学生の頃にはほとんど縁のなかった表書きですが、就職や結婚すると途端に書く機会が増えるものです。
表書きを間違えてしまうと恥ずかしい思いをしたり、相手の方に不快な思いをさせたりしてしまいます。
社会人のマナーとして知っておくべき表書きと、その種類、書き方を紹介します。
表書きってどういうものなの?
表書きとは御祝儀袋や不祝儀袋に書いてある文字のことです。
「御祝い」や「御見舞い」という言葉が表書きです。
のし紙の中でも、何を贈るのか書いてある言葉です。
昔から日本では、しきたりで贈り物に目録をつけていました。
次第にそのしきたりは簡略化されていき、包みの表に書かれるようになりました。
それが表書きの始まりです。
袋の中身が何なのかを相手の方に示すと同時に、どのような気持ちで送ったのかを表現できます。
表書きは現在でも大切な役割をしています。
贈り物の顔とも呼べる場所ですので、間違いのないように確認しながらしっかりと書いていきましょう。
慶事の表書きの書き方は?
表書きは慶事なのか弔辞なのかで文字の色が変わります。
慶事の場合には濃い墨で表書きを書きます。
弔辞の場合には薄い墨で書きます。
薄い墨の理由は涙で薄くなったということを表しています。
毛筆で書くのが正式ですが、親しい方には筆ペンでも良いでしょう。
サインペンやボールペンは避けましょう。
表書きは楷書で丁寧に書きます。
水引の結び目の上に、ゆがまないようにまっすぐに目的を書きます。
この時に文字が水引やのしの上にかからないように注意しましょう。
表書きの文字が4文字になると「死文字」という事で気にされる方が居ます。
その場合には「御」をつけ文字を少し変えて4文字にはならないように気を付けましょう。
宛名を入れる場合には目的の左側に少し小さめに書きましょう。
送り主の名前はそれよりも小さい字で、結び目の下に書きます。
会社名や肩書も入れる場合には、名前の右上に、名前よりも小さい字で書きましょう。
名前を書くかわりに名刺を貼るという方法もあります。
この場合には、名刺を左下に貼ります。
他には送り主を連名で記入することもあります。
左上に宛名を入れる場合でしたら一番左が目上の方に記入します。
宛名を入れない場合でしたら目上の方が1番右に記入します。
宛名を入れる場合と入れない場合で目上の方の名前の位置が変わってくるので注意しましょう。
4名以上でしたら代表者のお名前を書き、その左下に小さい字で「外一同」と書きましょう。
この場合には全員の名前を記入した別紙を中包みに入れます。
ご夫婦の場合には男性が右で、女性が左です。
難しいのは英数字を含むお名前や会社名の場合です。
英数字を縦に書いてしまうとバランスが悪くバラバラに見えてしまう可能性があります。
この場合はカタカナで書くとスッキリとして見えますので、英数字を含む場合はカタカナにするのがおすすめです。
短冊を使う場合には贈り主の名前を記入し、水引に挟みます。
個人で贈る場合にはフルネームで記入しますが、家や職場で贈る場合には名字や会社名だけでも良いでしょう。
表書きの言葉は地方によって異なる場合があります。
記入する前に調べておきましょう。
弔辞の表書きの書き方は?
お通夜やお葬式に持参するお香典ですが、香典袋の表書きは宗派によって異なるので注意しましょう。
仏式で一般的なのは「御霊前」ですが、浄土真宗の場合には「御仏前」です。
仏式ということ以外で宗派がわからない場合は「御霊前」にしておくのが無難でしょう。
相手の方の宗派はお葬式までわからないことがほとんどです。
間違えてしまってもマナー違反にはならないのですが、周りにご存じの方が居ないか確認しておきましょう。
神式やキリスト教では表書きの書き方が全く違うものです。
仏式か神式か、キリスト教かということだけは確認しておきましょう。
お香典を管理することは遺族の方にとってとても大切なことです。
お香典返しや喪中はがきを送る必要があるので、芳名帳と香典袋を確認し、故人とどんな関係があったのかということを把握しておかなくてはいけません。
そのためお香典には遺族の方にわかりやすいように、住所と氏名、香典の金額を記入することが大切なのです。
郵便番号も忘れずに記入しましょう。
文字の書き方は慶事と同じですが、薄墨で書くということだけ忘れないようにしましょう。
香典袋の金額や住所はどこに書くの?
