結婚が決まり、いよいよ両家の親が顔合わせをする段階で考えなければならないのが「結納金」のことです。
結納金と聞くと少し堅苦しいイメージがありますが、どんな由来からおこなわれるようになったのでしょうか。
包む金額や渡し方だけでなく支払うのは誰なのか、結納金の使い方も気になるポイントでしょう。
結納返しについても、どのくらいの金額が必要になるのか把握しておく必要があるのです。
今回は結納金の由来や包む金額、渡し方や使い道に加えて結納返しについても詳しくご紹介していきます。
結納金の由来!結婚には欠かせないこと?
結婚がよりカジュアルな存在になりつつある現代で「結納金」と聞くと、ひと昔前のことでは?と思ってしまいます。
結納金は結婚において両家の顔合わせの際に、現代でも多くの人がおこなっていることなのです。
結納の起源は1400年ほど前までさかのぼりますが、庶民がごく一般的に結納を取り交わして結納金を納めるようになったのは明治時代頃からです。
結納金の由来は、簡単に言うと結婚により両家の結びつきが生まれることからきているのです。
カップルがお互いを想って結婚するのは間違いないのですが、厳密に言えば当人同士のみの問題ではないですよね。
結婚というのは、家族同士が結婚することでもあるのです。
もともとは結婚をするにあたり両家が相手への敬意や感謝を表す意味で取り交わしていた結納金。
最近では豪華な婚約指輪や高額な結納金を納めることで、新婦を嫁にもらうという簡単な考えに変わりつつあります。
これは結納金がおこなわれ始めた頃にあった「嫁をもらう代わりに高価な金品を要求する」目的の結納に考えが近くなっているのです。
現代では、結納金は必ず納める必要はなく、両家のあいさつのみで済ませることが多くなっているのです。
結納金ではなく、品物をお互いの家で贈り合うケースもあります。
実際に結納を交わすことなく結納金も贈らないという割合は、なんと8割にもなるのです。
両家のつながりを重視するというよりも、当人同士の気持ちを尊重して結婚をする風潮に変わってきているのかもしれないですね。
結納金の金額相場とは?誰が支払う?
結納金は両家がつながる際に納められるものですが、具体的に誰が支払うものなのでしょうか。
結納金は新郎の親が、新婦の親に対して「お嫁さんとして私たちの家にもらいます、よろしくお願いします」という気持ちを込めて納めるものなんですね。
結納金として支払われる金額の相場は100万円で、キリが良いことから「一本」「一包み」と呼ばれています。
次いで多い金額は50万、70万などの奇数の数字です。
奇数の数字は2で割るのがむずかしいため「結婚しても別れない」という縁起の良いイメージを持ちます。
80万は偶数ではありますが、末広がりということで縁起が良いとされています。
結納金の金額相場を日本全国の地域ごとに見てみると東北地方が最も高い123万円で、最も低いのが関西地方や中国地方の83万円でした。
なんと40万円もの開きがあり、結納金も地域によって差があるということがわかります。
結納金の金額相場がわからなくて新郎側から新婦に「結納金はいくら贈れば良いのか」と尋ねたくなりますが、マナー違反となるので注意しましょう。
結納金は「〇円以上でなければならない」という決まりはありません。
実際は地域の結納に対する慣習に従ったり、新郎側の経済事情を考慮したりして結納金を決めることが多いようです。
結納金の渡し方や基本マナー
結納金の金額も無事に決まり、後は新婦の親に渡すだけ!と思ったのもつかの間、実は結納金の渡し方も正式な決まりがあるのです。
非常に細かいことではありますが、結納金の渡し方を心得ているだけで相手の親に誠実さと安心感を与えられます。
結納金は本来なら、婚約記念品とともに渡すのが正しい渡し方です。
現代ではより簡略化されて、結納金のみ渡す場合も少なくありません。
結納の時に迷わないためにも結納金の正式な渡し方と結納金のみの渡し方の2種類を、基本マナーとともにご紹介します。
結納金の正式な渡し方
結納金は結納金封に包んで渡すのが正式な渡し方です。
大きな金額を新札にして包む必要があるため、あらかじめ銀行に何度か赴いて数日に渡り新札に交換してもらわなくてはなりません。
全て新札に交換できたら、中袋に入れてから外包みに入れます。
楽天などでは結納金封と黒塗りのお盆、化粧箱と風呂敷のセットが1万円くらいで販売されています。
表書きや名前などを代筆してくれるサービスもあるため、毛筆で字を書くのが苦手な人でも安心です。
両家の都合をつけて結納の日柄と場所を決めたら、新郎の親が進行役となって取り交わしていくのが一般的です。
まず新郎の親が口上を述べて新婦の親に結納金と婚約記念品が含まれた結納品一式を渡してください。
続いて新婦の親が結納返しを渡して新婦が婚約指輪のお披露目をしたら、堅苦しい進行は終了です。
結納の後は記念撮影や食事会などで和やかな雰囲気の中、両家の親睦を深めていきましょう。
正式な結納金の渡し方は厳かな雰囲気で堅苦しく感じるかもしれませんが、その分身が引き締まり結婚へのけじめがつきます。
正式な結納金の渡し方は主に両家の親が希望する場合がほとんどなので、もし声がかかったらきちんと結納の段取りを執り行うようにしましょう。
結納金のみの渡し方
正式な結納品一式の渡し方とは打って変わり、結納金のみを渡すケースがほとんどです。
結納金のみを渡すとは言っても、結納金封を風呂敷包みにして黒塗りのお盆にのせたセットにする流れは必ず守るようにしましょう。
結納の際は「もどしたり、かえしたり」することを縁起が悪いと考えるため、風呂敷包みごと渡すのがマナーなのです。
細かいところまで説明すると、風呂敷包みを時計回りに回して新婦の親に渡すようにします。
結納金の渡し方には細かいマナーが存在するため、少し面倒に思うこともあるかもしれません。
これから家族になる相手の親と今後も良好な関係を築くため、結納金の渡し方に関するマナーはきちんと守っておきたいですね。
結納金の使い方!誰がどのように使う?
