初大師(初弘法)という言葉をご存じですか?
初大師とは1年で一番最初の「大師参り」の日のことを言い、毎年1月21日に行われます。
今回は初大師について、その由来などを詳しくご紹介するほか、関東と関西それぞれで有名な初大師の行われる寺院をあげて特徴やアクセス、混雑具合についてまとめています。
「初大師」というと堅苦しく敷居が高く感じられるかもしれませんが、実際は周囲には露店が出たりと一つのイベントとなっているところも多いようです。
大師参りに興味があったけれどなかなか機会がなかった、という方や敷居が高いのではと迷っている方など、ぜひ参考になさってください。
初大師の意味は?
真言宗の開祖である空海(弘法大師)が亡くなったのは835年の3月21日です。
そのことから毎月21日は「大師の縁日(大師参り)」として多くの人が参拝します。
初大師とは1年で最初の大師参りのこと、つまり、1月21日が「初大師」ということになります。
この「初大師」は1年の最初の大師参りということでとても賑わいますし、さまざまな行事が行われます。
この「大師」というのは上記しましたが弘法大師からとられたものです。
弘法大師というのは朝廷から、亡くなったあとに空海に贈られた諡号(しごう)(おくりな、とも言います)であり、「弘法」とは「法を弘げた」という意味があります。
弘法大師空海といえば天台宗の開祖である伝教大師最澄と並んで中国から仏教をもたらした有名僧であり、歴史の教科書などでも学習する人物ですね。
なお、弘法大師は高野山奥院にて現在も修行を行っている、とも信じ続けられています。
真言宗においては、空海は3月21日に亡くなったのではなく、姿を隠しているだけ、とされています。
そのような偉大な方の名のついた縁日ですから、参拝者が多いのも当然とも言えます。
昨今では日本の歴史や寺社仏閣に興味を持つ方も多く、是非一度足を運んでみたい、と思う方も多いのではないでしょうか。
今回は関東で有名な川崎大師の初大師、西新井大師の初大師、観福寺の初大師、そして関西で有名な東寺の初弘法についてご紹介し、特徴や雰囲気などをまとめています。
関東の有名初大師:川崎大師
初大師が開催されることで有名な場所の一つに川崎大師があります。
川崎大師といえば初詣に訪れる人も多く、初詣参拝者の数は全国で3位に入るとされています。
最寄り駅は、京急川崎駅より大師線に乗り換え「川崎大師駅」で、徒歩8分ほど。
立地も良いので初めて行かれる方でも安心です。
川崎大師は厄除け大師として昔からたくさんの人々に親しまれており、成田山新勝寺、高尾山薬王院と並んで、真言宗智山派の関東三大本山の一つとして現在まで多くの信仰を集めてきました。
また、パワースポットとしても注目されています。
そんな川崎大師の「初大師」とはいつ、そして毎年どのように賑わうのでしょうか。
川崎大師の初大師は毎年1月20日、21日に開催されます。
初大師には遠方からのご信徒も多く参拝されるとのことで毎年とても賑わうようです。
また、1月20日、21日に祈祷した護摩札には、「初大師修行」の朱文字が入る、とあって、これはぜひとも頂いておきたいところです。
特に川崎大師は、お坊さんがしてくださる法話が大変素晴らしく一般の人にも分かりやすいと評判ですので初めての方でも安心できるのではないでしょうか。
初大師ですから常に人が賑わいますが、夕方近くになるとだいぶ混雑も解消してくるようです。
ただ、大本堂の開扉時間が、1月20日は6時から21時までなのに対し、21日は18時半までとなっていますので、注意が必要です。
関東の有名初大師:西新井大師
関東でもう一つ、初大師で有名な場所は西新井大師です。
西新井大師は関東の厄除け三大師の一つであり、こちらも初詣となれば多くの参拝客で賑わいます。
西新井大師へのアクセスは東武大師線の「大師前駅」から徒歩5分、または日暮里舎人ライナーの「西新井大師西駅」から徒歩20分となります。
平安時代にここを訪れた弘法大師が悪疫の流行から村の人たちを救おうと自ら十一面観音像と自身の像を造り、21日間祈祷したところ、枯れた井戸に綺麗な水が沸き、病はたちどころに消えたとされています。
