その人の年代にもよるでしょうが、魚は食卓によく上りますか?
若い人ほど、魚がメインだと物足りないと感じるかも知れませんね。
そんな人におすすめの魚がさばです。
脂の乗ったさばは肉に引けを取らないボリュームが出ますし、味も満足できます。
最近は魚の値段が軒並み高くなって、魚離れの原因になっていますが、旬の時期のさばはとても手頃な値段で買うことができます。しかもさばにはまだメリットがあります。
今回はさばについて解説します。普段何気なく食べているさばを見直すこと間違いなしですよ。
さばの魅力は味と値段だけじゃない!栄養そのものの脂が嬉しい!
さばとは、スズキ目サバ科の魚の総称です。日本近海ではマサバやゴマサバなどが見られます。
漢字で書くと「鯖」ですが、魚偏に青いという字が表している通り、青魚の代表的な存在です。
最近はノルウェー鯖と呼ばれる輸入品もよく見かけるようになりました。
さばといえば、たっぷり脂がのった身を思い浮かべます。その脂の多さでさばを敬遠する人もいるかも知れませんね。
でも、さばの脂には貴重な栄養素、EPAとDHAが含まれています。EPAは心筋梗塞や脳梗塞を予防する効果があり、DHAは記憶力の向上や、認知症の予防に効果があるといわれています。
海藻にも含まれているEPAとDHAですが、やはり魚介類、特に手頃な値段で買えるさばを食べて効果的に摂りたいですね。健康的な生活を送るためには、やはり私たちの食生活には魚が必要です。
さばにはビタミン類も豊富に含まれています。ビタミンB群は疲労回復に効果がありますし、ビタミンDにはカルシウムの吸収を助ける働きがあるため、骨や歯の健康には欠かせません。
味や値段だけでなく、その栄養素もさばの大きな魅力になっているのです。
さばにも弱点がある?その解決方法とは?
よいところだらけのように思えるさばですが、実は弱点もあります。
第1に鮮度がすぐに落ちることです。
これはさばの生き腐れという言葉があるほどで、普通は刺し身にしてさばを食べることはできないといわれています。
現在、管理された養殖場で育ったブランドさばには生食できるものがありますが、勝手に採れたてだから大丈夫と素人が判断して食べるのは止めておいた方が無難でしょう。
第2に臭みが出やすいところです。
さばの鮮度が落ちたことだけが臭みの原因になるのではなく、さばに含まれているEPAやDHAが長時間空気に触れることで臭う成分に変化することも臭みの原因になります。ただしこれらの弱点は食べる側の心がけ一つで解消することができます。
普通にスーパーの鮮魚売り場でさばを買うなら、鮮度の問題はほとんどないといってよいでしょう(くどいようですが、生食はできません)。ただ選ぶときに少しだけ気を遣ってください。
さばは身の張り具合を確かめてから買うようにしましょう。
身の固くしまったものが鮮度のよいさばです。すでにおろしてあるものを買うなら、切り口を見てください。
切り口が柔らかくなっているものは避けましょう。具体的には、切り口の角がかっきりと立っているものを選んでください。
もちろんさばを買ったら、すぐに調理をして食べる、それができない場合はすぐに冷凍するなどの配慮が必要です。
もうさばの臭みは怖くない!少しの工夫が美味しさの秘訣!
臭みの問題は下処理と調理の工夫で解消します。
塩焼きにするなら、切り身にまんべんなく塩を振って、すぐに焼くのではなく、15分以上置いておきます。
切り身から水分が出てきますから、ペーパータオルなどで1度拭き取ってから、もう1度塩を振って焼きます。
塩を振るときは、あまり低いところからだとまんべんなく振ることができません。普段よりも高いところから振るようにしてください。
煮魚にするときの下処理には、霜降りという方法があります。
ボウルに入れたさばに90度の熱湯(湯沸かしポットから出したばかりのお湯がこの温度です)を、身が完全に隠れるまでかけます。軽く身を混ぜて、少し周りが白っぽくなるまで待ってから、水を足し、ボウルの中でやさしくさばの身を洗います。
あまり熱湯につけすぎると、さばに熱が入りすぎますから、ご注意ください。
臭み取りとして意外なのは、鰹だしです。鰹だしに含まれているポリフェノールはEPAやDHAが酸化して発生する臭いを抑えてくれるそうです。さばを煮るのに鰹だしを使うのはまさに盲点でしたが(魚を鰹だしで煮ることは、中々考えつきませんね)、手軽な方法ですから、やって見る価値はありますね。
味噌煮にはわけがある!さばの栄養が丸ごと摂れる最高の料理だった!
