みなさんは「陰陽説」というものをご存知でしょうか。
ゲームで出てきたりもするようなので、もしかすると男性の方が詳しいのかも知れませんが、実は女性にとっても興味深い占いに関する知識でもあるんですよ。
今回はそんな陰陽説について、根幹の考え方から占われ方についてまで詳しく解説してまいります。
陰陽説の「陰陽」とは?
陰陽とは、読んで字のごとく「反対の性質を表すもの」のこと。
この「反対の性質をもつもので世界が構成されている」という考え方が陰陽説です。
陰陽説の考え方については追って詳しく説明いたしますのでいったん置いておいて、根幹にある陰陽の性質についてみていきます。
間違われやすいポイントで、少し難しいかも知れませんね。
ですが、陰陽説についての理解がしやすくなる部分でもありますから、しっかり確認しておきましょう。
●それぞれの性質とは
陰陽という漢字から、「陽が良いもので陰が悪いもの」とイメージされるかと思いますが、実は少し違うんですよ。
性質の詳細については以下のとおりです。
陰:固く物質的なもの・ゆっくりとした動きのもの・冷たいもの・弱いもの・心理的なもの
陽:流動的なもの・動きがあり早いもの・温かいもの・強いもの・意識的なもの
単純に良い悪いという区別ではなく、分け方は意外に細かくなっています。
当てはまった要素によって、万物の陰陽は決まってくるというわけなんですね。
●陰陽は相対的に決まる
陰陽とは反対の性質のものを指す、とお話しましたが、この関係性は固定されるものではなく相対的に決まってくるものなんです。
人間関係に当てはめると分かりやすいのですが、A子はB子に対し陽(温かい気持ち)でも、C子には陰(冷たい気持ち)といった具合に、「A子は常に陰陽どちらかに決まっているわけではない」ということですね。
●陰陽の関係はバランスが大切
陰陽は相対的であり常に定まったものではないため、「揺らぎ」から生じるものであると解釈されています。
「揺らぎ」については規則正しい模様を描く周波数としてイメージしてください。常に同じ波であることが正しい状態ですね。
バランスがとれていれば綺麗に波模様を描いてくれますが、陰陽の関係が悪化するとトゲトゲした波形を描きはじめたりと、周波数の形を保てなくなるわけなんです。
つまり、万物は相対的に性質が決まるわけですから、その陰陽のバランスを意識することが大切だというわけなんですね。
有名な「太陰太極図」にも深い意味が
さて、陰陽説について耳にしたことがある方は、一緒に白黒の勾玉が組み合ったシンボルも思い描いたことでしょう。
このマークの正式名称は「太陰太極図」といい、見た目のインパクト性だけでなくきちんとした意味がある形なんですよ。
●勾玉の色は陰陽を表す
太陰太極図は白黒で描かれますが、白が陽を・黒が陰を表しています。
それぞれが真ん中できっちり分かれず勾玉状に描かれるのは、相対的に移ろうそれぞれの性質を表現しているからなんですよ。
勾玉には不思議な力があると考えられていますが、その形を意識したものではなかったんですね。
さらに勾玉模様には反対の色で丸い模様が描かれていますが、太陰太極図は勾玉を表したものではありませんから、紐通し用の穴というわけではありません。
この丸模様も同じく陰陽の相対的な性質を表現していて、「陰と陽は100%ではない」ということを意味します。
だから、それぞれ反対の色で書き加えられているんですね。
●太陰太極図には別名も
こちらでは太陰太極図としてお話してきた白黒のシンボルマークですが、実は他にもいくつか呼び方があるんです。
「陰陽太極図」「天地自然之図(てんちしぜんのず)」「陰陽魚図(いんようぎょず)」ともいわれますので、豆知識として覚えておくといいですね。
陰陽説の基本概念を知ろう!
陰陽の性質について正しく理解していただけましたら、次は陰陽説の考え方についてみていきましょう。
陰陽の性質を利用した物質の捉え方がお分かりいただけますよ。
●「気」の流れを整える目的が
一言で陰陽説を表すならば、「気の流れを整える目的がある考え方」といえるでしょう。
「気」とは生命エネルギーのことであり、先ほどご説明した周波数のことを指します。
周波数(気)が整っていれば陰陽のバランスがとれているといえますから、陰陽説を生活に活かすということは「気(生命エネルギー」を整えバランスをとるということなんですね。
「気」という言葉から連想されるかと思いますが、実は太極拳はこの陰陽バランスを意識して体系化された武術であり健康法なんですよ。
●陰陽説に基づく、身近なものの分け方
陰陽の関係性は相対的に変わるものですが、例えば以下のものは性質が基本的に変わらないものと考えられ、陰陽がはっきりしています。
身近にあるものをピックアップしてみますので、比較してみてくださいね。
陰:女性、防御、腹、皮膚、骨、凶作
陽:男性、攻撃、背、筋肉、内臓、豊作
●陰陽説で「左右」はどう分けられる?
