御用始めは最近ではあまり言わなくなってきていますが、ひと昔前まではテレビ放送でも使われてきた言い方なのです。
年配の人などは、もしかしたら御用始めという言葉を使うことがあるかもしれませんね。
御用始めを聞いたことはあっても、意味について詳しく知っている人は少ないのではないでしょうか。
同じようなシーンで使う機会が多い、仕事始めや大発会とは意味が違うのか気になりますよね。
挨拶文もどのように考えたら良いのか、悩んでいる人もいると思います。
今回は御用始めの意味や挨拶文、仕事始めや大発会との異なる点を詳しくご紹介していきます。
御用始めにはどのような意味がある?
御用始めにはどんな意味があるのか…「御用」という言葉の意味を知っていればなんとなく想像ができます。
御用といえば時代劇などで「御用だ、御用だ!」という悪人を捕まえるシーンを思い浮かべる人も結構います。
御用は決して悪人を捕まえるという意味なのではなく「悪人を捕まえるという公務」を全うする意味なのです。
御用始めは「新年が明けて公務を初めておこなう日」という意味があります。
御用始めは1960年くらいまでテレビなどでも普通に放送されてきた言葉で、昔はよく聞かれたことだったのです。
主に「公務を全うする」官公庁で使われていますが、現代ではあまり使用することはなくなりました。
昔のテレビではよく使われてきましたが、現在では聞く機会は激減しています。
若い世代の人が御用始めという言葉を使うと、少し驚かれるかもしれません。
御用始めに「初」の字が使われない理由
お正月が関わる「新年が明けてはじめておこなう事」は書き初めや初夢など、主に「初」という字が使用されています。
一方で御用始めは「始」という字が使われていますが、なぜなのでしょうか。
仕事ももちろん新年が明けてはじめておこなう日がありますが、仕事は年末にいったんお休みして休み明けに再開します。
初めておこなうことではなく、あらためて始めるという意味があるため御用始めは「始」の字を使うのです。
仕事の意味を考えると、なぜ漢字が使い分けられているのかが分かってきますね。
御用始めと仕事始めに違いはある?
御用始めに代わって現在に多くの人が使うようになったのが、仕事始めなのです。
ふたつの言葉に明確な違いはあるのでしょうか。
仕事始めは私たちが認識している「仕事」を対象として、幅広く活用されています。
飲食業でも販売業でも、新年が明けてからはじめて仕事を再開するときに使うのですね。
仕事始めと比べて、主に官公庁で公務をおこなうことに使う用途があります。
官公庁以外では御用始めという言葉は使うことはまずなく、お役人のみに使っていました。
1960年くらいまでは普段から活用されてきた言葉でしたがだんだんと「お高い仕事」のイメージが強くなり、次第に仕事始めと言われるようになったのですね。
官公庁での公務もお堅いイメージがありましたが、もうすこし柔らかい言葉にしてもらいたいと視聴者から声がたくさん届くようになったのです。
世間一般の声を聞いてからはNHKなどのテレビ放送でも御用始めではなく、仕事始めを多く活用することになったのです。
御用始めと大発会に違いはある?
御用始め、仕事始めと同じような意味を持つものでもうひとつ「大発会」という言葉もあります。
年末のニュースなどで、大発会と大納会のふたつのキーワードをよく聞くことが増えますよね。
大発会は仕事始めと同じ意味で活用されていますが、証券取引所で使われます。
新年を迎えて最初の取引ということで、若い女性社員などは振袖などを身にまとってお祝いムードの中おこなわれるのが特徴です。
昔に比べて株取引も不振の傾向にあるため、一般企業における仕事納めにあたる「大納会」の日にちが延びました。
日にちが延びただけではなく大発会はもともと前場のみの開催でしたが、現在では前場と後場どちらも開催しているのです。
大発会は証券取引所以外で使うことはないので、意味は同じでも使い分けは容易です。
各業種ごとの御用始めはいつ?
