年末はやることがたくさんあって、きちんと準備したつもりでも忘れてしまったなんてこともありますね。1年のうちに1度しかないことがたくさんある時期なので、ついうっかりしてしまうことも多いものです。そんな中で、年賀状を出したつもりでも漏れてしまったとか、そもそも忙しくて出せなかったなんてこともありますね。また、実際に年賀状を頂いたので急いでだそうと思ったのにそれもできなかったなんてこともあります。そんなときいつまで年賀状を出してよいのか、寒中見舞いとの違い、遅れた場合の文例や注意点を知っていると安心して対応できますね。ここでは、年賀状を出し忘れてしまった時の礼儀に適った対応についてご紹介します。
年賀状の由来
年賀状は、年始の挨拶に直接伺えない遠方の方などに対して、直接の挨拶に代えて 文書で年始の挨拶をすることですが、いつから始まったかというと起源ははっきりしません。ただ、少なくとも奈良時代には、新年になると親戚やお世話になった人、目上の方に対して年始の挨拶回りをするという行事がありました。これが平安時代になり貴族にその風習が広まり、直接挨拶に行けない遠方の方などに対して文書送って挨拶するようになったといわれています。さらに武家社会では文書を送る年始の挨拶が一般化し、江戸時代には付き合いが広くなって、文書で挨拶をすることが多くなりました。この時活躍したのが、飛脚です。玄関先には名刺受けという郵便受けのようなものが置かれ、不在の時にはこの郵便受けに挨拶の書かれた名刺を入れていました。これを簡略化したのが年賀状の起源といわれているのです。
そして年賀状が一般化したのは、郵便制度の開始です。1873年(明治6年)に郵便はがきが発行され、年賀状を送るときに多く使われるお年玉付き年賀はがきの発行枚数は、2003年の44.6億枚がピークで、メールやSNSの発達により減少傾向にあります。2008年は41.4億枚、2019年は24億枚でした。最近ではメールやSNSの普及で年賀状でのやり取りが少なくなってきていますが、年賀状の歴史が意外にも古いことを知ると簡便さだけでない年賀状の役割や特別な思い入れを感じさせられます。
年賀状の期間
年賀状の起源は年始の挨拶周りの簡略化したものですが、いつまでに出せばよいのでしょうか。お正月の期間に届く年賀状には通常は消印が押されていませんが、これは12月15日から1月7日までの間に年賀専用投入口に投函された年賀状については消印が省略されることになっているからです。そもそも年賀状は元旦に届くように出すのが礼儀正しいといわれていますが、書初めを1月2日に行うことからこの日に書くのが正式という説もあります。年賀状は三が日に届くものが多いのですが、遅くとも松の内の期間、具体的には1月7日までに届くように出します。
お正月には門松などの松飾りを飾って歳神様をお迎えしますが、松の内とは、元旦に家にお迎えした歳神様が滞在している期間、つまりお正月に飾る松飾や門松を飾っておく期間を言います。関東地方では1月7日まで、関西地方では1月15日その他1月10日までと地方により松の内の期間が異なっていますが、1月7日までとすることが多いようです。
お正月は歳神様の滞在する期間つまり松の内の期間を指すため、お正月の挨拶も松の内の期間に行います。そのため、この期間を過ぎてからの年賀状はマナー違反になってしまいますので、寒中見舞いを使います。
出し忘れた時の対応
新年の挨拶をする期間と年賀状の期間は基本的には同じと考えられます。新年の挨拶は松の内の期間にしますが、これは1月7日まで、場合によっては15日ぐらいまでです。仕事先での新年の挨拶は15日を目途にし、16日以降は、「明けましておめでとうございます」はなしで、「今年もよろしく」です。そしてこの挨拶も新春といわれる節分までです。年賀状も新年の挨拶ですので出す期間は1月7日まで、1月8日から節分までは寒中見舞いです。
年賀状を出していない方から年賀状を頂いてしまうと、なんとなく気後れして返事を出した方がいいか迷ってしまうことがあるかもしれませんが、新年のご挨拶ですので、必ず返事を出すようにしましょう。返事を出す時期が1月7日までであれば年賀状として出しますが、過ぎてしまった場合は、寒中見舞いを出します。
お送りする年賀状の内容は、目上の方からの年賀状であっても友人からの年賀状であっても、通常の年賀状と同様にまずは新年の挨拶をします。次いで年始の挨拶が遅れたことのお詫びと昨年1年間のお付き合いへの感謝と近況の報告をして、最後に今年のお付き合いのお願いをして結びます。
寒中見舞いとして出す場合は、最初の新年の挨拶が『寒中見舞い』に変わり、寒い時期のため、相手の健康を気遣う言葉を添えます。
寒中見舞いはどんな時に出すの?
