うるう年(閏年)という言葉を聞いたことがある人は多いでしょう。では、一体どんな年なのかご存知ですか?一年が一日長いことは知っていても、それが何故なのかは、よく分からない、詳しく説明できないという人も居るのではないでしょうか?ここでは、そんなうるう年について詳しくご紹介します。
うるう年って一体何!?
うるう年とは、通常一年が365日であるところ、366日になる年の事をいいます。
太陽暦では、季節と暦を一致させるために、一年の長さをうるう年などで調節しています。
太陽暦の中のユリウス暦は、紀元前46年の古代ローマで採用されました。その後、4年に一度をうるう年として制定していましたが、人々が混乱してしまったため、暫くうるう年を行わなかったり、3年に一度にしたりと試行錯誤が繰り返されました。春分の日は天文学上3月21日前後ですが、ユリウス暦では16世紀に3月11日になってしまったため問題視されました。
その後、ユリウス歴の春分の日のずれを正すため、グレゴリオ暦では、暦の研究が行われました。そして、以下の条件でうるう年が定められています。
・うるう年は400年間で97回ある
・西暦が4で割り切れる年はうるう年
・但し、西暦が100で割り切れる時は平年
・但し、西暦が400で割り切れる時はうるう年
尚、古代エジプトでは、うるう年の概念を持たなかったため、1年は常に365日でした。その結果、4.129年に1日という割合で暦と季節がずれていきました。
うるう年ってどういう意味?
うるう年は季節と日付を合わせる為に必要であることが分かったことでしょう。
では、なぜうるう年と言うのでしょうか?うるう年は閏年と書きます。
閏は、王様が門に入っていることを表わす字なので、「王が休む」という意味を持ちます。また、閏は「余分な・余り」という意味がありますので、普段よりも多いことを表わしています。
閏と潤という漢字が似ている為、「うるおう」の読みから「うるう」と呼ばれたのではないか?とされています。そして、うるう年は「じゅんねん」とも呼ばれています。
なぜ2月に1日足すことになったの?誕生日はどうなるの?
前述のユリウス暦の時代には既に2月にうるう日を1日足しています。では、なぜ2月なのでしょうか?
これは、古代ローマでは2月が年末、3月から新年であったためと言われています。また、古代ローマでは偶数が不吉な数とされていて、1カ月も29日か31日間で考えられていました。でも、2月は清め・祓いの月と呼ばれ、不吉な数でもOKとされていたのです。
4年に一度とはいえ、2月に29日が存在する以上、その日に生まれる人もいます。日本では誕生日前日の終了時点で歳を取るという決まりがあるため、2月29日生まれの人も、毎年2月28日の午後12時に歳を取ります。4月1日生まれの人が前の学年に入るのも、その決まりが関係しているのです。そのため、うるう年の2月29日生まれの人も、毎年平等に歳をとるのです。
日本でのうるう年はいつ?4がポイントって本当?
日本でのうるう年は、西暦ではなく皇紀により定められていて、明治31年の法令でも下記の様に記されています。
1、神武天皇即位紀元年数(=皇紀年数)を4で割り切れる年をうるう年とする。
2、皇紀年数から660を引いて100で割り切れる年で、尚且つ100で割った時に、商が4で割り切れない年は、平年と考える。
これらの考え方は、グレゴリオ暦の西暦から計算する方法と同値です。
このことから、日本では基本的に子・辰・申の年がうるう年です。上記の通り、4年に一度、4で割り切れる年など、4がポイントであるといえます。
うるう年とオリンピックは同じ!?何か関係があるの?
近代オリンピックでは、夏季オリンピックの開催が4年に一度であり、西暦年が4で割り切れる年です。そのため、うるう年の事を「オリンピックイヤー」と呼ぶ事もあります。でも、西暦1900年のパリオリンピックは、100で割り切れるものの400では割り切れないため、うるう年ではなく平年でした。また、西暦2100年も同様の理由から平年です。このことから、単純にオリンピックイヤー=うるう年と考えてしまうのは危険です。うるう年は、前述の通り様々な条件で決められています。その一つ一つに該当することが大切で1日のズレがその後の大きなずれに繋がる為、大変緻密な計算をされています。単純に4年に一度と考えず、きちんと計算をすることが大切なのです。
うるう年はシステムエラーなどの不具合が起こるの?
西暦2000年は、グレゴリオ暦のうるう年の決まりの3番目である「西暦年が400で割り切れる年は、必ずうるう年」に当てはまる為、400年に一度のうるう年でした。でも、2番目の「西暦年が100で割り切れる年は平年」と勘違いしている者も多く、いわゆる「2000年問題(Y2K)」の一因になってしまいました。このように、様々なところで勘違いが生まれ、うるう年問題、うるう年バグなどと呼ばれるシステムエラーが起こりました。パソコンシステムやゲームなどがこの問題による障害を起こし、世界的なトラブルを招きました。
100年に一度のスーパーうるう年、400年に一度のスーパーミラクルうるう年があり、先を見据えたシステム構築が求められるため、注意が必要です。
うるう年は世界中同じなの?
うるう年は世界中同じなのでしょうか?
日本は皇紀年数での計算に基づきうるう年を決めていますが、これはグレゴリオ暦と同様です。世界では一部地域を除き多くの国がグレゴリオ暦を使用している為、日本と同様の暦です。うるう年は英語で「leap year」といい、欧米諸国でも当たり前のように存在しています。
うるう年は各所で、不吉や不運をもたらすと言われ、あまり良く思われていないことが多いものです。日本でも、「うるう年にお墓を建てたり、仏壇を買うと不幸が起こる」などと言われ避けられています。
一方、四国八十八箇所巡りを「逆打ち」すると、そのご利益が通常の3倍になるとも言われています。逆打ちとは、お遍路コースを逆に回ることを言います。通常、四国のお遍路では「順打ち」といい、決められたコースを順番通りに回ることが良しとされており、逆打ちをすると呪われるなど怖い噂もあります。実際に、順打ちをするよりも、逆打ちをするコースの方が道も険しくその分危険も伴いますので、そのような良くない噂が立ったのかも知れません。でも、うるう年には逆打ちのコースプランを打ち出す観光産業もありますので、それなりの人気がある回り方であるとも言えるのです。うるう年の御利益にあやかってみても良いかも知れませんね。
まとめ
うるう年は、季節と日付、時間などを合わせるために行われている、いわば調整のために設けられた日です。
うるう年が無ければ、季節はどんどんずれて夏が12月ということになり兼ねません。なので、とても重要なものといえます。
一年365日が366日になる4年に一度の貴重な年なので、不吉と言われたり、幸運が訪れると言われたりもします。また、うるう年の条件は実は複雑なので、単純に4年に一度とも言い切れないのが特徴です。少しの勘違いがシステムエラーなどの大問題を起こしますので、注意が必要です。