普段何気なく見ている道端のお地蔵さん、一体どういう存在なのか、どういった意味合いで祀られているのかご存知でしょうか?
今回は「お地蔵さん」について触れ、そのお地蔵さんをお参りする縁日、とくに「初地蔵」ということについてご紹介しています。
あわせて、初地蔵で有名な巣鴨のとげぬき地蔵や小田原の「板橋地蔵尊大祭」、日本最古の地蔵菩薩が祀られている関地蔵院についても雰囲気や賑わいぶり、アクセスなどもまとめています。
初地蔵とは?まずはお地蔵さんについて解説
「初地蔵」の意味や日にちをご紹介する前に、「お地蔵さん」についてまず解説、まとめてみましょう。
「お地蔵さん」「お地蔵さま」と親しみを込めてそう呼ばれますが、本来の正式名称は「地蔵菩薩」と言い、仏教の世界では観音菩薩などと並んで同じ位置にある「菩薩」の一人です。
サンスクリット語では「クシティ・ガルバ」といい、「クシティ」は大地、「ガルバ」は胎内、という意味があり、大地が全ての命をはぐくむ母胎となっているように、苦しみ悩む人々をその慈悲で包み込んでくださる、そういった意味から「地蔵」と名付けられた、と言われています。
その意味合いのとおり、地蔵菩薩はわたしたちの身近にいる菩薩さまで、特に地獄の衆生を済度し、代わりに苦しみを背負う、ともされています。
実際、「身代わり地蔵」という名はよく聞く名前ですね。
そのほかにも「子安地蔵」「道祖神」など、地蔵菩薩は常に私たちの近くで見守ってくださっています。
だからということでしょうか、お地蔵さんは他の菩薩さまとは違って道端に立っていることが多いですよね。
屋根もなにもなく雨の日も風の日も雪の日もそこに立っているその姿は、人々の苦しみを身代わりになって背負っている、というふうにも映ります。
お地蔵さんについて少し分かってくると、是非感謝の気持ちなどを伝えたくなってしまいますね。
ここからは地蔵菩薩の縁日、特にその「初地蔵」についてまとめ、ご紹介していきます。
初地蔵の意味や日にちは?
お地蔵さん(地蔵菩薩)について少し触れたところで、「初地蔵」の意味についてまとめてみます。
毎月24日は「地蔵菩薩の縁日」と言われ、お地蔵さんに感謝をしつつお参りをする日となっています。
その中で「初地蔵」とは1年で最初の地蔵菩薩の縁日の日、つまり1月24日を指し、全国の、地蔵菩薩を祀っている寺院ではさまざまな行事が行われる日となっています(ちなみに7月24日は「地蔵盆」が行われます)。
関東、とくに東京で有名なのは巣鴨のとげぬき地蔵、でしょうか。
巣鴨のとげぬき地蔵は元々お年寄りに人気のスポットとしてテレビなどでも取り上げられることも多い場所です。
そのほか、関東では小田原市の「板橋地蔵尊大祭」、宇都宮市の「萬松寺初地蔵尊会」などが有名なスポットです。
ここからは上記2か所の「初地蔵」について、そして日本最古の地蔵菩薩を祀っている三重県の「地蔵院初地蔵」について、行事の様子やアクセス、混雑具合など詳しくご紹介していきます。
小田原の「板橋地蔵尊大祭」
神奈川県小田原市の宗福院地蔵堂では毎年1月23日、24日に「板橋地蔵尊大祭」が行なわれます。
宗福院地蔵堂は香林寺の第9世文察大和尚が約330センチの大坐像を造り、箱根湯本宿の古堂に祀られていた弘法大師が作られたとされるお地蔵様を胎内に安置して、1598年に地蔵堂を建立したものが始めとされています。
もう420年近い歴史があるのですね。
以来、「板橋のお地蔵さま」として人々に親しまれてきました。
そしてこの祭りの間は旧東海道に200もの露店が店を並べ、賑わいを見せます。
アクセスは箱根登山鉄道の「箱根板橋駅」から徒歩で約10分と駅から近く、便利な立地にあります。
都心からですと約1時間半ほどの道のりですからちょっとした小旅行感覚でお出かけになるのも良いですね。
箱根からも近いということもあり、観光がてら立ち寄る、という方も多いようです。
小田原の「板橋地蔵尊大祭」ではこの当日にお参りすると亡くなった身内の方とそっくりの方に出会えるとも言われています。
地蔵尊へのお参りはもちろんですが、露店の賑わいも楽しんでみてください。
