お香典をいただいたら多くの方がお返しをしますが、お香典返しに添える挨拶状はどのようなものを用意すればよいのか、そもそも挨拶状は必ず必要なのかなど、悩みは尽きません。
お香典返しをする必要性や挨拶状を作成するようになった由来から、挨拶状の役割について文例や注意点を踏まえて紹介します。
香典返しに挨拶状は必ず必要?
葬儀でお香典をいただいた場合には、忌が明けるときにお礼の品物に挨拶状を添えて送るのが一般的ですが、そもそも挨拶状は必ず用意する必要があるのでしょうか。
いただいたお香典のお礼として、品物と挨拶状を用意することになった由来から、挨拶状の役割や必要性について紹介ていきます。
仏教では49日、神道では50日、キリスト教では30日程度と宗教により忌明けする日はまちまちですが、喪主は忌が明けると葬儀に参列していただいたことやお香典をいただいたことに対して、訪問して直接お礼の気持ちを伝え、品物を渡していました。これが本来のスタイルになります。
ところが葬儀への参列者が増えたり、遠くから参列される方もいると直接お礼をするのはなかなか難しくなり、直接挨拶するのではなくお礼の品物を送るようになりました。
当然のことながら、送るということは直接お礼の挨拶ができないことになります。相手に失礼にならないようにするために挨拶状を一緒に送り、直接の挨拶に代えるようになりました。
このようなお香典返しに挨拶状を添えるようになった理由から考えると、挨拶状なしでお香典返しを送るとせっかくのお礼の品物も挨拶がないぶっきら棒な感じで伝わってしまいかねません。また、受け取る方はどうして急に品物が送られてきたのかわからずに困ってしまいますので、挨拶状を添えるのがマナーとなります。
持参する場合は、直接お礼の挨拶をできるので挨拶状はなくてもマナーには反しません。
このように挨拶状は、直接の挨拶の代わりになりますので、お香典返しと一緒に送る必要があります。
香典返しの挨拶状はどんなことを書けばいいの?文例は?
挨拶状が必要なことはわかったけれど一体どんなことを挨拶状に書いたらよいのでしょうか。挨拶状の基本の流れをみていきましょう。
挨拶状の基本的な流れ
お香典返しの挨拶状には、次の5項目を入れて書くのが基本です。
- 葬儀への参列やお香典をいただいたことへのお礼
- 四十九日などの忌明けの法要が終わったこと
- 故人とお付き合いいただいていたことへのお礼
- 香典返しの品物を送ること
- 略式でお礼の挨拶することのお詫び
挨拶状に盛り込む内容としては5項目ですが、3番目の故人とお付き合いいただいていたことのお礼については省略されていることもありますし、忌明けという考え方がない宗教の場合は、忌明けの法要が終わったことの報告もなくてもよいことになります。
また、宗教独自の表現を使うところはその独自の表現にあわせていく必要があります。
宗教別の用語について
次に宗教ごとに特別な表現をする言葉についてみていきます。
- 亡くなること:故人に対して敬語となる逝去は使用しません。
仏教では特別な用語は使わず死去、神道では帰幽(きゆう)、キリスト教のカトリックでは帰天(きてん)、プロテスタントでは召天(しょうてん)を使います。 - 忌明けの法要:仏教では四十九日忌、満中陰や七七忌、神道では五十日祭、キリスト教ではこ の概念はありませんが、カトリックでは感謝祭や命日祭をいいます。
- 香典:仏教では香典、神道では玉串料といいます。キリスト教式の場合は花料や香典という言葉を挨拶状に使うこともあります。
- 宗教独自の名前:仏教では宗派により亡くなると戒名や法名をつけることがあるので、挨拶状に書くことが多いです。キリスト教ではクリスチャンネームを書くことが多いですね。
基本的な文例
それでは基本的な文例を紹介します。
このたび 亡○○(喪主と故人の関係)○○(故人の下の名前)死去(帰幽・帰天)に際しましては遠路よりのご会葬ならびに丁重なるご厚志を賜り厚く御礼申し上げます
おかげをもちましてこのほど○○(戒名・法名)四十九日法要を○○にて(お寺・神社・教会の名前など、なくても可)滞りなく営むことができました
つきましては追善の意を表し心ばかりのお品をお送りいたしましたのでご厚志のお礼としてお納めください
本来であれば直接お会いしてお礼を申し上げるべきところですが略儀ながら書中をもってお礼かたがたご挨拶申し上げます
ここでは3を除いた4項目で挨拶状を書いています。
無宗教の場合
宗教に関係なく使える挨拶状の文例を紹介します。表現が柔らかく形式ばった感じがしないので、最近選ばれる方が多い文例です。アレンジもしやすく親しい人にお送りする場合に参考になります。
例文と構成
このたび 亡○○(喪主と故人の関係)○○(故人の下の名前)永眠に際しましては遠路よりのご会葬ならびにお香典を頂き賜り厚く御礼申し上げます
生前どれほど皆様に支えられた一生であったかと思うと感謝に耐えません
親しい皆様にお見送りいただき故人も喜んでいてくれることと思います
つきましては 供養のしるしとして心ばかりのお品をお送りいたしましたのでご厚志のお礼としてお納めください
本来であれば直接お会いしてお礼を申し上げるべきところですが略儀ながら書中をもってお礼かたがたご挨拶申し上げます
ここでは5項目すべてを入れた文例としています。
挨拶状の内容を相手により変えていい?
