社会に出ると、人生に関わる表書きに関わる機会が多くなります。
知っておくべきマナーを知らないと恥をかいてしまうばかりか、相手の方を不快にさせてしまう怖れがあります。
表書きは種類が多く、全てを覚えるのは難しいのですが大人として大切なことなのできちんと書けるようにならなくてはいけません。
学生時代によく手紙を書いていた方でも、表書きの複雑さには迷うことでしょう。
ですが、ひとつひとつ確認しながら書いていけば間違いが無いので、丁寧に心をこめて表書きを書いていきましょう。
表書きって何なの?
学生の方や社会に出たばかりの方に「表書き」がわかるという方は少ないでしょう。
それほど学生時代には縁の無かったものなのですが、社会に出るととたんに必要になってくるものなのです。
ですが、わかって当然というマナーですからなかなか教えてくれる方も居ません。
表書きとは御見舞いや御祝い、御香典といった、袋に書いてある文字ものことを指します。
スーパーなどで見た事はありますが、数が多くてどれをどう使うのかはわかりにくいですよね。
表書きの種類が多い理由は、それだけ日本に慶事や弔事が多いということなのです。
それぞれの種類をはっきりわかっていないとマナー違反にあたるので注意が必要です。
表書きは人とのお付き合いの大切なマナーですのでしっかりと覚えましょう。
人生に関わる表書きって?
人生に関わる表書きはとても多いので覚えるのは大変です。
お祝い事に関する表書きならまず結婚ですが、結婚の中でもいくつかの表書きがあるのです。
結婚祝いなら「壽」「祝御結婚」などで、さらに結婚の内祝いですと「寿」や「内祝」という表書きになります。
引き出物と心づけ、それぞれのご実家への挨拶は「寿」で良いのですが、わざわざ結婚式に来てくださった方への交通費としては「お車代」という表書きになります。
結婚式だけを例にあげても数が多いので、誰にどのような理由で表書きを書くかがはっきりしていないと間違えてしまう可能性があります。
お葬式を例にあげてみると、仏式で四十九日までは「御霊前」、四十九日後の忌明けなら「御仏前」になります。
仏式以外のお葬式では神式とキリスト教式がありそれぞれ表書きが異なります。
神式は「御玉串料」や「御神前」、キリスト教式は「献花料」と書き、普段はほとんど聞きなれない言葉なので仏式と異なるということも気づかない方が居るかもしれません。
表書きはとにかくたくさんの種類があるので、真理が得ないようにしなくてはいけないのです。
以前はこの表書きだったので、今回もこの表書きで良いという思い込みでマナー違反になってしまうこともありえるのです。
人生に関わる表書きはとても大切なので、書くたびに調べて間違いのないようにしましょう。
表書きはどうやって書けば良いの?
現代人は手書きをすることが少なくなっていますが、表書きは印刷ではなく手で書きましょう。
手で書くことがどうしても苦手だという方には元々印刷されている表書きもありますが、目上の方あての表書きは手書きにした方が無難です。
表書きの筆記用具は何でも良いというわけではなく、基本的には毛筆や筆ペンを使います。
間違えてはいけないのは墨の濃度です。
慶事には黒の墨で、弔事には薄い墨を使いましょう。
弔事で薄い墨を使うのは、「悲しみで涙が流れて墨がにじんだことを表現しています。
ボールペンや万年筆はマナー違反にあたるので使ってはいけません。
万年筆には高価な物もあるので表書きにもふさわしいようですが、文房具にあたるのでカジュアルな印象になるのです。
どうしても毛筆や筆ペンが苦手な方にはサインペンでも良いのですが、できるだけ避けましょう。
年配の方や目上の方は毛筆で書くことが良いと考えてる方が多いので、年配の方や目上の方に見せる表書きは毛筆で書けるように練習しておきましょう。
表書きの目的は水引の結び目の上に大き目に書きます。
宛名を入れる時には左上に小さく添えるように書き、送り主の名前は水引の結び目の下にやや小さく書きます。
最も大きく目立つように書くのが表書きで、相手の方の名前もそれより小さいのです。
送り主が連名の場合には、目上の方から順番になるように右から書きます。
宛名が連名になる時にはこの逆で、目上の方が左になります。
送り主に肩書や会社名を入れる場合には、名前の右上に小さく書きます。
表書きには名刺をつけても良いのですが、その場合には左下に貼りましょう。
のしを購入した時に短冊がついている場合は短冊に表書きや送り主の名前を書いて、水引の下にはさみましょう。
表書きの書き方は送り主や相手の方の立場によって様々なパターンがあります。
基本の形は同じなので覚えて活用していきましょう。
のしについている水引に意味はあるの?