時間は、1月23日は朝8時から夜20時まで、1月24日は朝8時から午後15時までとなっていますのでご注意ください。
巣鴨の「とげぬき地蔵高岩寺大祭」
ちの1月24日が「初地蔵」として大勢の人々が毎年訪れます。
アクセスはJR山手線または都営地下鉄三田線の「巣鴨駅」から徒歩5分と大変便利な立地にあります。
とげぬき地蔵の由来は、江戸時代、武士の田付又四郎の妻が病で苦しんでいたところ、夢枕に立った地蔵観音のお告げにしたがって地蔵尊の姿を描いた紙を川に流したところ、たちまち妻の病が治ったと言われており、これが「御影」の始まりであるとされています。
また、「とげぬき」の名は、毛利の女中が針を誤飲してしまい、御影を飲み込んだところ針を無事吐き出すことができた、という言い伝えからきているとのことです。
以来、他の病気の回復にもご利益があるとされ特に高齢の女性が多く訪れるパワースポットとなりました。
巣鴨の「とげぬき地蔵高岩寺大祭」は午前10時半からと午後2時半から、本堂で大法要が行われます。
20人ほどの僧侶たちによる「大般若経」の転読は大迫力とのことで、有名です。
経文の風を受けることで無病息災のご利益にあずかれるそうですよ。
参拝に行かれる方はぜひ、大法要にも参加してみてください。
また、巣鴨では毎月4日、14日、24日に縁日が開かれており、露店がずらりと軒を連ねます。
人出は10万人とも15万人ともいわれ、かなりの賑わいが想像できますね。
特に「初地蔵」の1月24日は冬もまだまだ本格的な季節ですし、ご高齢の方におかれましては寒さ対策をしっかりしてお出かけになることをおすすめします。
日本最古の地蔵菩薩!三重の「地蔵院初地蔵」
三重県亀山市にある地蔵院は、741年に奈良東大寺の僧、行基が創建したとされている寺院です。
行基が当時流行していた天然痘で苦しむ人々を救うために作ったとされるご本尊の地蔵菩薩坐像は日本最古の地蔵菩薩ともいわれ、古くから「関のお地蔵さん」として人々に親しまれてきました。
また、本堂、愛染堂、鐘楼は国の重要文化財に指定されている大変歴史ある寺院です。
日本最古の地蔵菩薩とあれば、これはぜひとも注目したいものですね。
アクセスはJR関西本線の「関駅」から徒歩8分と大変立地もよく、車で行く際でも、近くに無料駐車場がありますので安心です。
関地蔵院の初地蔵も、1月24日に開催されます。
年明け初めて行われる行事ということで大変賑わいます。
また、日本最古のお地蔵さんとあれば遠くからでも是非拝みたいと思われる方もいらっしゃるでしょう。
この日は縁日も行われるのでお店も出てまるでお祭りのようなにぎやかさを見せます。
関地蔵院の地蔵菩薩さまはとりわけ安らかで円満なお顔立ちをされており、「関の地蔵に振袖着せて、奈良の大仏婿に取ろう」と歌われたほどだそうです。
そんなお地蔵様ですからご利益にあずかりたい、初地蔵に是非お参りしたい、と思われる方も多いのでしょう。
関地蔵院は年中無休ですが参拝時間は9時から16時となっていますのでご参考になさってください。
なお、亀山では1月24日の初地蔵のあとも亀山大市が開催されます。
こちらは旧東海道である東町・本町の通りが約1kmにわたって歩行者天国となり、さまざまなイベントや露店が並んで賑わいをみせます。
もう130年もの伝統があるそうで、関地蔵院の初地蔵に行かれた際にはぜひこちらもあわせて楽しんでみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回は「初地蔵」について、その意味や由来、いつ行われるか、また初地蔵で有名な寺院・場所などについてまとめ、アクセスや混雑具合、どのような雰囲気なのかについてご紹介してきました。
普段、道に祀ってあるお地蔵さんに対してわたしたちは特に気にとめることもなかったり、存在すら気づいていないこともあるかもしれません。
探してみると意外なところにお地蔵さんが立っていて、わたしたちを見守っていてくださっていたのかもしれないと思うと改めて思うところも色々あるものですよね。
この機会に、初地蔵に行かれて日頃の感謝の気持ちを伝えてみる、というのはいかがでしょうか。