暮らしの中で、冠婚葬祭という言葉は実に良く耳にします。
しかし、冠婚葬祭が何を意味するのか?どんなものなのか?を詳しく知る人は少ないかもしれません。
冠婚葬祭は、意外に身近に起こり得ることなので、知らずに恥ずかしい思いをすることがないよう、基礎知識は身に付けておいた方が良いでしょう。
ここでは、冠婚葬祭や参加する際に必要なマナーなどについてを中心にご紹介します。
冠婚葬祭とは?
冠婚葬祭とは、人が産まれてから死ぬまで、更に死んだ後にも、その家族や親族の間で行う行事の全般をいいます。
冠婚葬祭の四文字は、それぞれが人生の節目に起こることや、死後を指していて、全ての行事を滞りなく行うことで一人前になるという解釈をされています。
冠婚葬祭は、結婚式や葬式など非日常なイベントであるため、思わぬ出費が伴い苦労する人も少なくありません。
そのため、互助会のような組織や専用の金融商品で積み立てるという人も居ます。
冠婚葬祭にはそれぞれどんな意味があるの?
冠婚葬祭は、それぞれの文字に意味があります。
冠は、二十歳の会(旧:成人式)のことを意味します。
昔は15歳で元服を迎えました。
元服では、頭に冠を被せてもらうという重要なイベントがありその冠を授かるということが由来となっています。
現在の日本では、成人(18歳)=選挙権の獲得、20歳で飲酒や喫煙の自由が認められるとの認識が一般的ですが、かつてはそのお祝いとして家族・親族一同から金品を貰う事も少なくありませんでした。
現代では、赤ちゃんのお祝い事や七五三、長寿祝いも冠の行事とされています。
婚は、結婚式=晴れの日のお祝いを意味します。
結婚式では参列者が祝儀を持ち寄り、挙式や披露宴を行う新郎新婦はその会場や食事を用意するため非常に大きなお金が動きます。
昭和30年頃までは、自宅で結婚の儀式を行う家庭も多かったのですが、サービス産業が盛んになり、結婚式場やホテルで行う結婚式が一般的になりました。
葬は、葬式=お悔やみ事を意味します。
厳密には、遺体の納棺から葬儀、火葬、納骨まで一連の儀式を指します。
昔は自宅で葬儀を執り行う家庭が多く、火葬ではなく土葬の地域も多くありました。
近年では、病院との連携を持つ葬儀社がほとんどで、人が亡くなってから納骨までの一連を請負い、葬儀の場所も提供してくれるため、家族も故人との別れの儀式を思い残すことなくでき、非常に便利なサービスとなっています。
祭は、先祖の霊を祀る行事を意味します。
具体的には、法事やお盆などを指します。
法要は葬式よりは予定が立てやすいものです。
定期的に一族が顔を合わせる機会でもあり、大切にされているイベントです。
祭の行事に季節の祭りやしきたり、お見舞いなどを含めて考える場合もあります。
法事の種類とは?
冠婚葬祭にあたる法事には、さまざまな種類があります。
亡くなった日=命日から7日後を初七日と言い、四十九日忌までは7日毎に法要を行います。
初七日と四十九日は親族なども集まりますが、それ以外の法要はごく身近な家族だけで営むことが多いものです。
四十九日は七七日忌(しちしちにちき)とも満中陰とも呼ばれ、この日で忌明けとなります。
四十九日法要で納骨を行う家庭がほとんどですが、地域によっては火葬後すぐの場合も、三十五日忌で行う場合もあります。
亡くなってから100日目を百箇日や卒哭忌(そつこくき) などと呼び法要が行われます。
悲しむのはもう辞めて、現実世界の生活に目を向けていく区切りの日という意味があります。
亡くなってから、ちょうど一年の日を一周忌とし法要が行われます。
一周忌は比較的大きな法要で親族も集まるのが一般的です。
その後の主な年回忌は、三回忌、七回忌、十三回忌、十七回忌、三十三回忌です。
三回忌以降からは、数え年で考えるため、回忌数からマイナス1をした年数に行われます。
三十三回忌は没後32年の年にあたります。
一般的にはこの年まで親類を呼びます。
その後は三十七回忌、四十三回忌、四十七回忌、五十回忌と続く場合があります。
三十三回忌または五十回忌で弔い上げを行います。
弔い上げとは、故人一人として弔うのを終わりにし、その後は先祖代々として供養していくことを言います。
冠婚葬祭の服装とは?
