お百度参りと言うと、時代劇で良く聞きますよね。
ですが現在も行われているので、人々は切実なお願い事を神様に届けているのです。
お百度参りとは実際にはどの様に行い、お願いをすれば良いのでしょうか。
また、お願い事が叶った後にはそのままにしておいても良いのでしょうか。
お百度参りについてご紹介いたします。
お百度参りをする意味は?
お百度参りとは、時代劇ではよく耳にするのですが、実際にはどういったことをするんでしょうか。
お百度参とは日本の民間信仰で、「神様へのお願い」なのです。
神様に切実なお願いを聞いてもらうために同じ神社に百回お願い事をします。
その行為をお百度参りと言うのです。
回数を重ねてお参りすると、神様とも顔なじみになって願い事を叶えてくれると考えられていました。
顔なじみなってもらえてば、切実なお願い事も叶えてくれると考えられていたのですね。
本人にとっては切実でもテストで良い点を取りたいというお願いや、恋人が欲しいという物はお百度参りをするには軽いお願いなのです。
軽いお願いには雑念が入りやすいので、神様はあまり好まないのです。
人の生死や病気にかかわる深いお願いをするのがお百度参りなのです。
ですので人々は一回のお願い事では叶わないかもしれないと考え、百回もお願い事をするのですね。
元々は「百日詣(ひゃくにちもうで)」というものだったのですが、これは近くの神社などに百日間お願いをするというものでした。
ですが百日も通い続けるのは大変ですよね。
天候の問題もありますし、どうしても外せない用事や具合の悪い時もあります。
さらに時間をかけていられない、切羽詰まったお願い事の場合もありますよね。
その為お百度参りは百日通うパターンと、簡単に1日で百回お参りするパターンができました。
1日で百回お参りできれば切羽詰まったお願い事にも間に合いますよね。
「吾妻鏡」という古い本によると、鎌倉時代の初期にはすでにお百度参りができていました。
お百度参りはたくさんの方々の願いがこめられた行為なのです。
百回もお参りするとなると、飽きや疲れてきて行為が雑になりそうですがその逆で、どんどんと洗練されていくのです。
回数を重ねるごとに頭の中から雑念がどんどん減っていき、精神統一できるのです。
神様にシンプルに自分の願い事だけを伝えられるようになり、1回1回のお参りに重みが出るのです。
お百度参りの行い方は?
お百度参りの行い方はあまり難しい物ではありません。
難しい物ですと百回をこなすのがとても大変な物になってしまいますよね。
人々が百回こなせるように、行い方は意外に簡単なのですが、お参り方法にはいくつかの決まりごとがあるのです。
まず神社や社寺の入り口から拝殿を通り、本堂まで行きます。
本堂で参拝をしたら、また入口まで戻ってくるのが1つのセットです。
この行動を「お百度を踏む」と言います。
百回数えるために小さい石や竹串、こよりなどの人目につかないような物を百個持ち込み、お参りするごとに人目につかない場所に置くのです。
百個も置くのですからあまり大きすぎない物が良いのです。
また、風で飛んでいかないように多少重みのある物が良いでしょう。
神社や社寺によっては数えやすいようにそろばんのような物が用意されているところもあります。
いずれにせよ数が数えられれば良いので持って行く物はある物で良いでしょう。
お百度参りは人目につかないと願いが叶えられやすいと言われています。
願い事を確実に伝えるために人々がどれだけ真剣なのかがわかりますね。
お百度参りは現在も行われているの?
人々が願いを叶えたいというのは昔から変わらないため現在も行われています。
お百度参りに遭遇したとしても見た目は普通のお参りですので気づいていないだけかもしれません。
みなさんひっそりと、真剣に願いをかなえたくてお百度参りをしています。
現在では白装束にはだしは難しいのですが、できるだけきちんとした恰好の方が良いでしょう。
お願い事は気持ちの問題ですが、やはり見た目をきちんとした方が神聖な気持ちにもなれますよね。
現在では百回できなくても、ご自身で決めた回数でも良いと言われています。
ご自身が納得のいく回数できればお百度参りと言えるのでしょう。
お百度参りのお作法は?
