香典返しをする際、品物に手紙を添える必要があります。普段の手紙とは異なるため、どんな内容を書けば良いのか?ルールやマナーはあるのか?そもそも必ず必要なものなのか?など迷うことも多いのではないでしょうか?
ここでは、そんな香典返しに添える手紙・お礼状・挨拶状などについて詳しくご紹介します。
香典返しに手紙やお礼状は必要なの?
香典を頂いた場合、本来であれば一軒一軒を回って直接お礼をするのが理想です。でも、相手の都合もありますので、現実ではなかなか直接伺うことができないものです。そこで、香典返しの品に手紙やお礼状・挨拶状などを添えて贈るのが一般的になっています。
香典返しやお礼状は、忌明けから一ヶ月以内に贈るのがマナーとなります。仏式では、四十九日法要後、一ヶ月以内で贈ります。神式は五十日祭、キリスト教では追悼ミサや記念集会終了後に準備をして贈ります。
職場に香典返しをする場合は、忌引き休暇明けに持参するのがマナーです。そのため、手紙やお礼状に書く内容も少し変わります。
香典返しのお礼状には、四十九日法要が終わり、故人の供養が一段落しましたという報告が込められているため、手紙のように読みやすくして添えるようにするのが一般的です。
香典返しに添える手紙の書き方
香典返しに添える手紙には、どんなことを書くべきか?書き方を迷う人も多いのではないでしょうか?
香典返しの手紙には、書くべきポイント・構成があります。要は書き方は殆ど決められているのです。
まず、香典をいただいたお礼を書きます。次に、四十九日法要も終え、戒名が付いたことを報告します。(戒名も記します。)職場などに四十九日の法要が終わる前に香典返しをした場合は、戒名の報告はできません。
更に、故人と生前お付き合いいただいた感謝を書きます。最後に、本来は直接伺いお礼を述べなくてはならないところを、略儀で済ませる旨のお詫びを書きます。
故人と非常に親しかった人には、生前の思い出などを盛り込んだ内容を書いても良いでしょう。
香典返しに添える手紙のマナー
香典返しに添える手紙には、守るべきルールやマナーがあります。特に気を付けなくてはならないのが以下の点です。
宗教や宗派、地域によって、表現方法が違うため文面や内容には気を付けなくてはなりません。
例えば、仏式では「四十九日法要」「忌明け法要」という言葉を使いますが、西日本方面には「満中陰法要」と呼ぶところもあります。神式では、四十九日法要にあたる法要を「五十日祭」と呼びますし、キリスト教ではカトリックが「追悼ミサ」プロテスタントでは「記念集会(記念式)」と呼ばれています。このように、故人の宗教・宗派・住む地域などに合わせて書くのがマナーです。
香典返しの手紙やお礼状などでは、時候の挨拶は入れません。そして、句読点も基本的に使用しません。元来、日本の縦型の手紙には句読点は用いていません。香典返しに添える手紙も縦書きになるため、句読点を打たないのです。句読点には「止める」という意味がありますので、「物事を滞らせる=法要が滞る」という良くないイメージがあるため、使わないという意味もあります。
お礼状は、正しい言葉遣いで書くのがマナーです。拝啓てから始め、敬具で終わる頭語や結語を使いましょう。謹啓・謹白でも構いません。また、間違いやすい点として、「逝去」が挙げられます。身内に逝去は使用しませんので、「死去」を使うようにしましょう。繰り返し言葉も使用しません。「ますます」「たびたび」というような繰り返し言葉は、何度も繰り返す=不幸が続くイメージを持つためです。
お礼状などの手紙に記す日付をいつにしたら良いのかを悩むかも知れません。手紙を書いた日、実際に四十九日を迎える日、四十九日法要を行なった日、香典返しを届ける日、これらのどの日付も間違いではありませんが、四十九日の法要を執り行った日を記すのが自然です。お礼状などでは四十九日の法要をつつがなく終えた報告でもあるからです。
どうしても迷う場合は、年月のみを記すことも可能です。
香典返しお礼状の種類
香典返しのお礼状には種類はありません。
でも、贈る相手により文章を変えることは可能です。友人宛、親族宛、上司宛など、相手に合わせて少し文章を変えたり、封筒や手紙のサイズなどの種類を変えることもできます。