お正月の時期に寒中見舞いを頂くことがありますね。寒中見舞いというと喪中の時など新年の挨拶ができないときに年賀状へのお返しというイメージが強いのですが、実際にはどんな時に使うのか、役割についてご紹介します。
寒中見舞いとは、余寒見舞いとも言い、厳寒の時期に相手の健康を気遣って出す季節の手紙のことです。同じような季節の手紙に、暑中見舞いがあります。
寒中見舞いを出す『寒中』というのは、24節気の小寒(しょうかん)と大寒(だいかん)を合わせた約1か月間を指し大寒の最後の日は節分で、翌日は立春です。その意味でも寒中見舞いは節分までの1年の中でも最も寒さが厳しくなる時期に出すに手紙です。どんな時に出す手紙かというと、厳寒の時期に相手方の健康を気遣って出す文書でのご挨拶で、喪中の方であっても、季節の挨拶をする手紙であることから出すことができるため、喪中の方が新年に使うお手紙のイメージが強くなっているのです。喪中以外の方は年賀状を出すことが多いので、時期的にも重なるためあまり寒中見舞いを年賀状とは別に出すことはありあせん。
寒中見舞いの文例
寒中見舞いは、通常は季節の挨拶ですから決まった書き方はありませんが、年賀状を出し忘れたときには入れた方が良いことがありますので文例を紹介します。入れた方がいいことというのは、年賀状のお礼と年賀状を出さなかったこととお詫びです。
年賀状のお礼
- ご丁寧に年賀状を頂きありがとうございました。
- 新年のご挨拶ありがとうございました。
年賀状欠礼のお詫び
- 年賀状を頂いておりながらご挨拶が遅れて申し訳ありません
- 新年のご挨拶が遅れてすいません。
- 新春のご挨拶を頂いておりながら、ご挨拶が遅れて申し訳ございません
自分が喪中の場合に年賀状を頂いた場合
新年のご挨拶を頂きありがとうございました 昨年●月に●●が他界したため新年のご挨拶を控えさせていただいておりました 連絡が行き届かず申し訳ありませんでした
その他一般的に入れるフレーズ
『寒中見舞い申し上げます』は冒頭に必ず入れます。これがないと何のお手紙かわかりません。次に、1年で一番寒さが厳しい時期の挨拶状のため、相手を気遣う言葉を入れます。
寒さ厳しき折いかがお過ごしでしょうか。
まだまだ寒い日が続きますので、くれぐれもご自愛ください。
その他
寒中見舞いを出す際に、年賀はがきは使いません。年賀はがきを使うといかにも出し忘れました、とか、あまりものですみたいな感じになってしまいますし、松の内を過ぎているので年賀はがきを使うと時季外れのものを使うことになるため一般的には使いません。
まとめ
- 年賀状を出していない方からいただいてしまうと、どのように対応してよいか悩んでしまうものですが、年賀状は書面でのご挨拶のため、必ずお返ししましょう。
- 松の内といわれる1月7日までであれば年賀状としてお返ししますが、過ぎてしまった場合は、寒中見舞いとして新年のご挨拶をします。
- いずれの場合もご挨拶を頂いたことへのお礼と自分の挨拶が遅れたことのお詫びを忘れずに入れましょう。
メールやSNSが普及して年賀状を出す枚数が減っています。奈良時代から行われていたという年賀状の文化は、お世話になった方への新年のご挨拶です。年賀状を頂いた場合は、文書でご挨拶をお返しするのがマナーです。お返しするときの文面や時期について参考にしてください。