毎年10月の第2月曜日は「体育の日」ですね。
実は、2020年から名称が改称されます。
なぜ、改称されるのでしょうか。
馴染みのある名称が改称されるのはなぜか、「体育の日」ができた理由、「体育の日」の定番行司である「運動会」などについてもご紹介していきます。
そもそも「体育の日」っていつ?
国民の祝日である「体育の日」は、毎年10月の第2月曜日とされています。
体育の日の趣旨は「スポーツに親しみ健康な心身を培う」ということです。
国民が健康や体力の維持向上に努力し、明朗で暮らしやすい社会を構築する土台になることを願い考えられた制度です。
また、スポーツや運動を通して会社や学校の仲間たちとのコミュニケーションを促進する意味もあります。
体育の日の由来は?
1961年にスポーツ振興法が制定され、10月の第1土曜日を「スポーツの日」と定めました。
もともとスポーツ の日は祝日ではなく、オリンピックを東京に招致するためのキャンペーンの一環で、政府が制定したものです。
1964年に開催された東京オリンピックは、アジア初の夏季オリンピックで、体育の日に変わった理由も、この東京オリンピックと関わりがあります。
10月10日に開会式が行われたのですが、戦後復興した日本をスポーツの祭典を通して世界に発信するため、秋晴れになる可能性が高い10月10日を選択したと言われています。
オリンピック開催の5年前、東京オリンピック委員会が、必ず秋晴れになる日の調査を気象庁へ依頼しました。
気象庁からは10月10日と10月15日の回答があり、協議した結果、開会式は人が出かけやすい土曜日が望ましいと判断し、10日に決定されました。
その後、アジアで初めて開催された東京オリンピックの感動や選手の輝かしい活躍と成績を称賛し、東京オリンピックを後世に残すためのメモリアルデーとして、オリンピックの開会式が催された10月10日を「体育の日」として祝日に制定したのです。
10月は読書とスポーツの秋として認知され、昭和の時代において「体育の日」は、学校や職場で運動会が開催される月というイメージが定着しました。
事実、10月に運動会を開催する学校、職場や地域単位の体育大会が多数あり、たくさんの人達が参加していたのです。
しかしながら、現在の体育の日は10月10日ではありません。
昭和から平成に時代が移り変わると共に、国民の祝日である「体育の日」も日付を変えています。
平成12年にハッピーマンデー制度の導入によって、「体育の日」は10月の第2月曜日となりました。移行の背景には、時代や環境の変化が関係しています。
学校において10月は進学を控えた時期であり、受験が間近に迫っています。
そのため受験勉強の追い込み期にあたります。
環境面に着目すると、地球温暖化傾向から9月や10月上旬でも残暑が厳しくなり、熱中症が懸念されるようになりました。
そのような状況下、過去の体育の日の10月10日に運動会を開催する学校はすでに減少していました。
体育の日に開催されているイベント
例年、体育の日には、さまざまなイベントが全国各地で開催されています。
昭和の時代には、運動会が主流でしたが、ここ最近の体育の日のイベント内容を見てみると、2020年の東京オリンピックの影響も感じられます。
オリンピック新種目競技の体験、またスポーツをもっと身近に感じてもらう企画や、日頃あまり見ることが少ない競技スポーツを体験できるなど、趣向を凝らした内容が際立っています。
人気の高いイベントは、オリンピック出場選手や各競技のトップアスリートから指導レッスンが受けられるスポーツ教室です。
野球やサッカー、水泳などは事前の予約が必要なくらい申し込みが殺到します。
特に、女子レスリングのメダリストなどオリンピックで活躍した選手と一緒に身体を動かすスポーツ大会は、どの地域でも集客性に優れたイベントとなっています。
一方、世間ではまだまだマイナーな競技スポーツは、体育の日を活用し、まず競技を知ってもらうなど普及活動に力を入れた取組みを推進しています。
ここ最近の状況を見てみると、ボルダリングやストライダーなど注目されているスポーツやヘディング卓球、スポーツ雪合戦といった変わり種の競技が体験できる総合イベントも人気です。
