目にすることも減りましたが、もし忌中紙を目にしたらお悔やみを述べましょう。
忌中や喪中に近親者が亡くなった場合は?
忌中や喪中の期間中に、新たに別の近親者が亡くなるようなことがあった場合は、後に亡くなった日からまた忌中や喪中を重ねます。
このように、忌引きや喪中が重なっていることを「重忌服」といいます。
この場合、後に亡くなった人の忌中や喪中が終わって初めて喪が明けます。
また、遠くに住む親族が亡くなったことを後日知ったような場合、その事実を聞いた日から喪に服すのが一般的です。
このことを「聞き喪」「聞き忌」と呼びます。
昔は現代の様に通信手段が発達していなかったため、身内の不幸をしばらく知らないということもありました。
しかし、近年では手軽に連絡ができ、すぐに知らせることが可能になりましたので、「聞き喪」「聞き忌」は稀なものになってきました。
まとめ
忌中とは、身内に死者が出た場合、他の人へ死という忌まわしいものを近付けないよう、自ら外部との接触を絶つ期間となります。
現代では、昔の様に完全に交流を絶つことはできませんので、身を慎んだ行動をするように心掛けています。
忌明け法要が終わると、今度は喪中に入りますが、喪中でも避けなくてはならないことがありますので注意しましょう。
特に忌中・喪中期間に神社に立ち入ることは最大のタブーとされています。
もし知らずに入ってしまった時は、その神社の神職にすぐに相談してみましょう。