香典返しに添える手紙やお礼状などは、無地の便箋、封筒を使用し黒い墨で書きます。はがきサイズのものもありますので、
そういったものを活用しても構いません。
印刷か手書きかで迷う人も居るかも知れませんが、大人数へ贈るなら印刷の方が手早く用意できるでしょう。数名にしか贈らないのであれば、心を込めて手書きをしてみると、より気持ちが伝わります。
具体的な文例
では、具体的にはどんな文例が良いかを見ていきましょう。
最初は、全ての人に宛てて贈れる文例です。
「謹啓
先日の○○(故人の氏名)の葬儀に際しましては 丁重なご芳志を賜り 御礼申し上げます
○年○月○日
(故人の戒名)
四十九日法要を相営むことができました
生前 故人が賜りましたご厚情に 改めて感謝を申し上げます
つきましては 供養のしるしとして 心ばかりの品をお送りします
どうか ご受納くださいませ
略儀ながら 書中をもちまして 挨拶申し上げます
謹白」
次は、親しい人へ贈れる文例です。
「拝啓
このたび○○(故人の氏名)の永眠に際しましては 心のこもった御香典を賜りまして 誠にありがとうございました
お陰様で先般 無事 四十九日の法要を滞りなく済ませることができました
故人が生前 どれほど皆様に支えられた一生であったかと思うと 感謝に絶えません
親しかった皆様に見送られ きっと喜んでいることと存じます
つきましては 供養のしるしとして心ばかりの品を贈らせていただきます
どうかご受納くださいませ
これからも 何かとお世話になることがあるかもしれませんが 何卒よろしくお願い申し上げます
敬具」
このように、贈る相手により内容を少しずつ変えても良いでしょう。
香典返しの手紙を省略したい場合は?
香典返しの手紙・お礼状などを省きたいという家庭も近年増加しています。
お礼状を省きたいけれど、それでは失礼にあたるのでは?と悩んでしまいます。そんな時には、「略式挨拶状」のようなものを添えることをおススメします。
通常、香典返しに添えるお礼状・挨拶状は、無地の巻紙を使用しますが、略式挨拶状は印刷型のカードタイプになっており、巻紙の大袈裟な印象を薄れさせ、相手がすぐ読めるようになっています。のしの掛け紙と一体化しているタイプもあります。カードタイプの略式挨拶状では、無地だけではなくデザインが施されたものもあり、少しカジュアルな印象を受けます。
略式にしても、記される内容は変わらないため、受け取る相手に失礼な印象を与えないのも特徴です。このようなものを便利に使う時代なのかも知れません。
メールでお礼を伝えたい場合
会社など複数の人から合同で香典を頂いた場合、香典返しの品に添付する手紙やお礼状を全ての人が目を通すことは難しいでしょう。そんな時は、メールで送信することもやむを得ないものです。
メールは近年便利に使われていますが、まだまだ一般的ではありませんので、品物にお礼状を添付した上で同様の内容をメールで送ると良いでしょう。もし、職場にマナーに煩い上司が居るような場合には、事前にハガキなどを用意し配っても良いかも知れません。
職場への香典返しの品は、忌引き休暇明けには持参するようにしましょう。
<例文>
「件名:葬儀参列のお礼
本文:○○ ○○様
先日はお忙しい中 ○○の葬儀に御参列頂きまして 誠にありがとうございます
また ご配慮・お心遣いをいただき心からお礼を申し上げます
忌引き休暇中は 皆さまに大変ご迷惑をお掛け致しました
お陰様で 無事に葬儀を終え 本日より仕事復帰をさせていただきます
本来であれば 皆様の元へ直接お伺いをしてお礼を申し上げるべきですが 取り急ぎメールでご挨拶申し上げます」
このように、分かりやすく読みやすい内容を心掛けましょう。このお礼メールは、仕事に関するメールとは分けて送りましょう。
まとめ
香典返しに添える手紙には、故人に変わって皆様にお礼や挨拶をするという目的があります。そのため、故人のために礼儀を欠くようなことはできません。ルールやマナーもありますので、最低限守って書くようにしましょう。便箋は一枚にまとめ、封筒は二重の物を避けます。弔事に関するマナーは一度覚えてしまえば一生ものです。最初にきちんと覚えておきましょう。
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