香典袋には表書きだけではなく、金額や住所も記入します。
中袋がある場合には、香典の金額を表に書きます。
香典袋には金額を書く所が用意されている場合もありますが、ない場合には表に書きましょう。
住所や氏名は裏に書きます。
弔辞の表書きは薄墨で書きますが、金額、住所、名前は受付の方からご遺族の方に伝えられますのでわかりやすく黒のサインペンで書きましょう。
中袋がない場合には、香典袋の裏に住所と氏名、金額を書きましょう。
お香典の金額は「壱」「弐」「参」のように基本的には旧字体で記入することが正しいと言われています。
漢数字でも大丈夫ですので「5000円」のように記入しましょう。
縦書きの場合には、旧字の漢数字で中袋の左下に書きます。
旧字の漢数字で書く理由としては、改ざんされないためなのです。
横書きの場合には漢数字で中袋の右下にアラビア数字で書きましょう。
3千円の場合、縦書きなら「金参阡圓也」と書きます。
横書きでしたら「金3.000円成」と書きます。
普段、書きなれない数字ですので、確認しながら書きましょう。
表書きに短冊を使う時の注意点は?
祝儀袋の場合には、短冊を使う場合があります。
祝儀袋に付属で付いている事があるのですが、上段に文字が印刷されているのでそのまま使うことが可能です。
「結婚御祝」と印刷されている物もありますが、4文字は不吉で良くないととらえる方も居るので避けた方が無難です。
印刷されている短冊の下に無地も短冊を少しずらすなどして重ねて貼り、二重の喜びを表現することもあります。
ですが地方によっては2という数字は分かれて不吉だと考える所もあるので確認しておきましょう。
正式なマナーでは、短冊は使いません。
直接表書きに記入するのがマナーですので、目上の方宛の表書きでは直接記入しましょう。
香典返しの表書きはどう書くの?
香典返しの場合にも表書きは必要です。
一般的には「志」を使うことがほとんどです。
宗派を問わずに使えるので、相手の方の宗派がバラバラで把握しづらい場合などに便利です。
「志」には「気持ち」という意味があるので、感謝の気持ちを伝えるために使います。
香典返しの場合には「のし紙」とは言わずに「掛け紙」と言います。
掛け紙の書き方は水引の結び目の上に「志」と書き、下に施主の方の姓を書きます。
最も間違いやすいのは「志」という文字を「寸志」と書いてしまうことです。
寸志は目上の方が目下の方にするお祝いのことですので、間違えないように注意しましょう。
地域によっては「満中陰志」と書く所や「偲び草」と書く所もあります。
表書きは地域によっても異なってくるので調べてから記入しましょう。
また、蓮の花が印刷されている掛け紙もあります。
これは仏式で葬儀をした時に使う物ですので注意しましょう。
ユリや十字架が印刷されているものはキリスト教です。
香典返しの表書きは文字も大切ですが、掛け紙に注意しましょう。
表書きには他にも種類があるの?
表書きにはたくさんの種類があります。
年間行事やお礼、お見舞い、出産などさまざまです。
その中でも時期や内容の違いで記入する表書きの文字は変わってきます。
ご自身が贈る物が何にあたるのか、今の時期の文字はこれで良いのか、地域で違う文字になるのかなど調べておく必要があることがたくさんあります。
表書きを調べていくと、日本語が細かく分かれていることに気づきます。
相手の方への気持ちが細やかな日本語の違いに現れています。
表書きの種類はとても多いので、どれが最もふさわしいのかご自身で調べても良いですし、店員さんに確認しても良いでしょう。
量が多い場合には印刷もしてもらえることがあります。
インターネットで商品を注文する時に同時に印刷してくれる所もありますので、利用してみるのも良いでしょう。
文字に自信がないという方にもおすすめですね。
まとめ
表書きにはいろいろ種類がありますので、全てを覚える事は大変です。
何日も前に用意する物でしたら良いのですが、急に用意する必要がある表書きの場合は焦って間違えてしまう可能性もあります。
文字だけではなく、使う墨の濃さや、名前や住所を書く所まで決まっています。
相手の方に失礼のないように、1つ1つ注意しながら表書きを書いていきましょう。