その井戸がお堂の西にあったことから「西新井」の地名がついたとされています。西新井大師は弘法大師と深い関係あるところなのですね。
西新井大師の「初大師」はいつ、そして毎年どのような雰囲気なのでしょうか。
西新井大師の初大師は毎年1月21日に開催されます。
新年あけて初めての弘法大師の縁日ですから川崎大師同様毎年賑わうようです。
参道、また周囲には多くの露店も出て達磨などの縁起物をはじめ、お祭りの屋台などでお馴染みの食べ物がずらりと並び、普段より活気をみせます。
参拝のピークはやはりお昼頃のようですが、ピークを外した15時くらいからなら比較的混雑もはけてくるようです。
夕方にもまだ露店は開いていますのでそちらも楽しむことができますよ。
関東の有名初大師:観福寺
観福寺(妙光山観福寺)は千葉県香取市牧野にある真言宗豊山派の寺院です。
上記しました川崎大師、西新井大師とともに「日本厄除三大師」の一つとされており、890年に尊海上人により開基された非常に歴史の古い寺院です。
また、現在でも僧侶の修行や研修の場ともなっています。
アクセスはJR成田線の「佐原駅」から徒歩約25分、または駅からバスの利用もできます。
厄除け大師というと川崎大師や西新井大師の名がまず先にあがりますが、観福寺にも大師堂、観音堂、不動堂、毘沙門堂、鐘楼など、境内は堂々とした景観となっています。
また、春には桜、夏には緑の木々が、秋には紅葉、と四季折々の美しさも堪能できます。
そんな観福寺の「初大師」は、1月21日に「初大師大護摩」が行われます。
時間は7時、11時、14時の3回となっていますのでご注意ください。
護摩祈祷は、当日行っての申し込みもできますが、事前にファックスや電話などでの受け付けもしているようです。
あらかじめ行くご予定を決めているなら事前に申し込みをしておくのもおすすめです。
FAXでの申し込みは寺院の公式ホームページから専用の用紙をダウンロードできますのでチェックしてみてください。
関西では東寺の初弘法
関西で有名なのは京都にある東寺の「初弘法」です。
東寺はおよそ1200年の歴史をもち、1994年には世界遺産としても登録されています。
嵯峨天皇から弘法大師へと託された東寺は、日本で初めての「密教寺院」ともなりました。
また弘法大師とはその後も深い関わりをもち、弘法大師が住んでいたという御影堂では、いまも毎日、その時と同じように一の膳、二の膳、お茶をお出ししているそうです。
東寺へのアクセスは、JR「京都駅」より徒歩15分、近鉄線の「近鉄東寺駅」から徒歩10分となっています。
その他バスも出ていますし、車での来場の際も駐車場(有料)が完備されています。
東寺の「初弘法」、どのような感じなのでしょうか。
毎年1月21日に開催される当時の初弘法は週末に重なった場合には20万人の人出があるほどの人気となります。
周囲には1200を超える店が並び、初弘法が一つの大きなイベントとしても人々から親しまれていることが分かります。
初弘法の日は御影供、回向法要、八幡宮護摩供が行われ、回向法要に関しては事前に申し込みをすると大日堂に入ることができます。
混雑具合についてですが、お店に関しては早朝から開いているところが多いようです。
早朝の時間帯は比較的人も閑散としているようですが東寺での初弘法が10時からとなっていますので時間帯にはご注意ください。
東寺の初弘法は露店も込みで楽しめるものとなっている、というのが印象的ですね。
まとめ
今回は初大師、初弘法について、関東と関西それぞれで有名な寺院を取り上げ、ご紹介しました。
弘法大師、といえば歴史の教科書などにも名前が出てくるほどの人物ですし、仏教徒ではないから関係ない、ということではなく、この機会に興味からでも触れてみるのもいいかもしれません。
こちらでご紹介している、川崎大師、西新井大師、観福寺、東寺は歴史のある立派な寺院ですし、そういった観点から「訪ねてみる」、というのもおすすめです。
ただ、それぞれにマナーがあります。
もしこちらをお読みになって興味を持ち、行かれる際には事前によく調べてお出かけになってください。
最後になりますが、1月21日は冬で当然寒いですから、行かれる際には暖かい格好をしていかれることをおすすめします。