よもぎの香りがふんわりとしてきて、味わい深い草餅。
一般的な餅ならわかりますが、どうして餅に草を入れようと思ったのでしょうか。
草餅の由来や食べる時期などについてわかれば、より美味しくいただけそうですよね。
美味しい草餅の作り方や、気になる栄養や効能についてもぜひ把握しておきたいところです。
今回は草餅について由来や食べる時期、美味しい作り方や驚きの栄養、効能を詳しくご紹介していきます。
草餅を食べる由来や時期とは?
草餅を食べるようになったのはどうしてなのか、由来は何なのでしょうか。
草餅は現代ではよもぎが使われていますが、実はもともと「母子草」という草が使われていました。
母子草は春の七草のひとつである「ゴギョウ」のことなんですね。
毎年3月3日には桃の節句があり、女の子の健やかな成長を祝います。
桃の節句は古代中国では「上巳の節供」といわれており、母子が健やかにいられるようにとの願いを込めて母子草を練りこんで草餅を作っていました。
母子草はとても良い香りをして、邪気などを払ってくれると考えられていたのです。
日本に桃の節句が伝わって、現代でも草餅が食べられているのは母子草の餅が由来となっているのですね。
草餅を食べる時期は3月3日の桃の節句ですが、お団子屋さんなどでは比較的年中食べられるようになっています。
草餅の材料がよもぎなのはなぜ?
草餅の由来をみると材料には母子草が使われていますが、現在では母子草ではよもぎが使われている理由は何なのでしょうか。
むしろ草餅はよもぎを練り込んだものというのが一般的に知られている作り方ですが、もともとの由来は母子草をお餅に練り込んだものでしたね。
母子の健康を願って食べられているものなのに、母子草をお餅に叩き込みながら作るというのは縁起が悪いのではないかと言われるようになったのです。
母子草は縁起が悪いということで、同じく香りが良く邪気を払うといわれたよもぎが代わりに使われるようになったということです。
草餅に使われるよもぎの旬とは?
草餅がどうして桃の節句に食べられているのかというと、よもぎの旬が春だったからなんですね。
3月に入るとだんだんとよもぎの新芽が出てきて、良い香りを放ってくるんです。
実はよもぎは新芽でないと味が渋くて食べられたものではありません。
スーパーなどではよもぎの新芽を乾燥させたものが販売されていて、一年中いつでも草餅を作ることができます。
中にはよもぎを自身で野原などに取りに行く人もいますが、新芽でないと美味しいお餅は作れないんですね。
手で触ってみると新芽は柔らかいので、春になったら触りながら使えるものかどうか確かめてみましょう。
草餅に使われるよもぎの栄養や効能とは?
草餅の材料として使われているよもぎですが、どんな栄養や効能があるのか気になりますよね。
草餅を食べることで、栄養や効能が得られたら嬉しいです。
具体的にどんな体に良いことがあるのか、詳しく見ていきましょう。
①食物繊維で便秘解消
多くの人が悩む便秘の症状ですが、食物繊維は腸の働きを整えてお通じが出やすくなります。
草餅に使われるよもぎは、なんとほうれん草の10倍もの食物繊維が含まれているのです。
草餅を食べて便秘が解消できるとは、なかなか嬉しい効能ですよね。
②クロロフィルでがん予防
よもぎの緑色を作っている葉緑体クロロフィルが、染色体の異常を防ぐ働きがあると注目されています。
がん細胞はある意味で染色体異常を起こして細胞が変化すると考えられるため、クロロフィルを摂取しているとがん予防につながるのです。
③クロロフィルでコレステロール
値の低下クロロフィルはがん予防だけでなく、血中のコレステロールも下げる働きがあります。
悪玉コレステロールが増えると血管系の病気のリスクが高くなりますが、クロロフィルは善玉コレステロール値を上げてリスクを減らしてくれるのです。
シネオールやコリンなどよもぎに含まれる成分も、コレステロールを下げてくれる働きがあります。
④老廃物を除去して美肌に
体に老廃物がたまっている状態では、いくら頑張ってケアをしてもなかなか美肌には近づけません。
よもぎは腸の中に溜まった重金属を流してくれる作用があり、老廃物を落としてきれいにしてくれます。
結果的に、内側から美肌になることができるのです。
草餅の美味しい作り方とは?
