誰かが亡くなると差し上げるのが香典です。
亡くなった方への供養として差し上げるものですから、普通は葬儀に持参します。
でも、どうしても直接葬儀に参列することができず、香典を持参できないときは、どうしたらよいかと考えてしまいますね。
自分の体調が悪くて、お通夜やお葬式に出席すると反って迷惑をかけるかも知れない、お世話になった方のお葬式だけれど、遠方で出席できないなど意外にお通夜やお葬式に駆けつけられないことはあるものです。
そんなときは香典を代理の人に預けるのもよいですし、郵送してもよいのです。少しだけ配慮をすれば、香典を預けたり、郵送したりするのは決して失礼ではありません。
今回は自分で香典を持参できないときの注意点について解説します。
香典を郵送するときに添える手紙の書き方も紹介しますから、いざというときにきっと役に立つはずです。
香典の郵送は必ず現金書留で!郵便局の窓口から送ろう!
現金を郵送するときは、必ず現金書留で送るようにしましょう。
郵便法により、現金を郵便で送るときには、現金書留で送ることが定められています。また、現金書留は現金を送ったという控えが手元に残りますし、万が一紛失などがあった場合も損害が賠償されるので、現金を送るときには安心です。
現金書留は中に入れる金額や重さで送料が変わるので、必ず郵便局の窓口で送るようにしましょう。
まず注意したいのは、直接現金を封筒に入れて送らないことです。
きちんと不祝儀ののし袋(香典袋)に入れてから、現金書留封筒に入れましょう。
のし袋が入るサイズの専用封筒が郵便局の窓口で販売されていますから、それを使いましょう。
のし袋の表書きは、宗教や宗派によって違う場合がありますが、「ご霊前」なら共通で使うことができます。
水引が印刷されたタイプののし袋の方が、かさばらずに封筒に納めやすいかも知れません。
香典に入れる紙幣は1度折り目を付けてから、袋に入れましょう。
おめでたいことのように新札を入れるのは失礼ですが、だからといってしわくちゃの汚いお札も失礼になります。
現金書留封筒にも自分の住所氏名を記入しますが、のし袋(中袋が付いている場合は、中袋にも)にも住所氏名を記入しましょう。
本当は香典を持参したいのに、それができないために郵送という手段を取るのですから、のし袋は持参するときと同じようにするべきでしょう。
また封筒からのし袋を出した後に、誰からのものかわからなくなってしまうことがあるかも知れません。
身内の葬儀に慣れている人は、いないものです。
そこではどんな間違いが起こるかわかりません。
お金の間違いが置きないように気を使うのも、供養の1つです。
時候の挨拶は必要ない!香典に添えたいお悔やみの手紙の書き方!
突然香典だけを送るより、お悔やみの手紙を添えた方が、一層心が伝わります。
直接することができなかったお悔やみの挨拶の代わりになりますから、ぜひ手紙を添えることをお勧めします。
それに亡くなった人とは親しくしていても、家族にはその関係がわからない場合があります。手紙でどんな関係なのかを伝えれば、香典を受け取った家族も悩まずに済みます。
・お悔やみの言葉
直接葬儀に参列できないことへのお詫び自分と亡くなった人の関係香典を郵送したという事実お悔やみの手紙には、この4点を入れましょう。
時候の挨拶や近況報告は必要ありません。
シンプルでよいので、手書きの手紙を送りましょう。
大切な人を失い、忙しい葬儀を乗り切った遺族は温かな手書きの文字に癒やされるでしょう。
例文を書いてみます。
・『〇〇様の突然の訃報に驚いております。心よりお悔やみ申し上げます。
〇〇様は私の亡くなった父のよいお友達で、私も幼い頃はずいぶんと可愛がって頂きました。本来ならば直接お悔やみに伺うべきですが、住まいが遠方のためにそれも叶いません。(やむを得ない事情があるため、でもよいです。自分の状況に合わせて使い分けてください)
略儀ではありますが、書面にてのお悔やみを申し上げますことを、どうかお許しください。心ばかりのお香典を同封いたしますので、ご霊前にお供え頂ければ幸いです。
〇〇様のご冥福を心よりお祈りいたします』
便箋は白いものを使い、文章は1枚に納めましょう。
普通の手紙のときは、便箋が1枚だけだとわざわざ何も書いていない便箋を重ねたりしますが、お悔やみのときは、2枚の便箋は重ね重ねに通じるとして嫌われますから、注意してください。
もし封筒を使うなら、封筒も1重のものを使いましょう。
ただ現金書留封筒には、のし袋も入りますから、お悔やみの手紙は封筒に入れなくてもよいかも知れません。
筆記用具は黒いインクの万年筆や水性ボールペンがお勧めです。
普通の油性ボールペンは、字がキレイに見えませんし、カジュアルな感じになってしまいます。
筆ペンや毛筆を使うなら、薄墨にします。
どうしても、私は手紙が苦手だと思うのであれば、一筆箋を使うと文章が短くても格好がついてよいでしょう。
ただしこのときも、便箋は1枚にしてください。
お悔やみの手紙というのは、そう何回も出すものではないので、慣れていないのが当たり前です。
手紙の書き方に迷ったら、ネットで検索すると例文を探すことができます。
それを参考にして自分なりに書いてみてください。
気を付けたい!香典を郵送する宛先はどうする?