冠婚葬祭には、それぞれの場に適した服装があります。
20歳の会(旧:成人式)は、20歳を迎える本人だけが式典に参加するため衣装を着ます。
男性はスーツや羽織袴、女性はスーツや振袖が一般的です。(稀に18歳で参加する自治体もあります)
近年では和装が人気の傾向にあり、レンタル衣装も種類が多くなってきました。
レンタル衣装は、七五三の着物や長寿祝いの赤いちゃんちゃんこなども揃っています。
結婚式は、参列者もマナーを守ることが必要です。
女性は華やかなドレスや着物、男性は礼服やスーツを着用するのが一般的ですが、女性は新婦の着る白い衣装を引き立てる色味を選びます。
決して新婦より目立つことのないようにしましょう。
葬式に参列する場合は、基本的に礼服(ブラックフォーマル、喪服)を着用します。
喪服がない場合は、黒いスーツなどでも構いません。
仮通夜という亡くなった直後に行われる通夜には、地味な服装で向かいます。
仮通夜に喪服を着用していくと、不幸を待っていたかのようになり逆に失礼にあたるのです。
しかし、葬儀前夜に行われる本通夜や告別式には、きちんとした喪服を着用しましょう。
女性の場合もなるべく肌を見せないように、夏場でも黒ストッキングに長袖が好ましいです。
また、メイクやアクセサリーも派手でないものにしましょう。
パールネックレスも一連のものにします。
冠婚葬祭では、基本的に殺生を連想させる動物の毛皮や皮製品も身に付けるのを控えましょう。
冠婚葬祭のマナー
冠婚葬祭時には、マナーや礼儀が重んじられます。
冠婚葬祭それぞれの行事にさまざまなマナーがあり、それらを知らずに振る舞ってしまうと「非常識な人」と捉えられ兼ねません。
前述の様に服装の面でもそうですし、ご祝儀や香典の準備、渡し方も大切です。
また、意外に気を付けなくてはならないのがあいさつです。
結婚のお祝いでは、繰り返し言葉を使わない、忌み言葉は使わない、意味のないことを長々と話さないなどあいさつやスピーチのポイントをきちんとおさえて話すようにしましょう。
また、本人はもとより参列者や親族にも「本日は誠におめでとうございます」と気持ちの良いあいさつをしましょう。
通夜や告別式の場合も、繰り返し言葉は禁物です。
また、宗派により死に関する言葉が異なりますので注意しましょう。
仏教は冥福や成仏、神道は帰天や永別、キリスト教では召天と表わします。
通夜や告別式に参列する際は、故人のご家族や親族に「この度は、誠にご愁傷さまです。
心からお悔やみ申し上げます。」とお伝えしましょう。
冠婚葬祭で休暇を取る場合
近年では、男女共に仕事を持ち、定年後も働き続ける人が増えてきました。
社会人が冠婚葬祭に参加する場合、仕事の休みを取る必要があることも多いものです。
そんな時は、予定が分かり次第、休暇申請をするようにしましょう。
結婚式や法要は早めに予定が分かるため、事前に休暇の届出を出すことで、確実にその日を休めるようにします。
しかし、葬式の場合は予期することが難しいため、通夜や告別式などの日取りが決まり次第、休暇申請をしましょう。
故人が近親者である場合は、会社から慶弔休暇がもらえることがあります。
どんな場合にどんな休みがもらえるのか、前もって会社の福利厚生内容を確認しておくと安心です。
突然の出費に備えて・・・
冠婚葬祭は突然訪れます。
事前に予期できない場合も多く、祝儀や香典、服飾に交通費と一度に出ていくお金も多いため、何件も重なるとかなりの負担になってしまうのも事実です。
そんな時のために、冠婚葬祭用貯金をしておくことをおススメします。
月に数千円でも貯金をしておけば、突然のことにも慌てません。
結婚式場などが運営するの互助会に加入するのも良いかもしれませんが、必ず気に入った衣装がレンタルできるとも限りませんし、レンタル期間などの特別な定めが有るかもしれません。
加入内容を良く確認してから考えましょう。
また、勤務している会社からも、お祝い金やお見舞金が出る場合があります。
自分自身で書類を揃え、申請をしなければもらえないこともありますので、確認してみると良いでしょう。
まとめ
冠婚葬祭は、日本古来から続く元服・婚礼・葬式・祖先のための祭礼の四大礼式のことを指します。
冠婚が慶事、葬祭が弔事とも考えられています。
冠婚葬祭時には、なかなか会えない家族・親族が一堂に会する機会でもあります。
突然の慶弔時にも恥をかかないように、マナーやしきたりをきちんと確認しておくことが大切です。
仕事を持っている場合、急に休暇を取り冠婚葬祭に参加をすることがあります。
その際、勤務先に迷惑がかからないよう、常日頃から仕事内容の共有をしておくなど、風通しを良くしておくと安心です。