師走に入ると目にするようになるのが、正月飾りです。クリスマスが終わる頃までは売場の片隅にありますが、25日が終わると待ち構えていたかのように売場に多く並びます。様々な正月飾りがありますが、一体どんな意味があり、どのように使えば良いのか分からない人も居るのではないでしょうか。ここでは、そんな正月飾りのついて、詳しくご紹介します。
正月飾りとは一体何?どんな意味があるの?
正月飾りとは、正月に飾られる様々な飾りのことをいいます。
新年を迎える目出度いイベントに飾られる正月飾りには、大切な意味があるのです。
元来、正月という行事は、五穀豊穣の神である「年神様」をお迎えし、祀る目的がありました。年神様は、幸せや生きる力を持っていて、その神を招くために家中を掃除し、正月飾りを飾り、家に入りやすく整えておくことが大切とされていたのです。
正月を祝うことは6世紀頃から行われていますが、正月飾りが一般庶民に広まったのは、江戸時代頃からと言われています。
正月飾りにはどんな種類があるの?
門松、注連飾り、鏡餅、羽子板、破魔弓、破魔矢、生け花、輪じめなど様々なものがあります。
門松には松竹梅があしらわれていますが、松は祀る目出度い樹木という意味があり一年中葉が青いため永遠の命を表わします、竹は一日毎にぐんぐん成長する生命力を表わし、梅は新春の門出に相応しい花です。
注連縄は、玄関に飾るのが一般的です。注連縄は神社に飾られているのと同じ意味があり、不浄を持ち込まない神聖な場所を意味します。注連縄には、「うらじろ」「ごへい」「ゆずりは」と呼ばれる飾りが付いています。うらじろは裏白と書き、清らかな心を表わします。ごへいは御幣と書き、神の力が宿るとされています。ゆずりははゆずり葉と書き、家系が長きに渡り続いていく願いが込められています。注連縄を飾ることで俗世と神域を分けています。
また、注連縄を簡素化したものが輪じめと言われています。サイズも小さめなのでドアノブや車、機械、水回りなどに付けられます。
鏡餅は、その丸い形が魂と鏡を表わしています。二つの餅を重ね「円満に年が重ねられるように」という願いを込めています。
羽子板や破魔弓・破魔矢は子供のお守りとして飾られます。羽子板は昔から女の子の遊びでした。無患子(むくろじ)という黒い球を打つことで無病息災を願ったのです。破魔弓・破魔矢は男の子のお守りです。弓矢を使い病魔を打ち落とすという意味があります。子供が産まれた初正月に羽子板や破魔弓を贈る習慣があります。
正月飾りはいつからいつまで飾れば良いの?
正月飾りを飾る期間はいつからいつまでなのでしょうか。
一般的に12月13日を過ぎたらいつ出しても構わないとされていますが、クリスマスの飾りと一緒になってしまうため、クリスマスが過ぎた12月26日頃に飾る人が多い様です。大安などにこだわる人は、クリスマスよりも前に飾ることもあります。
ただ、飾るのに不向きな日もあります。例えば、年明けの前日31日に飾るのは「一夜飾り」と言われ縁起が悪いです。また、4は死、9は苦を表わすためその数字が付く日は縁起が悪いとされています。特に29日は二重苦をイメージするため避けられます。
門松を飾っておく期間は「松の内」と呼ばれ、12月13日頃から1月15日までとされていましたが、近年では年明け一週間程度で片付けられるようになってきました。飾りの回収も8日頃から始まりますので、その辺りで取り外し、忘れないうちに回収してもらうのが安心です。
どこに飾るの?縁起が良い飾り方は?
正月飾りを何となく飾っているという人も多いのではないでしょうか?実は、飾り方一つで福を呼び込めるかどうかが変わってくるので大切なのです。
前述の通り、正月飾りの注連縄などは、神様の居る場所を示します。神様が入ってきやすい門や玄関に付けると良いでしょう。また、神棚のある家庭ではそこにも飾ります。水回りや機械などに飾ると厄除けとして効果があります。
戸建ての場合には門や玄関扉などに飾りやすい正月飾りですが、分譲マンションや賃貸マンションなどでは注意が必要です。
分譲マンションの場合、家の前の廊下や玄関外側の扉は共用部分です。勝手に飾るのは禁止とする場合もありますので、どうしても外側に飾りたい時には、事前に管理組合に確認するようにしましょう。例え他の家から見えない扉でも、規約で禁止されている場合は部屋の内側に飾ります。
賃貸マンションの場合も共有部分には注意します。管理会社などがマンションの入口やエントランスに門松や注連縄などの正月飾りをすることもあります。
正月飾りの再利用はできるの?
