初七日という言葉は、現代の日本でも良く聞きます。
あまり仏式に詳しくないという方でも、亡くなった方の法要であることは容易に想像がつくでしょう。
ですが初七日と聞いても何をするのか、どんな意味があるのかについては知らないという方もいるはず。
実は故人が亡くなった後、法要と名のつくものはたくさん執り行います。
中でも葬儀の後に最初に行う初七日は、特に大切なものなのです。
そこでこちらでは、初七日について仏教的な意味合いや当日にどんなことをするのかなどまでまとめていきます。
初七日の読み方は?三途の河を渡るための初七日法要
初七日とは人が亡くなった後、最初に迎える法要のことです。
葬儀が終わるとまずこの初七日法要を終える事が一般的ですが、文字通り故人が亡くなった後の7日目のことを指します。
なぜ7日なのかということですが、仏教では7日という日にちに意味があるとされており、この後の法要も7日ずつ数えて執り行っていきます。
最初に来る初七日の読み方ですが、「しょなぬか」「しょなのか」などと読むのが一般的。
次に意味ですが、これは三途の河に到着する日にちのことだとか。
人は死後数日かけて険しい山をこえ、ようやくたどり着いた川辺には三途の河が待っています。
そこには親より先に亡くなった子供たちが石を積んでいると言われているのです。
河原には棍棒を持った邪鬼がおり、積んでは崩していくためなかなか上に積むことむずかしいという地獄。
それを救うのが地蔵だとされているのだそう。
子供ではない故人はその後この三途の河を渡り、向こう岸にいくことになるのですがこの対岸のことを「彼岸」と言います。
この彼岸という名前が、年に2度ある春と秋の彼岸のことを指していることは推測できますね。
この三途の河は川幅が4,000キロもあると言われており、その流れは人によります。
生前に良い行いばかりをしていた方は渡し船に、その次の人は河に掛かった橋を渡ることが可能です。
もちそんその他の人は川に入って自ら渡る事になるのですが、罪が軽い人は浅瀬だったり穏やかな流れの河を。
罪が深い人は激流の中を進んでいかなければならないのだとか。
初七日はこの三途の河を、なるべく穏やかに渡れますようにとの願いも込めて法要をするのです。
初七日法要は繰り上げ?繰り込み?別日が良いの?
最近は初七日法要を、葬儀と一緒に済ませてしまう方が多いことで知られています。
その理由は遠方などの親戚が、葬儀の後にもう1度集合するのが大変だということから。
これは「繰り上げ法要」、「繰り込み法要」と呼ばれています。
繰り上げ法要とは葬儀をした後に火葬場にいき、そこで初七日法要をするというもの。
もう1つの繰り込み法要とは、火葬場に行く前に葬儀の後にそのまま行うというものです。
この違いは故人が遺骨になっているかどうか。
繰り込み法要の場合は、遺影や位牌に法要をすることになるということです。
火葬が進んだ現代だと違和感を感じるかもしれませんが、昔は土葬だったので遺体を前に初七日法要をしても不思議なことではありません。
繰り上げになるか繰り込みになるかは葬儀会社によるので、事前に相談をするのが良いですね。
もちろん別に初七日法要をする場合も多くあります。
初七日法要を執り行う際は、故人が亡くなった日を1日目として7日目に行います。
ただし地域によって6日目に行う所もあるので、この限りではありません。
初七日法要をする場所ですが、自宅、または菩提寺に出向いて行います。
いずれにしても読経が必要となるため、僧侶に確認をするのが良いでしょう。
そして初七日法要の後は、精進落としをすることが一般的であるため会食の場を設けます。
この時にお寺で食べる事ができるのか、それともどこかを予約するのかなどまで考えなければいけません。
もしも会食をする場合は、初七日法要の際にも施主があいさつをします。
このあいさつは初七日法要が無事に終わったことへの感謝や、参列してくれた人への感謝を伝えましょう。
精進落とし料理とは?マナーはある?
