お通夜や葬儀に出席できなくても、せめてご遺族の方に香典をお渡ししたいですよね。香典を代理人に頼む際に注意すべき点、代理人を頼まれた際に注意すべき点をまとめました。特に会社関係の葬儀などに出席される場合は、独特なルールがあります。きちんとマナーを押さえ、恥をかかないようにしたいですね。
香典を代理で渡してもいいの?
人の不幸はいつ起こるかわかりません。通夜や葬儀に出席できないことも起こり得ます。そんなとき、
体調不良や出張で遠方にいる場合などには、お通夜やお
- 葬式
に出席することは香典を代理人に託すことはできるのでしょうか。
やむを得ない場合はOK
難しいですよね。また取引先に不幸があっても、上司の都合が悪いこともあります。そういったやむを得ない状況の場合、代理人に香典を渡してもらっても問題ありません。
ただし代理を依頼する側・代理人側の双方に、いろいろ配慮すべき点があります。今回の記事で、詳しくご紹介していきますね。
他の手段も考えてみる
香典は、必ずしもお通夜・お葬式の日に渡さないとダメ、という決まりはありません。後日弔問に訪れた際にお渡しするという方法や、現金書留で送るという手段も検討してみましょう。無理をしてまで、代理人の方に香典を渡してもらう必要はありません。
現金書留を利用する場合でも、必ず不祝儀袋を用意します。不祝儀袋には氏名・住所を記入し、香典を納めます。それを専用の封筒に入れて送ります。
封筒だけでなく、不祝儀袋にも氏名などを書いておくのがポイントです。封筒から出したとき、誰からの香典かわからなくなるのを防止できるからです。お悔やみ状を同封すれば、より丁寧な印象を持ってもらえるでしょう。
代理を頼む際の注意点
代理人に香典を託す場合、どのように依頼すればよいのでしょうか。
ご遺族に連絡を
まずはご遺族に、通夜・葬儀を欠席する旨を伝えます。伝え方は、電話・メール・弔電が一般的です。
欠席の理由は、あえて詳しく伝える必要はありません。もしあなたが遺族の立場で、「出張で行けない」とはっきり言われたらどうでしょう。家族の葬儀と仕事、天秤(てんびん)にかけられたようで嫌な気持ちになりませんか? そこで「諸事情により」といった、ざっくりとした伝え方をするのがおすすめです。
代理の頼み方
香典を託す相手は、できるだけご自身や故人と近しい人(【会社関係】頼む相手で詳しく)にお願いしたいものです。故人と面識がない人であっても構いません。
通夜・葬儀への代理出席を頼む際、大切にしたいのが代理人の方への配慮です。ご自身で袱紗(ふくさ)を用意し、表書きをした不祝儀袋を渡します。不祝儀袋すら購入する時間がないのであれば、代理人の方に不祝儀袋の購入代を渡しておきます。
また代理人の方がスムーズに記帳できるよう、必ず住所と名前(漢字)の正確な情報をしっかりと伝えておきましょう。名刺を渡しておくのが簡単です。
香典袋の書き方
もしご自身が代理人の立場で、香典袋の表書きをする場合、どのように書いたらよいのでしょうか。
配偶者の代理の場合
夫が出張などで不在の場合、妻が通夜・葬儀に代理で出席するケースが考えられますね。そんなとき、表書きの下段には夫の名前を書きます。間違えて、妻の名前を書かないようにしてください。夫の名前の左下には「内」と小さく書きます。
社長の代理の場合
会社の社長などの代わりに、表書きを書くケースもあり得ます。そんなときは下段に、
- 社名(株式会社〇〇など)
- 役職(代表取締役など)
- 本人(社長など)の名前
を記入します。1行に収まらないようであれば、行を分けて書きます。ただし社長の氏名は、中央に来るようにしましょう。
上司の代理の場合
会社の上司の代理で、通夜・葬儀に出席するケースもあり得ます。そんなときは下段に、
- 社名(株式会社〇〇など)
- 部署名(営業部など)
- 上司の名前
と記入します。上司の名前の左下には「代」と小さく書きます。
香典袋の表書きの上段
念のため、上段についても紹介しておきます。
仏式の場合、一般的には四十九日までは「御霊前」、四十九日法要以降は「御仏前」と書くのが普通です。したがって通夜・葬儀の場合は、「御霊前」と書きます。ただし浄土真宗などの場合は「御霊前」ではなく「御仏前」と書きますので、事前に宗派を確認してください(どうしてもわからなければ「御香典」)。
キリスト教式でしたら「御花料」「御霊前」、神式でしたら「御神前」「御玉串料」「御榊料」と書くのが普通です。
香典の渡し方
ご自身が代理人として通夜・葬儀に出席する場合、どのような手順で香典を渡したらよいのでしょうか。
代理で来た旨を伝える
まずは受付で、自身が代理で来たこと簡潔に伝えます。お悔やみの言葉を述べ、預かってきた香典を渡します。例えば「本日は夫の代理で参りました。この度は大変ご愁傷様です」といった具合です。シンプルで構いません。
記帳の仕方
記帳する際、名前の欄には出席できなかった本人の名前を書きます(念のため名刺を受け取っておくことをおすすめします)。本人の名前の下に「代理」もしくは「代」と書き、その下に代理人の名前を小さく書きます。配偶者の場合でしたら、本人の名前の下に「内」とだけ書きます。
ご自身も葬儀の出席者で、他の人から香典を預かることもあるでしょう。その場合は、ご自身と預かった人の名前を別々に記入します。ご遺族にとっては香典返しに必要な情報です。しっかりと、香典を預かった人の分まで書かないといけません。
香典返し・会葬御礼品の受け取り
地域によっては、香典返しをその場で受け取ることもあります。きちんと受け取りましょう。会葬御礼品(遺族からの感謝の気持ちを示すもの)は香典をきちんと届けた証にもなりますので、できる限り受け取ってくださいね。
その他注意すべき点
上記の他にも、注意すべき細かな点をまとめました。
【会社関係】頼む相手
先ほど代理を頼む相手は、自分や故人と近しい人と紹介しました。職場の人などに不幸があった場合には、依頼する相手にも配慮してください。いくら近しい人とはいえ、目上の人に代理を頼むのは失礼に当たります。代理を頼むのは、親しい同僚や同期にするのが基本です。
包む金額と不祝儀袋の選び方
香典を代理人に託しても、包む金額には変わりありません。包む金額によって不祝儀袋も変えます。金額が多ければ双銀の水引で大判のものを、5千円以下であれば水引がプリントされたものを選びます。
一般的な相場
- 親(義理も含む):5~10万円
- きょうだい:3~5万円
- 祖父母・おじ・おば:1~3万円
- 友人:5千~1万円
- 職場関係:5千~1万円
- 隣人:3千~5千円
【会社関係】上司の名刺をもらっておく
記帳の際、正確な情報を記入するため、名刺をもらっておくほうがよいと書きました。特に上司の代理として通夜・葬儀に参加する場合、必ず名刺はもらっておきます。会場で名刺を渡すためです。上司からもらった名刺の右上には「弔」の字を、ご自身の名刺には「代」とあらかじめ書いておきます。
まとめ
今回は香典を代理人に頼む場合、また頼まれた場合の注意点をまとめました。代理人とは当たり前ですが、自分の代わりをしてもらうということです。代理を頼む方は、代理人が困らないよう配慮が必要です。同時に代理人も、頼んだ方が恥をかかないように気を付けなければなりません。お互いの立場を思いやり、行動することが大切です。