着物は難しくて取り扱いにくいというイメージが強いのですが、決してそのような事はありません。
日本が昔からなじんできた文化ですのでマナーを覚えればどなたでも気軽に着られます。
着物の歴史や種類なども学べば親近感もわき、着物に対する抵抗も少なくなることでしょう。
着物の事をもっと知れば、新しい魅力や世界が広がりますよ。
着物は誰が着ても良いの?
着物は結婚式や入学式などのイベントで着る、特別な物だというイメージがありますよね。
本屋さんに行くと、着物の本もたくさん置いてありますが、専門的に着られている方がほとんどでとても難しい物というイメージがあります。
着物の着方にも洋服とは違って色々なマナーがあり、気軽に着られそうにありませんが、本当にそうなのでしょうか。
特別な時に着るというイメージの強い着物ですが、普段着として着られるともっと素敵ですよね。
着物は専門家の方だけでなく、本来ならみなさんが気軽に着られる物なのですが、いつ頃から難しく感じられるようになってきたのでしょうか。
洋服とは違って着方を覚えなくてはいけませんが、着物を着られると見につけるもののバリエーションも増えますし新しい世界が広がります。
着物は誰でも着て良い物なので、もっと気軽に普段着として着物を楽しみましょう。
着物の歴史は?
着物が硬く感じる存在であるという理由のひとつに歴史があるということです。
歴史のある物にはどこか身構えてしまい、遠く感じてしまいますよね。
歴史を知れば身近に感じ、一気に親しみやすくなるでしょう。
そこで、着物の歴史を紹介いたします。
着物の始まりは縄文時代で、その頃、人々が服を着る理由としては装飾ではなく寒さや厚さをしのぐためだけの物でした。そのため、狩猟で手に入った獣や魚の皮で作った簡単な物で、農業をするようになってからはそれらが麻などの繊維に変わりました。
弥生時代になると人々は布の服を着るようになりました。
女性は大きな布の真ん中に穴を開け、頭を通して腰を縛るという簡単な物でしたが、だいぶ現代の服装に近づいてきています。
男性は布を肩からかけて前で結び、別の布を腰に巻いて結ぶという女性よりも簡単な物でした。この頃になると、植物から染料を取る技術も発達してきて、服を染めるとう行為も始まっていました。
古墳時代になると、中国を始め、他国との交流が始まった影響で、スカートやズボンの様な物も生まれてきました。当時の埴輪を見ると、現在とは逆で服を「左前」に着ることが普通でした。蚕の養蚕も始まり、服作りはどんどん進化していきます。
奈良や飛鳥時代には遣隋使や遣唐使の影響で中国の物が取りいれられるようになりました。コートや袴の様な物もでき、服の合わせも左前から右前になりました。
平安時代には遣唐使が廃止されたので、次第に日本独特の服装に変化していきました。袖口の下を縫わない製法だったのですが、これは現在の長じゅばんにも用いられている手法です。十二単が考えられ、一気に現在の着物の形に近づきました。
安土桃山時代には華やかな桃山文化が生まれ、刺繍や染めの文化が進化し、多色な帯が流行しました。
江戸時代になると経済が一気に発展し、時代を表すかのように明るい色調の小紋や小袖ができ、お太鼓結びも始まりました。
縄文時代にはただ着るだけだった着物は、華やかに自己表現する物になったのです。
明治時代になると明治維新の開国で他国の文化が入ってきて、人々の服装も欧米化しました。
着物一辺倒だったのが洋服の浸透で変化し、一般人まで洋服が広がりました。
現在に入ると、洋服が主流になり着物は特別な物という感覚になっています。
着物は本来誰でも着て良い物なので、今後も着物の歴史が変化する可能性はあります。
着物の着付けは難しいの?