葬儀の際に良く聞く「精進落とし」。
お寺が多くある京都などを観光すると、あちこちの老舗の飲食店で目にする「精進料理」の文字に疑問を持ったことがありませんか?一体どの様な料理なのか、どのくらいの価格なのかと気になるところです。
もともと精進落としとは「忌明け」の食事を意味していました。
忌明けとは故人がなくなってから49日法要までのことをいいます。
死後の世界であの世のどの世界にいくのか生前の罪を裁判している間は、遺族はいわゆる「喪に服した」状態です。
その間は世間との関りをなるべく避け、自宅に居ることが良いと昔からされています。
最近はそこまで気にしていない方も多いですが、厳密には故人の死を悼む時とされており遺族がその悲しみをいやす時間とも言われているのです。
この間に遺族は故人が亡くなったことで動揺していた気持ちを落ち着け、忌明けを迎えるということなのかもしれませんね。
この忌明けの時に食べる野菜や魚、豆類などを中心とした料理のことを「精進料理」と言うのです。
精進料理を食べる事で普通の生活に戻るということを意味しており、遺族はその後日常が戻ってきます。
最近は初七日法要の後に食べる葬儀が多く、意味合いが昔と変わってきました。
今の精進料理は参列してくれた方や僧侶へふるまうという意味合いが強く、もてなしの料理や清め目的へと変わってきました。
場所によっては精進落としといえど、料理の中身にそこまでこだわっていない場合も多く、会席料理や寿司などといったものまで出てくることも。
時代をへて意味も変わってはいますが、どんな形であれ故人をしのんで食事をするという事に意味がありますね。
同じように葬儀の際に用意をする料理に「通夜ぶるまい」があります。
これは故人をしのんで参列者をもてなす意味がありますが、大皿料理で基本的には少し口を付けるだけのもの。
肉なども出てきますし、こだわりはありません。
初七日法要のお供え物やマナーは?
初七日法要のマナーについてですが、基本的には喪服です。
施主側はもちろん、参列者側も葬儀と同じものを着用していきましょう。
参列する場合は香典も持参するのがマナーです。
葬式にも参列している場合は、その時に香典を渡していますよね。
ですが初七日の日も念のため用意しておきましょう。
もしも持参して遺族に断られた場合は、それ以上押し付け無い方が良いかもしれません。
遺族にすれば初七日法要に来てもらえるだけで有難いという場合も多い様です。
もしも香典を書く際は表書きが「御霊前」、宗派により「お仏前」とも書きますので事前に調べておきましょう。
最近は先ほど話したように繰り上げ・繰り込み法要をする場合が多いので葬儀の際に確認し、もしもどちらかを当日行う様なら香典の書き方にも注意が必要です。
正式な書き方は御霊前と書いた右上の箇所に、「初七日」と書いておきましょう。
そうはいっても遺族と身近な人でない限り、実際には葬儀場に行ってはじめてわかるということもあります。
必ずしもマナー違反とはみなされませんが、頭の片隅に入れておくと安心ですね。
また法要の時に悩むのがお供え物。
四十九日まで死者の魂はまだあの世へ行っていないとされています。
そのためお供え物も、故人が好きだった物を意識していると良いでしょう。
参列者側の場合は日持ちするお菓子や、果物などお供え物に決まりはありません。
初七日にお返しはする?
故人の葬儀が終わり四十九日法要が開けると、いよいよ忌明け。
それまで喪に服していた遺族も、これで普通の日常が戻ってきます。
もちろんこれはあくまで形式だけですので、気持ちが開けるということではありません。
ですが形式上は忌明けになる時に、香典返しなどを贈る必要があります。
もしも葬儀の際に事前に香典返しを用意している場合は、もちろん送る必要はありません。
当日に返していない場合は、忌明けの翌日到着で返礼品をお届けしましょう。
体調など何かの理由で送れない時も、少なくとも2週間以内に送るのが良いですね。
初七日法要だけに参列していただいたりまたは弔問していただいた場合も、同じく忌明け後に到着するのがベスト。
金額としては大体3千円から5千円が相場で、お茶や乾物、カタログなども主流です。
少し前までは商品券を返す方も多くいましたが、それだと金額がわかりやすいということで最近はカタログが人気だと言います。
また何を選んだら良いかわからないという場合は、タオルや寝具なども無難ですね。
返礼品はあくまで送る側の気持ちなので、相手にとってどんなものが良いかを考えるのがおすすめです。
まとめ
こちらでは初七日法要についてまとめてきました。
最近は時代の流れもあり効率を考え簡略化されている箇所もありますが、故人を敬う行ために代わりはありません。
昔から亡き人を悼む気持ちを大切にしてきた、日本人らしさが良いですね。
初七日法要だけに関わらず、目に見えない死後の世界を大切にする他の法要も後世まで伝えていきたいものですね。