春先になると、魚屋やスーパーなどでホタルイカが売られているのを目にするようになります。
実際に食べたことがあるという人も多いでしょう。
身が柔らかく、色々な料理にも使えて美味しいのですが、ホタルイカとは一体どんなものなのでしょうか?
ここでは、ホタルイカについて詳しくご紹介します。
ホタルイカとは一体どんなもの?
ホタルイカは、ホタルイカモドキ科に属する、平均3~4センチの小さなイカのことをいいます。
ホタルイカは世界中に40種類も存在しています。
日本の近海では、日本海と一部の太平洋側、相模湾、駿河湾にて見られます。
特に富山県の滑川や兵庫県の日本海沿岸で水揚げが多いのが特徴です。
日本海側の福井や鳥取でも水揚げされます。
普段は200メートルから700メートルほどの深海に生息しています。
ホタルイカは春に産まれ、翌年の春に産卵を迎え生涯を終えます。
およそ一年ほどの短い生命なのです。
産卵時には深海から水面付近に上がって来ます。
ホタルイカの触手には3個ずつと、腹部に発光器が付いていて、暗い海で青白く光ることがあります。
光るのは、敵に威嚇しているためと言われています。
ホタルイカは、青、緑、水色と発光を分けていて、仲間内で信号を送り合っているのではと推測されます。
日本では、2月から5月が漁期で、まだ暗い明け方に捕獲されています。
ホタルイカの名称の由来は?
ホタルイカは、昔「マツイカ」と呼ばれていました。
マツイカと呼ばれていたのは、ホタルイカが松の肥料になっていたからです。
ホタルイカという名前になったのは明治38年です。
夜になると蛍の様に美しく発光するためこの名前が付きました。漢字では「蛍烏賊」と書きます。
実際に見たことがない人は、その由来って本当なの?と感じるかも知れませんが、春先の産卵期になると暗い海面に青い光が無数に現われ、蛍の大群を思わせる光景となります。
その美しいホタルイカの大群を見ると名付けの由来にも納得することでしょう。
ホタルイカの旬はいつ?
ホタルイカの旬は3月から5月にかけてです。
季節でいうと春~初夏までです。
深海で生息しているホタルイカが産卵のため海面に浮上してくる頃を狙って捕獲されます。
海面の極近くまで浮上してくるこの時期には、バケツを持ちホタルイカすくいをしに来る近隣住民も居るようです。
ホタルイカは定置網という網を仕掛けて捕獲します。
回遊ルートに網を仕掛けて自然に追い込むのです。
ホタルイカの旬には、富山湾でも海上観光ができます。
船に乗って漁に同行し、捕獲の瞬間を間近で見れるため、非常に人気のあるイベントです。
また、兵庫県では1月下旬頃から漁が行われます。
富山よりも少し時期が早いのが特徴です。
ホタルイカはどうやって食べるの?おススメ料理は?
ホタルイカの水揚げが多い富山県では、昔から食用として親しまれていました。
炒め物から煮物、沖漬け、酢味噌和え、天ぷら、唐揚げ、素干しなど様々な調理法で食べられています。
ホタルイカは非常に腐りやすいため、以前は日本海側の地域でしか食べられていませんでしたが、30年ほど前から急速冷凍や高速輸送の技術が進むと共に徐々に他県へも出回るようになってきました。
生食は寄生虫の問題からできませんが、内臓を除去した上で急速冷凍を行えば生に近い状態で食べることができるという厚生労働省からの通達がなされています。
沖漬けなどにする場合も、必ず内臓は取り除きます。
火を通せば内臓も丸ごと食べることが出来ます。
ホタルイカは、内臓に「旋尾線虫(せんびせんちゅう)」という名前の寄生虫をもっていることがあり、人間の体内に入ると重篤な症状を引き起こします。
そのため、寄生虫を除去するために適切な処理がされた物を食べることが安全と言えます。
ホタルイカは炊き込みご飯にしても、パスタの具にしても美味しいですし、様々な野菜などと炒め物にしても食べやすいものです。
ただ、売られているホタルイカは目や口、軟骨が付きっ放しであることがほとんどで、その下処理をしてから料理をしないと食べ辛いものになります。
水洗いしながら目、口、軟骨を取り除いておきましょう。軟骨は頭の先をつまんで引っ張るだけで綺麗に取れます。
素干しなどは年中通して買うことができます。少し炙って食べると絶品です。
良いホタルイカの選び方は?