そもそも挨拶状は何のために送るかというと、お香典をいただいたことへのお礼です。相手がだれかにより、お礼の言葉が違うということは不自然はありません。
例えば、親戚であれば、遠方から会葬してくださることもあるでしょうし、身内ならではの心遣いや、それに対する対応もあると思われますので、そうしたことを含めた挨拶状とすることはとても自然なことです。
会社関係への挨拶状では、ビジネスでよく使われる用語を用いて、「このたびは亡き○○(続柄)○○(故人の名前)葬儀に際し格別のご厚情を賜りありがとうございます」とすることもあります。
故人の友人関係には、故人との生前のお付き合いへの感謝を述べる言葉を「生前故人をお支えいただき」や「生前の故人とのご交誼 故人に変わりお礼申し上げます」「親しい皆様に見送られて故人も喜んでいることと思います」などを入れるとより感謝の気持ちが伝わりやすくなります。
また自部分の友人に対しては、今後ともお付き合いをお願いする言葉を添えるのもよいですね。
挨拶状の趣旨に照らして考えれば、本来は直接うかがってお礼を言うのですから、略式の文書でお礼をすることに変わるだけと考えれば、相手方との関係により挨拶状の内容を変えることは全く問題のないことです。
挨拶状の形式や種類は?
挨拶状にはどのような形式や種類があるか見ていきます。
香典返しの挨拶状には、従来から手紙として書かれていた奉書紙タイプと略式のカードタイプがあります。どちらのタイプを選ぶかは挨拶文にあったものを選ぶのが良いでしょう。
奉書紙タイプ
巻紙タイプの和紙で古くから正式文書に使われています。挨拶状ではこの奉書紙タイプが正式といわれています。奉書紙は巻くように折りたたんで封筒に入れることになっています。
もともとは筆で縦に書いていたことから、現在でも毛筆体で縦書きで作成するのが正式です。もちろん、印刷でもOKです。
はがきタイプ
折りたたむカードとはがき大のカードタイプがあります。こちらは、奉書紙と比べると簡素化していますので、略式の挨拶状ともいわれています。
堅苦しさがないことと、受け取った側がすぐに読めるという利点があることで人気のあるタイプです。略式とは言われますが、カードタイプを選ぶ方が多くなっています。
奉書紙とカードタイプのどちらを選ぶかは、好み、地域の慣習を考慮して決めるとよいです。地域のことについては詳しい方に確認するとわかると思いますので念のため、カードタイプでも問題がないか確認をするとよいかもしれません。
挨拶状作成の注意点を確認しましょう
挨拶状を作成する場合の決まりごとやどうやって挨拶状を作成したらよいかについてみていきます。
まず初めに挨拶状を作成する場合の注意点ですが、いくつか決まりがあります。
- 時候の挨拶:手紙を書く場合には、時候の挨拶を入れるのが一般的ですが、香典返しの挨拶状では、お礼をメインとするため時候の挨拶は入れても入れなくてもどちらでもよいこととなっています。
- 頭語と結語:一般的なレターでは「拝啓・敬具」のような頭語と結語は必要ですが、こちらも入れても入れなくてもよいことになっています。ただし、どちらか一方だけを使用するのは禁止で、頭語を入れたら必ず結語で結びましょう。
- 句読点:滞りなく終わったことをお知らせするものなので、文章を区切る意味のある句読点は使わないことになっています。
- 繰り返しの言葉:弔事なので悪いことが繰り返さないように、繰り返しの言葉は使わないこととなっています。
- 逝去:個人に敬意を示す言い方はしないため、逝去は使いません。
- 2枚重ねの封筒:奉書紙・カードタイプのいずれの挨拶状を作成した場合も繰り返しを避けるため、封筒は1重のものを使います。弔事では2重はご法度です。
奉書紙やA4に印刷した挨拶状を用意する場合は2重の封筒が多くあるので注意が必要です。
挨拶状を作成するには、いくつか方法があります。
- 葬儀社に頼む:葬儀社でも対応しているため葬儀から引き続き頼む。葬儀から一貫して頼めるのでもれがなくできラク
- デパートで香典返しサービスを利用:香典返しを購入すると挨拶状を無料で作ってくれるサービスを利用する。贈りものを選ぶ範囲が広がり好きなものを贈れるけれど、自分で日程を決めて頼む必要があるためスケジュールの管理が増える
- 自分作成:自分で文例を参考に文面を決定し印刷する。お礼状だけを送ることもでき、挨拶状の内容を自由に作成できるため、複数の挨拶状を作成する場合には便利ですが、お香典返しに添えてもらう方法を相談する必要があります。
それぞれの利点を考えて利用しやすい方法を選ぶとよいですね。
まとめ
お香典返しの挨拶状には普段使わないような言葉が多く使われていて特別な感じがしますね。
挨拶状の本来の趣旨が、お香典をいただいたことへのお礼を略式で済ませていることを理解するとどのような内容にしたいかを決めやすいですね。
- 挨拶状は忌明けに送り宗教により使う言葉や時期が違うこと
- 挨拶状にはお香典をいただいたことのお礼とお香典返しを送ること、直接お礼を言わないことへのお詫びを含めること
- 相手方により挨拶状の内容を変えるのは問題ないこと
- 挨拶状には句読点を使わないこと
- 挨拶状の種類には奉書紙タイプとカードタイプがあり、封筒は1重のものを使うこと
- 作成はお香典返しと一緒に依頼すると無料でできること
- 自分で作成することもできること
お香典返しの挨拶状についてまとめてご紹介いたしました。感謝の気持ちを伝えるものですので、直接お香典返しをお渡しするような場合には挨拶状はなくてもお伝えできますので、あえて用意しなくても大丈夫ですが、そうでない限り準備し、お香典返しと一緒に添えてお送りするのが一般的です。
メールでのやり取りが多くなったとはいえ、弔事ではまだまだメールでのお礼は避け、挨拶状を作成して挨拶をするのが一般的です。
挨拶状の役割をご理解いただきご自分に合った挨拶状を作成されてみてはいかがでしょうか。
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