いざ「快気祝い」を贈るとき、のしや水引、表書きはどうすれば?と悩む方も多いと思います。きちんとした印象で、感謝の気持ちを伝えるためにも、基本的なルールを押さえておきたいですね。全快の報告か、治療が継続しているかで表書きが変わることも。いくつかの気をつけたいポイントも合わせてご紹介します。
快気祝い、「内のし」と「外のし」どちらがおすすめ?水引は?
「快気祝い」ののしは、「内のし」にします。贈り物にのしをかけてから包装する「内のし」は、表書きが見えないので、控えめな印象を与えます。快気祝いは、本人から病気やケガの快復をお知らせする自分のお祝い事なので、内祝いと同じく「内のし」にするのが一般的です。
一方、包装紙の上からかける「外のし」は、結婚や出産祝いなど、誰が何の目的で贈ったかはっきりさせたい時に使われます。大勢の人からお祝いをもらうときは、このほうが分かりやすいですね。控えめにしたいときは「内のし」、贈り物であることをはっきりしたいときは「外のし」と覚えておくと、いざというときに役立ちます。
「快気祝い」の水引には、紅白の「結び切り」を選びます。結び切りは“いちど結ぶとほどけない”ことから、病気やケガを繰り返すことがないよう願いを込めて用います。あわせて、水引は5本のもの、お祝い事にふさわしい上向きのものを選びましょう。結婚祝いなどの水引は10本ですが、快気祝いはお見舞いのお返しなので、控えめな5本にします。
水引には“何度も結び直せる” 「蝶結び」もあります。子どもの七五三や入学祝い、出産や長寿のお祝いなど、何度も起こってほしいお祝いに用いられます。「結び切り」とは、意味が逆なので、間違えないように注意したいですね。結婚祝いも、一度きりのお祝いであることを願って「結び切り」の水引を選びます。
「快気祝い」と「快気内祝い」の違いは?
のしの上段には、贈る目的をあらわす表書きが必要です。快気祝いの表書きは、病気やケガの快復の程度によって、「快気祝い」もしくは「快気内祝い」と書きます。病気やケガが完治した場合には「快気祝い」、通院や自宅療養など治療が続く場合には「快気内祝い」とします。“内祝い”は、「快気祝い」よりも控えめな意味合いで、全快ではないものの、退院で気持ちにひと区切りついたような場合に使います。どちらも、お見舞いへの感謝と、快復や現状をお伝えするという意図は同じです。ご本人の快復の具合にあわせて選びましょう。
「快気内祝い」には、もうひとつの使い方があります。家のお祝い事のおすそ分けを意味する“内祝い”の考え方から、親しい人や近親者へのお見舞いのお返しの表書きにすることも。一般的には、快復の程度によって「快気内祝い」と「快気祝い」を使い分けるほうが浸透しているので、ほかの使い方あることを知っておくレベルで大丈夫です。
どちらにしても、健康状態を心配してお見舞いをくださった方には、贈り物だけでなく、直接またはお礼状や電話でご報告しましょう。基本のマナーをきちんとしてこそ、気持ちも伝わりますね。
「全快祝い」「退院内祝」「御見舞御礼」それぞれの意味は?
「快気祝い」「快気内祝い」には同じような意味の表書きがいくつかあるのも、迷いやすいポイントですね。病気やケガの快復の状況によって、表書きも変わってきます。それぞれの意味を押さえて、ベストなものを選びましょう。
「全快祝い」は、通院の必要もなく、病気やケガが完治した場合に使います。「快気祝い」とほぼ同じ意味ですが、ストレートに意味が伝わるので、好みによって選んでもよいでしょう。
「退院内祝」も、「快気内祝い」とほぼ同じ意味です。病気やケガが完治はしていないものの、退院のタイミングでお見舞いのお礼をしたいときに使います。あまり一般的な表書きではないので、迷ったときは「快気内祝い」を使いましょう。
「御見舞御礼」は、入院が長引きそうなとき、また転院が必要になるような場合にも使います。心配してくださっている方には、お礼の品を贈るのに合わせて、電話やお礼状で現状報告しておくのも親切ですね。残念ながら入院中に亡くなるケースでは、生前のお見舞いのお礼を贈るときに「御見舞御礼」を使います。
快気祝いの表書きは、全快のときは「快気祝い」か「全快祝い」、通院や自宅療養がつづくときは「快気内祝い」、入院が長引くときは「御見舞御礼」と、基本のルールを覚えておくといいですね。
快気祝いの「のし」の書き方は?贈り主の社名や肩書を入れたいときは?
快気祝いの「のしの書き方」をご紹介します。まずのし紙の上段中央に、「表書き」を書きます。下段には、表書きより少し小さい字で、病気やケガをした本人の「姓」を書きます。社名や肩書を入れたいときは、姓の前(右上)にさらに小さめの字で書きましょう。省略せずに正式名称で書くよう注意します。親戚や職場などに同じ姓の人がいる場合は、フルネームで書いても大丈夫ですよ。
デパートなどでは、きちんとしたのしが用意されているので安心ですよね。自宅で用意する場合は、のし紙のテンプレートをサイトでダウンロードすると便利ですよ。水引だけを印刷して名入れは手書きできるもの、表書きや名前もすべて入力して印刷できるものなど、いろいろなテンプレートがあります。できればのしは手書きするのがマナーですが、手書きに自信がない方などは、上手く活用したいですね。
ラッピングも自宅でする場合は、「包装紙」の用意が必要です。できれば、あまり派手すぎない爽やかなカラー、無地もしくは目立たない柄のデザインを選びましょう。例えば、淡いグリーンやブルー、小花柄などがおすすめです。手渡しする場合は、持ち運び用の「紙袋」も忘れずに準備します。
快気祝いの「のし」は筆ペンで書いてもOK?書体や文字の色など注意したいポイント
快気祝いの「のし」を書くときに注意したいポイントを、いくつかご紹介します。正式なマナーでは、のしは黒墨の「毛筆」を使って書きます。最近は自宅に筆の道具がある人も少ないですよね。「筆ペン」を使用しても大丈夫です。サインペンや、フェルトペンで書く人もいますが、大切な贈り物や目上の方に贈る場合は、毛筆や筆ペンを使うのが礼儀だそうですよ。本番にトライする前に、何度か練習して書き慣れておきたいですね。
一文字ずつ「楷書体」で丁寧に、心を込めて書きましょう。崩した文字も、失礼に当たるので注意します。文字の色は「黒墨」です。薄墨を使うのは弔事なので、まちがえないよう注意します。ちなみに、ボールペンで書くのはマナー違反です。
全体のバランスにも、気を配りましょう。一番大きく書くのは「表書き」です。上下に一文字分スペースが空くように、水引や熨斗に文字がかからないように気をつけながら書きます。表書きよりやや小さめに、「贈り主の姓」を書きます。表書きと同じように、上下に一文字分スペースが空くように、水引に文字がかからないように注意します。会社名や肩書を書く場合は、小さめの文字で、全体のバランスをくずさないように書き入れます。
字の上手い下手より、一文字ずつ丁寧に書かれているかどうかで、気持ちの伝わり方も違ってきます。じっくり丁寧に書きましょう。
まとめ
いろいろあって面倒くさそう!と思いがちな贈り物のマナーですが、由来や意味を知ることで、理解もしやすくなります。「快気祝い」では、表書きによって、病気やケガの快復の具合を伝えることができます。「内のし」や5本の水引にすることで、お見舞いのお礼という控えめなニュアンスも伝わります。すべてのマナーは贈る相手への心づかいになるので、きちんとしたマナーで贈りたいですね。