草餅を美味しく作るために、どんな作り方をしたら良いのでしょうか。
手軽に10個作るためのレシピを見ていきましょう。
まず材料からですが、よもぎは新芽を200gほど摘んできます。
上新粉が200g、白玉粉を50g、熱湯200mlを用意しましょう。
手順ごとに作り方をご紹介していきます。
①よもぎを下ごしらえしましょう
摘んできたよもぎはきれいに水洗いしてゴミを取り除いてから、ひとつまみの塩を入れた沸騰したお湯の中に入れて1〜2分茹でます。
茹でたらすぐに冷水で冷やし、包丁で細かく叩いて細かくしましょう。
細かくしたらすり鉢で潰してさらに細かくし、かたまりがないように滑らかにしていってください。
②お餅のベースを作る
上新粉と白玉粉を混ぜ合わせて、熱湯を少しずつ加えながらまとめていってお団子状にしていきましょう。
粉っぽさがなくなったらよく練り混ぜて、手で一口大にちぎって丸めてください。
丸めたお餅を平たく形を整えたら、蒸し器で10〜20分火を入れていきました。
③よもぎとお餅を混ぜよう
お餅が蒸しあがったら手で触れられるくらいに冷ましたら、すり潰したよもぎを加えてよく練り混ぜていきましょう。
最初は白と緑色がまだらなのですが、根気よく混ぜていればだんだんと綺麗な緑色になってきます。
④トッピングは自由!
草餅にぴったりなトッピングはきな粉やあんこですが、もし面倒でなければお餅の中にあんこを包み込んでも美味しいです。
非常に良い香りと風味がするので、特にトッピングをつけなくても十分美味しくいただけます。
草餅とよもぎ餅の違いは何?
草餅とよもぎ餅、一見すると同じものに思えますよね。
よもぎも草の一種なので、よもぎで作られたものももちろん「草餅」と言います。
草餅というくらいなのでよもぎ以外の草が入ったお餅があるのかと思いますが、実は草餅とは母子草を使って作っていたために呼び名を分けられていたということですね。
草餅は母子草やよもぎを加えて作るお餅で、よもぎ餅は純粋によもぎのみを最初から加えた餅のことなのです。
草餅とよもぎ餅は同じものという認識が間違っており、正しくは草餅の方がきちんとした由来が存在するのですね。
3月3日の桃の節句にはもともと母子が健康に暮らせるようにという由来のある草餅をいただき、ほかの好きな時期に食べるのがよもぎ餅なのです。
草餅の形によって縁起が異なる
草餅は手作りするときに、柔らかいのでいろんな形を作ることができますよね。
単に手のひらで丸めるだけではつまらないので、巾着や人間などの形にしていきます。
さまざまな形にしていくにあたり、実は草餅の形によってどんなことに縁起が良いのか異なるのです。
具体的にどんな形がどんな御利益があるのかを、詳しく見ていきましょう。
①巾着の形
巾着といえば現代ではありふれた日用品のひとつですが、実は昔は財宝を入れる袋のことを指していたのです。
財宝を入れることから「金嚢(こんのう)」や「宝袋(ほうたい)」とも呼ばれていたのですね。
巾着の形の草餅は、金運アップに繋がるのでしょうね。
②くわいを模した形
くわいって見たことありますか?お正月料理によく入っているのですが、球根みたいな見た目で目がくちばしのように伸びています。
目が出ていることから草餅をくわい形にするのは「芽が出る」という意味があるのです。
③人間を模した形
草餅には母と子を表した人間を模した形もあります。
草餅の原料がよもぎになる前は、母子草を使っていたためなのですね。
親子で仲良くいられるようにとの願いが込められています。
④はまぐりを模した形
はまぐりといえば二枚貝なので人との縁に恵まれる、素敵な人と出会えるなどという縁起の良いものです。
半月形に折りたたんで、はまぐりの二枚貝を表しているようですね。
まとめ
草餅について由来や食べる時期、美味しい作り方や驚きの栄養、効能を詳しくご紹介してきました。
草餅はもともとよもぎではなく、桃の節句の時期に母子草という邪気を払うと考えられた縁起の良い草を使って作られていたのが由来でした。
だんだんと母子草を突いて作るのは縁起が悪いと言われるようになり、草餅はよもぎで作られるようになったのです。
美味しい作り方を実践すれば、誰でも簡単に草餅を自宅で食べることができます。
栄養や効能も非常に多く、便秘予防やコレステロール値の低下など体に良い食べ物なのです。
草餅は春の時期が旬で一層美味しく食べられるため、ぜひ家庭でも作ってみてはいかがでしょうか。