のしについている水引の歴史は古く、室町時代に遡ると言われています。
当時は日明貿易が行われていて、輸入している商品の全てに赤と白の縄がつけられていました。
その縄は明側が、他の商品と区別するためだけにつけていたのですが、日本側は贈答の習慣だと勘違いしたのです。
航海の無事を祈るために毒を塗り、魔除けにつけていた縄が赤く変色したという説もありますが、それ以降日本でも赤と白の紐をつけるようになりました。
室町時代は麻の紐でしたが、後期になると紙で作った糸が使用されるようになりました。
この時点で現在の水引とよく似た形になっています。
水引は、未開封であるという印でもあり魔除けでもあるのです。
人と人とを結び付けるという意味が込められているので海外から伝わったリボンとは意味合いが異なります。
水引はその結び方にも意味があるのです。
あわじ結びは基本的な結び方で昔からある水引です。
水引について詳しくない方でも一度は目にしたことがあるのがあわじ結びです。
慶事にも弔事にも用いられており、色によって目的が異なります。
結び切りには「繰り返さない」という意味がこめられているので、人生に一度だけの結婚式では結び切りを使います。
他にも二度とあってほしくない入院やケガなどのお見舞いにも結び切りの水引を使います。
より返しは別名をあわじ返しとも言います。
あわじ結びが変形したもので、大きな物や重い物など、あわじ結びでは心もとない時に使います。
より返す波に例えられているので、何回でもあったほうが良い事に使います。
引き結びは別名輪結びと呼び、「縁起を切らない」という意味合いを持ち、余った水引を切らずになるべく輪にして結んだ物です。
全てが丸く収まるようにという事で、特に婚礼では好んで使われます。
表書きと水引の主な組み合わせは?
用途によって表書きと水引の組み合わせは異なります。
種類がたくさんあるのですが、特によく使う物を紹介します。
結婚祝いではのし付きのご祝儀袋で水引は赤と白か金と銀の結び切りになり、表書きは「寿」や「祝御結婚」です。
結婚の内祝いは結婚式に似ていますが、表書きが「内祝い」か「寿」になり、送り主が夫婦の連名になります。
媒酌人へのお礼というのは結婚する方以外はほとんど目にすることが無いのですが、大切な物なので間違えないようにしましょう。
のし付きのご祝儀袋で、水引は金と銀の結び切りで、表書きは「寿」か「御礼」になり、両家の連名になります。
結婚式では美容師さんや付き添いの方のお世話にもなるのですが、その方々にも心づけをしなくてはいけません。
付き添いの方へのご祝儀袋はのし付きで、赤い帯紙が印刷されている物を使います。
水引は赤と白の結び切りで表書きは「御礼」か「寿」となり、送り主は両家の連名になります。
容師さんへの心づけは表書きが「御祝儀」か「寿」になり、両家の連名が入ります。
薄墨で書く弔事ではまず仏式の葬式と法要で異なります。
葬式の水引は黒と白か、双銀の結び切りで、表書きが「御霊前」や「御香料」になります。
浄土真宗の場合は他の宗派と考え方が異なるので、お葬式から表書きが「御仏前」か「御香料」になります。
法要の場合は黒と白、双銀の水引の他に黄白の結び切りを使います。
表書きは「御供物料」や「御仏前」になります。
お葬式一つとっても表書きや水引は異なってくるので注意しましょう。
他には謝礼の場合の表書きがあります。
謝礼の場合水引は使いません。
白い無地の袋に寺院の場合には「御布施」、教会の場合には「献金」、世話役へのお礼では「薄謝」や「御礼」になります。
「寸志」は目下の方や同輩に使うのは良いのですが、目上の方に使うのは失礼にあたるのでやめましょう。
神社への謝礼の表書きは「御祭祀料」になり、交通費の場合は「御車代」になります。
表書きは封筒の中のお金がどのような名目で入っているかを示すものなので、種類も多いのですがわかりやすくするためには大切なことなのです。
まとめ
表書きは複雑ですが、相手の方に自分の気持ちをきちんと伝えるための大切な言葉です。
ただお金を渡すのではなく、そこにはねぎらいや感謝、悲しみなど様々な気持ちがこめられています。
表書きだけでなくのしや水引の組み合わせで何通りもの気持ちが伝えられるのは便利なのに機械的ではなく、暖かさがあります。
そこには気持ちに応じて墨の色を変え、水引の色や文字の大きさを変えるといった心配りがあるからです。
表書きをマスターすると、人と人とのつながりがより深くなります。