陰陽に分けて考えると、対極に位置するものがあることが分かりましたが、ではここで質問です。
「左右はどちらが陰でどちらが陽を表すのでしょうか?」これは中々難しい問題ですよね。
両極端ということもなく、どちらも同じように感じてしまうかと思います。
しかし左右も陰陽で分けて考えられるんですよ。
「君子南面す」という格言が中国にはあるのですが、これは「王様は南を向いて座るものである」という内容です。
南向きに王様(絶対的な権力者)が座ると、王様の左側が東で右側が西になりますよね。
東は太陽が昇る方角であり、陽で表現され、反対に太陽が沈む西は陰と考えられます。
つまり「(絶対的な存在を基準に)左が陽、右が陰」ということになるわけです。
古い医学の書物にも関係が!?
陰陽説は万物を構成する上で欠かせない考え方であったことから、自ずと人間の各器官にも陰と陽が当てはめられるようになりました。
こちらでは、陰陽説について言及されている中で一番古い医学書についてご紹介したいと思います。
●古くは3世紀の書物に陰陽説が登場!
漢方学を著した書物「傷寒論(しょうかんろん)」には陰陽説の影響が色濃くみられるようですが、この書はなんと3世紀に書かれたものなんだとか。
東洋医学のバイブルとされていて、現在でも和訳本などが出回っているものなんですよ。
陰陽説に基づいて病気にかかる理由が示されていますが、現代でも学ぶべきところが多いとは…いかに先人の知恵が偉大かがよく分かりますね。
●日本で傷寒論の医学が根付いたのは?
日本では「傷寒論を見直し、この書物に書かれた内容の医療を実施しよう」という動きが江戸時代に活発化し、それが現在の漢方学にも活かされているそうです。
江戸時代には日本でも多くの医学の先人が誕生した時代でしたが、その先人たちも陰陽説に基づいた傷寒論を必読書と考えていたみたいですよ。
陰陽説で占うことができる?
占いの分野では陰陽説は単体ではなく、陰陽五行説という二つの考え方がセットになっています。
五行説は陰陽の区別をさらに細かく五分したものとイメージすると分かりやすいかと思いますが、基本的に占いをお願いする場合は陰陽五行説で診断されるそうです。
さまざまな計算をして算出される結果ですので、残念ながら詳しい占い方法は言い表せません。
…とは言っても気になるところかと思いますので、こちらではどのような方法で占われるのか、簡単にまとめてみましたよ。
●陰陽の他、五つの要素で万物を分類
五行説の五行とは「水・火・木・金・土」の要素のこと。
陰陽で表現されるものをさらにこれらで細分化し考えていくわけです。この五行にはそれぞれ以下の関係性があるとされ、その関係に基づき占っていくことになります。
相生(そうじょう):相性の良い、「木は火を燃え上がらせる」「火は灰をつくりやがて土になる」といった関係性
相剋(そうこく) :相性が悪い、「水は火を消す」「金属は火で溶かされる」といった関係性
●陰陽説を用いた占いでは「生活の指標」を診断!
水晶玉占いや姓名判断など占いにはさまざまな分野がありますが、陰陽説を用いた占いは決して断言する形で結果を出しません。
陰陽説や五行説では性質や相性をみるタイプの占い方ですから、「あなたはこういう気質ですね、こういった点に注意するといいですよ」というアドバイスをしてもらえる占いといえるでしょう。
もちろん陰陽はその時々で変化するものですから、陰陽五行説の占いを鵜呑みにするよりも「生活する上で指摘点を何となく意識しておくと良いね」というスタンスが一番と言えるんですよ。自分では気づけない点を第三者に言ってもらえるということは中々ない機会ですから、そういった形でアドバイスが欲しい方には陰陽説を取り入れた占いはぴったりといえますね。
まとめ
陰陽説について詳しくお話してまいりましたが、陰陽の根本的考え方や陰陽説の考え方についてはこれでばっちりなのではないでしょうか。
何千年も昔の知識にもかかわらず現代医学にも通じるところがあり、また陰陽説を取り入れた占いは、とても実用性があるアドバイスを得られるものだと分かりましたね。
みなさんもこれを機に、陰陽説を元に計算されたアドバイスで生活のバランスを整えるよう意識してみてはいかがでしょうか。