素敵な正月飾りに巡り合えた時には、「また来年も使いたい」と考えるかも知れません。
正月飾りは絶対に使い回してはいけないというものではありません。
正月飾りは飾っている間に年神様が宿っていると考えられています。松の内が明けるとお帰りになると言われていますので、必ず捨てなくてはならないわけではありませんが、毎年新しいものを用意して神聖に扱いたいという家庭が多いのではないでしょうか?
近年では、オシャレな正月飾りが増え、インテリアの一環として飾っている家庭もあります。インテリア感覚が強い場合は翌年以降再利用しても構わないでしょう。陶器で作られた門松や、注連縄モチーフの置物なども販売されていて、それらは当然、再利用できます。
正月飾りを翌年以降も使用したい場合は、保存が大切なポイントです。保存方法を間違えると飾りが取れたり汚れたり、変色したりということもあります。カビが生えたり、腐ってしまったり、虫が付いてしまうこともあります。そういったことが無いように、生花などは取り除き、防虫剤や乾燥剤などを挟み、通気性の良い柔らかい布などに包んで保管しておきましょう。
正月飾りの処分はこうする!!
正月飾りを飾ったものの、処分に困るという家庭も多いのではないでしょうか?処分方法が分からずに、飾るのを諦めるという人も居るかも知れません。でも、案外簡単に処分できるのです。
元来、正月に使用したお飾りは1月15日前後に「どんど焼き」という行事で焼くという処分方法が取られていました。どんど焼きは、正月飾りや書初め、前年度のお守りなどを持ち寄り一度に燃やします。その炎で餅や団子を焼き、食べることで無病息災を願うのです。
近年では、各家庭や地域で火を焚くというのが憚られるため、なかなか気軽に処分が出来なくなってきました。
そこで、神社などでは回収を行い一斉処分してくれるところがあります。回収期間が定められていますので、二年参りや初詣の際に確認しておくと良いでしょう。中には未だにどんど焼きを行う自治体もあります。皆で大きな炎を囲む機会はなかなか体験できませんし、風情のある行事ですので調べて参加してみても良いでしょう。
どうしても神社などへ持っていけない場合には、家庭用ゴミとして処分することも可能です。
その際は、塩でお清めをした新聞紙やラッピング用紙などの全てを隠せる大きな紙に正月飾りを包み、一般の可燃ゴミとは違う袋にそれだけを入れて、可燃ごみの日に出します。ゴミに出したらバチが当たる感じがして気が引けるという人も居ますが、神様はそんなに心が狭くありませんので安心しましょう。
おしゃれな正月飾りもある
正月飾りは古臭くて現代のインテリアに似合わないのでは?と考える人もいるでしょう。でも、近頃はインテリアにしても浮かないオシャレなものが数多く販売されています。モダンでおしゃれな飾りを取り扱うインテリアショップも増えていて、サイズも豊富です。ドライフラワーをあしらったり、藁に色を付けて編んであるものもあります。注連縄や輪じめは非常にオシャレにアレンジされていますので、自分好みのものが見つかるでしょう。
また、細部までこだわりたいという人は、自作をしても良いでしょう。素材はネット通販やホームセンター、100均などで揃います。自分だけの飾りを作れるようになると、毎年楽しみが増えます。冬になると、各地で正月飾りのワークショップなどが開かれていますのでチェックしてみて下さい。
まとめ
正月飾りは、年神様を招くのに大切なもので、魔除けの意味もあります。一年間を無事に過ごせますようにという願いが込められていて、飾る期間は松の内の12月13日から1月15日までです。この期間内であれば早めに飾っても取り外しても良いですが、およそ年明け1週間程を目安にすると良いでしょう。処分はその年の状況によりゴミに出すか燃やすために持っていくかを決めましょう。正月飾りを飾ることで、新年を祝う気持ちとめでたさ、華やかさを演出できますので、是非飾ってみて下さい。