注連縄掛神事って何のことでしょうか。また一体なんて読んだらいいのでしょうか。注連縄とはしめなわと読みます。音では知っていたけれど漢字は知らなかったという方も多いかもしれませんね。何故注連縄掛け神事が大笑い神事といわれるのか、またその由来についてご紹介します。また、注連縄についても意味や作り方、飾り方についてご紹介していきますので、今年のお正月準備のご参考にしてください。
注連縄掛け神事とは
『注連縄掛け神事』とは、『しめかけしんじ』と読み、大阪府東大阪市にある枚岡神社で12月23日に行われる神事です。『お笑い神事』ともいわれる珍しい神事で、境内の注連縄を新しくかけなおした後神職の先導に従い氏子、参拝者が大笑いするものです。
全体の流れは以下の通りです。
8時ころから、氏子総代が白装束で新しい注連縄を調え始めます。準備ができると、8時30分からから、注連縄をお祓いして掛け替えます。その後10時らか、注連縄掛け神事を行うのです。
注連縄掛け神事とは、神職が注連縄、宮司、氏子、参列者をお祓いし、東に向かって並び、神職が「あーっつははははー」と儀礼的な笑いの先導に従って、参列者全員で「あーっつははははー」儀礼的に3回笑います。その後、神職から笑いについてのお話があったあと20分間みんなで笑い合う神事です。
笑うことで日々以下われていることに感謝するという意味の他に、冬至から少しずつ日が伸びることから、太陽の復活を願った神事ともいわれ、その復活を願う行いが笑いともいわれています。
注連縄掛け神事のある日は1日、笑いに関するイベントが枚岡神社で開かれているのも特徴の1つですね。さらに、この日は、夜の部として17時から、天の岩戸開き神事が行われます。この神事は天照大神が天の岩戸から出てくることとなった祝詞や舞、太鼓の演奏など神話の世界を再現するかのような神事です。
注連縄掛神事の由来、大笑いについて
注連縄掛け神事の由来は、枚岡神社の祭神と関係があります。枚岡神社は、主祭神に天児屋根命(あめのこやねのみこと)、経都主命(ふつぬしのみこと)、武甕槌命(たけみかづちのみこと)をお祀りしている神社です。天児屋根命は、天の岩戸開きで活躍をされた神様で、はじめてお祭りを行って祝詞を奏上したことから『神事宗源(しんじそうげん)』の神様ともいわれています。
注連縄掛け神事、通称お笑い神事の起源は、天照大神(あまてらすおおみかみ)が天の岩戸に隠れたという神話から、もう隠れることがないようにと注連縄をかけ、岩戸の前に楽しげに大笑いしたことを再現しています。注連縄を新しくし、みんなで元気に笑い新しい年を迎えようというのが、注連縄掛け神事というわけです。
注連縄掛け神事は天の岩戸神話が関係しますし、天児屋根命(あめのこやねのみこと)は、天孫降臨神話にも大きく関係しています。また、枚岡神社でお祀りしている経都主命(ふつぬしのみこと)、武甕槌命(たけみかづちのみこと)は、天孫降臨を行うために地上の世界を大国主から譲り受ける国譲り神話で活躍する神様です。
天の岩戸神話と天孫降臨神話
ここでは、枚岡神社の主祭神に天児屋根命(あめのこやねのみこと)が活躍された天の岩戸神話と天孫降臨神話をご紹介します。
天の岩戸神とは
天の岩戸の神話というのは、天照大神が須佐之男命(すさのをのみこと)いたずらに困り果て天の岩戸に隠れてしまったというものです。太陽神の天照大神が天の岩戸に隠れてしまったため世界が真っ暗になってしまい、病気が流行ったり、植物が枯れたりと大変なことになってしまいました。そこで、他の神様が集まり、天照大神に天の岩戸から出てきてもらうためにいろいろなことをしました。その時に活躍したのが、天児屋根命です。天児屋根命は、招霊(おがたま)の木の枝を手に持って舞を舞い、その周りで他の神々が楽しそうに騒いだところ、天照大神が表の様子が気になって天岩戸を開けて表を除いたのです。そこで楽しそうに騒いでいる理由を説明し、鏡で天照大神の姿を映したところ、その姿をもっとよく見ようと岩戸から身を乗り出して覗き込んだところを、思兼神が天照大神の手を引き、手力男命が戸を開け放ち出ていただいたというものです。
天孫降臨神話とは
