みなさんは「陰陽五行説」という言葉を耳にしたことはありますか?
占い好きの方ならご存知でしょう。実は占いだけでなく、漢方医学などさまざまな分野の基礎にはこの陰陽五行説が深く関係しているんです。
今回はそんな陰陽五行説について、考え方や我々の生活に取り入れたいポイントについても詳しく解説していきますよ。
陰陽五行説の根幹にはどんな意味があるの?
陰陽五行説と現在はまとめて表現していますが、元々は発想された時代が異なる別々の考え方でした。
どんなものにもいえることですが、物事の歴史を知っているか否かで奥深さが変わってきますよね。
そこでまず、陰陽五行説について簡単に成り立ちを確認しておきましょう。
●陰陽五行説は二つの考え方から生まれたもの!
陰陽五行説の成り立ちは、「陰陽思想」と「五行思想」が合わさった紀元前3百年頃と言われています。
それまでは二つは別々のものとして考えられていました。
・陰陽思想
紀元前3千年頃に生まれた考え方。全てのものには陰と陽で対となるものがある、という発想。
・五行思想
紀元前2千年頃に生まれた考え方。全てのものは五行という「水・金・土・火・木」の5つの要素から成り立っているという発想。
陰陽五行説はこの二つの考え方をどちらも採用した概念で、「全てのものは陰陽と、水・金・土・火・木から成っている」という考え方なんですね。
●それぞれの要素は何を司っている?
陰陽五行説では「対になる関係」と「水・金・土・火・木」の五行が関係していることはお分かりいただけましたね。
対になる関係、というのは月と太陽、男性と女性など発想しやすいものですが、五行はそれまではそれぞれどんなことを表しているのでしょうか。
たくさんあるので「こんなことを司っているんだ」と何となく覚えておくだけで十分ですよ。
- 水:冬、北、黒、夜、腎臓、耳、10~12
- 金:秋、西、白、夕、肺、鼻、7~9
- 土:土用、中央、黄、午後、胃、脾臓
- 火:夏、南、赤、昼、心、舌、4~6
- 木:春、東、青、朝、肝臓、目、1~3
●相生と相克が重要な鍵
五行がそれぞれ司るものについて確認しましたが、重要なのはここから。
五行間にはそれぞれ繋がりがあり、これを相生(そうじょう)と相克(そうこく)といいます。この関係性によって五行思想は成り立っているため、根幹ともいえる部分です。
いったいどんな繋がりなのか、詳しくみていきましょう。
相生:五行を環のように並べると、一つひとつの要素が隣り合う要素を生み出している図式になります。
木は燃えて火を起こす→火が燃えて灰になり土が生じる→土からは金属が生まれる→金属は冷えると表面に水が生まれる→水は木を育てる…
この関係性を相生といい、相生は永遠に循環を繰り返すものと考えられています。
相克:相生の並べ方にした五行から、五芒星をつくった時に繋がる要素どうしの関係のことを指します。
木は土の養分を吸う、金物は木を切る、火は金属を溶かす、水は火を消す、土は水を濁らせる、といった具合で、反対の要素を打ち消し合うような組み合わせです。
また、そのことから調整しあえる関係であるとも考えられています。
陰陽五行説は多くの分野の礎になっている!?