着物を着るということのハードルが高い理由のひとつに着付けが難しいということがあります。
着付けにプロもいらっしゃるくらいですから相当難しいイメージがありますが、練習すれば自分でも着られるようになるのです。自分で着られるようになれば着物がもっと身近になり愛着もわくようになります。
自分で着付けをするにはまず道具が必要です。
必要な物はまずは着物用の下着です。普段使いの下着ですと着物にラインが移ってしまうので着物用の物を用意しましょう。下駄を履くので足袋、帯を綺麗に見せるための帯板、帯枕(お太鼓結びの時のみ必要)、腰ひも3本、建て締めがあれば大丈夫です。他にあれば便利な物は着物クリップ、マジックベルトやウエストベルトなどの着物専用のベルトです。崩れをふせいでくれますから着物の初心者の方はあれば良いでしょう。
現代人はウエストが細くメリハリがあり、着物が崩れやすいので、体を直線にして崩れやすさを防ぐためにタオルがあれば便利です。
続いて着付け方法ですが、まずは着物用の下着を着たらタオルを腰に巻きつけて体のラインを補正します。次に、長じゅばんを着て着物を着ます。着物の着付けは雑誌や動画で確認しながら着ていきましょう。何度も練習することで何も見ずに着られるようになります。
帯の結び方もまずは簡単な文庫結びをマスターすれば大丈夫です。慣れてきたらお太鼓結びにも挑戦して着物の着付けの幅を広げていきましょう。
着物の種類に意味はあるの?
洋服でも普段着とフォーマルがありますが、着物にもあるので注意が必要です。
一見、豪華な柄でも普段用の着物があれば、シンプルで地味なのでフォーマル用の着物もあるのですがその違いはなんでしょうか。
着物はまずは簡単に4つに分かれます。
最も各の高い礼装着、その次は略例装着、外出着ときて普段着です。
礼装着は晴れの日などの特別な時に着る物であり、代表的な物が花嫁衣裳の白無垢や打掛です。
新郎新婦の母が着る黒留袖や未婚の女性が着る本振袖、黒紋付きの喪服も礼装着なのです。
略礼装着は礼葬着の次に格がある着物で、華やかな場所でよく着られます。
入学式や披露宴、お茶会などで何を着れば良いかわからない時には略礼装着を着れば安心です。
色留袖や訪問着、振袖に色無地、江戸小紋の紋付などがあり場所によって選びます。
外出着にいたっては、とても範囲が多いので参加する場や自分の好みによって選べます。
付け下げや小紋、絞りや更紗など個性に合わ せて着られるのが良いですね。
普段着はさらに種類が多くなり、浴衣も含まれます。自宅で洗うことができる着物もあるので着物の入門用に一枚手に入れてみるのも良いでしょう。
着物は見た目ではなく生地で格が変化します。
大切な場所に着物ででかけることがあるならば、特に気をつけましょう。
着物の時のマナーって?
着物はものすごく特別な物というわけではありませんが、着る時にはマナーを守ることが大切です。 洋服と異なり着ているだけでくずれやすいだけでなく、見た目にも美しくありません。
ふとした動作の中にもマナーがあり、美しく見せるためにも最低限の事は覚えておいた方が無難でしょう。
着物を着ている時には立ち方にも気をつけなくてはいけません。
つま先は少し内向きにし、頭を上から引っ張られている気持ちでピンと伸ばします。洋服とは異なりかなりの腹筋を使うので慣れるまでは立つだけでも大変です。
歩くときにも着物が乱れないように小股でまっすぐ歩きます。着物は体に巻きつけて帯で締めているだけなので、歩くだけでも乱れてこないように右手で押さえましょう。
難しいのは階段の上り下りや車の乗り降りなど、段差のある所です。足を上げる時には着物の裾が乱れないように少し持ちあげましょう。
階段を上る時には体の向きを斜めにすると歩きやすくなります。
車に乗る時には帯が潰れないように軽く腰かけましょう。
普段あまり無いことですが、着物で観劇をする時に帯を体の前に持ってこなくてはいけません。背中側に帯があると前のめりで観劇することになり、そうすると後ろの方の舞台が見えなくなります。背中に帯があるという事は常に意識しておきましょう。
電車でつり革につかまる時には着物の袖がずりおちて腕が見えると美しくないと言われています。そっと片手でずりおちないように抑えておくと美しいですね。
普段の動きでの着物のマナーはこのくらいなのですが、相手の方への訪問時や和室での振る舞いなど様々なバリエーションがあります。
その時その時に合わせての着物のマナーがありますので、事前にどこに行くのか確認して着物のマナーを予習しておきましょう。
まとめ
着物の事を知るたびに新たな魅力が見つかりますね。
マナーやしきたりなど、洋服に比べると様々な決まりがありますが、着るだけで身も心も引き締まるのが着物の魅力です。
種類もたくさんありますので、好みを物が見つかればそこに帯や小物などを合わせて自分の個性をどんどん広げられますね。
古くて新しい着物の魅力は知れば知るほど深くなっていきます。
みなさんならではの着物の着こなしでお洒落を楽しんでいきましょう。