調理のときに使う調味料や香辛料でもさばの臭みを気にならなくすることができます。
昔からさばの味噌煮はおなじみの料理ですが、味噌を使うことでさばの臭みが気にならなくなります。
味噌の原料の大豆に含まれる植物性タンパク質は発酵・熟成の過程でアミノ酸に分解されます。
このときに分解されずに大きな分子のまま残っているタンパク質には、水や臭いを吸着する働きがあるため、臭みを消すのに有効なのです。また味噌と同時に酒をたっぷり使うのも臭み消しには有効です。
また味噌煮に入っている生姜には、加熱することでショウガオール、ジンゲロンなどの香気成分が生まれます。これらの成分にはさばの臭みを消す効果があります。
ネギにも独特の刺激臭(硫化アリル)がありますが、これがさばの臭みを消してくれます。
臭みを消すだけでなく、料理全体の味がよくなりますから、ぜひさばを料理するときにはネギや生姜を効果的に使うようにしてください。
さばの味噌煮は誰からも愛される日本の味ですが、さばの脂を捨てることなく食べることができるというメリットも持っています。グリルでさばの塩焼きをすると、さばの脂はかなり滴り落ちてしまいますが、味噌煮なら脂は煮汁に溶け出します。
味と栄養の両方の点で、さばの味噌煮は最高の料理といえます。あまり濃い味にし過ぎずに、煮汁ごとすべて食べて、さばの栄養をいただいてしまいましょう。
さばはあたる?アレルギーになる?さばを安全に食べるために!
さばに対してアレルギーになりやすいというイメージを持っている人はいませんか?
確かにさばに含まれているヒスチジンというアミノ酸の1種が、ヒスタミンというアレルギー物質に変わるために蕁麻疹の原因になるといわれています。一見するとアレルギー症状のようですが、これはヒスタミンによる食中毒です(本当に食物アレルギーの場合がありますので、症状が出た場合は医師の診察を受けてください)。
ヒスタミンの食中毒はさばだけが原因ではありません。マグロやブリ、サンマ、イワシでも同じように起こります。
一度さばにヒスタミンができると加熱してもヒスタミンが消えることはありませんし、冷蔵保存の間にもヒスタミンができてしまうことがあり、保存期間が長いとヒスタミンの量が増える可能性があります。
さばに限らず買ってきた魚は出来るだけ早く食べるようにするとともに、常温の場所に出しっぱなしにしない、冷凍と解凍の繰り返しは避ける、などを心がける必要があります。
よく加熱したから、冷蔵庫で保存していたから、絶対に大丈夫ということはありません。
やはり魚は生鮮食品ですから、新鮮なものを新鮮なうちに食べることが、美味しさと安全を両立させるためには大切になります。
また、さばにはアニサキスという寄生虫がいる場合があります。アニサキスによってアニサキス症という激しい腹痛を起こす場合があります。
アニサキス症は、生食を避ける、冷凍や加熱処理を行うことで予防することができますが、人によってはアニサキスアレルギーを発症することもあります。アニサキスアレルギーは冷凍や加熱処理でアニサキスが死んでいても症状が出ますから、予防することがとても難しくなります。
さばを食べて蕁麻疹になった場合は、アニサキスアレルギーの場合があります。
さばを食べて、おかしいと思ったら、早めに医師の診断を受けましょう。
もしアニサキスアレルギーの場合は、以後アニサキスがいる可能性のある魚介類は食べないなどの注意が必要になるからです。
ヒスタミン食中毒もアニサキス症もさばだけが悪いのではありません。
怖れすぎることなく、冷静に対応することが必要です。そして、さばを食生活から締め出さないようにしてください。
まとめ
今回はさばについて解説しました。
さばに含まれる栄養素については色々なところで取り上げられていますが、今回改めて確認して、そのよさを実感しました。
栄養素を丸ごといただくなら、味噌煮が最適ですが、それだけにこだわらずに塩焼きや竜田揚げなど好みの料理を探して、さばを食べることが習慣になるとよいですね。
さばを食べる上で心配な症状についても紹介しました。
なぜかさばはあたりやすい、アレルギーの症状が出やすいと思われているようですが、どんな食べ物でも同じようなリスクは付き物です。
しっかりと食中毒やアレルギーについての知識を持って、安全に美味しくさばを食べてください。
何となく怖いからと遠ざけてしまうには、あまりにもさばはもったいない魚です。
さばとは長く上手に付き合っていきたいですね。