陰陽五行説には何千年の歴史があり、自然に基づく考え方であることが分かりましたね。
人々に広まっていく歴史の中で、陰陽五行説はさまざまな分野の基礎となっていきました。
次はいったいどんなものに影響を与えてきたのか、こちらでみておきましょう。
●漢方学の基礎は陰陽五行説
中国古来の治療法である漢方薬は、陰陽五行説が医学分野にも浸透したからこそ確立したものなんですよ。
自然も人間も、どこかが偏っていてはバランスを崩してしまいますよね。
それを陰陽で表し、均衡を保つような漢方の処方がされてきました。
また人体の各器官を五行に当てはめることで、
- 相生の関係:腎臓・膀胱が健康であった場合、肝臓・胆臓を治せば心臓・小腸も回復する
- 相克の関係:肺・大腸の影響で肝臓・胆臓を害すれば、脾臓・胃も悪くなる
といった作用をもたらすため、全てのバランスが整った状態が理想的な健康の在り方だと考えられていたんです。
現在でも漢方は広く普及し、科学的にも効果が証明されていますが、先人の知恵の偉大さを感じますね。
●宗教の自然観にもなっている
古くから人々に浸透してきた陰陽五行説は、それゆえ宗教の成り立ちにも影響を及ぼしてきました。中国で生まれた儒教や道教といった考え方、さらに中国に伝来した仏教にも影響を与えていると考えられています。
陰陽五行説は自然の巡りから生まれている考え方。
その循環は永遠に変わらないという点や、相互に関係しているといった点は確かに通ずるものがありそうですね。
●日本の風習にも関係が!?
日本では飛鳥時代に陰陽五行説が伝来し、当時は陰陽五行説を扱う陰陽師が公務員として働いていました。占いの吉凶によって政治も動いていたためですね。その名残が今でも、季節の五節句(桃の節句や七夕など)や七五三、祝儀袋などの水引などとしても形が残っています。
生年月日から陰陽五行説で占える!?
さてみなさんお待ちかね、ここで陰陽五行説を用いた占いについてのお話をいたします。
…とはいっても、詳しくご説明したいのは山々なのですが、残念ながら占いの計算方法をこちらでご紹介すると大変長々となってしまうんです。
そこでこちらでは大まかな算出方法と結果をご紹介するにとどまらせていただきたいと思います。
陰陽五行説では計算式や一覧表を基に計算して占い、また陰陽五行説の考え方特有の結果として結果が出てきます。
ネット上で簡単に計算してくれるサイトも多数あるようなので、ご興味ある方はぜひお調べになってくださいね。
●陰陽五行説の占いの特徴
生年月日と性別から計算し、その人を五行のタイプに当てはめるという占い方をします。
つまり「こういう運命にあるよ」と宣言するものではなく、占いによって属性ごとの性格を言い表し、生活の上での「気づき」を促してくれるものです。
陰陽五行説の五行には相生と相克という考え方があるとお話ししてきましたが、相生で隣り合うタイプの人とは相性が良く、逆に相克にあたるタイプの人どうしは努力が必要な関係性である、と考えられています。
しかし属性が相克関係だからといって決して相いれない者どうしと決めつけているわけではなく、「お互い歩み寄りが必要かもしれない」という目安として扱われているんです。
●五行別の性格診断結果一覧
先ほどもお伝えしましたが、こちらでは詳しい占い方法は煩雑になるため割愛いたします。
五行の属性に当てはめるとこのようなタイプに分けられるようですが、お心当たりはありますでしょうか。参考までに載せておきますね。
水:記憶力豊かで知識人。物事をよく見通し、策略家でもある。芸術肌ゆえに非現実的な面も。
悲観的ですぐ落ち込み、不安定。行動力には欠ける。言葉足らずのため、秘密主義的に見られることも。
金:現実的で、上下関係やルールに敏感。整理整頓が得意。努力家で、忍耐・持久力がある。義理堅い。
頑固な面もあり、古い考えにこだわりがちで、環境の変化に弱い。
土:母性的で安心感を与え、人を集める。ケチな面も。自分からは動かず、流されやすく自分の意見が無い。
他の4属性の特徴も当てはまるとされる。
火:好奇心旺盛で子供っぽい。楽観的で遊び心満点。独立心が強く向上心もあり、将来の夢を見据えている。
周りへの影響力も強い。攻撃的な面や、落ち着きが無くいいかげん、飽きっぽいという側面も。
木:目標への向上心が高い。指導力があり、アドバイスを求め人が集まる。
空想的でアイディアが浮かびやすい。独裁的で短気という側面も。
陰陽五行説が司る色で生活に潤いを!