香典はどこに郵送するのがよいのか、考えてしまう人もいるでしょう。
葬儀に間に合うように送れるなら、斎場に送りたいと考える人もいるかも知れませんが、それは避けた方が無難です。
たまたま喪主が斎場にいるときに、現金書留が着けばよいですが、そうでないときは困ります。
普通郵便と違い、現金書留は斎場のスタッフが代わりに受け取ることはできませんから、再配達を依頼することになり、忙しい遺族にもっと負担をかけてしまいます。だから香典は自宅に送りましょう。
葬儀が終わった頃を見計らって送ると、相手にも負担がないでしょう。
葬儀の後1週間を目安にしましょう。
やはり葬儀の最中や直後は忙しく、心にも余裕がないので、1週間というのはちょうどよい期間です。
逆にあまり遅くなりすぎると(四十九日が終わってしまった後など)、香典返しの手配が終わって しまう場合もあります。
そんなところに、新たに1つ香典が送られて来たら、また別に香典返しの手配をしなくてはならなくなります。
これは実際に経験するとわかりますが、かなり負担になりますよ。
郵送よりも早くて確実?香典を預けるという方法
もし葬儀をする斎場などが、自宅からそれほど離れていなくて、自分と親しい信頼できる人が出席する予定なら、その人に香典を預けるのも1つの方法です。
これなら葬儀に遅れずに香典を届けることができます。
ただ香典を預ける際にも、注意する点がいくつかあります。
葬儀の当日、香典を預けた相手は、自分の分と預かった分の2件分の受付をすることになります。
受付で住所氏名を記帳するので、のし袋の記入漏れはないように注意してください。
また当日斎場で香典返しを受け取る場合があります。
香典返しをどうするかは、前もって相手に伝えておきましょう。
後日取りに行きますから、お手数ですがそれまで預かっておいてください、などとお願いしておくようにします。
香典返しを2件分持って帰るのは、思いの外手間がかかりますし、預かっているのは心の負担になるものです。
たとえ会葬御礼だけのときでも負担になる点は同じことです。
預けた相手に香典返しまで持ってきてもらうのは、 完全にマナー違反になってしまいますから、どうするのかをあらかじめお願いしておくのは大切なことです。
都合がつかず、香典返しを取りに行けない場合もあるかも知れませんが、そのときも香典を預けた相手に、処分してくださいとか、よかったら使ってくださいなどとはいわないようにしましょう。
それも相手に負担をかけることになるからです。
まったく同じものを2つ頂いたら、自分はどう思うかよく考えてみましょう。
処分してくださいといわれても、まさか本当に捨てるわけにもいかず、頭を悩ませることになってしまいます。
どうしても取りに行かれないのなら、宅急便の着払いで送ってもらう、または代理の人に取りに行ってもらうなどの方法を考えましょう。
まとめ
今回は香典を持参できない場合の注意点について解説しました。
香典を郵送する場合、香典を預ける場合両方に注意する点があることがわかりました。長い人生の間には、身近な人の不幸に遭遇することもありますし、そのときに直接駆けつけてあげられないこともありますが、落ち着いて自分には何ができるのか考えてみてください。
そして自分ができることを、心を込めてしてあげましょう。
それが香典を郵送することかも知れないし、香典を預けることかも知れません。
心を込めてしたことは、今すぐには無理でも、いつかは相手の心に届きます。
悲しいとき、苦しいときの真心のやり取りは人の心の支えになります。
直接葬儀に参列できないときも、心を伝えることを諦めないでください。
今回どうしたらよいのかを知ったことで、きっといざというときに落ち着いて対処できるはずですよ。