誰かの家や仕事上の話し合いに招かれた場合、訪問のマナーが大切です。招いてくれた相手に不快な想いをさせないマナーは大人に必須なものです。特に和室に招かれた際にはどんな点に気を付けるべきなのでしょうか?ここでは訪問マナーについて詳しくご紹介します。
洋室とは違う!?和室へ訪問する際のマナーは?
誰かの元へ訪問する場合、和室などへ通されることがあります。そんな時、和室の訪問マナーを正しく知っているかいないかで訪問先の相手への心象が大きく変わります。
では、和室と洋室ではどんなマナーの違いがあるのでしょうか?
和室とは、畳を敷いてある日本の伝統的な部屋で、洋室と異なり襖や障子、床の間などがあります。
畳と畳の境には「縁(へり)」というものがあり、踏まないのが和室のマナーです。同様に、敷居も踏まないようにします。昔から縁や敷居には神様が住んでいると考えられており、大切にされてきたのです。
実際、畳の縁には繊細な糸で刺繍が施されている為、踏んでしまうと傷んでしまいます。また、敷居には埃が溜まりやすいため、踏んでしまうと埃が部屋の内外に移動してしまいます。そういったことを防ぐために踏むのを禁止されているのです。
洋室にはそのような禁止事項はありませんので、大きな違いです。
和室の場合、上座と下座がはっきりとしておりますので、座る場所にも気を付けなくてはなりません。
床の間の前が上座で、入口側が下座です。特にホストから指定が無い場合は、訪問する招待客の関係性で座る場所が変わります。自分より目上の方、職場での立場が上の方から上座に座るのがマナーです。
注意すべきは扉?襖の開け方や閉め方をマスターしよう!
和室の扉は洋室のドアと違い、襖です。襖では開け方、閉め方にマナーがあり、最初は戸惑ってしまうかも知れませんが、一度覚えてしまえば案外簡単なものです。
まず、襖は扉の様にノックができませんので、開ける前に「失礼します」と中に聞こえるように声を掛けます。そして、立ったまま開けると見下ろす形で失礼ですので、必ず正座をして襖を開けます。
具体的には次のように開け閉めします。
1.正座をして襖の引き手に手を掛け、5センチほど開けます。
引き手は元々少しだけ開けるためのものです。引き手は傷みやすいため、あまり沢山の力を掛けることは避けたいところです。
2.引き手から手をずらし、親骨と呼ばれる襖の枠に手を掛け、そのまま敷居から30センチ程度の場所に手を移し、襖を半分まで開けます。
この時点では中に居る人と目を合わせません。中の様子を伺い、一呼吸置く時間です。
3.次に反対側の手に変え、親骨を押して残りを開けます。
この時、開け切らずに5センチほど残しておくのがポイントです。襖を閉める際に閉めやすくしておくためです。
4.襖を開けたら、会釈をして身体を躙りながら入室します
5.閉める際は全く逆の動作をします。まず、襖に向かい正座し、近い方の手で敷居から15センチ程のところを持ち半分まで閉めます。
6.手を変えて敷居から30センチ程の所を持ち閉めます。この時、完全に閉めず、5センチほど残しておきます。
7.最後に引き手に手を掛けて全て閉めます。
ホストの自宅に招かれた場合とお店の場合との違いは?
誰かの自宅に招かれた場合、その家の主がホストとなり、その集まりを取り仕切ります。
お店との違いは、ホストの家では玄関からマナーが問われる点です。お店ではお店の案内人が席まで案内をしてくれますし、給仕もしてくれます。でも、個人宅ではそれらは全て招いた側が行います。招かれたゲストはマナーを守らなくてはなりません。マナーを守らなかったり、横柄な態度を取るとホスト側からは「非常識な人」というレッテルを貼られてしまいます。
訪問マナーは当日だけではなく、手土産や服装選びから始まっています。それらのことを理解し、マナーを守った自宅訪問を心掛けましょう。
また、ホストから座る場所などの指示を受けた場合には、それに従います。特に指示が無い場合には下座に居るのが好ましいですね。
座布団の使い方にも要注意!!
和室の訪問マナーでは、座布団の使い方にも気を付けましょう。
座布団の座り方にもマナーがあります。まず、座布団の下座に座り、お招きいただいた事に対するお礼を述べて手土産を渡します。相手に勧められたら座布団に座ります。座布団へ座る際は立ち上がらず、そのまま躙って座布団へ移動します。
立ち上がる際は後ろに少しずれ、つま先を立ててから立ち上がります。足が痺れてしまった場合には、このつま先を立てる姿勢を暫く続けていれば、徐々に治まります。足が痺れてしまいそうな際には、周囲の人に断りを入れてから下座側に崩します。足を崩したい事を言い出すのは気まずい様な気もしますが、我慢をし過ぎると怪我の元です。そのため、早めに申告し崩せるようにしておきましょう。
座布団の上に立ったり、座布団を勝手に移動させ、裏返したり向きを変えたりするのはNGです。
ビジネスでもプライベートでもマナーは同じ!?
訪問マナーはビジネスでもプライベートでも基本的には変わりありません。
でも、ビジネスでは上司や取り引き先の人など、普段あまり親交の無い相手と顔を合わせます。中にはマナーに厳しい相手が居るかも知れません。そのため、ビジネスの場合には訪問マナーをしっかり守る必要があります。また、ビジネスシーンでは、先方のアポイントが取れない状態で出向く必要が生じることもあります。そんな時は訪問のタイミングを考慮し、出向く必要があります。時間に厳しい日本では、訪問時間をミスするこがビジネス上の命取りになり兼ねないのです。
いずれにしても、プライベートでしっかりと訪問時のマナーを身に付けていれば、緊迫したビジネスシーンでも戸惑うことなく対応できるでしょう。
ゲストは時間と足元に注意しよう!!
前述の通り、訪問マナーの一つとして、訪問時間を厳守するということが挙げられます。
ビジネスでもプライベートでもゲストはおよそ5分前に到着するようにすると安心です。早過ぎても遅過ぎても相手の迷惑になってしまいます。5分前には到着し、ピッタリの時間に訪問できるようにしましょう。
また、例えば訪問予定時間1時間などと決められている場合には、それよりも短いと心得ておくことも大切です。長居は厳禁なのですね。
また、訪問の際は足元に気を配ることも忘れないようにしましょう。例えばお座敷・和室などでは靴を脱ぎます。そうなると、靴にも目が行きますし、足にも目が行きます。夏場でも素足で室内に入るのはNGなので、靴下やストッキングを身に付けて行きましょう。
雨の降る日には、替えの靴下を持参し、和室などへ入る前に履き替えると安心です。
まとめ
訪問マナーには様々なものがあります。特に和室のマナーは扉を開ける前から作法があるため気を付けなくてはなりません。和室では正座をして座っている人が殆どなので、基本的に立ち上がることはありません。移動する際は身体を躙りながら移動します。また、靴を脱ぐ際にも他の人にお尻を向けないよう、正面を向いて脱ぎ、その後身体を斜めにして靴を揃えます。最初は戸惑うかも知れませんが、何度も繰り返すうちに自然とマナーは身に付きます。難しいと諦めずに何度も挑戦してみましょう。