御用始め、仕事始めというと一番気になるのがいつなのかということ。
各業種によって御用始めの時期は異なり、土日が絡むと毎年変則的になる可能性もあります。
サービス業は御用始めという概念が特になく、365日フルで稼働していることも珍しくありませんよね。
暦通りのお休みがある仕事の場合は、多くの業種で御用始め(仕事始め)が制定されているのです。
具体的にいつ御用始めを迎えるのか、業種ごとにみていきましょう。
官公庁
御用始めは官公庁で用いられてきたことのため、まずは官公庁の時期からみていきたいと思います。
官公庁などの行政機関における年末年始の休日は、実は法律で決められていることなんです。
法律で決められている官公庁のお休みは12月29日〜1月3日までです。
法律通りのお休みをとって、土日が被らなければ1月4日に御用始めを迎えるのですね。
本来の御用始めに土日が重なった場合は、翌営業日の月曜からとなるのです。
例えば1月4日が土曜日にあたる年は、1月6日の月曜日からが新年最初の出社日です。
休みの日があらかじめ法律で決めてあるのは、わかりやすくて覚えやすいメリットがありますね。
御用始めが土曜だといつもよりも休みが延びて、少し得をした気持ちになります。
暦通りの休日がある会社
土日祝日が休みに設定されている、いわゆる暦通りの休日を取っている会社はどうなのでしょうか。
暦通りという点では官公庁とスケジュールはあまり変わらないので、基本的には官公庁の休みに合わせるところがほとんどみたいですね。
会社ごとに休みを少し長めに設定するなど、必ずしも官公庁と同じようにはしていないところもあります。
自身の会社の年末年始の出勤に関しては、しっかり確認するようにしましょう。
一般的な会社も土日が重なった場合は、翌営業日の月曜にズレることがほとんどです。
金融機関
自分が勤めているわけではなくても、新年最初の稼働日の時期が気になる業種もあります。
銀行やゆうちょの窓口が開くのを、心待ちにしている人もいるのではないでしょうか。
金融機関の場合は仕事納めを12月30日とし、仕事始めは1月4日です。
官公庁よりも金融機関の方が、仕事納めは遅いのですね。
仕事始めは官公庁と金融機関は、同じであることがほとんどです。
土日が絡むと御用始めがずれ込むのも、同じですね。
証券取引所
証券取引所にとっての御用始めは、ほかの業種とは違って大発会という言い方をします。
金融機関と同じように12月30日が大納会、1月4日が大発会となるのです。
土日が絡むと、大納会や大発会の日にちはズレていきます。
実は大納会と大発会の時期はひと昔前には大納会が12月28日、大発会は1月6日と少し休みが多かったのです。
最近では株取引が不振なので、少しでも賑わいを取り戻そうと休みの期間が短くなりました。
御用始めの挨拶文とは?
御用始めのあいさつといえば、新年のあいさつと一緒に元気が出るような言葉を話したいものですね。
あいさつをするときはダラダラと話すのではなく、簡潔にポイントを把握しておくと良いでしょう。
どんなポイントをおさえたら良いのか、順番にみていきましょう。
①新年を迎えたお祝いの言葉
まずは御用始めのあいさつでも「あけましておめでとうございます」という言葉は欠かせません。
加えて「皆様とまた新年を迎えられるのは、大変嬉しく思います」などとあいさつすればバッチリです。
②会社に関する言葉
仕事始めなので、会社や職場などに関わる内容を含む事が適しています。
「昨年度は厳しい状況の中、多くの社員が助けてくれました。
状況が回復してきた今年、再び助け合いながら乗り越えていきましょう」前向きに頑張れるような流れで、あいさつの中で盛り上がるように言うと覇気が上がります。
③新年の目標
仕事に対する前向きな姿勢を述べたところで、新年の目標を立てながらますます盛り上げていきます。
あまりに個人的な目標では、多くの社員に話しても意味がわからないものになりやすいです。
できれば社員みんなが取り組めるような、わかりやすい目標を立てると達成への意欲も湧くことでしょう。
④一致団結していく言葉
目標を立てたところで、社員一同が一致団結できるような激励の言葉をあいさつの締めとしておこないます。
「目標を達成できるよう、力を合わせて頑張りましょう!」などと力を込めて言いましょう。
あいさつの終わりなので、御用始めというスタートダッシュを決めるつもりで意気込みを見せていくと良いですね。
まとめ
御用始めの意味や挨拶文、仕事始めや大発会との違いについて詳しくご紹介してきました。
新年が明けて最初の仕事が始まる日のことで、官公庁での公務をメインに使われていた言葉です。
最近では官公庁から一般企業まで、仕事始めという言葉を使う機会が多くなりました。
証券取引所では大発会というなど、業種によって御用始めは言い方や日にちなども異なります。
新年のあいさつとともに、明るく目標を達成できるように意気込みを伝えましょう。