カレンダーを見ていたり、近くの天満宮などで「初天神」という言葉を見たことがある人も多いのではないでしょうか。
一方で初天神の意味がわからない、いつ何をする行事なの?と疑問に思うこともあります。
初天神に関する落語もあって、特に飴玉の部分が有名です。
普段は落語にあまり興味がなくても、初天神の噺はわかりやすいので理解もしやすいでしょう。
今回は初天神の意味について天満宮での見どころや、落語はどんな噺なのかを詳しくご紹介していきます。
初天神とはどんな意味があるの?
初天神についてどんな意味があるのか、詳しく説明出来る人はおそらく少ないのではないでしょうか。
初天神を理解するには、縁日や神様について詳しく把握しておく必要があるのです。
縁日について
初天神というのは何の日なのか、意味を知る前にまず把握したいのが「縁日」についてです。
「縁日」と聞いて思いつくのは、お祭りのようなイベントだという人も多いのではないでしょうか。
実は縁日はお祭りのことを指すのではなく、神様や仏様に縁のある日を意味します。
神様や仏様と近くなるということで、供養をしたりお祭りで屋台を出したりするのです。
屋台を出すことで神様や仏様が喜ぶため、賑やかな雰囲気になっているんですね。
縁日は毎月やってきますが、日にちによって縁のある神様や仏様が異なるのが特徴です。
たとえば5日は水天宮、21日は不動明王といった感じですね。
毎月やってくる縁日ですが、新年が始まって最初の日の場合は「初」を頭につけます。
1月5日ならば「初水天宮」で、新年が明けて最初の水天宮の縁日となるのです。
一年で最後の縁日の場合はというと、頭に「納めの」あるいは「終いの」をつけます。
12月5日の場合は「納めの水天宮」というのですね。
一年で最初と最後の縁日は特別な意味があるので、特に分けて呼んでいます。
初天神はいつなの?
数ある縁日の中でも、天神様と縁がある日は毎月25日となっています。
新年が明けてから最初の25日ということで、1月25日が初天神なのです。
どうして25日が天神と縁が深くなったのかというと、天満宮の神様である「菅原道真」が深く関わっています。
菅原道真といえば天満宮で、天神様として祀られている神様ですよね。
菅原道真は誕生日が845年の6月25日で、なんと亡くなったのが903年2月25日なのです。
ふたつの日にちの共通点とは「25日」で、まさに天神様にふさわしい人いえますよね。
「初天神」は一年で初めて25日の縁日を迎えることで、1月25日を指します。
初天神は全国各地の神社で執り行われ、受験シーズン真っ只中ということもあって受験生も多くおとずれます。
天満宮に祀られている菅原道真は学問の神様として有名なので、勉強を頑張っている受験生にはもってこいですね。
初天神は天満宮の一年で最初のイベント
天神様こと菅原道真が祀られている天満宮は、全国に1万2千社以上あります。
数多くある天満宮の中でも、特に日本三大天神と呼ばれる特に力の大きい神社があるのです。
三大とありますが、実は4つあるのも特徴といえるでしょう。
- 北野天満宮
- 太宰府天満宮
- 大阪天満宮
- 防府天満宮
天神様を祀る天満宮において、初天神は一年で最初の大きな縁日なのです。
神様とより近い距離にいることができる日ということで、お祭りがおこなわれているのですね。
屋台などのお店や地域のイベント、骨董市などを楽しむことができて多くの人々が観光と参拝に訪れます。
天満宮の菅原道真公は学問の神様として非常に有名なので、受験生も数多く参拝します。
1月25日といえば受験に向けてのラストスパートなので、神様にお願いするにはちょうど良いタイミングですよね。
毎月おこなわれる天神様の縁日の中でも、新年を迎えて最初の初天神は特別な意味をもちます。
今年も天神様によろしくお願いしますという改まった気持ちを持つこともできるので、日頃から縁日に足を運んでいる人はぜひ初天神には行きたいところです。
天満宮は関西地方に集中しているので、関東の人からするとあまり馴染みはないかもしれません。
修学旅行で京都の北野天満宮に行ったり、受験生でわざわざ天満宮にお参りしに行ったりする人もいるでしょう。
地元の人からすれば、縁日の日には「天神さん」などと呼ばれるほど身近なことなのです。
北野天満宮での初天神の見どころ
京都府にある北野天満宮は、日本三大天神の中でも特に有名ではないでしょうか。