結納が無事に済んだ後で気になるのが、お金の使い方です。
数万円という小さな金額ではないため、どうしたらいいのか困るという意見も多く聞かれます。
結納金は誰がどのように使うのが、正しい方法なのでしょうか。
結納金の中で勘違いされがちなのが、いただいたお金を結婚のための資金にして生活の足しにしようという考えです。
たしかに結婚をしたばかりというのは新生活を始める時の引っ越し代や家具家電代、結婚式にかかる費用などなにかと物入りですよね。
結納金があれば満足な新婚生活を送れると、誰でも考えてしまうのではないでしょうか。
厳密に言えば結納金は両家の親から親へ納められたお金なので、本来は結婚する当人がいただいたわけではないのです。
結納金の本来の考え方をすれば、新婚である2人にとって新生活のための資金に利用することはできないと考えられます。
あくまで結納金は新婦の親のものなので、手放しに喜んで自由に使うことはできません。
新婦の親に結納金が渡されたとして、やはり大金は娘の幸せのために使って欲しいと考えるのが親心というものですよね。
新婦の親の手元に渡った結納金は、すぐに新婚の2人に手渡されるケースが多いのです。
現代では新郎の親が新婦に対して結婚の準備資金として使って欲しいと結納金を納めるケースが多くなっており、そもそも親に渡さないことも増えてきています。
結納金の使い道も、だんだんと時代を追うごとに自由になってきているということですね。
結納返しは必要?相場や品物はどうする?
結納金を新郎の親が渡した後に、新婦の親が渡すのが「結納返し」です。
結納金をいただいたお礼として、縁起の良い品物などをお返しするのが一般的なのです。
結納返しを現金で渡す場合は関東では結納金の半額、関西や九州では結納金の1割が相場といわれています。
たとえば100万円の結納金をいただいたら関東では半分の50万円、関西や九州では10万円をお返しする形ですね。
50万円の他に30万円など、2で割り切れない数字の金額を選ぶと間違いがありません。
偶数の中では末広がりの8が含まれる80万円は、縁起が良いとされていますが「死」や「苦」を連想させる40万円や90万円は避けましょう。
必ずしも現金でなくても、結納返しは新郎が使うための腕時計やスーツなどの品物である場合もほとんどです。
結納返しは必ずおこなわなくてはならないのかというと実はそうではなく、約半数が結納返しをおこなわない傾向にあります。
結納返しをおこなわない理由は、主に2つあるので見ていきましょう。
①結納返しが要らないよう差し引いた金額を納めた結納を交わす時が両家の初顔合わせであることが多い中、結納返しがあると余計に気を遣ってしまいます。
最初から結納返しが必要ないように差し引いた金額を納めれば、両家とも気を遣わずに済みます。
結納返しが要らない場合には、あらかじめ「結納返しは不要です」と新婦側に伝えておくとスムーズです。
②結納返しの金額を生活の資金に回した結納返しというかたちで本来は新郎側に納める金額を、新生活の資金に回すケースも多くなっています。
新郎側も結納返しは不要だという前提なので、子供たちが幸せに新生活を送れるよう応援してくれるありがたい心遣いですね。
親の心遣いにより結納返しのお金だけではなく、結納金も同時に新生活のために使いなさいと言ってくれる場合がほとんどです。
大きな金額なので最初は申し訳ないと思ってしまうかもしれませんが、ここはありがたくいただいておきましょう。
結納返しの正しい渡し方とは?
結納金の正式な渡し方に細かいマナーがあるように、結納返しにも正しい渡し方が存在します。
現金でお返しする場合は結納金と同じように、新札を結納返しの金封に入れてください。
金封に入れた現金は「御袴料」として、白木の台にのせるのが正しい渡し方です。
結納返し金封と白木台もネット通販では5,000円程度で購入できて、表書きのサービスもあります。
慣れない場合はサービスを利用するのも、スムーズで良いでしょう。
持ち運び用に風呂敷包みにして、実際に渡すときには袱紗をかけると丁寧で誠実な印象を与えられます。
まとめ
結納金の由来や包む金額、渡し方や使い道に加えて結納返しについても詳しくご紹介してきました。
結納金の起源は1400年前くらいからですが、実際に庶民の間でおこなわれるようになったのは明治時代です。
結婚は両家の縁もつなぐという意味で、感謝の気持ちを表して金品を送ったことが由来だったのですね。
結納金の金額相場は100万円で、結納返しの金額相場は関東で半額、関西や九州で1割です。
現在では簡略化されてきて、結納金の取り交わしすらない場合もあります。
きちんとマナーを守って正式な渡し方をすることで結婚に向けて身が引き締まる思いになるのです。
ぜひ結納金と結納返しのマナーを把握して、2人の新たな門出を晴れやかに迎えましょう。