ボイルされたホタルイカは、艶やかでぷっくりと膨らんでいるものが新鮮で美味しいものになります。
ボイルされたものは、内臓も全て食べることができ、内臓が多いほど美味しいのです。
鮮度が落ちてくると艶がなくなり、張りがなくなってきます。
もし、生のホタルイカが購入できる場合は、身が透き通るものほど新鮮です。
寄生虫の恐れがあるため、個人が生の物を購入し刺身で食べるのは避けた方が良いのですが、生食ではなく加熱調理して食べる分には新鮮な生ホタルイカを購入しても良いでしょう。
新鮮な物を調理すると身が詰まった美味しいものになります。
ただ、内臓がついたままの生ホタルイカは非常に腐りやすいので、手に入れたら早めに調理する必要があります。
ホタルイカは栄養価が高い!?
富山短期大学の教授が研究したところ、タウリン、ビタミンA(レチノール)、ビタミンE、ビタミンB12が豊富に含まれていると分かりました。
タウリンが豊富なため、脂肪肝などに効果があると言われています。
食べれば即改善という訳にはいきませんが、栄養価が豊富ですので、旬の時期には積極的に食べたいものです。
また、ビタミンAには目や肌を整える美容効果がありますので、花粉症の時期にも効果的かも知れません。
ホタルイカの栄養を効率良く摂取できるように、一緒に食べると良い食材があります。
カシューナッツの亜鉛は、ホタルイカの銅と一緒に摂取するとどちらかを減らすことなく効率的に摂ることができます。
ジャガイモはビタミンCが豊富です。ビタミンAはビタミンCと一緒に摂ると吸収しやすくなります。
ホタルイカミュージアムは見どころ!
富山にはホタルイカミュージアムという施設が存在します。
名物のホタルイカを様々な視点から体験・知ることができるところです。
旬の時期には、実際にホタルイカに触れるイベントや発光ショーが楽しめます。
ホタルイカを使用した食事が楽しめて見ても食べても楽しいと人気です。
ホタルイカがゴロゴロ入ったホタルイカバーガーや、ホタルイカのしゃぶしゃぶなどが人気のお食事です。
ホタルイカの旬でない時期にも年間を通して楽しめるイベントが盛りだくさんで老若男女楽しめますので、気になる方は観光がてら出向いてみても良いでしょう。
ホタルイカの身投げとは何?
ホタルイカの身投げというものをご存知でしょうか?
少し怖い様な言葉ですが、とても綺麗な自然現象なのです。
毎年春に富山湾沖で見られます。富山湾の神秘とも呼ばれるほどの美しい光景です。
春先になるとホタルイカは普段生息している深海700メートルほどから産卵のため海面付近まで上がって来ます。
これはホタルイカの集団で行われ、暗い海面一体に青い光が灯るのです。
そして、海面付近に近付いたホタルイカの大群が、岸に打ち上げられてしまう事を「ホタルイカが身投げしている様だ」と例えられるのです。
海岸の方へ向かい泳いでくるホタルイカは、岸に打ち上げられ息絶えてしまうのですが、なぜこのような現象が起こるのでしょうか?
考えられる理由の一つとして、月の光があります。
月の光の見えない夜には、方向感覚を失い岸へ近づいてしまうというものがあります。
また、他の海洋生物から卵を守る本能で岸へ向かうという説もあります。
いずれにしても、毎年3月から5月の条件が良い日に見られますので、全国各地から見物客が訪れます。
ホタルイカの身投げが良く見られる条件や時間帯は次の通りです。
- 夜22時頃から明け方6時頃まで新月の晩(または新月の前後)
- 月明かりの少ない日日中は良く晴れていて、海が綺麗に見える日
- 波が穏やかな日
- 南風が吹いている日
- 深夜に満潮がくる日
良く見えそうな日で休日前と重なる場合は、夜中にも関わらず見物客が多いものです。
興味がある人は一度見に行っても良いかも知れませんね。
まとめ
ホタルイカは、春の風物詩とも呼ばれています。
3月から5月に旬を迎える小型のイカで、身がとても柔らかく美味しいものです。
ホタルイカは様々な調理方法で食べられていますが、実は食べるだけでなく、目で見て楽しむこともできます。
富山湾では毎年、旬の時期になると、幻想的なホタルイカの光を体験できます。
興味があれば、是非体験してみてはいかがでしょうか?