お子さんが産まれると、多くの方に祝福してもらえますね。メッセージやお祝い会を開いてもらったり、また出産祝いとして金銭や贈り物を頂いたりします。
日本の贈答文化としては、何かを頂いた後はお返しとなる習慣がセットになっていますが、出産に際してもこれは同じです。多くのカップルが経験するであろう出産内祝いですが、実は関西圏と関東圏とで微妙に違いがあるのですよ。
今回は出産内祝いに関する基礎知識を含め、関東圏・関西圏での違いや、多くの方が誤解されている点についてもお話してまいりますね。
出産内祝いはどんな時に贈るもの?
冒頭でもお伝えしましたが、「出産祝いを頂いた方にお返しとして贈る」という形が一般的な出産内祝いとして浸透していますよね。
もちろん現在の常識・形態としてこの考え方が間違いというわけではありませんが、出産内祝いの本来の意味は現在の考え方とは少し違うものなのですよ。
贈り物をするうえでその背景を知っているのといないのとでは気持ちの込めようが変わってきますから、まずは出産内祝いの本来の意味についてもチェックしておきましょう。
●元々は宴会でお祝いをしていた
衣食住に不足なく暮らせることが珍しかった時代、子どもは「子宝」と表現されるほど大切な存在でした。民間療法しか医療がなかった昔は、子どもが産まれ、無事に成長することは今よりもかなり難しいことだったのです。そんな時代、子どもが産まれると家族全体がお祭りのように喜びあい、その嬉しさのお裾分けとして自宅で宴席を設けたことが出産内祝いの始まりなのだとか。
本来出産内祝いは贈り物をする習慣ではなく、また自発的に周囲の方にもてなしをするものであったのですね。この習慣が時代とともに徐々に形を変え、現在では「贈り贈られる」スタイルとして定着しているというわけです。
内祝いを贈るタイミングは?
出産内祝いは元々、嬉しいことのお裾分けという意味がある習慣だったのですね。現在では主に、頂いた出産祝いに対してお返しする形で贈り物をするスタイルが一般的ですし、内祝いを贈るタイミングも気になるところかと思います。出産内祝いは以下の点に注意してお届けできるようにしてくださいね。
●生後1~2ヵ月が目安
少し前までは、出産内祝いは1ヵ月後までに贈るべきと考えられていました。しかし赤ちゃんが産まれたすぐは、ママさんの体への負担も大きく、お子さんの世話で忙しい時期ということで、現在では生後1~2ヵ月以内に出産内祝いを贈ればOKという考え方が主流となっています。
確かに初産であったりすると、1ヵ月はあっという間ですし、その中で内祝いのことも考えるとなると…かなり大変ですものね。
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関西と関東で相場や習慣が違う?
背景やタイミングをおさえたところで、いざ贈り物選びですね。金銭や品物選びはご自身の好きなように…といきたいところですが、実は関西圏と関東圏とでは習慣に違いがあることも。また、関西と関東とでは内祝いの金額が異なるとお聞きになっている方も多いのではないでしょうか。
お住いの地域や贈り先の方の習慣に合わせられるよう、どういった特徴があるのかこちらで確認しておきましょう。
●関西・近畿地方の風習
出産祝いや結婚祝いで頂いた金銭の1割をお返しする「おため返し」とよばれる習慣が、関西や近畿地方ではみられます。おため紙(半紙)にお金を包み、お祝金を頂戴したその場でお返しするようです。しかしおため返しは「喜びのお裾分け」の意味合いが強いため、これとは別にきちんと出産内祝いを用意する必要がありますよ。おため返しの風習が残る地域に引っ越しなどされた方は、覚えておきたいマナーですね。
●地方によって相場が違うと聞くけれど…
出産内祝いの相場を調べた際、しばしば「関東と関西とでは金額が違う」という内容を目にします。ここだけで判断してしまうと、「関西にお住いの方には多めに用意しなくては」とお思いになってしまいますよね。しかし実は、出産内祝いで包むべき金額の割合は地方ごとに変える必要はないのですよ。出産内祝いでは、出産祝いとして頂いた金額の半額~3分の1程度で用意すればOKです。
では何故関西の方には多く支払う、ということが言われているのかというと、基本的に西日本にお住いの方は、お祝い事などで金銭を用意する際、かなり奮発して包んでくれるということが関係しています。頂戴した金額が多いほど、同じ割合にして返す場合は西日本にお住いの方の分は金額が高くなるというわけですね。
確かに出産内祝いの金額だけみれば、関西圏の方に多く支払っているように感じるかもしれませんが、その前には多めに頂戴しているため、決して損となるわけではありませんよ。
お祝いの品に意味があることも
関西と関東とで、習慣や内祝いにかける金額の違いがみられる出産内祝いですが、その他にもいくつか注意したい点が。贈り物の内容によっては、受け取り手が違和感を覚えてしまう可能性もあるのです。以下に挙げる品については、贈り先の方が希望していない限りは、贈らない方が無難といえるので覚えておいてくださいね。
●避けるのがベターな贈り物とは?
お正月を始め、お祝い事には縁起を担ぐ文化が日本にはあります。しかし逆に、そういった吉日には避けるべきもの、縁起が悪いとされているものもあるということですね。以下の3点は出産内祝いとして避けるべきと考えられることが多いので、贈り物選びのリストからは外しておきましょう。
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- 緑茶 :法事の贈り物というイメージが強いため。
- 刃物類 :切れるもの=ご縁が切れる、というイメージがあるため。
- くし(ヘアブラシ):苦、死という当て字で想像しやすいもののため。
もちろん、お相手が以前から「キッチン用品が欲しい」「美味しい緑茶が飲みたい」と言っていた場合などはこの限りではありません。しかしそういった場合も、念のため「欲しいと聞いていたので」など一言添えておくと誤解がなくて良いでしょう。
贈る時のスタイルは?
出産内祝いの内容について、さまざまなポイントを確認してきましたね。相場や品・タイミングについても完璧になっていただいたところで、出産内祝いはどういった形で贈るものなのか、見た目や形式的な部分についてもチェックしてみてください。第一印象はやはり贈り物にとっても大切な要素ですから、最後にしっかり確認しておきましょう。
●目上の方には丁寧なスタイルで
大人の贈り物のマナーとして、出産内祝いにもやはり熨斗紙は必須。会社の上司や先輩など、目上の方には以下の正式なスタイルで贈ることがおすすめですよ。
- 水引 :紅白5本もしくは7本の蝶結び
- 熨斗 :あり
- 表書き:「内祝」
- 名入れ:お子さんの名前を、漢字+振り仮名で
●友人には可愛らしいデザインでも◎
上述したのはかしこまった様式の贈り方ですが、出産というおめでたい贈り物では、親しい方には可愛らしいデザインの熨斗紙や命名札を一緒に贈るのもアリですよ。ご友人に贈る際はあまり形式にこだわらず、受け取った方の気持ちも和らぐようなギフトにするといいでしょう。
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まとめ
今回は出産内祝いにおける、西日本・東日本で微妙に異なる点についてお話してまいりました。相場の違いについて心配される方も多いようですが、実質的な違いはないこと・おため返しの習慣には注意すべきということがお分かりいただけたのではないでしょうか。
その他にも、贈るタイミングや熨斗紙の形式などについても解説しましたので、出産内祝いを用意するポイントはしっかりおさえられたかと思います。こちらの記事をお読みになって、少しでもママさん・パパさんの負担や心配が軽くなりますように。