修学旅行生や関西地方の受験生などが足を運び、初天神でも大変な賑わいを見せます。
境内にはたくさんの屋台が並び、季節の食材を使った食べ物を堪能できます。
骨董市も人気が高く、遠方から足を運ぶ人も大勢いるほどです。
子供に嬉しいイベントとして、神戸モンキーズ劇場の公演もおこなわれています。
猿回しは大人気のイベントで、毎年おこなわれているので名物です。
初天神には宝物殿の中を見ることができ、入場料300円で入ることができます。
境内のライトアップもおこなわれており、日没後から夜9時まで明るいので綺麗な風景を見られますね。
大阪天満宮での初天神の見どころ
関西の受験生のパワースポットといえば、大阪天満宮です。
千年以上前に建てられたため、非常に歴史の重みを感じることができます。
大阪天満宮の中でも見過ごせないポイントが「登竜門」で、くぐると出世できるといわれています。
さまざまなシーンで「〇〇の登竜門的存在」などと言われますが、大阪天満宮が由来なのですね。
大阪天満宮では初天神の1月25日に「初天神梅花祭」がおこなわれ、有名人を招いての大変賑やかなお祭りです。
梅花祭の由来は1月25日に菅原道真が左遷されたとされるためで、のちに霊を鎮めるために梅の花がお供えされたことから命名されました。
大阪天満宮には、たくさんの梅の木が植えられています。
1日を通してイベントのスケジュールがあり、特に受験生を対象とした通り抜け参拝は人気があります。
夕方には芸能人やプロ野球選手が来るので、イベントのタイミングに合わせて多くの人が押し寄せるのです。
初天神は落語の噺も!飴の話とは?
初天神と聞くと天満宮でおこなわれる縁日よりも、落語の人気演目を思い浮かべる人も多いですよね。
お正月の時期に多く上演される落語で、もちろん舞台は1月25日の初天神です。
落語「初天神」の噺の内容について、詳しく見ていきましょう。
・初天神のあらすじとは?
日にちは1月25日、天満宮で初天神のお参りができるとのことで父親と息子で出かけることになります。
父親の立場からすると、息子を縁日に連れて行くと「あれが欲しい、これ買って」などと騒がしくなるのは目に見えています。
実際に息子は屋台で買って欲しいものだらけで、父親を困らせるのでした。
面倒なことを避けるためにも、初天神に連れて来なければ良かった…と少し後悔する父親だったのですが…。
息子が今度は凧を欲しがったので、父親はしぶしぶ買うことになります。
いざ凧揚げをしてみると、父親は凧に夢中になってしまい息子はそっちのけになりました。
息子が凧で遊びたかったのに、父親に取られてしまったんですね。
今度は息子の方が「父親を連れて来なければ良かった…」とぼやいて、親子の立場が逆転してしまうというオチがある噺です。
・飴玉の噺とは?
初天神は縁日ということで、たくさんの屋台が並んでいます。
屋台を見てテンションが上がった息子は、飴玉が欲しいと父親におねだりをします。
屋台をみるとリンゴやみかん、柿、バナナなどいろいろな果物の飴玉が並んでいるのです。
父親はねだられるたびに「リンゴは酸っぱいからダメ」「柿は渋いからダメ」「バナナは長いからダメ」などあらゆる理由で却下します。
息子は飴を買ってくれたらもう二度と他のものをおねだりしないと約束し、父親に飴を買ってもらえることに。
父親と話しながら飴を舐めて歩く息子ですが、目の前にある水溜りに気づかせようと父親が息子の背中をバシッと叩きます。
大泣きしてしまう息子ですが、父親は水溜りに飴を落としたと思ったようです。
実際は背中を叩かれたことで、口の中に入れていた飴玉を飲み込んでしまったのですね。
息子は「飴玉をお腹の中に落としてしまった!」と泣くのでした。
軽快な語り口と父親と息子の掛け合いが面白い落語なので、非常に人気が高い噺です。
まとめ
初天神の意味について天満宮での見どころや、落語はどんな噺なのかを詳しくご紹介してきました。
初天神は毎月25日にある天神様の縁日の中でも、新年を迎えて最初の1月25日におこなわれるものです。
全国の天満宮でイベントがおこなわれており、特に日本三大天神では大変な盛況振りです。
初天神といえばお正月の時期に上演される落語も人気で、初天神のお参りに出かけた父親と息子の軽快な掛け合いが楽しい噺となっています。
中でも飴玉の噺は、噺家によって個性が出て楽しい部分でもあります。
関西地方により馴染みがある天神様ですが、初天神は特別なイベントなのでぜひ出かけてみてくださいね。