茶道は昔からある日本の文化の1つです。
どうやって広まり、どこから今の茶道につながる「おもてなしの心」になったのでしょうか。
茶道にはたくさんの作法があり、堅苦しいとうイメージがありますが、本当にそうなのでしょうか。
また、よく耳にする表千家と裏千家はどう違のかをご紹介します。
茶道はどうやって始まったの?
茶道の歴史は約800年と言われています。
日本に最初にお茶の文化を持ち込んだのは、遣唐使として唐に渡っていた僧侶たちでした。
ですが当時はお茶の文化が寝付かず、必要量を飲むだけに終わっていました。
鎌倉時代に日本に禅宗を伝えた栄西と呼ばれる人がお茶を九州に植えたことからお茶の栽培が広がりました。
栽培が広がるとお茶を飲む習慣が一気に広まりました。
室町時代になるとお茶を飲み当てる博打が流行しました。
ですが茶会での博打や飲酒が禁止され、茶会のあり方は精神の交流であると考えられるようになりました。
江戸時代まではお茶は大名や豪商の物でしたが、町人階級が経済に影響するようになり、お茶をたしなむ人は一気に増えました。
この町人階級により増えたお茶の愛好家は千家によってまとめられました。
お茶は大名や豪商の物だけでなく庄屋や商人などの習い事としても広く広まっていったのです。
流派も増え続け、お茶の全盛期がやってきました。
その反面で大衆化に拍車がかかってしまい、伝統が崩れていきました。
お茶の本来の目的である、「人をもてなす時の心の美しさ」が強調され、茶道の根元である精神が問われたのです。
人をもてなすことを考え直したことで、現在につながる茶道の心が生まれたのです。
茶道には「わび、さび」という言葉が用いられますが、「わびしい、さびしい」という意味なのです。
満たされない自分の状態を認めて慎み深く行動するということを示しています。
わび、さびの精神で心を落ち着かせて、精神を高めていくという文化に確立されていき現代に至ります。
表千家と裏千家の違いは?
茶道の話の中には必ずと言っていいほど表千家と裏千家が出てきますよね。
表千家と裏千家の違いですが、そもそもの始まりは同じなのです。
千利休から始まった侘茶(わびちゃ)のスタイルは、二代目、三代目と形を変えて続いていきました。
そして四代目の時に三男が表千家を、四男が裏千家を立ち上げたのです。
名前の由来は三男の「不庵庵」の裏に四男の「今日庵」があったことからきています。
本家筋が表千家、分家筋が裏千家というシンプルな名前になりました。
お茶の作法としてもほとんど差はありません。
表千家は薄茶を泡立てない、裏千家は泡立てる、などの細かい違いがあるくらいです。
表千家、裏千家とは別に分家である武者小路千家と合わせて「三千家」と呼ばれるようになりました。
簡単な茶道のお作法とは?
年末年始や外出先などで、お茶をふるまわれる機会も年々増えてきます。
茶道の作法がわからなくても楽しめますが、作法がわかればもっと楽しめます。
相手の方にも失礼の無いように、最低限の作法を身に着けましょう。
まず、裏千家ではお茶よりも先にお菓子が運ばれてきます。
お菓子をすすめられたらまずはお隣の方に「お先に」という言葉を伝えます。
「お先に」は「お先にちょうだいします」という意味で、同行者への気配りとなるのです。
お菓子を食べる前にはまずお菓子の器を両手で少し持ちあげて、軽く頭を下げます。
神仏への感謝を表す行為なので必ず行いましょう。
懐紙(かいし)という紙が用意されていますので、輪を自分に向けてお菓子の器の間に置き、お箸で一つ取ります。
お菓子の付いたお箸は懐紙でぬぐってから、元々あった器の上に戻します。お菓子が食べ終わるころになるとお茶が運ばれてきます。
隣の方に「お先に」という伝えたら、亭主には「お点前頂戴いたします」と言ってお菓子と同様に、頭を下げて神仏に感謝します。
お茶碗は右利きの人も左利きの人も左に乗せて、軽く右手を添えます。
お茶を飲むときにはお茶碗の正面から飲まないという作法があります。
正面とは絵柄の付いている方向なのですが、絵柄に化粧が付かない様に避けて飲まなくてはいけません。
絵柄を避けるためには2度に分けてお茶椀を回しましょう。
お茶を飲み終わるには3口半が理想的です。
飲み終わったら右手の親指と人差し指で軽く飲み口をぬぐいましょう。
お茶椀は飲む前と逆に回して、正面が亭主に向くようにしておきましょう。
お茶を飲む時に気にしていただきたいのは「時間」です。
茶道の心得は「一期一会」なのですが、会った方との時間を大切にするという意味があります。
その中で時間を気にして飲むという行為は無粋にあたるので、お茶を飲む際には時計を外しましょう。
茶道の作法は細かく、歴史があるので初心者には難しいものです。
わからないことがあれば亭主に尋ねるのも良いことなのです。
茶道はまずは楽しむという気持ちを持って取り組みましょう。
立礼式の読み方と意味は?