お百度参りをきちんと行うためにはお作法も守る必要があります。
神様にお願いを届けるために、しっかりとお作法を身に着けて失礼のないようにしましょう。
まずは鳥居の前に立ち、神様に対して敬礼をします。
この時に万が一帽子をかぶっていたら失礼にあたるので脱ぎましょう。
参道の真ん中は神様の歩く所ですので端っこを歩くようにします。
手水舎に着いたら手を清めます。
手の清め方は神社でお参りする時と同じです。
まず手水舎に対して一礼します。
次に手水舎に置かれているひしゃくで水をすくいます。
そのひしゃくで左手を洗った後左手に持ち替え、右手を洗います。
また右手に持ち替えて、くぼませた左手に水をためて口をすすぎます。
ひしゃくで直接口をすすぐのはマナー違反ですので気をつけましょう。
口にためた水は左手で隠して吐きだします。
再び左手を洗った後、ひしゃくを立てて柄の部分に水を伝わせて洗います。
最後に手水舎に軽く礼をして終了です。
大切なのは、この一連の作業をひしゃく一杯分の水で行うということです。
神殿でお賽銭を入れる時にはそっと入れましょう。
お賽銭箱の前でも、参道と同じで真ん中は避けた方が良いのです。
お正月などでお賽銭を入れる時に、離れた所から投げる方を見受けますが、あまり良くないので避けましょう。
お賽銭の金額に小さい、大きいはありませんのでそれぞれの気持ちの額で良いでしょう。
お賽銭を入れたら鈴を鳴らし、初めに二礼二拍手一礼、二拍手を行い、まずは参拝させていただいたお礼を心の中で伝えましょう。
次に自分の名前や住所、お願い事を心の中で伝えます。
神社によってはお百度石という物があるのですが、お百度石がある場合にはそこを回って本殿に戻った後またお参りをします。
初めの時とは異なり、二礼二拍手一礼を行います。
この作業を百日繰り返して終了となります。
最後の日は本殿に行き、鈴を鳴らしてお賽銭を入れた後二礼二拍手一礼して終了です。
1日で終了する場合には、これらの作業を1日で百回繰り返しましょう。
お百度参りでお願い事が叶った後は?
お正月に神社でお守りを購入した場合には、1年後に返却しますよね。
何か御祝いをいただいた時にはお礼もします。
お百度参りでも、お願い事が叶った後には神様に対してお礼をしなくてはいけないのです。
お礼をするタイミングは、お願い事が叶ってすぐの方が良いでしょう。
手術に成功した場合などすぐに難しい場合には退院した後にお礼に行くと大丈夫です。
お百度参りの時と同じ様に、お賽銭を入れた後鈴を鳴らして二礼二拍手一礼を行います。
心の中で感謝の気持ちを伝えればお礼も終了です。
お百度参りはどこですれば良いの?
お百度参りは氏神様が祀られているところで行います。
氏家様が祀られていると聞くとピンときませんが、近所で最も大きな神社で祀られていることが多いのです。
近所で七五三やお宮参りが行われている神社があれば、そこが氏家様の可能性が高いのです。
同じ地域の方が共通で祀るため、鎮守の神様を同様のお使いを受けています。
氏神様が祀られている所がわからない場合は各都道府県の神社本丁に確認すればわかります。
氏神様はあちこちにいらっしゃるので、お百度参りをしたくなったらすぐに行けて良いですよね。
ですが、お百度参りにおすすめの神社という所もあるのです。
まずは大阪の石切つるぎや神社です。
石切さんという愛称のあるこちらの神社は、お百度参りの有名な所なのです。
硬くて大きい岩を切り裂くほどの偉大な精神を持つ神様が祀られているので、全国各地からお百度参りの方が来ます。
関東の東京大神宮や、成田山深川不動堂も有名です。
遠方の方にはこれらの神社でお百度参りをする事は困難ですが、お百度参りは現在では回数に決まりはありません。
たった1日でも心がこもっていれば良いので、立ち寄る機会がありましたらお百度参りをしてみましょう。
まとめ
昔とは違い、お百度参りは考えていたよりもずっと身近で取り入れやすい物になりました。
それでも軽いお願い事ができない厳かな雰囲気はありますが、神様への尊敬と感謝を忘れなければ大丈夫です。
お百度参りだけでなく、観光で神社に来られている方も居ますので、周囲の迷惑にならないように行うことが大切です。
作法とマナーをしっかりと守り、神様に自分のお願い事を伝えましょう。