先ほど陰陽五行説にはそれぞれ司っているものが分かれているとお話しましたが、その中に色も含まれていたことにお気づきになりましたでしょうか。
つまり、陰陽五行説を使って色による癒しの効果などが期待できるんです。
こちらでは陰陽五行説を用いた、それそれの色を取り入れることで得られる効果についてお話していきますね。
●五行それぞれの基礎的なイメージ
五行の要素それぞれのイメージがあり、それを踏まえ色を取り入れることで、生活が豊かになる手助けをしてくれますよ。
状況に応じて、お部屋に各色のインテリアを配置したり、持ち物や服装に取り入れると良いですね。
- 水(黒):潤い・成熟。気品や冷静さを得たいときに。
- 金(白):輝き。視野を広げ、物事をクリアに見たいときや新生活などに。
- 土(黄):循環。落ち着きを得たいときに。
- 火(赤):上昇志向。気持ちを高めたいときに。
- 木(青):しなやかさ・成長。安心感や心の平穏を得たいときに。
陰陽五行説は食べ物にも関係がある?
色々な面で影響力のある陰陽五行説ですが、実は食べ物にも応用できてしまうんです。
どこか身体に不調があった際や疲れを感じたら、日々の食事に陰陽五行説を取り入れてみてはいかがでしょうか。
●陰陽五行説で大切な「バランス」は食事にも取り入れて!
食事は栄養バランスにも気をつけて、と言いますが、実際のところ食材ごとに栄養価を見て…としながら献立を考えるのは大変なことですよね。
そこでバランスのいい食事にするための目安としても陰陽五行説は活躍してくれるんですよ。
先ほど五行が司る色についてお話しましたが、食材の色を基準に考えると、自然に栄養面も考えられた食事になってくるんです。
- 果物 :赤・黄→ビタミン・カロテン
- 葉野菜:緑(青)→ビタミン・カロテン
- 根野菜:白→炭水化物
- 穀類 :白→炭水化物
- 肉や魚:赤・白→動物性たんぱく質
- 海藻類:黒→カルシウム・ミネラル
こうしてみると、五行それぞれの色で分けて考えられそうですよね。
彩ある食事は食欲増進にも繋がりますから、ぜひ食卓にも陰陽五行説を取り入れてみてくださいね。
●その日の気分で、も食材を選び分けすべき!?
実は普段の食事だけでなく、陰陽五行説によると、その日の気持ちの変化によっても食材を選び分けるといいようなんです。
五行が司る器官と気分とを結び付けて考える食事法で、「今日はこんな気分だからこの食材を多く摂ってみよう」という目安になりますよ。
イライラしている日:肝臓に影響が出やすいとされ、
青菜(ほうれん草・小松菜・ブロッコリーなど)を摂取するといいとされます。
落ち込みがちな日 :胃に影響が出やすいとされ、
黄色い食材(かぼちゃ・トウモロコシなど)を摂取するといいとされます。
悲しい気分の日 :肺に影響が出やすいとされ、
白色の食材(大根・玉ねぎ・レンコンなど)を摂取するといいとされます。
心配ごとがある日 :腎臓に影響が出やすいとされ、黒色の食材(黒ゴマ・ひじき・貝類など)を摂取するといいとされます。
ソワソワしている日:心に影響が出やすいとされ、
赤い食材(人参・トマト・スイカなど)を摂取するといいとされます。
「これを食べたから万事解決!」とはいかないかと思いますが、しかしこんな気分だから、と日々考えて食材を選ぶことで、普段あまり買わないような食べ物を摂り栄養を摂取するきっかけにもなりますね。
こちらも日々の生活にぜひお役立てくださいね。
まとめ
陰陽五行説についてみてまいりましたが、知ればしるほど先人の知恵の偉大さを思い知らされましたね。
現在にも多々影響を残していますし、また占いだけでなく、陰陽五行説は日常にも取り入れられる要素がたくさんある考え方ということがお分かりいただけたかと思います。
こちらの内容を参考に、陰陽五行説を取り入れて生活をより豊かにしていってくださいね。