茶道において、「立礼」は「りゅうれい」と読みます。
立礼式とは、テーブルと椅子で行うお点前で裏千家が外国の方のために創案しました。
立礼式は靴のままで行うので外国の方も気軽に参加することができます。
また、足の不自由な方や正座の苦手な方にも人気です。
日本人は昔から正座で生活していましたが、現代にもなると椅子とテーブルの文化が多くなってきました。
現代人の生活にも合う茶道が立礼式なのです。
立礼式は裏千家の11代目家元によって考案されました。
初めて立礼式が行われたのは1872年です。
京都で開催された博覧会に来られた多くの外国のお客様にお茶を振舞うために行われました。
裏千家以外の流派はお茶の作法をそこまで崩す必要が無いという考えでしたが、裏千家は外国の方のために変えました。
亭主も客も同じように椅子に座りテーブルで茶道を楽しみました。
茶道は昔からの作法を守ろうとする文化なので、立礼式が受け入れられるまで時間がかかりました。
ですが立礼式は茶道の基本が抑えられており、使用されている棚や作法が美しい為少しずつ受け入れられるようになりました。
現代では裏千家だけでなく、他の流派も立礼式を摂り入れています。
昔からの作法と新しい考えが混ざり合い、茶道はどんどん発展しているのです。
< h3>立礼棚や立礼卓とはどういうものなの?
立礼棚や立礼卓は外国の方が茶道を楽しめるように作られました。
名前は異なりますが、使用方法はほぼ同じです。
折り畳み式で持ち運びできる物もあり、屋外でお点前をする時にも非常に扱いやすいのです。
大きさが様々なので好みやお部屋の広さによって選べます。
個人でお茶を楽しむ場合にも、立礼棚があれば気分も上がります。
インターネットやお店で気軽に購入できますので、年配の方が居るご家庭などにあれば便利です。
立礼式の作法とは?
立礼式は正座でお茶を飲むときよりもカジュアルなので、あまり気負う心配はありません。
器類や飾りなどをじっくりと眺めるということが一番の作法になります。
懐紙は主催者側が用意していてくれますが、持っておくにこしたことはないでしょう。
立礼の時にはお菓子は机の上に置かれている場合が多いです。
隣の方に「お先に」と伝えて食べましょう。
お茶を飲む時にも同様に隣の方に伝えます。
お菓子の食べ方や、お茶の飲み方は正座での作法と同じです。
立礼の場合には亭主が居ませんから、飲み終わったお椀の正面は自分に向けておきましょう。
置いたお椀は引きとりの方が来るまで眺めて待ちましょう。
「結構なお点前でした」という言葉は正客の方だけが亭主に伝えますので、飲み終わっても何も言わなくて大丈夫です。
わからないことがあれば正客の通りにしておけばよいでしょう。
作法については正座で行う茶道と同様、最低限わかっていれば大丈夫です。
茶道はあまり堅苦しく考えずに楽しむことが第一なのです。
茶道はどんなところで教えてくれるの?
茶道を初めてみたくなったらまずは流派を決めましょう。
茶道の流派はとてもたくさんあるのですが、ほとんど表千家と裏千家に分かれます。
作法を学びたいなら流派にはそこまでこだわらなくても良いでしょう。
ですが、学び始めてから流派を変更するのはマナー違反なので注意しましょう。
茶道教室は企業や法人が経営しているところだけではなく、街や市のカルチャースクールでも開催されています。
本格的に茶道の道を極めて、継続して長く続けたいのでしたら個人の茶道教室がおすすめです。
趣味の一環として始めたいのでしたらカルチャースクールがおすすめです。
1日体験入学もあるので気軽に始めることができます。
月謝は教室によってまちまちなので、月謝によって個人教室かカルチャースクールかを決めるのも良いでしょう。
個人の教室もカルチャースクールも、通うのでしたら真剣に学びましょう。
茶道の心は「一期一会」です。
教えてくださる相手の方に失礼のないように、人としての付き合いを大切にしましょう。
まとめ
お茶の心は昔から現代まで変わりません。
おもてなしと人との時間を大切にするという心が茶道に現れています。
古くから伝わる作法と新しい考えが混ざり合い、茶道をより魅力的な物にして現代まで続いています。
人と人との繋がりが薄れてきている現代でも茶道はつながりをもたらしてくれます。
茶道を深く知っていくと人の心にもより深く触れることができるでしょう。