天照大神が孫の瓊々杵尊(ににぎのみこと)に八咫鏡(やたのかがみ)、八坂瓊勾玉(やさかにのまがたま)と草薙剣(くさなぎのつるぎ)の三種の神器を渡して神の住む天上の世界である高天原(たかまのはら)から、地上の世界である豊芦原水穂国(とよあしはらのみずほのくに)に送り出しました。そして地上の世界を治めさせたというのが天孫降臨神話です。この時に地上への案内をしたのが猿田彦神(さるたひこのかみ)で、瓊々杵尊に仕えて地上に降りたのが、天児屋根命です。天児屋根命は、天照大神から瓊々杵尊を助け守っていくように言われ、基礎固めに大事な役割を果たしたことから『天孫輔弼の神(てんそんほひつのかみ)』といわれています。
天孫降臨神話の中で、瓊々杵尊が天照大神から授かったものは3種の神器の他に、稲がありました。稲は、地上の世界で食物にするようにと紙の世界から持ってきたものといわれています。
注連縄の意味
天の岩戸に飾ったといわれる注連縄ですが、どんな意味があるのでしようか。神社ではよく見かけますし、お正月にはしめ飾りを飾る家庭も多いのではないでしょうか。
注連縄とは、神道では神の世界である神域と現世を分ける結界としての意味、神社や御神体を囲うことで神域とする意味や厄や災いを祓う意味があるとされています。これはもちろん、天照大神が天の岩戸から出た際にもう二度と入られないように注連縄で塞いだことが起源です。ご神木に注連縄がまかれているのを見かけることもありますが、これは、注連縄で囲うことで神聖なものを表します。この他にはお祓い意味で玄関に飾ったりします。
注連縄の材料は、稲や麻などの藁か葛を煮だして乾燥させた藁を使います。神道で使う藁は、米を収穫した後の藁ではなくてまだ穂が出る前の青い稲を刈り取って干したものです。太い注連縄を作る場合は芯となる藁を使いますが、この芯には米を収穫した後の藁を使います。そして今藁を使って縄を編んでいくのですが、祀ってある神様が男性か女性かにより縄を編む向きが違います。左向きに編むのは、太陽の動きと同じで火(男性)を表します右に編むのは右なえといって太陽の巡航には逆行し、水(女性)を表します。ご祀神が女性なら右なえ、男性なら左なえの注連縄を用意して飾るのです。ちなみにお正月に飾るしめ飾りは、お正月に迎える年神様を祀るための依代(よりしろ)です。12月の29日と31日に飾るのは縁起が悪いといわれるため28日までに飾るようにします。
笑いの効用と注連縄掛神事にちなんだ食べ物
枚岡神社では、注連縄掛け神事を行う12月23日は一日中お笑いに関するイベントを行っています。大笑いくらべといわれるお笑いコンテストでは、注連縄を飾る柱の前に舞台を作りそこで行うのですが、だれでもエントリーさえすれば参加できます。楽しそうに大きな声で笑うというコンテストは、他では例を見ないですね。笑うということはとても体にいいといわれています。
枚岡神社の案内にもあるように、いろいろなことがあった1年を笑うことで元気にしようというのも笑いの効用を取り入れようということです。笑いは古くから良いと言われ、笑う門には福来るという言葉があるくらいです。実際の効用としては、笑うことで免疫を司るリンパ球の一つでナチュラルキラー細胞が活性化すると言われています。嬉しいことに、笑いには免疫力が上がるだけでなく調整する効果もあります。そのため免疫細胞が活性化しすぎて困るということにはなりません。その上、笑うことで脳は活性化し、血行も良くなる、笑うことで筋力アップするなどいいことづくしです。確かにたくさん笑うと気分はすっきり、汗をかくこともありますよね。
平岡神社では、この日には限定の野菜のたっぷり入った笑福汁、笑福甘酒、ニコニコした顔の焼き印が押してある笑福パンやケーキ、お菓子が楽しめます。もちろん笑福お守りもあります。
夕方から行われる天岩戸開け神事までの時間にお笑いに因んだ行事を楽しみながら過ごしてみてはいかがでしょうか。
まとめ
- 注連縄掛神事とは、しめかけしんじと読み、大阪府の枚岡神社で12月23日に行われます。
- 別名、お笑い神事とも言われ、神職に続いて参列者で笑う神事です。
- ご祀神の天児屋命が天照大神に天の岩戸から出てきてもらうために祝詞を奏上し、岩戸の前で楽しげに過ごしたことが由来と言われています。
- 新しく注連縄を掛け替えてから、笑い合うことと点の岩戸に注連縄をかけたことから注連縄掛神事と言われています。
枚岡神社で行われる注連縄掛神事は、参加者です大笑いをするというとても珍しい神事です。この日は、1日笑いに因んだ行事が行われますので、たくさん笑って気分がよくなるだけでなく、健康にもよい事をする日にするのもいいですね。
枚岡は、近鉄奈良線の枚岡駅から徒歩1分と、とてもアクセスの良い神社です。
この時期の楽しみ方の一つとして参考にしてください。