体育の日に開催されるイベントでは、有名なスポーツ競技場やトレーニングセンター等の施設が無料開放されることがあります。
これも体育の日ならではの光景です。
普段、あまり見ることのできない場所やいつもスタンドから見ているだけのグランドに足を踏み入れることができるのです。
この競技施設の体験が今後、スポーツを始めるきっかけとなれば、体育の日の趣旨に合致した魅力的なイベントと言えますね。
その他、体育の日を、健康を考える日と位置付けたイベントにも多くの人が参加しています。
例えば、アスリートを支える管理栄養士がレッスンする健康料理教室や自宅で簡単に行える筋力アップトレーニング教室など、健康を具現化することをテーマ化した教室が多くの人から支持を得ています。
また、昔から健康イベントの定番企画として実施されている体力測定や血圧、視力などの無料健康チェックには、幅広い世代の方が訪れ、気軽に楽しみながら自己チェックする姿は体育の日の原点ともいえるでしょう。
体育の日の定番行事「運動会」の起源
日本で行われている運動会は、1874(明治7)年に、東京の築地にあった日本の海軍幹部候補生を育成する海軍兵学校で最初に開催されたのが起源とされています。
開催の背景には、日本の要請でイギリス海軍から来日し、日本の海軍教育学校の基礎に尽力した軍人教官アーチボルド・ルシアス・ダグラスが、イギリスで経験していたアスレチックスポーツの開催を要望したことが始まりとなっています。
当時の海軍兵学校は規則や生活がとても厳しかったため、学生が耐えられなくなり退学者が続出していました。
そのため、学生の精神的かつ感情的な緊張や不満を緩和するとともに身体と心を磨きあげることを目的に軍人教官アーチボルド・ルシアス・ダグラスが提唱したアスレチックスポーツを競闘遊戯と翻訳、解釈し、今日の運動会のような位置付けで開催、始動しました。
1874年3月に開催された競闘遊戯は、事実上、日本で最初に開催された運動会です。
競技の内容ですが、短中距離競走や走り幅跳び、走り高跳びなど現在も陸上競技大会で行われている種目がありました。
一方、運動会を楽しむ種目に、学生を背負って走行する背負い競走、水を入れた桶を頭上に乗せて走る水桶競走などあり、速さと記録を競う競技と皆で楽しむ競技がバランスよく構成されていました。
その後、この競闘遊戯は話題となり、「運動会」として日本全国の師範学校、中学校、小学校に普及拡大していきました。
もともと海軍兵学校から始まったため、子供たちの運動会では、全体行進や陣地を奪取する合戦形式の種目があり、子供の軍事演習の要素が強く感じ取られました。
一方では、運動会を村落のお祭りと位置付け、子供を含む村民の多くが参加し盛大に行われるようになったのです。
2020年に名称が変更される体育の日
今年2021年は1年延期を余儀なくされた東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。
オリンピックの開催に向けて、改正五輪特別措置法や改正祝日法等が成立し、今後、祝日の移動と名称の変更が予定されています。
まず、2021年限定で3つの祝日が移動します。
7月の「海の日」、8月は「山の日」、10月が「体育の日」です。
※「海の日」7月19日から7月22日
※「山の日」8月11日から8月8日
※「スポーツの日」10月11日から7月23日)
体育の日は、第2月曜日の10月12日ですが、7月23日のオリンピック開会式当日となります。
加えて、改正祝日法も可決成立しましたので、2020年からは「体育の日」は、「スポーツの日」と改称することとなりました。
1964年に開催された東京オリンピックを記念し制定された「体育の日」は、国民から長く親しまれた祝日でした。
今後は体育教育の領域から脱却し、スポーツを気軽に楽しむ日として認知度を高める施策がポイントとなります。
まとめ
体育の日や運動会にフォーカスし、誕生した背景からその後の移り変わりについて見ていきました。
そこから、それぞれの時代の国内情勢や日本人の暮らしぶりと国民性が読み取れます。
スポーツと体育の違いにも触れることができました。